株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版のeBook「株式需給の達人 基礎編と投資家編」を出版しました。
需給を制する者は投資を制す!

不動産編

ウィークリー雑感(2/2 REITの再考)

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最近、1/31「膨張する東京・・・」1/7「東京の住宅地が上がる・・・」などのブログを書いたが、不動産の世界ではやっぱり「東京」だ。
REIT市場は昨年10月に短期の天井を打ち、その後3か月調整局面にあるにもかかわらず・・・REITの代表銘柄である日本ビルファンドが新高値を取ってきている・・・この銘柄のスポンサーは三井不動産で、東京都心のオフィスビルが中心の超優良REITだ。
今はREIT市場全体が盛り上がっているわけではないが、この「東京」を象徴する代表銘柄が新値を取ってきたことには大きな意味がある。
外部環境面では米10年金利が中国の新コロナウィルス問題から低下し、1.6%台と落ち着いてきたことがREIT価格にはプラスに作用するし、ボラティリティが低く比較的値動きが小さいREIT投資は安心感がある・・・こんなところを評価して買われているのかもしれない。
でも、それだけではないという気がする。

もっとも気になっているのは投資環境ではなく、別の視点だ。
それは1月決算のREIT銘柄の公募増資の多さだ・・・ざっと上げると・・・
1/6 ジャパンエクセレント(31%)、マリモ創生(15.4%)、伊藤忠AL(36%)
1/7 CREロジ(36%)、コンフォリア(4.8%)
1/8 三井不ロジ(16.4%)
1/10 エスコンジャパン(19.4%)
1/17 プロロジス(7.5%)・・・と続く。
( )内の数字はダイリューション、つまり、発行株数の増加率=公募株数/発行株数(%)
1月決算のREITは15銘柄あるが、そのうち8銘柄が公募増資を発表した・・・半分以上という高い割合でREITが資金調達に走ったというわけだ。

これが何を意味するのだろうか?
REITの公募増資は普通株とは決定的に違い、その調達資金の使い途が明確だ。
購入予定物件の築年数・構造・鑑定価格その他すべての開示があり、さらに組入れ物件ののNOI利回りや組入れ後の分配金予想まで開示する。
投資家はその物件の組入れによる収益の向上、ポートフォリオ上の効果などを検証した上で公募増資に応じることになる。
だから、この公募増資の急増の裏側には、REITの物件買収・・・そして、不動産価格が上昇しているとはいえ、まだまだ収益性の高い物件(NOI利回りが想定以上)があるということを意味する。

ただし、増資銘柄の値動きを見ていると、イベントドリブンの連中がいろいろ動いていると感じる。
一般的には、(1)増資発表の翌日株価は下落する・・・ダイリューションと呼ばれ、投資口数が増加する分一株あたりの価値が希薄化するとの懸念から投資家が売る。
そして、(2)値決め日も株価が下落する・・・できるだけ安い公募価格を期待する投資家が引値にかけて売る。
最後に、(3)払込日も株価が下落する・・・公募で配分を受けた投資家の一部短期筋が利食いの空売りを入れる・・・そして、公募株を受け取り決済する。

この3つのタイミングを狙ってイベントドリブンの売買が交錯する・・・だから、値動きが複雑になる。
今回の公募増資では「払い込み日」が配当落ち後の来週になっている銘柄があり、空売りが入ってくる可能性がある。
こうしたイベントを越えて上昇するようならば、REITの上昇相場は本格的だろう。


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膨張する東京の一極集中は効率的

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最近注目されているエリアは海老名から西谷、羽沢という相鉄線の駅周辺らしい。
相鉄線が湘南新宿ラインと連絡され、海老名から武蔵小杉、大崎、渋谷、新宿まで直通で行けるようになったからだ。
相鉄線沿線は、1DKのアパートで5万円台、新築一戸建てが3000万円とかなり安い・・・住みやすく、今後急速に発展する可能性もあり、大注目と言う。

考えてみれば、東京都心から1時間で行ける範囲は、ここ10年で急速に拡大している。
昔の感覚ていうと、京浜東北の大宮、中央線の八王子、埼京線の武蔵浦和、小田急線の本厚木、田園都市線の長津田、東上線の志木、西武線の田無・・・といったエリアだが・・・そのエリアが面で拡張していきている感じがする。
大宮や各種浦和駅周辺の埼玉エリア、東急線や相鉄線の沿線の神奈川エリアは、いろいろな乗り入れが複雑に交わり、もう訳が分からないぐらい便利になっている・・・千葉県や茨城県も同様だ。
東京といえば東京23区・・・なんて時代はとっくに過ぎ去り・・・埼玉のぼぼ全域、神奈川の東半分、千葉の房総半島以外、茨城の南地域がすべて東京と言っていいぐらいに膨張してしまった。
この相互乗り入れや相互連絡によって、東京は従来の点ではなく、面で広がってきている。

政府は「地方創生」などとリップサービスしているが、もうウソはやめた方がいい。
日本は東京圏だけで成り立つ・・・この地域の人口は3000万人程度だが、おそらくその2倍ぐらいの東京圏が作ることが可能だろう。
この地域に集中的にインフラ整備を行い都市機能を拡張すれば、日本の人口の半分をこの地域でまかなうことも可能だろう。
行政機能や都市基盤を効率的に使えるし、住民の生活レベルを引き上げ、徹底的に災害対策を実施することで、もっても安全で災害に強い地域にできる。

2019年の出生数は86万人しかなく一方、高齢化で130万人の死亡者がいる、厳しい人口減少に見舞われている日本で、国土全体を再生しようとしてもあまりにも無駄が多い。
それでも安倍政権は都民の税金4200億円を地方にバラまくらしい・・・おそらく大半は無駄に終わるはずだ・・・地方の人口はさらに減少する・・・そこにインフラ投資しても効果が見込めない。
もういい加減に真実に目覚めた方がいい・・・東京圏だけで十分に日本の国力を維持できる・・・究極のコンパクトシティが埼玉・神奈川・千葉・茨城を合わせた東京圏だ。
それに加えて、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の各地域に人口集中したエリアを同様に再開発すれば、日本の将来を十分に支えることができると思う。
不動産の価値から考えると、東京だけが圧倒的突出して高くなる可能性もあるだろう。


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東京の住宅地が今後上がる可能性

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東京で犬の散歩をしていて気がつくのが、古い立派な家屋が壊され、4~5階程度の低層マンションが建築されることが多いことだ。
近所の家で持ち主が高齢化し、おそらく介護施設にも入居したのだろうが・・・空き家になり放ったらかしのままになっている家が散見される。
そして、おそらく相続が起こったと考えられるが、古い空き家が取り壊され低層マンションやアパートに生まれ変わる。
こうした物件が散歩コースに5~6物件もある。

ここからは想像だが・・・築40~50年の古い家屋というと、1970年から1980年代に建てられた家屋ということになり、おそらく所有者は80才代から90才代になっていると思われる・・・ちょうど戦中生れから団塊世代前後にあたる。
この世代が建てた家屋が老朽化する一方、所有者が介護施設などに入り空き家になっているケースが多い・・・だから空き家が増えている。
所有者が生きている間は、その親族たちでも不動産の処分も建て替えもできず、放ったらかしになってしまう。
そして、所有者が亡くなり相続が発生すると、その子供世代が引き継ぎ、マンションやアパートなどで土地の高度利用を行う・・・というわけだ。

東京は人口が増加している、日本では例外的な地域だ。
東京湾岸には高層マンションが立ち並び、住宅地には低層マンションが次々に建設されている。
不動産の価値は、その土地が生み出す収益が基礎だ・・・つまり、収益力が上がれば土地の価値も上がる。
東京の土地の所有者が世代交代していくことで、高度利用が進み、土地の価値が上がるという循環に入っていくと思われる。
東京都心の商業地がここ数年で大きく値上がりしている・・・でも、住宅地はまだ上がっていない・・・今後は東京23区の住宅地が「買い」だ。


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東京オリンピックへのもう一つの狭き門

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東京オリンピックのチケット2次販売の結果が発表された・・・皆さん、どうでしたか?
100万枚のチケットに対して2200万枚の申し込みがあったようなので、競争率はナント! 22倍・・・22枚申し込んでやっと一枚が当たるという狭き門となった。
でも、東京オリンピックにはもう一つ狭き門がある・・・それはホテルだ。

皇居前の一流ホテルパレスホテル、六本木の一流ホテルであるリッツ・カールトン、九段下のアパホテルの一泊料金をトリバゴやブッキング・ドットコムで調べてみた・・・各月末の平日で比較した。

  パレスホテル リッツ・カールトン アパホテル 九段下
Jan-20 61600 71000 9900
Feb-20 63794 69000 7920
Mar-20 113302 173000 14850
Apr-20 113300 97000 6930
May-20 90194 89000 9900
Jun-20 77006 89000 8910
Jul-20 121000 169290 34650
Aug-20 81070 121770 7920
Sep-20 NA
96030 9900
Oct-20 NA 105930 8910
Nov-20 NA 123750 7920

パレスホテルやリッツカールトン東京のような一流ホテルは平常時期でツイン・スタンダードの部屋が一泊で8万円から9万円というレベルだが、東京オリンピック期間の7月末には12万円から16万円に跳ね上がる。
さらに8月上旬のオリンピックで最も盛り上がる期間だと、パレスホテルのツインスタンダードで1泊24万2000円、リッツカールトンも30万8800円とピークに達する。
もちろん、それだけ需要が強いということで、客室稼働率も100%に近い高水準になると予想される。

一方、ビジネスホテルのアパ九段下は、通常時期はセミダブル・シングルの部屋で1泊7000円から9000円といったところだが、オリンピック期間だけ1泊3万4000円と通常時期の3倍に急騰する。
限界的な需要でビジネスホテルや民泊のような格安宿泊所の料金が急騰するというわけが、期間限定のオリンピック需要なのだろう。
だから高級ホテルとは違い、オリンピック期間だけが突出して高くなる・・・まあ、足元を見ているといえば、それまでだが・・・おそらく、民泊も1家族・1泊で10万円台が続出するようだ。

さすがに、一流ホテルは通常料金の3倍などとエゲツなく吹っ掛けることはしない・・・お上品な価格設定だ・・・それでもピーク料金は3倍になる。
しかも、現在の予約料金から見ているとピーク後も高め水準が続くので、2020年は一流ホテルの業績が向上する可能性が髙い。
ホテルの業績の指標はRevPARと呼ばれる、客室稼働率×ADR(平均客室単価)で表される。
稼働率も100%近く、客室単価も1~2割アップするとしたら、RevPARも1~2割以上上昇し、ホテルの業績は向上する。

日本で開催される二回目のオリンピックだが、地方に住む人たちがチケットを入手し、ホテルを予約して東京オリンピックを楽しむには、髙~い、髙~いハードルがある・・・母国開催なのに残念!
でも、ホテルが大儲けするのは間違いない!!!


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自己流運用、当面の考え方

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自己資金の運用で生計を立てている定年投資家だが、自己流の運用を「個人投資家の最強運用」というシリーズで公開している。
これはまだ完結していないが、一個人投資家としての実際の運用であり、参考になることもあるかもしれないと思い書き続けている。
また、9/15には「ウィークリー雑感」で今年の運用状況を取り上げ、反省と評価をした。
その時・・・
期初ポジションを100とすると、現在は118.8となっているので、キャッシュ込みで18.8%のリターンだ。キャッシュ比率(キャッシュ/ポジション)は徐々に高めできて現在33%。
今年の売買動向・・・3~4月の当時、NY市場のトリプルトップの可能性を見ていたので、保有していた株式をほとんど売却しREITに乗り換えを行った・・・そして、7~8月以降、上昇したREITを順次売却していった・・・REITがピークを打ったかはまだ不明だが、ピークに達するまでに半分を売却する予定。」

・・・と書いた。

その後、東証REIT指数は上昇を続け、10月には2254ポイントの高値を付けたが・・・その時点まで売り上り戦略を実行し、ポジションのキャッシュ比率を50%までに高めた。
今年のパフォーマンスは9月末で+19.8%、10月末で+23.5%まで伸びた・・・そして11月に下落したが、現在でも+21.5%のリターン・・・11月の下落で2%やられたことになる。
一方、東証REIT指数は11月の安値までー6.5%、直近まで4%の下落・・・つまり、キャッシュ比率を50%にまで引き上げたことで、東証REIT指数が4%下落したのに、ポジションは2%のマイナスで済んだ・・・キャッシュ比率を上げた意味があった。

今後はどう運用するか?
米長期金利が2%を越えてくると世界のREIT市場は調整に入ると想定している・・・しかし、当面は1.8%を中心にした動きなっており、しばらく時間がありそうだ・・・この時間を使ってポートフォリオの銘柄入れ替えを行っている。
特に3%以下や3%前後まで買われた割高REITを順次売却し、11月の下落で割安になったクオリティ対比分配金利回りが高くなったREITへの入れ替えだ・・・先に10%の組入れを増やしキャッシュ40%なっているので、ここからは売り上がりが中心となる。

割安になったクオリティ銘柄とは、たとえば・・・
星野リゾート・・・クオリティは抜群だし、スポンサーの星のリゾートが強力な集客力を持つリゾート開発会社だ。そのクオリティのREITが4.8%の利回りで買えた。

サンケイリアルエステート・・・上場間もない成長型のオフィスREITだが、サンケイのスポンサーも協力もあり、数年後には代表的なオフィスREITの一つに資産成長するとみられる。そのクオリティで4.3%の利回りで買えた。

エスコンジャパン・・・ここのポートフォリオは半分が底地投資で、商業施設やその他の50年定期借地権に投資している。つまり、土地は減価しにくく、資産が維持されやすい、しかも長期契約であり、安定した借地権収入が期待できるREITだ。このクオリティで5.8%の利回りで買えた。
・・・平均利回り5%でポートフォリオの10%の組入れができた。

その後のREIT相場の反発で、今度は今まで保有していた分配金利回りが3%前後にまで低下した割高銘柄の売り上り戦略を継続している。
ECBが政策変更して、ドイツ10年債がゼロ水準を上回っていく可能性(10/30「ドラギからラガルドへECB政策転嫁の予感」を参照)や、景気センチメントの改善で米10年債が2%水準を越えて行く可能性・・・これが起こると、再び、債券バブルの破裂懸念でREITや債券代替商品が売られる。
そのタイミングは不明だが、それまでにキャッシュ比率を50%以上への引上げ、割高REITの売り、クオリティ対比割安REITへと銘柄を変更する・・・これが当面の自己流運用戦略だ。


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住宅買うなら一戸建てか? マンションか?

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もう20年も前に自宅を建築して以来一戸建て派だったが、最近マンションの方が入退出のセキュリティもしっかりしているし・・・安心かな・・・と思う。
家族などの条件によってはマンション派に転じるかもしれない。
一戸建てか、マンションかというと、個人の趣味の問題かもしれないし、家族構成の問題かもしれないし、経済的な理由があるかもしれない・・・何より人生の大半を過す自宅をより満足感の高い住空間にするのにどちらが適しているのだろう?
もっとも重要なのは、自宅を買うということは40年~50年の長期間で考えなければならないことだ・・・つまり、中古住宅としての価値が維持されているか、中古住宅として価格が付くかが重要になると思う。

もっとも大きな違いは、マンションだと毎月駐車場代や修繕積立金や管理費などを支払わなければならない・・・一戸建て住宅には駐車場はあるし、修繕積立金も管理費もない。
でも、経験的にはマンションも一戸建て住宅も経年劣化するので、けっこうな費用がかかる。
たとえば、毎年かかるのは庭師代、浄水器などの消耗品の取り換え・・・数年に一度かかるのはシロアリ対策(5年に一度)、エアコンクリーニング、家具修繕やメンテナンス、畳の交換・・・10年~15年に一度かかるのは外壁の塗り替え、家電や家具の買い替え、キッチンやトイレ・風呂などの住設機器の買い替え・・・15~20年に一度かかるのは内装の刷新、床の張替え、屋根の修理や張替え・・・

これらの中には、家電や家具や住設機器に関する費用などマンションでも同じようにかかる費用もある。
しかし外壁の塗り替え、内装(室内壁や床の張替え)、屋根の張替えなどは、会計的には資本的支出であり、マンションでは修繕費に含まれるだろう。
この費用はマンションよりも一戸建て住宅の方が高くつく・・・たとえば、外壁の塗り替えは200~400万円程度、内装も300~400万円、屋根の張替えも数百万円・・・と合計すれば数百万円~1000万円に上る。
マンションならば、一時金数十万円+月1~3万円の積立金程度だろうから、20年で600~800万円程度の費用と想定できる・・・おそらく一戸建て住宅はそれを上回る。

さらに一戸建て住宅の場合、資産価値の維持がけっこう難しい。
良質な土地に信頼できるメーカーで建てられた場合はいいが、建売りの矮小住宅などは必要なメンテナンスを定期的に行っていないケースも多いし、シロアリ対策でさえスルーしている住宅も多い。
そうなると、建物の資産価格は20年でゼロ、土地の価値だけが残る。
たとえば、6000万円(土地3000万円、建物3000万円)なら、20年間で建物3000万円の評価がゼロになるので、1年あたり150万円の価値を失う。
その他、固定資産税やローンの金利などを考えたら経済性は低いし、居住の満足度も低いだろう。

もちろん、一戸建て住宅は増改築もできるし、室内の間取りの変更も自由だから、満足度の高い居住空間を作ることができる・・・これは大きなメリットだ。
しかし、マンションでもリフォームができるし、何より定期的な大規模修繕を建物全体で行うので資産価値が維持しやすい。
良質なマンションは高い資産価値があるし、中古でこれらを買うメリットが大きい。
一方、一戸建て住宅は良質な土地にきちんとメンテされた住宅ならば中古で買う価値もあるが、安くメンテの悪い矮小住宅は、新築はまだしも中古で買う価値がないだろう。
新築のマンションや一戸建て住宅を買う時も、中古価格を意識して資産価値が維持できるかを考え方の一つに加えるといいと思う。


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マンションは賃貸がいいか? 所有がいいか?(2)

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マンションは賃貸で借りるのがいいのか? ローンで苦しんでも所有する方がいいのか? という問題を考えてみた。
前回は家計をPLに見立ててマンション賃貸は変動費、マンションの所有は固定費と考えると、安定した将来設計のできる人には所有がいいだろうし、そうでない人にはできるだけ変動費化した方がいい(賃貸の方がいい)というのが結論だ。
それでは視点を変えて家計のBS(バランスシート)から考えてみよう。

よく言われることで、木造で22年の耐用年数を越えると家の建物としての価値がなくなる、コンクリート建物でも八王子団地のように47年以上経過した価値がない団地がいくらでもある・・・日本では建物に資産価値がない・・・。
しかし、税法上の耐用年数と実際の経済的な価値とは異なる・・・これを常識のように広め、自宅やマンションの建て替えを増やして建築会社が稼ごうとするセールストークじゃないかと思ってしまう。
耐震・免震構造や強固なリノベが行われた建物はかなり頑丈で法定耐用年数を越えても経済価値が維持されている。
たとえば、日本で最初の超高層ビルであった霞が関ビルは何回かのリノベーションを行い、法定耐用年数を越えて、築50年以上でも十分に現役のオフィスビルとして使われている。
2000年前後以降の新しい建築基準で建てられたマンションなどは、資産価値として高く維持されていく可能性が髙いのではないだろう。

マンションを選ぶ場合、多くの人はその立地の良さ、交通の利便性、商業施設などの生活の便利さ、あるいは学校などの距離などの条件がまず上げられる。
でも、もちろんこうした条件は重要だが、基本的に敷地の地質、自然災害に対する地理的強さ、耐震・免震構造などの条件がより重要になってきている感じがする。
特に武蔵小杉の高層マンションが水害に合うなど、自然災害が急増している現在ではこうした基礎的な構造的な条件が資産価値に大きく影響してくることになると思う。

建物は放置されると、あっという間に劣化してしまう・・・建物に対するリノベーションや大規模修繕などが定期的に実施されているかも重要な項目だろう。
こうした投資は資本的支出と呼ばれるが、資本的支出は建物の資産価値を引き上げる。
また、多少割高になっても管理費が高くしっかりした管理組合があり、積立金もしっかり徴収され管理されている、などの条件も資産価値には影響するだろう。

立地の良さ、強固な地盤、災害に対する強さ、強固な構造、しっかりした管理、定期的なリノベーション・・・のマンションを所有すれば100年以上に渡って資産価値を維持することも可能だろう。
そうなれば、毎月毎月、数十年という長い間マンションの賃貸料を払い続けるより、クオリティの高いマンションを所有する方がずっと良い。
割安なマンションを買うより、多少割高であってもしっかり管理されているマンションを買うべきだと思う・・・そうしたマンションなら親子三代=100年にわたる資産となるかもしれない。

・・・結論としては・・・
(1)クオリティの低い割安マンションを買うなら賃貸の方がいい。
(2)クオリティの高いマンションなら割高でも買う価値がある、長期の優良資産になるからだ。
「安物買いの銭失い」は不動産でもいえるのだろう。


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マンションは賃貸がいいか? 所有がいいか?(1)

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マンションは賃貸がいいのか? 所有がいいのか? という問題はけっこう難しい。
それぞれの人生において、所有権を重視するのか? 所有せずに使用権を重視するのか? という個人の哲学の領域に入ってしまうからだ。
人生を効率的に過ごすには余計な所有は無駄になる・・・だから所有せずに使用権を確保して生活することはミニマルな生活につながる・・・と思う人もいる。
また、人生においては所有がすべてで自分にとって価値ある物に囲まれて過ごすことがすべてだ・・・と考える人もいる。

人生哲学の論争はさておき、現実的にはどうなのだろうか?
家計の管理を企業経営として考えた場合、いくつかの観点が出てくる。
企業は毎年決算を行って、その年の売上、費用から利益を計算し、そこから税金を払い、最終利益を内部留保として資本に組み入れる・・・PL(損益計算書)だ。
もう一つは、企業の資本金と借入金を使って投資を行い、経済活動を行う・・・この資本と負債、さらにその事業成果である内部留保を資本に加えて、BS(バランスシート)を作る。
このPLとBSから、マンションは賃貸すべきか、所有するかを考えてみたい。

まず、PL(損益計算書)から考えてみる・・・
個人の家計PLだが、夫婦合計の年収が売上に相当する・・・そして、生活費、住居費、娯楽費、教育費、所得税や地方税その他の税金、さらに保険やその他の費用を差引き、その年の家計PLが出来上がる・・・企業の利益にあたるのが家計貯蓄になる。
企業経営は利益を上げることが唯一の目的だが、家計の場合は生活を楽しむなどの娯楽教養が目的の場合もあるこことに留意する必要があるが・・・。
そして、マンションを買った場合のローン返済やマンションの賃貸料もこの住居費に含まれる。
つまり、この問題は住居費という項目の中で話であり、この費用をどう考えるかで決まる。

では住居費を最適に管理するにはどうすべきなのか?
マンションを買ってローンを組むと、たとえば、30年という長期ローンを組んで毎月20万円程度の返済、可処分所得の3割から4割の返済をすることになる。
このローンの元利支払いを費用とすると(企業PLでは金利だけがコストになる)、この3割から4割にもなる元利返済は大きな固定費となる。
一方、マンションを借りて賃貸料を支払う場合、その賃貸料は変動費に近い性格になる・・・固定費が長期にわたって支払うコストであるのに対し、賃貸では安いマンションに引っ越すなどの賃貸料を引き下げる選択肢があるため変動費に近い。

そして固定費比率が高くなると、もし売上=年収が減ったら、その固定費を削ることができないので赤字になりやすくなる。
一方、賃貸ならば、もし年収が減っても、賃料の安いマンションに引っ越せばいいだけなので比較的簡単に対応できる。
今の企業経営では固定費を削減し、変動費化していくのがトレンドだ。
本社ビルを売却して、まるまるビル一棟を賃貸するケースも多いし、社用車も所有せずにハイヤー会社から運転手毎のレンタルをする・・・などなど。
固定費を変動費化すれば、売上(年収)の変動に対してコストを抑えやすいというメリットがる。
同じように家計PLでも変動費化する方が効率的だ。

それではマンションの所有は不利なのかというとそうでもない・・・年収が安定している人たちや年功序列の会社に勤めている人たちには有利な選択だからだ。
当面の生活ではローン返済がキツイが、年功序列で給料がどんどん上がっていき、10年、20年後には楽に返済できるようになる。
しかしながら、問題は年功序列賃金を維持している会社はどんどん減っている・・・年功序列賃金の崩壊とともに、生涯収入に占める住居費・・・住宅取得費(ローンを含む)、住宅賃貸料合計を管理することが重要になっている。
そうなると、マンション賃貸が生涯賃金に占める住居費を減らせる重要なやり方だ。

ところが、PLだけでなく、BSを考えると事情が変わってくる。
以降、次回に続く・・・


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中国の不動産売却、逃げるが勝ち?


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中国の不動産開発の大手、SOHO中国が北京市と上海市に保有する不動産の大規模売却を行うと報じられ、株価が急騰を演じている。
8棟のオフィスタワーの売却計画で総額500~600億元(7000億円以上)となるという。
この計画の他にも北京市と上海市で20棟の不動産売却も検討していると報じられている。

業績の悪化が大きな理由で、今年上期の純利益の48%という大幅な減益だった。
ただ、それだけでなく、国内景気の停滞や米中貿易摩擦で外資系の撤退が続き、北京市全域の空室率が前年同期比40.9%上昇、さらにビジネス重点地区でも20%上昇、オフィスタワーの空室の増加が大きな理由になっているという。
しかし、これが好材料なのか悪材料なのかは微妙なところがあるが・・・同社株はこの売却計画の発表で1週間で26%と大暴騰した。

このニュースの意味は深く大きい。
一つには中国の不動産会社は資産売却を発表すると株価が急上昇することだ。
つまり、不動産市場がピークアウトしていると投資家がうすうす感じているのだろう・・・だから、オフィスタワーの売却で株価が上がるというわけだ。
もう一つは中国のマクロ統計では相変わらず、融資総量が二けたで伸びていることだ。
10/20のウィークリー雑感でも注目したが、中国の経済統計全般に停滞感が強くなってきている一方、社会融資総量が前年比10%以上で増加している。
不動産市況の悪化が融資の不良債権化につながる懸念もある。

SOHO中国は北京市や上海市の不動産の大量売却で「うまくやった」と思っているかもしれない。
でも、こうした「逃げるが勝ち」の不動産市場は先行きの混乱を暗示している。
さらに北京市郊外は大規模開発の真っ只中で、新しく官庁街を作り、ビジネス重点地域を造成中だ。
政府が鳴り物入りで進めている不動産開発計画で、オフィススペースが大量供給される・・・こうした新規開発が他のビジネス地域の空室率が高めてしまう可能性もある。
今回のSOHO中国のオフィスビルの大量売却は発表後の株価上昇もあって、それほどの懸念を呼んではいないようだが、今後の不動産関係のニュースには注意を怠れない。


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タワマンは買うより借りろ

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40階と50階の眺望が素晴らしく、最上階のペントハウスに住むことがセレブの条件みたいに言われてきたタワマン。
しかし、武蔵小杉のタワマンでは、地下電気設備が浸水でダメージを受け水道も電気も供給できない状態になっているそうだ。
一般論として可哀そうだとは思うが、ある意味当然ともいえる。

そもそも、タワマンは同じ高層ビルでもオフィスビルや高台に建つ低層マンションと比べるとかなり問題点が多い。
まず第一に、高層ビルであるが故に容積率の高い地域にしか建設できないことだ。
高台にある高級住宅地は容積率が低く、せいぜい3~4階の低層マンションしか建てられない。
高層ビルは容積率の高い地域でないと建てられない・・・でも、高層オフィスビルが土地価格が高い都心の容積率の高い地域に建設されている一方、タワマンは河川や湾岸の近くの比較的安く低い土地に建てられている。
つまり、多くのタワマンは、容積率が高く比較的安価な土地に建てられている・・・タワマンを買う場合はこのことを知らなければならない。
武蔵小杉も多摩川沿いの低地だし、東京湾岸に多く建つタワマンは海抜ゼロメートル地帯だ・・・川沿いの倉庫街や工場の集積地だった安い土地にタワマンを建てて高い価格で販売するというのがタワマン・ビジネスだ。

第二に、高層オフィスビルは巨大な自家発電があり、ポンプやエレベータなどの設備も複数設置され災害時にも稼働できる体制を持っている一方、タワマンは居住空間を最大に広げるために電気設備やポンプなどカネ儲けにならない共用設備を地下に押し込めた。
高層オフィスが地震や災害などのコンティンジェンシー・プランを基に設計されているのに対して、タワマンは業者の利益を最大化するために設計されたということだ。
だから、見た目は地震や災害に強いと宣伝されているが、基本設計が業者本位になっている・・・想定外のことが起こるとタワマンは弱い。

第三に、タワマンの不動産価値は、低層マンションに比べ長期的に低下していく可能性が髙い。
もちろん、価格は人気で左右されるので、人気のタワマンは高くなるのだが・・・。
しかし、40階のタワマンと4階の低層マンションと比べれると・・・当然ながら、タワマンはマンション価格の中で土地のが占める割合が低い。
同じ面積の土地に40室があるタワマンは、4室しかない低層マンションと比べ、マンション価格の中で土地が占める割合は十分の一ぐらいになってしまう。
土地の価値は変わらないが、建物の価値は毎年毎年減価していく・・・つまり、長期的に価値を維持できるのは土地のウェートが高い低層マンションの方だ。

この三点を考えると、タワマンより低層マンションの方が長期的に価値が残る。
タワマンの眺望の良さ、カッコいいモダンな部屋、住民専用のスパやジム・・・などが欲しかったら賃貸で入居した方がいい。
賃貸なら長期的な価値を考える必要はないし、災害時の不都合があれば引っ越しすればいいだけだからだ。



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REITの爆騰、どう考える?

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東証REIT指数がじり高を続け、2007年の急騰相場以来の高水準にまで上昇している。
REITは利回り商品として個人投資家の運用には欠かせない商品だが、ここまでくるとさすがに高値を警戒する声も聞かれるようになった。
当ブログでも9/26「六本木ヒルズとツイン21(続編)」で、大阪のオフィスビルの急激な値上がりが続いていて、ツイン21を保有するMCUB-Midctyは分配利回りというより値上がりを買うモメンタム相場に入ってきたのではないかと書いた。
なんかモメンタム相場=イケイケ相場に入ってきたような感じがしたからだ。

このREIT相場、もう一度、基本的な投資スタンスを確認しておきたいと思う。
第一に、REITの基本投資尺度の分配金利回り。
東証REIT指数は2007年ピーク時の指数水準は2612(現在2200台)、平均分配金利回りは2.56%(現在3.4%)・・・過去の水準から見ると、指数水準からも平均分配金利回りからも上昇余地が大きいといえる。

第二に、REIT分配金利回りと国債利回りのスプレッド。
東証REIT指数のピーク時は、REITの分配金利回り2.56%に対して10年指標国債利回りで1.75%、スプレッドは1%未満まで低下した・・・しかし、現在はREITの平均分配金利回り3.4%に対して、長期国債はゼロ%水準・・・スプレッドは3%以上あり、当時に比べ過熱感が少ない。

第三に、高配当株との投資価値の比較。
ここでは日経高配当50ETFと比べてみると、日経高配当50の配当利回りは4.6%と、すでにREITの平均利回り3.4%を大幅に上回る・・・ただし、この50銘柄にはパフォーマンスの悪い銀行・商社・自動車などの割安株が多く含まれているのでこの1年で-15%のリターンで、REITの方が投資魅力が高い。

基本的な投資比較では、現在の東証REITは割高でもなんでもない。
それどころか、今の国債利回りからスプレッドを見ればREIT利回りに1%以上の低下余地があり、東証REIT指数が過去の高値2600水準まで上がる可能性さえある。
しかし、比較した2007年当時のREIT時価総額は7兆円しかなく、現在の16兆円の半分以下しかない・・・まだまだREIT市場が未成熟だった時期の話で、薄い流動性の中でピーク水準も利回り水準もオーバーシュートしやすい市場だったのかもしれない。
この点を考慮するべきだろう。

一方、個人投資家から見れば、利回り2%台のREITは全く魅力がない。
高配当株でも2~3%以上の配当利回りがあり、さらに10%の企業成長を期待できる会社があるからだ。
REITの内部成長性はせいぜい数%程度であり、これらの高配当株に対してプレミアムが付いていないと投資家には全く魅力がない。
つまり、内部成長性の低いREITは高配当株よりも高い利回りが必要になる。
そのためには東証REIT指数で3%以上の平均利回り(現在、3.4%)は必須条件で、2%台のREITが8銘柄もある今の市場はやや過熱感が出てきているといえる。
モメンタム重視のREIT市場では売り上がり戦略で実現益を確保していくのが重要だと思う。


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六本木ヒルズとツイン21(続編)

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昨年11月に「六本木ヒルズとツイン21」というブログを書いた。
通常オフィスビルの算定価格なんて一般には手に入らないが、リートの保有物件にはビル毎の情報開示があり詳細が手に入る。
これを使って大阪と東京の都心オフィスビルの価値がどうなっているのか探ったのが昨年11月のブログだ。
それから1年経ってどうなっているのか再検討してみた・・・ワシはしつこい性格なのだ。

前回のブログの注目点は、東京都心のピカピカの六本木ヒルズ、その過去4年の上昇率は+5%だったのに対し、大阪のランドマーク・ツイン21の上昇率が+21%とかなり高かった事だ。
リーマン危機でやられた大阪の不動産市場が長期的に順調な回復を見せてきたことを示している。
そこで結論として、ツイン21を保有するMCUB-MIDCITY(当時の分配利回り6%)は魅力的だとした。

その後1年経って、もう一度、決算短信から両ビルの算定価格/賃貸面積を計算してみた。
すると、ツイン21の算定価格が4年間で+30%と大幅上昇していたことが分かった・・・それに対して東京都心の六本木ヒルズは+8%だった。
都心のオフィスビルに比べて、大阪のオフィスビルの価値はこの1年でさらに加速して上昇していた。
RIETのパフォーマンスを見ると、六本木ヒルズを保有する森ヒルズリートは1年間で+20%と順調に値上がりしたが、ツイン21を保有するMCUB‐MIDcityリートはなんと+37%と大幅な上昇を達成していた。

実はこのMCUB-MIDcityは、不動産売却益による分配金の上乗せ分が今年6月期最後になくなり、12月期の分配金は1955円と、6月実績2751円から大きく低下する予想になっている。
そして、分配金利回りも4%台前半から3%台前半へと1%も低下してしまった。
この分配金の低下=利回りの低下で株価は天井を打つと思ったが、決算発表の後も上昇トレンドを続けた・・・分配金利回りが低下しても不動産価値が増加している場合は、REIT価格は上昇するという教訓かもしれない。
利回り水準以上に、各REITの組入れ物件の価値を時系列で見ていく必要があるのだろう。

これはREITを運用する投資家にとっては大きな変化だ。
従来、REITは利回り商品であって利回り水準と保有リスクが逆相関・・・利回りの高いREITはリスクも高く、利回りの低いREITはリスクが低かった・・・分配金利回りを見て分散すれば良かった。
しかし、不動産価値の増加=モメンタムという視点を入れると、個別の物件価値を調査して買うというボトムアップのモメンタム型になる・・・こうなるとまるで株式と変わらない。
REITは利回り商品といえ株に近い商品へと変化してきている・・・つまり、それだけモメンタム重視のイケイケの過熱局面に入ってきたともいえる。


六本木ヒルズ、森タワーの不動産価値(単位:㎡2 百万円)
  賃貸面積 算定価格 帳簿価格 算定/面積
2015年7月 21482 66100 56331 3.08
2016年1月 25942 80900 68108 3.12
2016年7月 43041 134300 114076 3.12
2017年1月 43041 134900 113638 3.13
2017年7月 43041 134900 113323 3.13
2018年1月 43041 134800 112900 3.13
2018年7月 43041 138500 112621 3.22
2019年1月 43041 142800 112229 3.32
2019年7月 43041 143300 112049 3.33

ツイン21の不動産価値(単位:㎡ 百万円)
  賃貸面積 算定価格 帳簿価格 算定/面積
2015年6月 82313 46000 67553 0.56
2015年12月 82313 47400 67156 0.58
2016年6月 82313 48700 66760 0.59
2016年12月 82304 49500 66471 0.60
2017年6月 82304 51700 66248 0.63
2017年12月 82304 54500 66131 0.66
2018年6月 82304 55800 65985 0.68
2018年12月 82304 56700 65856 0.69
2019年6月 82304 59800 65971 0.73





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内藤忍氏の理解不能なアゴラ記事

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内藤忍という評論家の「12年ぶりの高値でもREITに投資しない理由」というアゴラでのコメントだが、何回読み返しても理解できなかった。
この中で三つの根拠が示されている・・・(1)高値で購入する構造的な仕組み、(2)レバレッジを考えると高利回りではない、(3)税制メリットが現物不動産より小さい・・・という三つだ。
それぞれ検討してみよう。

まず、(1)高値で購入する構造的な仕組み・・・内藤氏に何か大きな理解違いがあるのか、全く理解できなかった。
内藤氏は言う・・・REIT価格が上昇すると、資金流入が起こり、その流入資金で高値の物件を買うことになる・・・だから、REITの物件購入は構造的に高値での購入になる。
確かに、REITに資金流入するとREIT価格は上昇するが、この資金流入で高値物件を買うわけではない・・・市場で交換されているREIT価格が上昇しているだけで、物件購入とは関係がない・・・読者は何回読んでも理解できない。

REITの物件購入は、RIEITの運用会社が物件の購入リストを投資家に提示して、PO(公募増資)を実施し資金を集めて行われる・・・保有キャッシュや借金で新規物件投資が実施される場合もあるが、通常、大規模な物件投資は、そのリターンや今後の収益予想を提示しPOを実施して行われる。
株式のPOとは違い、REITの場合、新規物件を組み入れた後の収益をほぼ正確に予想できるので、POの規模とともにEPSの予想、分配金の予想を提示して一般投資家から集めることができる。
しかもREITはスポンサーから有利な条件で物件購入することができる。
これはスポンサーとの優先購入権契約で、一般には市場に出ない物件を、オークションでは買えない価格で買える。
つまり、REITはPOで資金を集め、優先購入権を使って有利に物件を組み入れているわけで、内藤氏の言う事は基本から間違っている。

(2)の点だが、レバレッジをどう理解しているのが分からないが、通常、不動産投資は借入金でレバレッジをかけている。
個人であれ、法人であれ、不動産投資を手持ちキャッシュだけで行う方が異例だ。
個人の住宅投資は、普通、住宅ローンを組んで行われるし、法人の不動産投資も同様だ。
レバレッジ後の利回りは、原資産である不動産物件のCAPレートにレバレッジをかけたものになる。
多くのREITが総資産の40%程度の借入金をかけているが、基本的に保守的なレバレッジだ。
これをもって、レバレッジをかけている割にリターンが低いと言っているのかもしれないが、保守的なレバレッジは悪い事ではない。

実物投資とリターンを比較しているが、個人の実物投資はワンルームマンション中心なのに対し、REITならば六本木ヒルズに投資できるし、巨大物流施設や巨大ショッピングモールにも投資できる・・・個人投資家には自分では不可能な投資先にも投資できる便利なツールがREITだ。
内藤氏は単にワンルームマンションとREITを比較しているだけなので、どうしても論点がズレてしまう。

さらに(3)の税制メリットについても誤解があるかもしれない。
いきなり、相続税では実物不動産の方が有利だと言う。
おそらく「少規模住宅等の特例」の話をしているのだろうが、確かにこれはメリットがある・・・でも、運用の話をしているのに、いきなり、相続税の話にぶっとぶのはいただけない。

減価償却についても誤解が多い・・・REITの会計でも減価償却は行われているし、減価償却の範囲で現状維持の修繕やバリューアップ投資などが行われている。
不動産(建物)の減価償却は毎年、物件価値が減少していく分を利益から差し引く(利益が増える)もので、減価償却分を再投資していかなければ、長期的に物件価値が低下してしまう。
個人は減価償却分の再投資をしないかもしれないが、10~20年に一度、マンションの大規模修繕があり住民が負担している。
この費用を別に考えれば・・・個人の実物投資は減価償却分の利益が増えるということが内藤氏の考えだろう。
だが、基本的には減価償却は利益の増加ではなく、物件価値の低下分だ・・・会計をちょっと勉強すればわかる事だ。

内藤氏は言う・・・REITを全部売却して中古マンションを保有している・・・不動産市場で、今、もっとも問題なのが、都心周辺の高層タワーマンションの過熱感で、現実に契約率が低下し売れ残りが急増している。
こんな時期に個人投資家にマンション投資を勧めるなんて、大丈夫だろうか?・・・心配になる。


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ウィークリー雑感(9/1 インバウンドをどう見る?)

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韓国人観光客が日本旅行をキャンセルしたり、行先を日本以外に変更したりしていることについて、藻谷氏などの一部の評論家が九州・沖縄地方に大きな影響が出ると政府の対韓国政策を非難している。
でも、国家間の問題と個人の嗜好である旅行とは基本的になんの関係もない・・・行きたい所へ旅行する個人の自由がある。
日韓問題が出てからも日本では「反韓デモや抗議運動」は全くなく、社会は安定しているので日本に来たい韓国人は来ればいいだろう。
いずれ時間の問題で、韓国内の反日空気を読むより好きな場所への自由な旅行が優先されてくるだろう・・・国家や政府の問題と個人の自由を無理やりリンクさせているのは韓国人ぐらいでかなり異例だからだ。
ただ、このインバウンドの問題が観光産業の収益にどのぐらい影響するのかは、考えておく必要がある・・・7月の数字を見てみたい。

外国人に人気の沖縄県が発表した7月の入域観光客概況では・・・
国内客が66万800人で前年比+6万7500人、海外客が30万2800人で前年比1万2000人となっている。
国内外ともに全体では順調に観光客が増加している・・・今年度も4月以降毎月前年水準を上回っている。

海外観光客の国別統計を見ると、台湾10万4200人(前年比-200人)でトップ、中国7万1600人(+6800人)、韓国3万9700人(-2000人)、香港3万2000人(+4000人)・・・と続き、海外観光客全体で+1万2000人となっている。
たしかに韓国人観光客は2000人減少したが、他の国からの訪日客で全体として前年を上回っている。
驚かされるのは、民主化運動やデモが続く香港からの観光客が前年比4000人の増加と、15%程度の伸びていることだ・・・政治やデモと、個人の嗜好である旅行とは別物なのだと分かる。
訪日観光客全体では、韓国人の減少を中国と香港の増加で埋めて、前年比プラスの状況が7月も続いている。
8月と9月は韓国人観光客がさらに減少するので、その他の国からの観光客がどのぐらい増えるかが注目点だろう・・・おそらく、数か月経てば韓国人も徐々に回復に入ると見ている。

このところ東証REIT市場では、韓国観光客の減少リスクを織り込むように、ホテル系REITが下落している・・・一部に韓国人観光客の動向を懸念する人たちが売り急いでいるのだろう。
ホテル系のREITの7月実績を見ると、①稼働率が低下している・・・()内は前年比・・・JホテルREITで稼働率87.3%(-0.6%)、いちごホテル87.0%(-3.3%)、インビンシブル90.8%(-0.6%)
②ADR(平均室料)も低下・・・Jホテル17436円(ー3.3%)、いちごホテル8089円(-7.6%)、インビンシブル10437円(-4.3%)
①と②の数字を見ても、安い宿泊料のホテルほど平均室料が下落率が大きくなっている。
ちょうど中間決算を発表したJホテル社長の説明によると、「ホテルの新規開業が進み、ホテル間の競争が高まり、稼働率とADR(平均室料)はやや低下している。年後半も前年比横ばい程度と見ている。」ということらしい。
この三つのREITを比較しても、平均室料の安いホテルの方が苦戦しているのは、単価の低いホテルの建設ラッシュを反映しているのだろう。
韓国人観光客の不安が高まっている今、逆にホテル系REITの底値買いが有効かもしれない。


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債券バブルと東証REITの関係(5)

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東証REITに投資する場合、もう一つ気になるのは、東京オリンピック後の不動産市場だ。
特にホテル建設が大ブームで、APAホテルなどは全国各地にホテルを新築し急拡大しているし、地方都市でも様々な新規のホテル開業が急増している・・・さらにHISがユニゾHDを買収し、国内ホテル事業を中核に2023年までの国内100ホテルと国内ホテル事業を拡大させると表明した。
オリンピック前のホテル不足が問題となり、オリンピック期間のホテルの宿泊予約も非常に困難になっている・・・東京から遠く離れた場所のホテルを予約し、新幹線でオリンピックを見に行くなんてツアーも出てきそうだ・・・もちろん、ルームレートも上昇している。
こうしたホテル需給のひっ迫感が、新規のホテル建設、既存ホテルの買収などに不動産関連企業を駆り立てている。

でも、オリンピック以後まで考えると、供給過剰でホテル需給に過熱感が出ているのではないだろうかと心配になってしまう。
ホテルREITは、固定賃料でホテルのオペレーション企業に貸し付けている場合と、変動賃料で貸出している場合がある。
ここ数年、稼働率やルームレートが向上し、変動賃料でREITは大きく収益を増加させてきた・・・しかし、逆に稼働率が下がりADR(平均ルームレート)が低下すると、変動賃料も減少してしまうことになる・・・ここに注意が必要だ。
オリンピック後、稼働率やRevPAR(稼働率×ADR)が下落すると、ホテルREITの分配金も下がる場合が出てくるだろう・・・稼働率が下がった場合の影響を考えると、特に低価格のホテルはこの点に気を付けたい。
また、日韓関係の悪化で韓国人観光客の減少は九州に大きく影響が出るが、ホテルの稼働率の低下は九州の一部にとどまると見られる・・・韓国人の日本での旅行支出は3泊で平均7万円程度なので、安い宿泊を提供する民泊やビジネスホテルを利用する傾向が強いからだ。

また、もう一つは物流施設だ。
アマゾンやネット通販の急増で物流施設への需要が急拡大し、当然のことながら、物流施設もどんどん建設され、物流施設の価格もびっくりするぐらい上昇している。

数か月前、産業ファンドが厚木ロジパーク(物流施設)を売却したが、その物件の帳簿価格15.3億円、鑑定価格21.6億円に対して、売却価格26.5億円と高値だった。
帳簿価格を73%も上回る価格での売却であり、産業ファンドは大きな実現益を手に入れたわけだ。
でも、一方でこうした売却事例が物流施設のブームにも過熱感が出てきていることを示しているかもしれない。

物流施設は主要幹線道路や高速道路などに面した物流の要衝にあり、トラック輸送の要になっている。しかし、そうはいっても土地価格が非常に安い田舎にあるので、一旦、
稼働率が低下したら物流拠点としての価値を失う。
そうなると物流拠点といっても単なる田舎の物件に過ぎなくなる・・・もし景気が悪化し、物流需要が減少し、物流拠点の稼働率が低下するとその価値が一気に低下し、REIT価格へのダメージが大きくなる。
物流REITでは、顧客のニーズに合わせて顧客との共同不動産開発を行う産業ファンドなどは景気後退下でも生き残る可能性が高いが、単に地方に物流拠点を持っているだけでは危ない・・・こうした景気の状況、稼働率をこまめにチェックするべきだろう。



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配当丸取りトレード

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東証の上場REITは、いろんな点で上場株とは違い使い勝手がいい。
①分配金利回りが低下してきたとはいえ、まだ3.7%という水準にあること。
キャピタルゲインを狙わなくても十分なインカムゲインが受け取れるという有利な商品だ。
②決算期が3月・9月に集中している上場株に対して、1月から12月まで決算期がバラバラなのが上場REITだ・・・この決算期で分散するなど、うまく使うことができる。
③中長期では、REIT価格は必ず分配金の権利落ちを埋めて上昇していることだ。
分配金の権利落ちを乗り越えて株価が戻り、分配金を丸々受け取ることができたら、個人投資家には十分なリターンを得られる手堅い手法となるだろう。

この三点を使って短期トレーディングをするとしたら・・・配当丸取りトレードだ。

条件: ①各決算月の時価総額最大銘柄を買い対象にする、②決算月の月初で買い翌月の月末で売りとする、③分配金の計算には税金は考慮していない。

この配当丸取りトレードは、REITの保有期間を決算期は中心にした2か月間と限定することで、時間的なリスクを抑えることができる・・・つまり、通常のリスク分散は銘柄の分散のことだが、REITの場合は時間リスクの分散も可能だ。
トレードの目的は分配金の完全な獲得で、各月の決算銘柄を月初に買い、権利落ちを含めて、翌月の月末に売却するトレードだ・・・しかも、ETFのインデックス買いが入る時価総額の大きい銘柄で分配金取りのポジションを作るので比較的安全な投資スキームになる。

この分配金丸取りトレードを今年前半のREIT市場に当てはめて収益を計算したのが次の表だ。
決算月 コード 銘柄名 月初株価 落ち価格 翌月株価 配当額 収益額 収益率
1 3269 アド・レジデンス 295900 320500 310000 5422 19522 6.6%
2 3462 野村マスターF 156300 154300 163200 3128 10028 6.4%
3 8952 ジャパンRE 641000 660000 617000 9697 -14303 -2.2%
4 3309 積水ハウスF 83000 81000 81100 1594 -306 -0.4%
5 3283 日本プロロジ 236400 240400 248900 4502 17002 7.2%
6 8951 日本ビルF 742000 751000 762000 10440 30440 4.1%

この2か月間の丸取りトレードで上がるキャピタルゲインと分配金の合計を収益額として示した・・・収益率はこの収益額を当初の買い付け金額で割ったものだ。
各銘柄を一口だけ買うので買い付け金額は8万3000円から74万2000円までバラツキがあるが、実際のトレードでは一回のトレード金額を決めて、等金額で運用することを勧める。
各月の2か月間収益率では-2.2%から+7.2%となり、収益額(要するに儲け)はこの半年で合計62383円となった・・・使用資金は最大978400円~最小31万9400円で、半年間で+6.37%、年率換算では12.75%と高いリターンだった。

ただし、損失を確定させたトレードもあった。
3月の投資したジャパンRE(三菱地所系の時価総額第2位)は、残念ながら、東証REIT市場の3月末から4月の調整の影響を受けてマイナスで終わった。
2か月という短期トレードとはいえ、東証REIT市場全体の影響は受けることになるのは仕方がない。
REITの分散投資というと銘柄やセクターの分散を考えてしまうが、こうした時間の分散という方法も個人投資家には有効かもしれない。


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債券バブルと東証REITの関係(4)

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最近の不動産関係にニュースを見ていてちょっと気になるのは、借入金の超低利と銀行の緩い融資姿勢によって起こる不動産市場の過熱と、日本を挙げたイベントである東京オリンピック・パラリンピック後の不動産市場だ。
REITはその格付けによって支払い金利が変わってくるが、優良REITでは借入金利が0.5%程度と異常に低い金利なってきている・・・また、中堅REITでも1%を下回る借入金利も見られる状況だ。
もちろん、REITにとって金利が低いことはREITにとってはコストの低減になり良い事だが、こうした超低金利が不動産融資を必要以上に拡大し、不動産市場が過熱状態になっている可能性もある。
借り手の不動産デベロッパーの過大な投資、個人の過大な不動産投資などが不正を引き起こしているのかもしれない。

たとえば、スルガ銀行が不正の融資審査で問題を拡大した「かぼちゃの馬車」シェアハウス事件、不動産融資データの改ざんでつまづいたTATERU事件、さらにアパートの不正建築で問題となったレオパレスの賃貸アパートの事件・・・不動産関係の不正が相次いだが、サブリース契約+不正融資+不正施工という最強の不正組合せで起こった事件だ。

問題はこれで終わったわけではないことだ。
まず、30年一括借り上げ、サブリース契約の
危うさ。
30年一括と言いながら途中で契約の見直しがあり、オーナーが入居率が低くても安定した賃貸料を受け取るという夢のような話ではなかったことがはっきりした。
おそらく、他のサブリース業者を通じて行ったアパート経営も同様にリスクが出てきている。

第二に銀行の貸出が伸びない中で銀行のドル箱だった不動産融資も審査が厳しくなってくることだ。
今後、融資審査など相当に厳しくなれば、マンション建設の伸びが鈍化するのは間違いない。
高層のタワマンの売れ行きが鈍っているらしいが、特に埼玉など土地が余っている地域の高層タワマンなどは気を付けた方がいいだろう。
高層タワマンを建てる必然性もないため、バブル期の越後湯沢の高層リゾートマンションのように30年後は廃墟になっている可能性もある。

第三に、破たん懸念のあるサブリース契約の処理がこれから進むことだ。
かぼちゃの馬車で作ったシェアハウスをどうするのか? 融資の返済は大丈夫なのか? TATERUで建てた投資用物件のオーナーは過大な借金を返済できるのか? 最悪のレオパレスは補強工事後に入居者が集まるのか? などなど、多くの疑問が解決されていない。
中には過大な融資を受けているオーナーもいるだろうし、元利返済が滞り不良債権化してくる物件も相当ありそうだ。
低金利による過大な不動産投資に何か思わぬ事が起こると、金融システム全体に影響することも考えられる・・・そのリスクが徐々に上がってきている事例が増えている。
個人の不動産投資、銀行融資などに
ネガティブな問題が出やすいのではないだろう。

でも、そんな事件にもかかわらず、東証REIT市場では住宅REITが最も人気になっている。
REITの利回りランキングを見ると、最も低いREITは三井不動産系の日本ビルファンド2.81%、東急リアルエステート、三菱地所系ジャパンリアルエステートなどのオフィスリート総合型だが、それと並び、住宅型の日本アコモデーション、コンフォリア、アドバンスレジデンスなどが上位に入っている。
主としてマンションに投資する住宅REITが、ピカピカの都心型オフィスREITと並んでいる現在のREIT市場には違和感を感じる。
通常、賃貸マンションは退去しても次から次と入居者が出てくるので稼働率が安定している反面、賃料は上昇しないという特徴がある。
良い立地のマンションであれば比較的安定した投資となるが、REITの利回りが低く分配金の内部成長も見込めない・・・こうした分配金利回りの低い住宅REITには過熱感を感じる。


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債券バブルと東証REITの関係(3)

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REITは二つの特性を持っている。
一つは金融商品としての特性で、株式や債券の伝統的資産に加え、ヘッジファンドやハイイールド債などのオルタナティブ資産とも比較される。
もう一つは不動産に投資するビークルとしての特性で、不動産市場の動向に影響される。
前回は東証REITを金融商品としての見方から考えたが、今回は不動産投資という視点から東証REITを考えてみたい。

半年ちょっと前、12/16のウィークリー雑感で「不動産バブルへGO」を書いた。
オフィスの空室率は日本の主要都市すべてで過去最低水準に低下し、需給が極めてタイトな状態だ。
空室率の6月の数字を見ると、東京1.72%、大阪2.33%、名古屋2.09%、福岡1.79%、札幌2.29%など、東京と札幌ではわずかに上昇したが、大阪・名古屋・福岡は低下し、全国的に空室率が過去最低水準にある。
この要因として、(1)IT系企業のスタートアップの増加、(2)社員の交流スペースの増加など、オフィス環境の向上、(3)スモールオフィスやWeWorkなどのコ・ワーキングの増加など、新しい起業や新しい働き方がオフィス需要を生み出している。
当面、空室率は低水準で推移すると見込まれている。

空室率が低下すれば賃料は徐々に上がっていくが、そこにはタイムラグがある。
入居企業が賃料の改訂時期に値上げをしていくことになるので、今の空室率の低下が来年や再来年の賃料改訂に影響してくる・・・今後も賃料の上昇が続いていくことになる。
上場REITの決算を見ても、賃料はだいたい5%程度で上昇しているケースが多い。
空室率の低水準ともに賃料の上昇も不動産の価値を高め、これがREITの内部成長をけん引していく。
組入れた不動産価値の増加が、REITの価値を引き上げているといえる。

しかし考えておく必要があることは、不動産とREITは違うという点だ。
たとえば、上場REITの財務状況は健全で、LTV(借入金/不動産総額)を見るとほとんどのREITで40%台であり、過大な借入金を抱え込んだREITは少ない。
厳格にLTVを管理しているREITが多く、この面からはREITは比較的安全な投資対象だ。
しかし、不動産市場全体は、高層オフィスビル、高層タワーマンション、ホテル開発などなど、開発案件が激増している・・・当然、不動産融資も増加しているはずだ。
REITではLTVがきちんと管理され、財務内容が健全であっても、その元にある不動産市場が過熱し過大債務に陥る状況になれば、REIT価格は影響を受けてしまう。
したがって、REITは安全と言いながらも、不動産市場に気を付けておかなければならない。

また、REITの運用会社についてもよく吟味する必要がある。
運用会社の運営方針や考え方、また、トップの不動産市場に対する見識・経験などは重要な指標となる。
保守的な運用を心掛けているREIT、積極的に外部成長を取り込んでいこうとするREIT、REITの運用方針にもかなりの違いがあるからだ。
どちらが良いという話ではないが、不動産市場の立ち上げり局面ならば積極的運用方針のREITの方が外部成長力があるだろうし、不動産市場が成熟化した局面では内部成長を中心にした保守的な運用方針のREITの方が安心できる。
不動産市場の局面によって投資するREITを選別する必要がある。
そのためには、REITの決算発表時に運用会社の役員が決算説明会を開くので、そこで経営陣の考え方にじっくりと耳を傾けることだ。
実際の説明会に参加できなくても、HPから説明会の動画を見ることができる。
直接、声を聴き、考え方を知る非常に良い機会となるはずだ。
次回は、今、気になっている不動産市場のリスクについて考えてみたい。


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債券バブルと東証REITの関係(2)

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日銀の量的緩和で日本国債はマイナス金利が定着し、さらにFRBの緩和姿勢への転換で米長期金利も急低下し、機関投資家特に年金基金などの運用難は一段と厳しくなっている。
JPモルガンの「企業年金運用動向調査」は116の企業年金にアンケート調査しまとめたものだが、この調査でも大きなポートフォリオの変更が確認された・・・オルタナティブへの資産配分が全体の21%となり、初めてが国内債券のウェートと逆転したという。
オルタナティブ資産とは、伝統的な株式や債券とは違ったリスク・リターンを持つ資産のことで、具体的にはヘッジファンド、不動産ファンド、インフラファンドなどだ。
日銀のマイナス金利で国内債券が十分なリターンを上げられなくなり、企業年金は国内債券への資産配分を減らし、ヘッジ外債やオルタナティブ資産(不動産ファンド、インフラファンド、ヘッジファンドなど)を増やしてきたわけだ。

国内年金の運用難は厳しい。
国内債券に代替できるような安定したリターンを上げられる商品は、米ハイイールド債(為替ヘッジ付き)、ロングショートなどのヘッジファンド商品、不動産ファンド(REITを含む)ぐらいしかない。
そのうち、USハイイールド債(BBB以下)はまだ6%台の利回りがあるが、ドル建て商品であり為替ヘッジすると日米金利差2%を取られ、実質4%台になってしまう。
日本株のロングショート商品はだいたい2~3%程度のリターンで、東証REIT指数は3.8%の利回りだ。
インフラファンドは長期で5%以上の利回りとされているが、短期の換金はできない。
USハイイールド債を使ったヘッジ外債でも4%、国内のREITで3.8%なら、私募REITなら4%以上あるかもしれない・・・不動産ファンドを買う方が簡単で説明もしやすい。
・・・というわけで、円建て商品で4%前後を上げられるのはREITなどの不動産ファンドしかない。
ここに資金が集まろうとしている。

JPモルガンの企業年金調査でも、ここ数年でオルタナティブ資産に資金が流入してきている背景には機関投資家の運用難があるが、これが不動産市場にどう影響しているのかを次回は考えてみたい。


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債券バブルと東証REITの関係(1)

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東証REIT指数が上昇し、過去の高値2015年の1月の1990ポイントに接近してきてる・・・REIT市場で何が起こっているのだろうか?

まずは東証の投資家別売買データで確認してみよう。
買い手は証券自己と金融機関で・・・自己は4月に+438億円、5月に+97億円と買い越し・・・金融機関は4月に+144億円、5月に+104億円の買い越しとなった。
証券自己の買いはREITのETFを組成するための買いと思われる・・・日銀のREITのETF買いが続いているので、その日銀オペに対応したものだろう。
金融機関の買いは純投資と思われる。

一方、売り手は個人投資家と海外投資家で、個人は4月に-89億円、5月に-230億円の売り越し、海外は4月に-717億円、5月に+4億円で2か月で713億円の売り越しだった。
個人投資家はIPOなどで買ったREIT銘柄を売却しているだろうし、REIT全般に価格上昇で利食いに出たものだろう。
海外投資家はここ数年、ずっとREITの買い越しを続けてきたので、その利食いと思われる。

こう見ると、この高値圏でREITを買っているのは、日銀と国内金融機関ということになる。
日銀は別格としても、国内金融機関が史上最高値にあるREITを買い越していることが注目される。
日本の債券バブルがひどい事になってきているからだ。
日銀は量的緩和で国債を買い占めてしまっているため、10年債の利回りはマイナスで運用対象にはならない・・・だから、債券を買いたくても、その中心となる国債、しかも指標銘柄となってきた10年債はマイナス金利で買えない。
そのために仕方なく、機関投資家は20年以上の超長期国債を買ったり、利回りの高い事業債を組み入れ、なんとかリターンを底上げしている。
そして、その延長線上に、利回り商品であるREIT、ヘッジ外債(海外のハイイールド債を組み入れた外債ヘッジ商品)、不動産ファンド(私募ファンドなど)・・・などがある。
債券で運用してきた資金が、こうした利回り商品に流れこみ、その一部の資金が比較的安全な上場REITにシフトしてきたということだろう。
東証REIT指数の上昇の背景にはこうしたことがありそうだ。

しかし、上場REITの時価総額は15兆円弱で、機関投資家が本格的に資金シフトしたら、時価総額がどう見ても足りない。
たとえば、GPIFの日本債券は
全体の28%、金額では42兆円を運用しているが・・・そのGIPFが日本債券から利回り商品にシフトしようにも、上場REITの時価総額では明らかに足りない。
次回は年金などの機関投資家に焦点を当てて、「債券バブルと東証REITの関係」を深堀してみたい。


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REIT価格の急上昇は何を意味するのか?

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東証REIT指数が1900ポイントを上抜け、2014年につけた最高値1990ポイントに向けて急上昇してきている。
平均分配金利回りも今月初には4.02%だったものが、27日現在では3.84%に急低下した。
しかも指標的な銘柄である三井不動産系の日本ビルファンドは2.76%の利回りまで買われたし、三菱地所系のジャパン・リアル・エステートも2.90%まで買われた。
この3月の上昇がかなり激しく、一部には過熱感も出てきているかもしれない。
東証REIT市場は外国人投資家も注目している市場で、だいたい毎年3000億円程度はネットで買っている。
2月の買い越し金額は438億円とやや平均よりも高めにレベルで3月はまだ発表されていないが・・・外人投資家の買いがこの急騰の理由なのだろうか?

証拠はないにしても考えられる理由として、まず、個人投資家説。
昨年の「かぼちゃの馬車」、今年の「レオパレス」の両事件で、アパート経営や賃貸マンション経営に強烈な逆風が吹いてきている。
個人の富裕層は運用対象として、アパート、シェアハウス、ワンルーム・マンション投資を増やしてきたが、この両事件から不動産融資も簡単ではなくなり、個人の不動産投資に急ブレーキがかかっていると思われる。
実物投資とREIT投資を比較した「素人の不動産投資」というブログで、ワンルームマンション投資とREIT投資をリターンや税金や費用を含めて検討し「REITの方が個人には適していると書いた。
おそらく様々なタイプの詐欺やインチキにより実物投資のリスクが上がっているため、個人の富裕層がREIT投資に目を向け始めているのではないだろうか?

もう一つが地方銀行の仮説だ。
「かぼちゃの馬車」で大儲けしたスルガ銀行事件で、地銀はこれ以上アパートやマンションに資金をつぎ込むのは危険と判断しているはずだ。
まともな貸し手が少ない地方では、こうした山っ気の多い貸出先がなくなると途端に資金の貸出先がなくなる。
当然、銀行内の余資が増加し、何かに運用しなければならない・・・となると、利回り物の金融商品になる。
落とし穴の多い高利回り商品の中で、REITは上場商品であり、情報開示の規則もしっかりしている。
だから、資金余剰の地方銀行が買っている可能性もある。

いずれにしても、REIT市場がこうした事情のある買い手の参戦で、値動きが激しくなっていくような気がする。
一方、以前からの大きな買い手であった外人投資家などは、十分にリターンが取れているため利食いに入ってくる可能性もある。
買い手と売り手がぶつかり合う、投機的なラウンドに入ってきたのかもしれない。



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ウィークリー雑感(3/24 REIT雑感)

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リート指数が1900ポイントに乗せ、上昇基調を強めている。
先週の日経CNBCでも番組内でリート指数の年初来の上昇を特集していた。
その要点は・・・(1)資産規模とリートのパフォーマンスを見ると、資産1000~3000億円の中規模のリートが最も高く、次が資産3000億円以上の大型リート、そして最後が1000億円以下の小規模リートという順になっていること、(2)リートのパフォーマンスと分配金利回りに特に明確な関係がなく、どの利回り水準のリートでもパフォーマンスはほぼ同じだったことだ。
ということは、中規模で高分配のリートを買っていれば、価格上昇でも儲かり、分配金でも儲かる、という二重取りができたということになる。
改めてリートに注目が集まっているということかもしれない。

当ブログでは折に触れてリートを取り上げ、決算関係や説明会などすべて情報を取ってきた・・・詳細は不動産編を参考にしていほしい。
最近の決算発表や説明会で、気になったリートに関する話を取りとめもなく書いていきたい。

まずは、MCUBS-Midcity(決算期6/12月)。
このリートは旧松下興産系でスタートしたため、大阪地区のビジネスパークやオフィスビルのウェートが高い特色があった。
しかし、三菱商事とUBS(MC-UBS)に経営が変更されてから大きな変貌を遂げた。
東京都市部のオフィスビルなどへの投資を積極化するとともに、大阪の松下IMPビル売却で38億円という大きな売却益を計上しながら、分散ポートフォリオへの効率化した。
この売却益により2018/12期と2019/6期の分配金が2545円と2695円と大幅に増加、これが評価されて価格は大幅に上昇した。
しかし、2019/12期で売却益の計上が終わり巡航ペースに戻り1870円となる・・・分配金利回りは2018/12期6%以上だったが、2019/6期4.7%に低下、さらに2019/12期は3.7%程度まで下落すると思われる。
株価は堅調だが、2019/12期まで考慮すると割安感がなくなる。

これも同じくMC-UBSが運用する産業ファンド(決算期1/7月)。
決算発表で厚木の物流施設(厚木ロジパーク)の売却を発表したが、この実現益もすごい。
帳簿価格15.3億円、鑑定価格21.6億円に対して売却価格は26.5億円と発表された。
帳簿価格を73%も上回る譲渡価格で、しかも、MC-UBSはNOI利回りの低い厚木ロジパークを売却することでポートフォリオ全体のNOI利回りを引き上げると説明した。
つまり、厚木ロジパークの買い手会社は、さらに低いNOI利回りでバカ高い値段で物件を買ったことになる。
これをどう考えるのか?・・・・物流施設についてはかなり過熱感が出てきたということだろう。
もちろん、産業ファンドは物件の高値購入はしないと表明し・・・CRE提案によって顧客企業のニーズにあった不動産投資、たとえばIDEC向け施設の不動産を購入しIDECの工場として貸し出す、大田区の計画する工場団地に不動産を貸し出す、などを推進するとしている。
しかしながら、物流施設は全体的に過熱が出ていることを考えるべきだろう。

森ヒルズリート(決算期1/7月)
ここの説明会では、その圧倒的な開発力を誇る森ビルとの連携(優先購入権など)が強調された。
森ビルの開発案件、他社の開発案件が集中しているのが東京都心の六本木、赤坂、虎ノ門エリアで、そのエリアのプライムビルを競争入札なしで優先的に購入できるのがこの森ヒルズリートだ。
今後のハイクオリティビルの賃料の上昇からくる内部成長、
森ビルのパイプラインからくる外部成長、その両方がピカピカなのだ。
でも、価格は割安で、他の都心プライム立地のリート(三菱地所系のJREや三井不動産系のNBFなど)が分配金利回り3%以下で取引されているのに比べ、この森ヒルズの分配金はまだ4%近くある。
これだけのクオリティなのになんで分配金利回りが4%もあるのか、不思議なぐらいだ。



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レオパレスとかぼちゃの馬車

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世の中、「うまい話には裏がある」というわけで、株式市場でも「フリーランチはない」、「ただ(無料)ほど高いものはない」と言われている。
不労所得を得ようと欲をかいている人たちには、昨年の「かぼちゃの馬車」事件と今年の「レオパレス」事件はショックだっただろう。
シェアハウスと賃貸アパートと少し違っているが、サブリースの不動産賃貸業という意味では一緒だ。
サブリースの仕組みの中で業者が利益を上げる仕組みやそのカラクリはよく似ているし、一種の詐欺に近い部分もある。
両社の事件のカラクリを考えてみよう。

まず、第一にサブリースはオーナーが自分の土地に建物を建て業者にリースすることだ。
かぼちゃの馬車でも土地価格の比較的安い地域に1~2億円という高額でシェアハウスを建てさせ、建築会社と儲けをシェアしていた。
レオパレスは「コストではなく作業効率を上げる」ために設計と異なる資材を使っていた・・・作業時間が短くなれば人件費を削れるので・・・・コストを下げて差額を着服していたということだろう。
オーナーが業者の言いなりで高額な建物を建てさせられ、資材や人件費、その他で業者が大儲けをしてきたことが共通している。

第二に家賃保証の問題だ。
「かぼちゃの馬車」のケースでは入居率が低下し、サブリース契約にある家賃保証を払えなくなったことが問題となった。
「レオパレス」のケースは不良工事が明らかになり、レオパレスが入居者の移動、追加補修工事、その後の家賃保証すべてを自己の責任で全うできるのかが問題なっている。
おそらく家賃保証の前提となる入居率は8割程度だっただろうから、それ以上の入居率ならば業者の儲けになったはずだが・・・結局、うまくいかず。
家賃保証といっても、業者の経営状態によっては、当然ながら履行されない。

第三に30年一括借り上げの問題だ。
30年建物を一括して借り上げるという契約が長すぎるのではないかという問題で・・・オーナーを安心させるための30年一括で実際は問題が出ているのではないかと推察される。
30年の間には、人の流れが変わったり社会構造が変化するし、業者の経営状態も変わる。
契約を見ていないが、おそらく、当初と異なる状態について付帯条項(たとえば、見直し条項)が付いていると思われる。
いずれにしても期間が長すぎ、一定の契約でカバーするのは無理で、これをあまり信じすぎないようにする方がいいと思う。

不動産賃貸で不労所得を得ようとしている人は今の世の中たくさんいる。
ここ数年、建築着工統計でも貸家の新規着工がものすごい勢いで増えてきた。
人口減少する日本で、しかも賃貸人である若い人たちの所得が伸びていない日本で、ワンルーム・マンション投資が長期的に難しい・・・多くの疑問が残った事件だった。




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日本のホテル、災害からの回復力

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今年は台風の被害あり、地震の被害あり、火事の被害あり、たいへんな年だった。
今年の漢字が「災」となったのも分かる気がするが、その災害をどう付き合うか日本人の大きな課題なのだろう。
地震では、6月の大阪北部地震、小学校のコンクリート壁が崩壊し児童が下敷きになった。
7月の集中豪雨、真備町があっという間に水没、9月の台風21号、タンカーが橋に接触し関西空港が水没し機能を停止、そして、9月北海道胆振地震、北海道全域での停電・・・・

9月の関西空港の閉鎖では、多くのアジアからの観光客が足止めを余儀なくされ、多くのツアーや宿泊予約がキャンセルされ、大阪中心に関西で大きな被害が出たし、同じく北海道胆振地震でも札幌などのホテルではキャンセルが続出し、大きな被害が出た。
特に空港が一時的に閉鎖された関空や新千歳では観光客のツアーのキャンセルが相次いだ。
9月の大阪と札幌の状況から考えてみよう。

大阪や神戸や札幌のホテルの稼働率や客室単価をリートの開示資料から影響を考えてみよう。
9月の客室稼働率を見ると、それまでの80-90%台のほぼフル稼働という状況から一変し、15-25%も一気に稼働率の低下が見られた。
神戸では93.4%→79.1%、大阪96.9%→72.2%と関空の一時閉鎖で海外観光客のキャンセルが相次ぎ、稼働率は10%以上の急低下となった。
札幌でも北海道地震の影響が大きく、91.9%→66.1%と稼働率の急低下が顧客離れの激しさを物語っている。
客室単価(ADR)も前月から4000円程度の下落が見られ、稼働率の低下と客室単価の下落のダブルパンチとなっている状況がよく分かる。
一部屋あたりの売上高は、6000円から8000円程度減少し、ホテルの営業を直撃している。

しかし、この台風21号や北海道地震など災害の影響は、10月には稼働率も客室単価も戻していてほぼ1か月で急速な改善を見せた。
特に大阪のなんばオリエンタルホテルの10月の稼働率は96.2%と大幅に回復し、一気にほぼ満室の状態まで戻した。
北海道はやや影響が長引いた感じで、メルキュール札幌は稼働率は83.1%と年度平均を回復したが、客室単価は12311円と低く、割引きして顧客を集めたといえる。
総合して、災害ダメージからの回復が早いといえるだろう。
もちろん、災害は地域全体にダメージが大きいが、個々のホテルの対応は迅速で素晴らしいと思う。
また、年度平均を前年比で見ると、これほどの災害があったにもかかわらず、神戸では稼働率が前年比プラスだし、大阪と札幌でも2-3%のわずかな低下にとどまっている。
ここが日本のホテルの災害に対する強さだろう。
リートの投資では、災害は大きなマイナス要素となるので、災害からの復旧の迅速さもリートを選別する重要な基準になるだろう。

神戸メリケンパークオリエンタルホテル
Jul-18 Aug-18 Sep-18 Oct-18 年度累計
客室稼働率 実績(%) 85.4 93.4 79.1 86.8 84.1
前年比(%) 1.1 2.7 -5.8 2.7 0.3
ADR 実績(円) 15,577 20,542 16,421 17,075 16,855
前年比(円) -1,808 -902 479 -630 269
なんばオリエンタルホテル
Jul-18 Aug-18 Sep-18 Oct-18 累計
客室稼働率 実績(%) 96.5 96.6 72.2 96.2 92.3
前年比(%) -0.9 -0.6 -22.5 -0.4 -3.2
ADR 実績(円) 19,809 20,401 16,589 18,261 19,419
前年比(円) -1,316 -1,615 -459 -1,958 -219
メルキュール札幌
Jul-18 Aug-18 Sep-18 Oct-18 Nov-18
客室稼働率 実績(%) 88 91.9 66.1 83.1 82.1
前年比(%) -1.1 -0.6 -21.8 -1.3 -2.4
ADR 実績(円) 17,814 17,448 13,505 12,311 13,950
前年比(円) 349 955 -1,476 125 543





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ウィークリー雑感(12/16 不動産バブルへGO?)

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都心オフィスの空室率が2%(東京1.98%)を割れたというニュースがあったが、なんと、27年前のバブル期以来の低い空室率らしい。
全国のオフィス空室率を見ると、仙台は4.55%で比較的余裕がある状態だが、その他の主要都市は名古屋2.90%、大阪2.86%、横浜2.70%、札幌2.32%、福岡2.20%とすべて3%を割れた低い状態にある。
通常、オフィス需給では3%程度の老朽化した競争力のないオフィスビルがある前提で、空室率3%は強固なボトムと思われてきた。
今回、その3%を主要都市が下回り、東京は2%を割れてきた・・・優良なオフィスはほぼ満室状態にあると言っていい。
これは不動産バブルなのだろうか?

オフィス需要が強い要因として、一つは入居企業がIT企業や地方企業の東京進出と多様化してきたこと、第二にデスクワークだけでなく、社員の交流のための共有スペースやカフェテリアなどの用途が増えていること、第三にスモールオフィスの増加とコ・ワーキング・スペース(ウィーワークなど)が増加してきたこと・・・不動産のプロは指摘している。
最近の人手不足の中で優秀な人材を集めようとすると、大手町・六本木・渋谷など、東京都心のカッコいいオフィスで小ぎれいな交流スペースやカフェテリアがあるようなオフィス環境が必要になっているのでないかと思う。
人手不足感が強い(新大卒の取り合い)をしている現状では、当面、このオフィス需給のタイトな状態が続いていくと考えるのが自然な見方だ。

しかし、賃料はバブル期の過熱感とはほど遠い。
東京のオフィス賃料は平均20734円/m2で、バブル期の平均4万円以上に比べまだまだ半値の水準だ。
リーマン危機前の水準は2008年で2万2800円以上で、これまた、現状はリーマン前よりも低い。
この賃料という点ではまだまだバブルとはいえない。
ただ、賃料の上昇率を見ると、中央区(+10.4%)、新宿区(+10.0%)、千代田区(+9.33%)、港区(+7.37%)、渋谷区(+5.28%)と軒並み大幅な上昇を記録している。
特に新築オフィスはここ1年で+10%と二けた上昇していおり、いよいよ、バブル的な上昇期に入り始めたのでないかって感じがする。

2019年は、オフィスの新規供給も40万m2と2018年の60万m2から大きく減少するので、東京のオフィス需給はタイトな状態が続くと予想されている。
オフィス需要は強くしかも供給が限定的とするならば、なんか、久しぶりに不動産バブルが近づいてくる音が聞こえるようだ。
ちなみに2020年の新規オフィス供給は70万m2で供給が増加する・・・2020年は正念場になるが、その前の2019年は「バブルへGO」かもしれない。



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万博はオワコンだが、大阪は復活する


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大阪万博が決まった。
団塊世代のオジサン・オバサンは、50年前の記憶を呼び起す東京オリンピック+大阪万博の連続開催に異様な反応を示しているが、実際、オリンピックは別にしても、万博は自体はオワコンだ。
オリンピックは人々の記憶に鮮明で、おそらく、多くの日本人が、リオでしょ、その前はロンドンでしょ、さらにその前は北京でしょ、その前はアテネ・・・と多くの人が覚えているはずだ。

でも、万博となると、ちゃんと言える人は少ない。
前回はミラノだが、全く話題にならず何を展示したのかも全く覚えていないし、その前の上海は中国人が大挙して大行列を作り話題になった記憶はあるが、お祭り騒ぎをしていたのは中国人だけで日本人や他国では全く話題にならなかった。
その前はなんと日本で・・・愛知の地球博だったが、これまた覚えが全くないし、ワシの周りで愛知万博を見に行った人は全くいなかった。

それほど万博はオワコンで、19世紀ならばパリの文化の香りが漂う万博が開かれエッフェル塔が作られたかもしれないが、21世紀のデジタル情報時代で存在理由を問われるぐらいのイベントだった。
まして、大阪湾の埋め立て地を使い数千億円という大金をバラまいて行うというが、隣には統合リゾートのカジノが立ち並ぶ中で行う、カジノ万博は子供たちに夢を与えられるのだろうかも大いに疑問だ。
子供たちにとっては大阪といえばユニバーサルスタジオで、万博よりユニバーサルスタジオに家族連れが集まってしまう可能性だったある。

しかし、大阪は別の意味で発展の余地が大きく、大阪の再開発が大規模で今後進むと思っている。
東京は湾岸の元倉庫街も高層ビルに変貌し、六本木・赤坂・虎ノ門の高級オフィス地域の再開発、新宿・品川・渋谷のターミナル駅中心の大規模な再開発がすでに進んでいる、なんか開発され尽くされた感が強くなってきた。
一方、大阪はここまで経済が停滞してきたため、再開発も湾岸開発も行われてこなかった。
逆にいえば、再開発の可能な地域が広く、今後一変するような再開発の余地が大きいといえる。
関西空港からの訪日外国人が急増している現在、大阪は大きなチャンスを迎えていると見ている。

大規模オフィスビルである、東京の六本木ヒルズと大阪のツイン21の比較をしたが、ツイン21の鑑定価格がこの5年で20%も上昇していた。
鑑定価格は当然建物の減価償却分を考慮しての価格であり、その20%の上昇は実質的な資産価値の増加であり、大阪地域にとっては大きな意味がある。
一方、築年数の若い六本木ヒルズの鑑定価格は同じ5年間でわずか5%の伸びだった。
これからも分かるように、大阪地域の再開発のポテンシャルは大きそうだ。
大阪を見くびってはいけない。






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六本木ヒルズとツイン21(後編)

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前回は東京都心の六本木ヒルズを取り上げたが、今回は大阪のビジネスパークにあるツイン21を考えてみたい。
1986年竣工でちょっと古いが、高層のツインタワーで大阪ビジネスパークのランドマークだ。
パナソニックが建てたビルだが、現在は、MCUB-Midcityリートが所有しているので、六本木ヒルズと同様に詳細開示が行われる。
東京と大阪の違いを考えるのにピッタリの物件なので取り上げてみたわけだ。

まず、同じように数字を見てみよう。
賃貸面積 算定価格 帳簿価格 算定/面積
2014年12月 82396 46000 67813 0.56
2015年6月 82313 46000 67553 0.56
2015年12月 82313 47400 67156 0.58
2016年6月 82313 48700 66760 0.59
2016年12月 82304 49500 66471 0.60
2017年6月 82304 51700 66248 0.63
2017年12月 82304 54500 66131 0.66
2018年6月 82304 55800 65985 0.68
面積はm2、価格は100万円、

前の六本木ヒルズ森タワーより分かりやすいというのも、賃貸面積が変わっていないので鑑定士の算定がストレートに変化率となって現れるからだ。
算定価格のこの間の上昇率は∔21%と、東京の六本木ヒルズ森タワーの+5%に比べてかなり高い。
六本木ヒルズでは賃貸面積が増加していたのでその分上昇率は低めに出ることなどの条件や鑑定士の質などに多少の違いがあるとは思うが、この5年間に大阪の物件価値が大きく増加していたのは間違いないだろう。

公示地価などの統計でも地方都市の地価上昇が明確になってきているので、この結果も受け入れやすいだろう。
大阪の不動産価格の方が東京よりも上昇率が高いということだ。
一方、このMCUB-Midcityのツイン21の帳簿価格が算定価格より低く、含み損が出ている状態だ。
これは過去10年~20年では大阪がバブル崩壊の影響を大きく受けてきたので不動産価格の下落はむしろ東京より大きかったのが理由じゃないかと思う。
帳簿価格は毎年の減価償却で下がっていくので、算定価格の上昇と帳簿価格の低下で含み損は大幅に改善されてきている。
マネージメント会社のMCUBへの変更後、大坂中心からバランスの取れた不動産ポートフォリオに変えたこともプラスに働き、MCUB-Midcityの投資口価格は森ヒルズと違ってこの5年で80%ぐらい上昇している。
しかし、分配利回りは6%と高く、依然として魅力的な水準にある。
これはこの夏の物件入れ替え(松下IMPとMID京橋の売却、横浜アイランドタワー取得)による影響もあるが、大阪という地域特性も反映されていると理解している。
大阪、強し・・・・だ。



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六本木ヒルズとツイン21(前編)

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六本木ヒルズ森タワーは2003年にオープンし、一時観光名所にもなった複合施設だが、多くの外資系企業や大手企業が入居しているオフィスビルでもある。
東京の中心でもある地域の大規模開発であり、都心型オフィスの代表的指標ともいえる。
森ビルによって開発されたが、現在森ヒルズリートが部分所有しているので、リートの開示資料を見れば、普通手に入らない詳細資料を見ることができ、ビルの価値の変化がいろいろな事が分かる。

森ヒルズリートの決算短信から拾った数字が次の通り。
賃貸面積 算定価格 帳簿価格 取得価格 算定/面積
2014年1月 17602 54200 46999 47590 3.08
2014年7月 17602 53900 46828 47390 3.06
2015年1月 21482 66400 56531 57280 3.09
2015年7月 21482 66100 56331 57280 3.08
2016年1月 25942 80900 68108 67280 3.12
2016年7月 43041 134300 114076 115380 3.12
2017年1月 43041 134900 113638 115380 3.13
2017年7月 43041 134900 113323 115380 3.13
2018年1月 43041 134800 112900 115380 3.13
2018年7月 43041 138500 112621 115380 3.22
面積はm2、価格単位100万円、各期の決算短信より。

賃貸面積を見ると、2015/1期、2016/1期、2016/7期に親会社の森ビルとの優先契約により部分所有を増やしているのが分かる。
不動産鑑定士による算定価格は542億円から1382億円に増加しているが、面積も増えているため面積当たりの算定価格に直すと、2014年の308万円から2018年に322万円に上昇していた。
算定価格は2014年から2018年までの10期5年で5%の上昇ということで、よく言われるような「東京都心のバブル」的な急上昇はしていないことが分かる。
もちろん、時価でオフィス部分を買い増しているため上昇率が小さく見えることもあるだろうし、森ヒルズリートの不動産鑑定が保守的な見積りをした可能性もあるが・・・

森ヒルズは森ビルから優先的に物件供給を受けているので、都心5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿)の物件が全体の93%を占めるピカピカの典型的な都心型オフィスリートだ。
保有物件は同じ地域の物件が中心で、六本木ヒルズだけではなく他の都心物件でも不動産価値は順調に増えているはずだ。
つまり、東京都心ではバブルというにはほど遠い、ゆっくりした不動産価値の上昇が続いている良い投資環境にあるといえる。
しかし、その間の森ヒルズの投資口価格は14万円程度でほぼ横ばいだったあので、分配金の利回りは3%から現在の4%に上昇している。



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ウィークリー雑感(11/11不動産詐欺とJリート)

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今年は不動産詐欺が話題になった年だった。
まずは、「かぼちゃの馬車」だが、シェハウスの運営会社が借金でシェアハウスを建てれば安定した賃貸料が稼げるという甘言で、不労所得を得ようとした投資家をうまく誘い込んだのはいいが、空室を埋められずキャッシュフローの不足で最後は破たんしてしまったという事件だ。
ここまでは詐欺なのか?単なるビジネスの破たんなのか?分からないが、スルガ銀行が無理やりな融資をして投資家を借金だらけにしてしまったところに詐欺的な臭いはする。
不動産のいろいろな問題をすべて含んでいるだけに勉強になる事件だ。(詳しくは当ブログ不動産編を参照)。

また、もう一つ世間を騒がせたのが、五反田の土地をめぐる地面師による詐欺事件だ。
これはプロ中のプロの仕業で、だまされたのが住宅・不動産の大手である積水ハウス、しかも55億円という規模の詐欺だった。
五反田の物件は元旅館で駅に近い希少な土地なので、積水ハウスも他の業者が入ってくる前に早く決めたかったため、地権者に「なりすまし」おばさんに引っかかったのだろう。
慎重に土地の所有者を見極めていたら詐欺には引っかからなかったのだろうけど、そこがプロの地面師の腕だったのだろう。

こうした不動産取引に対する不信感が東証のJリート指数にも反映されているようだ。
リート価格はこの3年間弱含み、分配金利回りは2014年3.02%から現在の4.13%に上昇し、NAV倍率は2014年1.57倍から現在1.06倍と低下してきた。
不思議なのは、この間、地価もオフィス価格も値上がりし不動産のCAPレートが低下しているにもかかわらず、Jリート価格が下落し利回りが上昇していることだ。
実物の不動産市場は好調なので本来ならばJリート価格も上昇してもおかしくはない。
でも、分配金利回りは大きく上昇しNAV倍率はどんどん低下してしまったというわけだ。

  J-REIT市場 東証REIT指数(配当なし) 投資口価格関連指標
銘柄数 時価総額 指数 騰落率(対前年) 予想分配金利回り NAV倍率
2013 43 7,614,443 1,515.01 35.91% 3.60% 1.38
2014 49 10,578,436 1,897.92 25.27% 3.02% 1.57
2015 52 10,560,331 1,747.54 -7.92% 3.42% 1.30
2016 57 12,123,315 1,855.83 6.20% 3.52% 1.24
2017 59 11,475,087 1,662.92 -10.39% 4.19% 1.03
2018 61 12,923,643 1,777.18 6.87% 4.13% 1.06
各年は年末値、2018年は10月末値

Jリートは不動産取引の中では珍しく毎日売買され、毎日評価が表示される特殊なものだ。
だから、不動産を取り巻くセンチメントがJリートの取引価格に反映されやすいといえる。
Jリートの価格下落は不動産市場への懸念を映しているのだろう。
不動産詐欺などが増えて不動産投資にネガティブな雰囲気が作れていることも影響しているだろうし、不動産ブームの過熱懸念で都心を中心とした地価上昇で今後値下がりに対するリスクを感じている人が増えていることもあるだろう。
さらに主に米国での金利上昇とはいえ、国内の貸出金利もジリジリと上昇しているので、金利に敏感なリート価格は反応しているかもしれない。
実際には不動産向けの融資はまだゆるい状態で貸出金利の上昇が実際に不動産市場に影響しているとは思えないが、Jリートは実物以上に敏感な市場だ。

この好調な実物不動産市場と懸念を織り込むJリート市場の違いがどう修正されているかは興味があるところだ。



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リートの分散投資を考える(7その他セクター)

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リートの分散投資を考えるコーナーの最終回だ。
今回は主要なサブセクターであるオフィス、物流、ホテル、商業を取り上げてきたが、今回はそれ以外のサブセクターを取り上げてみたい。

リートのサブセクターは多様なリスク特性を持っている。
サブセクターの中心であるオフィスリートはオフィス街のプライム・ロケーションにあるオフィスビルの投資するので、土地の価値も高く変わらないしオフィスビルとしての競争力も高い不動産が中心になる・・・もっとも安定した不動産投資の王道だ。
物流リートはEコマースの潮流に乗り急成長する物流需要をベースに物流拠点を増やしているし、ホテルリートは今の日本の国策である観光立国の流れに乗り成長を続けている。
前回の商業リートも郊外型の大型商業施設か都心型のプライム商業施設かの違いがあるにしても、GDPの60%を占める個人消費の中心である不動産であることは変わらない。

その他では最近流行なのはヘルスケア・セクター、これは介護施設の建物・敷地を保有し、介護オペレーターに貸し出すリートだ。
団塊世代が70歳台になり介護サービスの需要が増加していることが背景に、介護ビジネスの注目度が高い。
しかし、不動産自体は郊外や地方にあり、不動産価格は低位安定で大きな成長は見込めない。
介護ビジネスが収益化している時はいいが、一旦稼働率が下がると田舎の土地と建物だけに値段が低く、売却しようにも売れない状態になることも考えられる。
このあたりのリスクを織り込む形で分配金利回りが高いが、短期収益を中心とした運用対象だろう。

また、レジデンシャル(住宅)リートも大きなサブセクターだ。
しかし、個人投資家はワンルームマンション投資もできるので、あえてリートでレジデンシャルを買う理由が見当たらない。
住宅・マンションならば、リートでなくても、自分で実物投資ができるし、その方が高い利回りを実現できる。
さらに税金面でも減価償却を使えるので有利だ・・・このへんの事情や税金面についてはワンルームとリート投資を比較した「素人の不動産投資(全8回)」で詳しく書いたので、参考にしていただきたい。

その他、総合リートと呼ばれるセクターもある。
これはその名のとおり、様々なカテゴリーの不動産に投資するリートで、オフィス、物流、商業、ホテル、住宅などに総合的に投資する。
それぞれのサブセクターの解説で理解されたと思うが、リスク/リターン特性、地域的な分散、不動産市場の特徴などいろんな要素が複雑に絡んでいる。
だから、総合型と一口にいっても中身はそれぞれ大きく違い、比較評価は簡単ではない。
もし1銘柄のみ保有するというならば、多様な物件を組み入れている総合型リートを買うのがいいかもしれない。
だけど、リートのサブセクターで分散投資をするとしたら、総合型リートはリスクの見極めが難しく、分散ポートフォリオに組み入れるのは避けるべきと思う。
分散ポートフォリオでは安定性のある都心中心のオフィスを中心に、訪日観光客で盛り上がるホテル、景気敏感な物流や商業を組み合わせていくのが基本だ。



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