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株式市場の大暴落の背後にはクレジット・クランチがあった。
過去、クレジット・クランチから株価が5割以上の大暴落をしたことが何回もあるぐらいだ。
クレジット・クランチは金融市場だけでなく株式市場にも大きな影響を与えてきた。
そこでクレジット・リスクをどう考えるか、どう対処するかという話を取り上げてみたい。

円債のクレジットはけっこう難物で、過去2回、痛い目にあったことがある。
債券運用は細かい数字を積み上げていく精密な運用で、株式のように将来の収益予想をザックリとやって投資するわけではない。
株式が暴落しても「株ってそんなものだろう」と株式投資家は受け取るだろうけど、債券が暴落したら債券投資家は「取り返せない損失」と受取り絶望する。
数十ベーシス(1ベーシスは1%の1/100)、あるいは数ベーシスのリターンを取るために必死に運用しているのが債券ファンドマネージャーなので、数%の損失は致命傷になってしまうからだ。
取引単位も債券は1本=百万ドルで、それを10本とか100本とかをまとめて一度に売買する、株式に比べて、微々たるリターンを上げるために巨額の取引をしているのが債券ファンドだ。
だからこそ、クレジット・イベントによる債券運用の失敗はその大きさから多くの投資家に影響し、債券市場だけでなく株式市場にも他の資産市場にも巨大な影響を与えてしまう。

最初にびっくりするほどの損失を出したのは、リーマンショック後の2008年から2009年の事だった。
リーマン・ショックはサブプライムや不動産融資の証券化ビジネスで大儲けしていた米大手証券を直撃し、金融取引のカウンターパーティ・リスク(取引相手のリスク)が急激に拡大した。
証券化商品の取引だけでなく、あらゆる金融取引でカウンターパーティ・リスクが過度に意識され、貿易金融でさえ一時凍結されたほどだ。
当然、社債についてもクレジット・リスクが急速に高まり、不動産関連や消費者金融などの業種の発行体はそれだけでも敬遠されることになる。
さらに、クレジット・リスクの評価基準である信用格付けも引き下げられ、社債の償還(元本の返済)ができなくなる懸念が出れば、社債価格がドスンと暴落してしまう。

この2008年から2009年の社債市場は酷かった。
もともと不動産関連会社や消費者金融会社が発行していた社債は利回りが高く、その利回りにつられてどちらかというと山っ気のある債券ファンドマネージャーが買い手になっていた。
消費者金融会社の社債が格付けBBB(投資適格)で発行されていたとすると、格付けが一段階下げられただけでBBのジャンク債となってしまい・・・その場合、その社債価格が当初の100から一気に30~40に下落するケースが次々と出てきた。
数%程度の年リターンを取るための社債投資で、一発で60~70%の損失を出してしまうという厳しい状況だった。

あるファンドマネージャーは高利回り社債への積極的な投資で有名で、2005年から2007年まではリターンの高さで年金コンサルタントからはピカピカの高評価だったし・・・本人も自信満々で高利回り債券に集中投資していた。
ところが、リーマンショックで見事に反転、債券ポートフォリオなのに年リターンがマイナス10%近くと、ありえない損失を出してしまった。
これからが大変で、年金基金などの顧客回りをして、ひたすら謝罪を続ける、でも顧客は罵倒するだけ罵倒し、絶対に許してくれない。
結局、ほとんどの顧客に解約され、そのファンドマネージャーは消えてしまった。
債券の運用の恐さはここにある・・・つまり、社債の価格にポッカリと空白の価格帯があることだ。
株式ではストップ安で値が付き、次の日ストップ安でもまた値が付く・・・しかし、債券では全く取引なしに50%も60%も下落することもありえる。
だから社債投資(クレジット投資)には一歩リスク管理を間違えると致命傷になりかねない恐さがある。
次回に続く。



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