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SBI証券のトレードシステムで個人投資家の注文状況を他の顧客にも見えるというのが指摘され、アルゴ取引業者が注文状況を見て先に取引し収益を上げていたのではないかと疑う記事が問題となった。
これはSBI証券のPTSと東証との価格差を使ったアルゴ取引と解説されていた。
以前大手証券の自己勘定運用を担当していたが・・・その時にも、こうした顧客の注文を利用して取引利益を上げる行為はいろいろ問題になったことがある。
これらは、「見せ玉(偽装売買)」や「フロントランニング」と呼ばれ、顧客の取引機会を奪う可能性もあるし、顧客との利益相反が問題になる場合もある。
というわけで、証券会社にとっては禁じ手だし、場合によっては証券取引法違反も可能性さえある。
しかし、コンピュータによる高速売買取引の拡大で状況が大きく変わってしまった。
個人投資家が1~2円下に指値買いがあり成行売りしたところ、なんと10円下で約定してしまった・・・1~2円上に指値売りがあったので3円上に指し値買いをしたら、空振り、約定できなかった。
こんな経験をした個人投資家も多いと思うが、これらも高速売買によるものかもしれない。

基本的な約定は、寄付きや引けで行われる「板寄せ方式」とザラ場で売り指値を買う/買い指値を売るという「ザラ場方式」がある。
「板寄せ方式」はすべての注文を集めて「完全合致」で行われるので、すべての投資家が同じ価格で売買するので不正取引の入り込む余地はない・・・成行売りを隠しておいて寄付き直前に出して急落させるぐりの手口は見られるけど・・・。
しかし、「ザラ場方式」ではわずかなタイミングの違いで約定できなかったり、たまたま大口成行注文が入り思わぬ約定になってしまったという場合も多く、予定の約定ができるかどうかは神頼みに近い。
それは証券会社の自己勘定やHFT(ハイ・フレキュエンシー・トレード)が100分の1秒単位で市場の売買注文状況をウォッチして、先回り発注をしているからだ。

顧客がオーダーを発注すると証券会社のサーバーから東証のサーバーに電文が流れ、東証のシステムで約定するというのが一般的な注文の流れだ・・・SBI証券の問題は証券会社内部のシステムの問題であるが、その途中の段階でも電文注文の流れは見える。
でも、人間が発注するスピードの100倍もの速さで発注できるだけでなく、市場内の注文状況をミリ秒単位でコンピュータが把握し自動的にプログラム発注する世界になると事情は大きく変わる。
たとえば、成行の買い注文が市場に発注されると、その注文を利用してより高い株価で売る・・・買いたい時は上値の大きな売り指値を出し、その売り指値を見て下値を売ろうとする投資家を誘い安く買う。
大口の指値売りや買いを時価から離れたところに持ち、その大口売りや買いを見た投資家の低い指値売りや高い指値買いを誘い利用することもできる。
こうした市場内心理を学習をしたAIやアルゴが暴走し出すかもしれない・・・こうなるとアルゴトレーダー間、トレーダーと一般投資家との心理戦でもある。

大口の指値注文を出して投資家を惑わせ有利な約定をする・・・これは「見せ玉」や偽装売買という証取法違反にもなりかねない。
また、市場に出された成行注文を利用して有利な約定をする・・・これも「フロントラニング」になりかねない。
しかし、「見せ玉」の場合は約定する気が全くないという悪意を証明しなければならないし、「フロントランニング」は顧客の注文を見て先回りしたという証拠が必要になる。
しかし、残念ながら、勝手に学習するAI・アルゴ取引ではそうした証拠が得られそうもない。
人間が手で入力して発注する時は、その意図が明確にあるが、コンピュータがトレード採算を決定して発注するAI・アルゴ取引には「悪意」という意図がない・・・だから取り締まりは困難だろう。
AIやアルゴが席巻する市場は確実に歪められている。


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