神戸の農村歌舞伎

平成2年 神戸市北区山田町で始まった「神戸の農村歌舞伎」の歩みを記しておかなければならない。

なるべく事実に忠実に、記録したいと思います。

きたる10月20日(土)午後1時~3時
神戸市北区押部谷町木津「顕宗仁賢神社にて、秋祭り奉納歌舞伎を開催します。
1:00 御挨拶 宮総代 成清恒美 氏
     お話  落語家 露の団六 さん
1:30~しらなみ五人男
     日本だえもん 小嶋さん
     弁天小僧   赤井さん
     忠信利平   中尾 悟さん
     赤星十三郎 向井 大輔さん
     南郷 力丸  露の団六さん

2:00~ 
     

 三人吉三~大川端庚申塚の場  

出演 箱登羅たから歌舞伎

   配役

和尚吉三 丸山 美海  高校1年

  お坊吉三 小林 穂花 (ほのか) 中学2年

お嬢吉三 堤 雪乃 中学2年

お登勢  藤本 ひとみ 大学生                                                        

     十三   丸山 汐香 中学2年

 

      太郎・籠かき(二役)  藤本 あゆみ 6年生

      ツケ    藤本一美         

     指導 秋房流家元  秋房 愚樂


おでんと赤飯出ます、各二〇〇円

トイレあり。

豪雨中止。小雨決行。
   

夏が巡りアーバンリゾートフエアの歌舞伎公演の日が来た。
平成5年9月18・19日だ。

下谷上の舞台はみごとに化粧して、観客席にはまっしろのテントがかけられ、青竹で桟敷席がもうけられた。

初日は松竹大歌舞伎のスターの登場だった。夕刻。百目ローソクを点した舞台は怪しく光り、藤娘があでやかに踊られた。

はじめて見る舞踊。うつくしく化粧した藤娘は、男性とは思えないほどなまめかしい。最前列のかぶりつきで見ている私たちのまえで、彼は、床に寝そべるようなしぐさで手招きした。
澤村藤十郎 (2代目) - Wikipedia

わあ…とても、この色気には勝てない。衝撃だった。こういう催しを申し込みハガキなしで来賓席で見られただけでも、こども歌舞伎の世話をしてきた甲斐があった・・・儲けた気がした。


甲南大学の学生達は弁天娘女男の白波より「浜松屋の場」を熱演した。渡部美紀ちゃんが弁天小僧をきっぷよく演じた。

ただし、「お上」からのお達しであれば話は別だ。

村の大将も「役所から言うてきたから。」といえば、村の人々に申し訳が立つらしい。江戸時代からの習慣で「お上」のお達しには無条件で従うクセがぬけていない。


お上のお墨付きを得られないわたし達には「土足で座敷に上がりこむ」以外、舞台を開けてもらえる方法はなかった。

言いかえると、

まんいち箱登羅氏が世間の常識にのっとって行動したら、

道はなかったということだ。

箱登羅氏が「役者バカ」でなければ、神戸市北区で農村歌舞伎が始まる事はなかった。

せっかく舞台があるのだから、そこで歌舞伎を演じて昔の農村文化を振興したい…

純粋にそれだけを考えて、行動した箱登羅氏は、

「土足で踏みにじった」というそしりを受けたが、彼の行動が罪だけだったとは、もはや思えなくなっていた。

罪もあるかもしれないが、なくてはならない人であった。

私は、いったいどうすれば気持ちよく舞台を貸してもらえるのか、

誰のOKがとれたらいいのか、

あれこれ共同体の事を訪ねたが、

統べてを統括する長はどこにもいなかった。

時代が変わって、村落共同体が形骸化していた。

だから、寄合いでも、なんでも、まったくあたらしいことを、受けれるか否かの審判は出来ないのが本当の状況だった。

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