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評論家の平野憲一氏がテレビの株式番組で言い放った・・・「カネ余りが続いている中で株価が上がらないわけがない。スケールの大きな壮大な需給相場だ!!!」
需給相場とは何か? 壮大なスケールとはどうやって観測するのか?・・全く根拠を示していないが、スケールの大きな相場だから買いだという。
でも、この評論家氏の言う通り、継続する金融緩和、カネ余りが永遠の株高を約束するものなのだろうか?
カネ余り現象とは何か? その限界は何か? もう一度、基本に戻って考えてみたい。

カネ余り現象とは中央銀行による資金供給の増加=中央銀行のバランスシートの拡大であり、金融が緩み貸出条件が緩和されて必要な人が簡単に資金を手に入れやすくなり、事業やその他の資産に投資しやすくなる。
事業資金を借入れて、投資を活発化させ、人材を雇用し売上を増やす・・・経済全体が好循環に入っていく・・・という教科書のレベルの話だ。
しかし、金融緩和を続ければ景気が無制限に拡大し、みんなが金持ちになれるというわけではない。
カネ余り現象には限界があるからだ。

まず第一の限界が政府の政策変更だ。
景気が過熱する状況になれば、中銀が過熱を抑えるために引締めを実施する・・・米国で言えば、イエレン氏がFED議長にいた頃は漸進的な引締めを実行した・・・中銀が金融引き締めをして余剰資金を回収すれば、その結果、市場の資金が吸い上げられて資産価格が不安定化する・・・カネ余りは蒸発してしまう。
さらに金融緩和しても景気が回復しなければ財政政策を出動する。
政府が財政支出を増加させ有効需要を生み出す・・・これが景気刺激策となるわけだが、一方、その財政支出のファイナンスのために国債発行を増額する・・・すると、市場の余剰資金を吸い上げることになり、カネ余りは蒸発してしまう。
金融の引き締め、あるいは、財政の積極化、どちらにしても市場の余剰資金を吸い上げ、カネ余りが消えてしまう。

第二の限界が、金融緩和で借金が簡単にできるので、新規参入が容易になり、企業間の競争が激化する、その結果、業界全体の収益率が低下してしまうことだ。
たとえばWeWorkが問題化しているが、その背後にはオフィス賃貸事業自体の競争激化や収益率の低下による市場の飽和状態がある。
シェアオフィスという新しい名前の賃貸事業だが、要はオフィスの小口レンタルで誰でも参入できる。だから業者間の過当競争に陥りやすい・・・小ぎれいな執務室、共有部分のアメニティ、カッコいいオフィスがコスト増加を招き、収益率が低下すると借入金の返済が困難になってしまう。
オフィス賃貸だけでなく様々なビジネス分野で同じように競争激化が起きているだろう・・・それによる収益率の低下が信用問題に繋がってくると、明らかに金融緩和の限界となる。

第三の限界が、
金融緩和により過大な投資をした企業が行き詰る、つまり、事業の失敗だ。
金融緩和で資金調達が楽になると企業は投資を行う・・・でも、投資した事業から収益を上げられなければ、事業の縮小や廃業・倒産につながる。
こうした投資の失敗により、損失が出て投資を中心にした資金循環が止まり、一気にカネ余りは逆転してしまう。
リーマン危機の時は、サブプライムローンから派生したABSやMBSへの過大な投資が焦げ付き、金融システムリスクから多くの金融機関や事業会社が資金ショートに陥った。
事業投資の失敗がカウンターパーティ・リスクや企業クレジットに影響を与え、カネ余り相場が限界に達する・・・確率は低いが、こうなるとクレジット・クランチで株価は暴落する。

金融・量的緩和を続ければ永遠に経済が好調になり、株価が永遠に上昇するわけではない。
金融緩和自体にその限界点が内包されている・・・どこかで金融緩和しても実態経済が悪化するというジレンマに突き当たる。
グローバルな金融緩和でグローバルに企業や個人の債務が増えている現在・・・経済が順調に拡大している時は良いが、経済が減速し、企業の収益率が低下してくると、不良債権が増加し銀行経営を圧迫し、カネ余り現象は一気にしぼんでしまう。
欧州で検討されている財政政策、企業の収益率の低下、借入金依存度の上昇、信用格付けの引き下げ、さらにファンドや事業の失敗による混乱・・・いろんな状況をきちんと見ていく必要があるだろう。
・・・評論家に騙されるな。


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