株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版のeBook「株式需給の達人 基礎編と投資家編」を出版しました。
需給を制する者は投資を制す!

株式需給の話

主役はいつ戻るのか?

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株式需給を考える面白い素材があったので、これを話題に考えてみよう。
これは2/14に日経の編集委員、鈴木亮氏が「主役はいつ戻るか?」というテーマで外人投資家の動向と株式市場見通しを解説した。
・・・要約すると・・・
「株式市場の主役は保有で3割を占め、市場売買の6割を占める外人投資家だ。彼らが買わないから日本株は上昇しない。3月の全人代以降、外人投資家が日本株に強気になって買ってくるだろう。4月が相場の転換期になる。」

その最大の間違いは、外人投資家を一括りにして捉えていることだ。
外人投資家は日本株の3割以上を保有しているが、この中心は欧米の巨大年金、世界のソブリン・ウェルス・ファンド、グローバル・インデックス・ファンド、ミューチャルファンドやETFなどの長期投資家たちである・・・3割の保有のうち大部分は彼らによって保有されている。
特に最近ではグローバル・インデックス・ファンドが急速に巨大化し、おそらく数百兆円規模に膨れ上がっているはずだ・・・となると、その7~8%が日本株に投資されているので、数十兆円は彼らによって保有されている。

欧米の巨大年金はインデックス・ウェートで日本株は保有していると思うが、アベノミクスが色あせて以来、日本の経済ファンダメンタルから日本株には強気になっていない・・・オーバー・ウェートにする理由がないし・・・はっきり言って日本株には興味なしだ。
産油国などのソブリン・ウェルス・ファンドも一時、日本株の小型株に興味を示しドカンと買ってきたことがあったが、それも一巡した・・・原油価格の下落もあり、日本株をオーバーウェートにするとは考えにくい。

一方、市場売買の6割を占めている外人投資家は、先物中心の短期売買しているCTA、グローバルマクロやイベントドリブンのヘッジファンド、市場価格の歪みを収益化するアルゴリズム投資家、先物と現物の価格差を取るアービトラージ投資家などの短期投資家たちだ。
ここ1年で日本株を売買しているのはCTA、マクロ、イベントドリブン、アルゴ、アーブがほとんどだろう。
昨年9/13に「巨大ファンドが動いているのは間違いない」、9/22に「先週の株式需給を読む」を書き、外人の巨大ファンドが動いていると分析した。
これらの外人買いも明らかにCTAやヘッジファンドの急激な動きだった。

こうしたCTAやヘッジファンドの外人投資家は一旦動き出すと激しく売買し、市場価格を自分の思い通りに動かそうとする。
昔、ジョージソロス・ファンドの運用担当をしていたファンドマネージャーは、「日本市場は楽だ。大口売買を成行で入れて1%の価格を動かせば、あとは国内投資家が追随してくる。」と言い放った。
でも彼らは短期収益を上げると、一転売り越して収益を実現化してしまう・・・長期的には市場には中立な投資家たちだ。

長期的に米国株式に対して日本株が出遅れていくのは、欧米巨大年金やSWFなどの長期投資家が日本をアンダーウェートしているのが大きな理由だろう。
一方、時折見られる大口の外人買いは基本的にCTAやヘッジファンドなどの短期投資家で、市場で話題になるのは彼らが動いている時だ。
ファンダメンタル分析を基に保有を決める年金・SWFが今の日本株を買うとは考えにくく、逆にCTAやヘッジファンドが買うのは、日本株の出遅れが極端になった時・・・たとえば、NYダウが3万ドルを越えて上昇したのに、日経平均が2万3000円台だったら仕掛けが入るかもしれない。

外人投資家についてもっと知りたい人は、以下の「株式投資の達人(投資家編)」を是非読んでいただきたい・・・実際に顧客訪問した実話を基に書いた本です・・・読んでね。


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ウィークリー雑感(1/19 アクティブの死)

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ヘッジファンドリサーチから衝撃的な数字が発表された・・・昨年のヘッジファンドのパフォーマンスだ・・・以下の表だが、ヘッジファンドの戦略別に昨年のパフォーマンスと今年の年初来のパフォーマンスを示したものだ。

列1 CY2019 20201月
イベントドリブン 10.00% 0.90%
マクロ/CTA 4.80% 1.20%
ロング/ショート 10.70% 0.20%
市場中立 -1.90% -0.40%

若干の説明を加えると、イベントドリブンは企業合併を利用した取引、増資や株式分割などの資本政策を利用した取引、株式指数の採用やウェート変更を利用した取引などだが、基本的にロングなので株式市場が上昇する局面ではそこそこのパフォーマンスが出てくる。

マクロ/CTAは指数先物やオプションを使う場合が多く、現物株を組み入れるケースが少ない・・・だから、やはり、市場が上昇し先物が動く場面ではパフォーマンスが上がる。

ロング/ショートは買いたい銘柄をロング/売りたい銘柄をショートにするが、完全に市場中立ではなく、ショートに比べてロングの比重が大きい・・・だから、市場が上昇する時にはパフォーマンスが上がる。

問題は市場中立(マーケット・ニュートラル)だ・・・これは買いたい銘柄をロングにして、その同等の金額の先物をショートにして中立化する・・・買いたい銘柄が株式指数より上昇すればパフォーマンスが上がるというわけだ。
この市場中立だけパフォーマンスがマイナスになっているのを見ると、買いたい銘柄のパフォーマンスが指数を下回った・・・つまり、アクティブに選んだ銘柄がダメだったということになる。
ヘッジファンドのアクティブ銘柄選択がダメだったということは、他のアクティブ運用者にとっても厳しい市場だったかもしれない。
そこで日本の公募投信で調べ、アクティブ運用全体はどうだったのか考えてみたい。

ファンドのパフォーマンス比較が簡単にできる三井住友DSアセットのサイトで確認してみた。
過去1年でパフォーマンス比較してみると・・・SMAファンダメンタルアクティブ(これは機関投資家向けの運用をSMA向けに公募投信化したもの)が+17.92%、同社のインデックスファンドであるSBインデックス225が+21.35%であり、4%ほど負けている。
参考までに(運用会社サイトが異なると比較がやや難しいが・・・)、日興アセットの日本株アクティブ・Jオープンは過去1年で+18.63%と、やはり、SBインデックス225を下回っている。

もちろん、アクティブ投信は運用報酬が高いのでその分パフォーマンスが低く出ている可能性がある。
しかし、こうした要素を含めて考えても、米国のヘッジファンドも日本のアクティブ投信もインデックスに勝てないのは、否定しえない事実なのだろう。
アクティブ運用の死をいえる状況がしばらく続く可能性がある。

最近業績下方修正したファストリと良品計画・・・ファストリは下方修正した当日は下がったがその後上昇、一方、良品計画は下方修正から下がりっぱなし・・・そして、ファストリは最大の225インパクト銘柄、一方良品計画は225非採用銘柄だ。
アクティブ運用の不振とともに運用資金がアクティブからパッシブ(インデックス運用)に一段と流れ、さらにTOPIXから日経225に流れているということかもしれない。


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11月グローバル投信に大幅な資金流入

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11/24のウィークリー雑感で「6週連続の外人買い」というブログを書いた・・・今回の6週連続の海外投資家の買いは、SWF(国家ファンド)や海外年金ではなく、グローバル投信ではないかという推測だった。
その後、2週間経ち、11月のグローバル投信の資金流入が確認された。

三井住友DSアセットがレポートしている数字を使った。
まず、全体のグローバル投信の資金流入は+1036億ドルで、10月+1028億ドルに続き、資金流入となった。
その内訳では、MMFに+372億ドル、債券ファンドに+339億ドル、株式ファンドに+350億ドルとなっている。
特に株式ファンドは10月の144億ドルの資金流出から一転、大幅流入に転換した。
その中ではグローバルファンドに+135億ドルの流入、10月は+22億ドルの流入だった。

11月は世界全体で株高が起こり、NY市場が新高値を更新し、欧州でもフランスCACが新高値に取った・・・その他、欧州、アジアでも株高となり、日本も日経で2万3000円を越えた。
この世界的な株高の原動力の一つは、CTAなどのトレーダーが株式のウェートを引上げたことだろうし、グローバル投信への資金流入が拡大したことも要因の一つだったというわけだ。
株式ファンドのうちグローバルファンドに135億ドル流入したということは、円ベースで1兆5000億円、その10%弱が日本株に配分されたとすると1000~2000億円の日本株の買い需要になった計算だ。

しかし、一方、国内の投信の資金流入状況を見ると、国内株式投信は3158億円の流出、国際株式投信も1819億円の流出と運用資金が減少・・・バランス型のみ1572億円の流入となった。
バランス型はNISAやiDeCoで組入れられる投信が増えているのに加え、先物を使ったグローバル3倍3分法ファンドが販売好調だったと報じられている。

ここに大きな差が見える・・・つまり、グローバルには株式ファンドの資金が急増しているのに、国内では株式ファンドから資金が逃げている。
日本株投資には(1)国内投信よりグローバル投信の資金需給がより大きく影響する、(2)レバレッジ型バランスファンド=現物株を組み入れず先物に投資する資金が増加し、現物よりも先物の動きが重要になっている、(3)個人投資家は相変わらずの逆張り投資が続いている。
この三点には今後も注意しておく必要がありそうだ。


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自社株買い、「やるやる詐欺」を許すな!

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自社株買いは、大きな、そして安定的な株の買い需要として投資家の注目を浴びている・・・しかし、日本の企業経営者には自社株買いを発表すれば株主は満足する、実際にやる必要はないという株主軽視の態度も多く見られる。
日本の経営者は本音では従業員や取引先などよりも重視し、「なんで俺たちが株主に気を使わなければならないのか?」ぐらいしか思っていない。
株主=主権の理解が進んでいないからだ・・・こうした意識が垣間見れらるのが、実は自社株買いだ。

今年は多くの大企業が1000億円以上の大規模自社株買いを決めた・・・しかし、その発表金額の10分の1しか実行していないケースも見られる。
自社株買いの発表時には最大株数と最大金額が決められており、株価水準によって変わるものの最大株数か最大金額のどちらかは達成すべき、株主との約束=コミットメントだ。
自社株買いの実施状況を正確に把握し、「やるやる詐欺」だとしたら株主総会で経営者を吊るし上げるぐらいの対応をすべきだろう。

今年の大規模自社株買いを調べてみた。
NTT・・・自社株買い枠5300万株/3000億円、それに対して実行額は4898万株/2510億円・・・枠に対して実行率は92%(株数)、83%(金額)だった・・・つまり10%程度は「やるやる詐欺」だったわけだ。

KDDI・・・自社株買い枠7300万株/1500億円、それに対して実行額は649万株/190億円・・・つまり、枠に対して実行率は9%(株数)、12%(金額)・・・つまり、9割は「やるやる詐欺」だった・・・自社株買い期間は12月までなので、あと1か月あるが・・・場合によっては酷い「やるやる詐欺」になるかもしれない。

大和グループ本社・・・自社株買い枠5000万株/300億円、これに対して実行額は5000万株/250億円・・・株数では100%達成・・・「やるやる詐欺」の汚名は避けた、自社株買いの優良企業だ。

しかし、同業の野村証券・・・自社株買い枠3億株/1500億円に対して、実行額は3492万株/190億円と実行率は10%に過ぎない・・・まだ、自社株買い期間が来年3月まで残っているが・・・

トヨタ・・・自社株買い枠3400万株/2000億円に対して、実行額は322万株/251億円と実行率は低い・・・自社株買い期間は来年3月までなので今後の推移を見守りたい。

三井住友ファイナンシャルG・・・自社株買い枠3200万株/1000億円に対して、実行額592万株/226億円と、2割しか実行していない・・・自社株買い期間は終わっており、つまり、8割は「やるやる詐欺」だ。

東京エレクトロン・・・自社株買い枠1400万株/1500億円に対して、実行額は74万株/166億円と、実行率は5%(株数)11%(金額)と、マジ「やるやる詐欺」企業だ。

NTTはさすがに枠の実行率90%で「やるやる詐欺」とはいえないし、大和証券グループ本社はほぼ100%実行した・・・中田社長、さすがだ。
しかし、三井住友FG、國部さん、「やるやる詐欺」決定!!
KDDIの高橋さん、ほぼ「やるやる詐欺」確定しそう(自社株買い期間12月まで)、同じく、当東京エレクトロンの河合社長も12月までになんとかしないと「やるやる詐欺」企業だ。

バイサイドのファンドマネージャーやチーフ・インベストメント・オフィサー諸氏、来年株主総会までに自社株買いデータベース構築し、こうした「やるやる詐欺」企業の株主総会では、経営陣にきちんと「何故、やるやる詐欺の自社株買いをしたか?」を徹底に問うべきだ。
そうしないと、日本企業の経営者の株主軽視がいつまでも続くことになりかねない。


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日銀ETF、出口はどうなる?

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日銀が今年9月末の財務諸表をHPで開示した・・・もちろん、注目は量的緩和で買った株式指数ETFやRIETのETFの残高等の数字だ。
株式指数ETFの残高(簿価)は27兆6213億円で、前年比+5兆8180億円と、大体、日銀の予定通りの買入れ額がだった。
そして、REITのETFの残高(簿価)は5293億円で,同じく前年比+374億円だった。

・・・損益状況も開示している。

  簿価 時価 損益
株式指数ETF 27兆6123億円 31兆6112億円 3兆9898億円
REIT・ETF 5293億円 7463億円 2112億円

日銀のETFは時価ベースでおよそ31.6兆円となっている。
株式市場が上昇基調である限り、これ以上の買入れはしないかもしれない・・・下がれば買うという方針になるだろう・・・ちなみに日経平均18000円程度が損益分岐点になるようだ。
ここまでは市場の下支え要因として日銀のETF買いを歓迎してきた投資家も、これ以上の日銀の買いを期待するより、その出口をめぐって不安感を増長させることにもなりかねない。

もし31兆円ものETFを市場売却したら、市場はパニックになる・・・でも逆に、永遠に日銀が買い続けたら市場の歪みも大きくなる。
日銀のETF買いによる歪みを簡単に列挙すると・・・
1)日銀の買いは市場の時価総額の5%に達しているので、多くの企業で5%以上の保有株主になってくる・・・モノを言わない日銀はコーポレート・ガバナンスを後退させてしまう懸念がある。
2)本来は市場を退出すべき悪い会社でもインデックス買いにより株価が支えられてしまい、市場の新陳代謝が疎外される・・・その結果、ボロ会社ばかりになり、市場としての魅力を大きく失ってしまう。
3)日経225に採用されているファストリなどの一部の値嵩株などに強い上昇バイアスがかかる・・・値嵩株やインデックスウェートの高い銘柄が割高になり、銘柄間の格差が拡大する。
・・・などなど、枚挙にいとまがない。

だから、日銀も永遠に株式指数ETFを買うわけにはいかない・・・では、量的緩和の出口では、この保有ETFをどうするのだろうか?
金額が大きいだけに選択肢は限られてくる。
考えられる線としては・・・
①放っておく・・・つまり、日銀の資産として永遠に保有する。
②GPIFなどの年金基金に買ってもらう。
③外為特別会計を国家ファンドに組織変更し、国家ファンドで日銀ETFを買う。

①の放置策だが・・・いつまでも日銀のバランスシートで保有すると、いつか来る株式暴落時に日銀に大きな損失が出る可能性があり、その場合日銀の信用を傷つけ信用不安を起こす可能性がある。
また、②について・・・年金基金の日本株パッシブ運用に組み入れるためには、日銀ETFを買い取ると同時に同金額の既存のパッシブ運用が解約されることになり、結局、株式市場にパニックを起こす。
一番市場に影響が少ないのは、③の外為特会をシンガポールのGICや中国のCICのように国家ファンドに衣替えをすることだろう。
外為特会は前年度末で146兆円の残高があり、大半は米国債で運用している・・・31兆円のETFを買う余力は十分にあるだろう。
しかし、米国債を売ることになり、トランプ大統領が何をツイートするかわからない・・・安倍さんはこれを怖がるかもしれない。


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ウィークリー雑感(11/24 6週連続の外人買い)

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海外投資家による現物と先物の両方買い越し(合計はなく現物と先物のそれぞれの買い越し)が6週連続したというニュースが流れている。
確かに10月に入ってから、海外投資家は東証でずっと買い越しで日本の株価も上昇してきた。
過去の海外投資家の連続買い越しには、「たいだい5~6週で3~4兆円を買い越すと一巡してくる」という経験則がある。
その経験則に照らすと、そろそろ買い越しが止まるかもしれない・・・でも6週以上続く可能性も否定できない・・・なんとも見方が分かれてくるところかもしれない。

当ブログでは、9/13に「巨大ファンドが動いているのは間違いない」を書き、海外のパッシブファンドの買いである可能性を指摘した・・・さらに9/22に「先週の株式需給を読む」でその海外投資家の動きが東証の需給表に表れたとして若干の分析を行った。
9月には海外投資家に大きな変化の兆しが出ていたというわけだ。
でも、その後、重要な変化も出てきているので、もう一回、海外投資家の動きを考えてみたい。

今回の海外投資家は、おそらく従来型の巨大ファンド・・・ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)や海外年金ファンドではないと考えられる。
原油価格も50~60ドルで安定し産油国のSWFが動いている感じはしない・・・サウジはアラムコを安い値段で国内上場させるぐらいであり財政状態が苦しいだろう。
海外年金ファンドは基本的にファンダメンタルズにそった運用をするので、現局面で大きなアロケーションの変更をしてくるとは考えにくい。
となると、以前に推測したように海外の巨大パッシブファンドのリバランスと考えるのが一番現実的だ。
・・・海外投資家について詳しく知りたい人は、拙著「株式需給の達人(投資家編)」を参考にしてください・・・買ってね。

一つの要因がパッシブ投信への急速な資金流入だ。
2019年は米国でパッシブ投信残高が4.27兆ドル(460兆円)と、アクティブ投信の残高4.24兆ドルを始めて上回った年となる・・・しかも、資金フローではアクティブ-1241億ドルと流出だったのに対し、パッシブは+889億ドルと流入超過で好対照となった。
このパッシブファンドへの資金集中とともに、日本株にも資金が配分されてきた可能性がある。
パッシブ投信では最大のベンチマークがMSCI-ACWI(オールカントリーワールド、アクウィと読む)であり、このベンチマークでは日本は7.5%のウェートがある。
パッシブ投信への資金流入が続くと、その一定割合で日本にも資金が入ってくる仕組みになっている。

もう一つ考えられる要因が、日本株のアウトパフォームだ。
9月末から11月20日のパフォーマンスを見ると、MSCI-ACWIが+4.43%、S&P500が+4.42%であるのに対して、ドル建て日経平均は+5.85%と、MSCI-ACWIやS&P500の上昇を上回っている・・・ちなみにNYダウは+3.37%にすぎない。
ドル建て日本株が相対的に強い(MSCI-ACWIの日本株ウェートが上がる)ので、パッシブ投信のファンドマネージャーにはその分追加で買う必要が出てくる。

もう一つ忘れてならないのがCTAなどのトレーディング会社だが、彼らが日本株のアンダーウェートやネットショートを買い戻したことも日本株上昇の大きな原動力になった。
しかし、彼らは先物中心に激しい売り買いをするものの、中長期ではポジションをスクエア(中立)にするトレーダーであり、中長期の需給にはあまり影響しない。
したがって、今後も海外投資家の買いを続くかどうかと判断するには、海外のパッシブ投信への資金流入と、日本株とMSCI-ACWIのパフォーマンス格差を見ていかなければならないだろう。


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日銀ETFの貸し付けで変わる市場

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日銀が量的緩和で購入してきた株価指数ETF・・・それを貸し付ける制度が始まる。
日銀の保有する株式指数ETFは30兆円にも達しそうなレベルで、これを利用して貸し株料をしっかり稼ぐことは国民資産の有効利用としても注目される。

基本的なETFの仕組みを振り返ってみよう。
巨大投資家がETFを買おうとして市場に大口買いを発注する・・・すると、マーケットメーカーが手持ちのETFを売却して顧客の買いに対当する・・・あるいは、マーケットメーカーがETFをショートして対当する・・・という二つの方法がある。
もちろん、手持ちのETFがあれば全く問題もなく、市場で売買が成立する・・・しかし、手持ちがなく、ショートして顧客の買いに対当する場合にはちょっと工夫がいる。

そのマーケットメーカーがETFをショートした場合だが、マーケットメーカーが株価指数の先物を買ってポジションを中立にする、あるいは、マーケットメーカーが現物株バスケットを買って、ETFを発行している投信会社にその現物株バスケットを持ち込み、株価指数ETFと交換し、ポジションのショートカバーをする・・・という二つの方法がある。
そして、今回の日銀のETF貸し付けだが、全部で30兆円にものぼる日銀保有のETFをすべて貸し付けに使えるとしたら、マーケットメーカーは簡単に、そしてほぼ無制限にショートを振れることになる。
つまり、ショートを振った後、市場で現物株バスケットを買い、ETFと交換する手間が省ける・・・マーケットメーカーには非常に便利なツールとなる。

でもよく考えれば・・・投資家のETF買いに対して、マーケットメーカーが市場で現物株バスケットを買う必要もなくなる。
つまり、日銀やその他の投資家のETF買いが巡り巡って市場での現物株の買いにつながっていたものが、今後はなくなるということだ。
マーケットメーカーは流動性の高い指数先物によってポジションを調整すればいいだけになる。
その結果、現物市場の流動性がその分減少するかもしれない。
もちろん、現物市場では多くのプレーヤーが多くのトレーディングを行っているので、日銀の買いがなくても高い流動性は維持できるだろう。
でも、株価が下落すると日銀のETF買いを期待する向きには期待外れになるかもしれない。


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ウィークリー雑感(9/22 先週の株式需給を読む )

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9月5日から日本株は上昇基調に入った。
その最も重要な週(9/9~9/13)の投資主体別売買状況が東証から発表された。
物凄い数字が並んでいて見ているだけでも興奮してしまうような結果だった・・・が、読み方はかなり難しい。
読み方の基本はKindle版のEブック「株式需給の達人(基礎編)」で解説しているので、興味のある方は是非、アマゾンで買っていただきたい・・・500円程度買える。

さて、まず、その数字を確認してみたい・・・数字は売り金額/買い金額()内は差し引き数字。
まず現物の売買だが・・・証券自己2兆9451億円売り/3兆8524億円買い(+9073億円)、投信3298億円売り/2493億円買い(-805億円)、事法1293億円売り/3987億円買い(+2694億円)、金融機関5443億円買い/5680億円売り(+236億円)、海外8兆9526億円売り/8兆6358億円買い(-3168億円)

外人投資家は差し引き3168億円の売り越しで、多くの評論家は「外人は現物は売越しだが、先物では買越しだ」程度の解説しかしていない。
それは評論家諸氏が差し引きの数字しか見ていないためだが、はっきり言って完全なミスリードだ。
この外人投資家の8兆円を越える異常な大商いに注目すると、差し引きの数字だけでは分からない外人投資家の行動がよりはっきりと見えてくる。

そして、TOPIX先物の売買だが・・・証券自己10兆2598億円売り/9兆6739億円売り(-5859億円)、海外19兆9036億円/20兆4850億円(+5813億円)
日経225先物の売買は・・・証券自己6兆4042億円/6兆2396億円(-1640億円)、海外13兆0186億円売り/13兆5489億円買い(+5295億円)
通常は投機的なトレードで使われる日経先物の方が売買量が大きいが、先週は日経先物が13兆円売り買いで、TOPIX先物が20兆円売り買いとTOPIXの方が大きい・・・これはCTAやアルゴリズムなどのトレーディングだけでなく、巨大ファンドがTOPIX型で動いた証拠となる。

ここで考えるべきポイントは二つある。
一つは2兆円レベルに達した裁定売残高(差し引き)の動向だ。
しかし、多くの裁定ポジションはロールオーバーされ、裁定残高で確認できる数字だと1000億円程度がSQ(9/13)に解消されたに過ぎなかった。
この1000億円程度はSQ日に約定したはずだが、全く影響がなかった・・・先物売買の大きさは、スプレッド取引(先物のロールオーバー)と投機的な短期売買が原因だろう。
それ以上に株価指数の連騰で、多くの海外投資家と証券自己が売買を活発化させた結果、多くの売り買いが市場でぶつかり、自己と外人の売買を急増させた。
確かなのは、信託銀行や金融機関、その他の国内法人は全然動きがなかったことだ。

もう一つは毎日5000億円から1兆円という巨額の買いクロスが立会外で行われたことだ。
これは週合計だと3~5兆円に達する巨額な買いで、当ブログでも「巨大ファンドが動いているのは間違いない(9/13)」を書いた。
これを立証するように、海外投資家が8兆円を越える買いを行っているのが目立つ。
一方、証券自己の買いは3兆8000億円であり、この買い玉が立会外で海外投資家に移動したと想像できる。
この金額規模を見ると、おそらく、海外の巨大ファンドが動いたのは間違いない。
一方、外人売りも多いので、他の海外投資家も株価上昇を利用して利益確定に動いたのだろう。
巨大ファンドが組入れを増やし大幅な買い越しを記録した反面、他の海外投資家はこの株価上昇をチャンスとして売りを加速化させているという構図が見て取れる。

当初、この巨額の立会外クロスをGPIFなどの国内年金のリバランスと見る人もいたが、金融機関は5000億円程度の売買で、GPIFが動いた証拠はない。
というわけで、先週の株価上昇と売買高の増加は、やはり、海外の巨大ファンドによってもたらさせたと見るべきだろう。


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9月SQで株急騰・・・正しい見方は?

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ブルームバーグのニュースから・・・
・・・東京証券取引所が発表した8月23日時点の裁定残はネット(買い残-売り残)でマイナス1兆4251億円。売り残が上回るのは11週連続で、マイナス金額は過去最大。株数では約7億株のマイナスだった。
・・・みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「SQが大幅な買い越しになる可能性はある」と話す。株価指数を構成する銘柄の始値で決まるため持続的に続くわけではないが、「SQ値だけが現物の値段よりも高いいびつな形になりかねない」とみる。
・・・三井住友DS・調査部の生永正則氏は先物市場について、「投資家が売りポジションを抱えて買い戻さない状況下で、さらに売りが出ている状態」とみる。先物が理論値より割安なままにある状態の長期化が、裁定残のマイナスにつながっているというわけだ。売り方が当初予想したほど株価が下がっておらず、極端に利益が出ていないためとも考えられ、今後の見通しについてはタイミング次第で「ポジションだけでみれば反対売買で株価は上げの可能性が高い」と予想する。

現在の裁定ポジションは1.42兆円の売り超過の状態だ。
とすると、もし裁定業者がSQでポジション全解消をしたら、SQ日の朝、1.42兆円の現物株の買越しが発注され、寄付であるSQ値で買い約定する。
9月限月の先物も現物株と同じSQ値で清算されるので、SQ値がいくらであっても関係なく、裁定業者はチャラでポジション解消できる。

それでは問題・・・もし、1.42兆円の買越し注文が発注されたら、SQ日の寄付はいくら上昇するか?

みずほ証券の三浦アナリストはSQ値だけ上昇する歪な形を予想する・・・この考え方としては「ありえる話」だ。
他の投資家を考えなければ、SQの寄付で1.42兆円の買いが入れば一時的に上昇する・・・でも、買いが入るのは寄付だけなので、その後、下落して「元の木阿弥」になる。

一方三井住友DSの生永氏の「反対売買で株価は上げの可能性が高い」は大ウソ。
現実的に考えると、確かにSQ日にポジション解消の1.42兆円の買越しが発注される・・・でも、12月限月の先物価格には影響しない・・・もし、寄付き値が12月限月先物に比べ、大幅に上昇するようならば、新たな売り裁定ポジションが組まれる(先物買い/現物売り)・・・したがって、12月限月の先物価格から大きく乖離することはない・・・これが答えだ。
前日のNY市場を受けた12月限月先物の水準によってSQ日の寄付が決まる。

さらに、この裁定ポジションの動きを把握している短期トレーダーがSQ前に買いポジションを作り、SQが買越しで上昇したところで売却し利益を得ようするかもしれない。
そうなったら、買い越しなのにSQ値が全く上がらないなんて事も起こるかもしれない。
これが市場というものだ。

株式需給については評論家や専門家でさえ、トンチンカンな議論をしている・・・正しい見方・考え方を身に付けたい個人投資家向けに「株式需給の達人(基礎編、投資家編)をまとめました。
いい加減な株屋に騙されないようにするための本です・・・是非、ご覧ください。

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ストックオプションのカラクリ

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ストックオプションは、役員や従業員のやる気を刺激し、会社へのロイヤリティ=忠誠心を高めるために、あるいは、従業員を引き留めるために多くの上場会社で導入されている。
自分の経験から言うと、このストックオプションの仕組みが株式の需給に影響している=株価が上がらない一つの要因である気がしてならない。

ワシの良く知る会社では、役員や従業員にインセンティブのために毎年毎年、数百万株のストックオプションをばら撒いていた・・・さらに部長レベルで数千株、役員レベルで数万株、トップには10万株以上のストックオプションが割り当てられた・・・さらに役員退職金を廃止し、行使価格1円のストックオプションを退職金代わりに役員に分配された。
この会社を例にストックオプションの株式需給への影響を考えてみたい。

ストックオプションを割り当てた時、ストックオプションの行使時に備えて自社株買いをして金庫株を保有しておく場合と、新規発行で新株を用意しておく場合がある。
通常、新規発行すると、株式価値の希薄化(ダイリューション)を起こすので既存株主は嫌がる。
だから、自社株買いをして金庫株を保有しておく方が普通だ・・・従業員や役員の権利行使に合わせて金庫株を放出すればいいだけだからだ(会社の損益はない)。
というわけで、ストックオプションを割り当てると同時に、自社株買いで金庫株を保有するケースが多いだろう。

でも、自社株買いをした時は株価上昇要因だが、将来の株式需給に大きなマイナス影響を残す・・・これが株価の上値が重たくなる原因かもしれない。
役員や従業員にインセンティブとしてストックオプションを与える・・・と同時に自社株買いを行い、将来の権利行使に必要な株式を金庫株として保有する・・・役員や従業員が権利行使し、会社から現物株を受け取る・・・そして、市場で売却する。
株式需給を中心に考えると、最初にストックオプションの行使に対応する自社株買いで株価は上昇するが、その後、役員や従業員の権利行使で売りが増加し下落圧力になる。
しかも、株価>権行使価格の時に起こるので株価の上値を抑える要因になると同時に、行使売りは基本的に成行き売りなので、これが断続的に出てくると株価は不安定化する。
ヤバイのは、ストックオプションが毎年毎年付与されるので、10年も経つと相当な株数に増えてくるころだ・・・先の会社の例では、毎年数百万株、役員退職オプションを含めればさらに増加している・・・これが10年以上も続いているので、数千万株単位の株数に膨れ上がっているはずだ。
これが潜在的な売り要因として株価の上値を抑える。

先例の会社は、ビジネスの不振もあるが、株価は長期低迷に入りPBRは0.58倍と低水準だ。
金庫株は発行株数から差し引くのでPBRが低く出る・・・しかし、権利行使すると発行株数が増加する・・・低いPBRは将来の発行株数の増加を株価が織り込んでいるためなのかもしれない。
数千万株もの潜在的売りがあるとしたら、株価が上昇するとオプション権利行使に伴う成り行き売りが株価の上値を抑えていると思われる・・・となると、こんな株は買えない。
株を買う時は過去のストックオプションの付与実績を見ておく必要があるだろう。


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日銀ETFは国家による民間支配だ

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日銀のETF保有が増えており、国家による民間企業の保有を一部気にする人がいる。
たしかにETFというのは株式の塊りであり、ETFの保有は株式の保有と同じ意味だが・・・日銀は否定している。
この問題をもう少し考えてみたい。

毎年6兆円のETFを買い、すでに30兆円規模のETFを保有している。
そして、前回の日銀決定会合で「ETFの貸出制度」と作ると決めた。
同時に、ETFを組成する証券会社の要請があったことも黒田総裁が明らかにした。
通常、証券会社は現物市場からそれぞれのETFの対象銘柄を買い、まとまった所でETF運用会社に現物株を持ち込み、ETFに交換する。
しかし、現在の流動性が減少している市場では、証券会社からETFを組成するための市場の流動性が足りないという指摘が出たのだろう。
そこでETFの貸出制度を作れば、日銀が保有するETFを証券会社に貸出し、そのETFを日銀が買う・・・という「茶番劇」が成り立つ。
つまり、これは現存するETFをぐるぐる回すだけなので、日銀は保有ETFの2倍まで買えることになる・・・日銀:保有30兆円のETF+新規買いETF30兆円、証券会社:-30兆円のETFとなる。
でも、証券会社には借りETFの貸し株料が発生し(レートは決まっていないが・・・)、証券会社の費用を増加させる。
これってどうなの?・・・って感じだ。

黒田さんは日銀保有のETFの議決権に関して、日銀は個別企業の議決権は持たない、なぜなら、保有しているETF対象銘柄の議決権はETF運用会社にあるからだ・・・と説明してきた。
これも全くの詭弁にすぎない。
なぜなら、ETFの対象銘柄(現物株)はETF運用会社が保有しているので、日銀がETFを現物株に交換したと要請すれば、いつでも現物株に交換できるからだ。
今現在は、ETFの形なので議決権はないが、ETFを現物株に交換すれば、いつでも議決権を行使できるというわけだ。
これって、実質的に民間企業を公的機関が保有しているのと同じだ。
黒田さんがどんな詭弁を使おうが、国家による民間企業の支配が進んでいるのは間違いない。
このまま、日銀が6兆円づつETFを買い続けたら、貸出制度を利用すれば60兆円まで買うことができるし、さらに新規にETFを組成できれば70~80兆円も買えるかもしれない。
そうなったら、東証時価総額の約600兆円の10%以上を日銀、つまり、公的機関が保有する事態も十分に予測できる。

この影響を軽く見てはならない。
日銀は必要であればいつでも、ETFを株式に転換し、大株主として会社を支配できる。
そして、日銀の総裁人事は実質的に政府が決定する・・・ということは、いつでも日本政府が民間の上場会社を管理下におけるということだ。
これは実質的な国家支配だろう。



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ウィークリー雑感(3/3外人は買わない???)

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株式コメンテーターの最近の話題の一つが「外国人が買わないから、日経平均が出遅れてしまっている」というものだ。
確かにNYダウが10月高値からクリスマス暴落までの下落幅の8割以上戻しているのに比べ、日経平均の戻り率は47%と半値戻しまでいかず、出遅れが顕著だ。
しかし、これの原因を外人投資家が買わないからというのはいささか無謀な議論だ。

以下の表は東証の主体別投資家動向から数字を拾ったものだ。
Cashは現物のネット売買高、Futuresは日経平均先物とTOPIX先物の合計のネット売買高を示している。

証券自己 海外投資家 法人投資家 個人  
  Cash Futures Cash Fututres Cash Futures Cash Futures
2/12-2/15 171 ▲ 137 ▲ 61 211 143 12 ▲ 235 ▲ 62
2/18-2/22 395 ▲ 455 ▲ 7 640 ▲ 132 67 ▲ 236 28
単位:10億円、先物は日経平均とTOPIXの合計金額

この表を見ると、海外投資家は2月第2週に610億円の売越し、第3週に70億円の売越し、約700億円とわずかながら売越しで推移し、たしかに現物株は買っていないというコメントになる。
しかし、世の中、そんなに単純ではない。
重要な点は、海外投資家が先物で第2週に2110億円、第3週に6400億円の買越しを記録し、逆に自己が先物を1370億円、4550億円と売越している事実だ。
外人投資家といっても様々でアービトラージ中心のトレーダーから、スペキュレーター、アルゴリズム・トレーダー、中長期の年金基金やソブリン・ウェルス・ファンドまでいるので実は相当に複雑だ。

いくつかの仮定を置いてかんがえてみよう。
(1)スペキュレーター(ヘッジファンドなどの投機的な投資家)がアウトライト(ヘッジをしていない)の先物買いと入れた場合。
この場合、海外の先物買いに対して自己が対当する・・・直接、海外と自己のクロス取引で行うこともあるし、海外の先物買いに市場で自己が裁定取引を行う場合もあるが、いずれにしても、海外の大口買いに証券自己が対当するのが普通だ。
そうなると、約5000億円以上の自己の先物売りと海外の先物買いが市場でぶつかっていたことになり、自己は先物の売りポジションをカバーする現物買いを行ったという理屈になる・・・要は、海外の先物買いに自己が対当することで自己の先物売り、そして、それをバランスさせる現物買い(自己は傾いたポジションを取らない)が誘発された。
簡単にいうと、海外の先物買いが自己の現物買いにつながっているというわけだ。
海外は現物を買っていないが、実質的に自己の現物買い(約5000億円)として市場には影響している。

(2)アービトラージ業者が先物買い(+現物売り)を入れた場合。
この2週間の海外の先物買いは合計8500億円あり、アービトラージ業者は(裁定取引の原則で)海外の8500億円の現物売りを同時に行っているはずだ。
そうなると、海外投資家は、アービトラージ業者の現物売り8500億円に対して、その他の海外投資家が7800億円の現物買いを入れた計算になる・・・その結果、海外全体で700億円の売越しと東証の発表に合致するというわけだ。
つまり、海外投資家が実質的に7800億円の現物買いを入れていたというわけだ。

大切なことは、海外の現物買いがないからといって、外人投資家が買っていないと断定することはできないということだ。
海外から先物に買いが入っている事実から、証券自己の現物買いとして市場に出ている場合も考えられるし、海外のアービトラージ業者の売りと長期投資家の買いがぶつかり買っていないように見える(だけど、実際は買っている)という場合も考えられる。
現実の市場では様々なプレーヤーが入り混じっているので、もっと複雑に売りと買いがぶつかっているはずだが、海外の先物買いがあるということは、背後で現物株も動いている可能性が高い。
安易に「外人が買わないから・・・」と言わない方がいいと思う。


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GPIFは14兆円損したが・・・真の問題は?

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昨年10-12月期の運用結果が開示された・・・2018年4-12月の総合パフォーマンスは-4.3%で、6兆7668億円の損失となった。
おそらく、この結果に対して「なぜ、10-12月期に14兆8082億円も大損しているのか?」とか、「国民の大切な年金資産を減らした大罪だ」とか、マスコミは大騒ぎをするかもしれない。
しかし、問題はそんな所にあるわけではない。

GPIFは慎重な投資家で運用資産の8割から9割をインデックス運用をしている。
だから、その結果もインデックス(ベンチマーク)のパフォーマンスから大きく離れることはない。
日本株式はベンチマークのTOPIX配当込み指数で4-12月のリターンは-11.86%だが、実際は-11.82%で、ベンチマークより0.04%低い。
外国株式もベンチマークのMSCI-ACWI(除く日本)で4-12月のリターンは-4.88%で、実際は-5.08%とベンチマークより0.2%低い。
機関投資家の運用ではベンチマークより良いパフォーマンスが期待されるが、GPIFは日本株でも外国株でもベンチマークを下回った・・・実はわずかとはいえ、これが問題なのだ。
この結果の意味は、8~9割の部分はインデックス運用でパフォーマンスがインデックス並みだ。
ということはアクティブ運用比率を20%とすると、日本株アクティブ運用はベンチマーク比0.2%程度負けていることになり、10%だとするとアクティブ運用は0.36%インデックスに負けている計算になる。
また、外国株アクティブ比率が20%とすると1%の負け、同様に10%とすると2%の負けということになる・・・外国株のアクティブの負けが1%~2%という計算になる。
これはおそらくアップルやグーグルなどのITハイテク関連株でのやられだろう。

実は問題はここにあると思う。
ポートフォリオのわすか20%以下のアクティブ運用がベンチマークを下回るリターンに甘んじているということだ。
その原因の一つはGPIFの支払い運用報酬が超低いことかもしれない。
昨年の数字だが、運用資産平残155.7兆円に対して、支払い運用報酬は487億円で、手数料率はわずか0.03%(3ベーシス)だ・・・通常、年金基金のアクティブ運用報酬は20~30ベーシスであり、GPIFの運用報酬は極めて低い。
おそらくインデックス運用はほとんど運用報酬ゼロに近いだろうし、アクティブ運用でも0.1%(10ベーシス)以下で運用していると思われる。
運用会社から見れば、この低い運用報酬ではリスクを取って高いリターンを上げようという意欲は全くなくなる。
むしろ、インデックスに負けない程度の運用をしていれば十分で、余計なことをやってインデックスに負けたらむしろ問題になってしまう・・・という意識が強いだろう。
もちろん、GPIFからすれば国民の年金資産を守るために運用報酬を低くしているという理屈だろう・・「運用収益-運用報酬=ネット収益」だから、報酬が低ければネット収益が上がると考えているかもしれない。
でも、現実はは逆で、こんな低い報酬ならば高い運用パフォーマンスなんて出るわけがないのだ。

また、実現損と評価損を分けて開示しろというマスコミが増えるかもしれない。
個人投資家と違い、実現益/損で税金を払うわけではなく、機関投資家にとっては実現損も評価損も全く意味は同じだ。
企業は時価会計で決算をしているから当然理解しているだろうが、日産のゴーン氏の為替デリバティブでの損失を実現損でないから会社に損害を与えていないとかいうマスコミが多すぎる。
時価会計では評価損も実現損も同じに扱われる・・・これはGPIFも同じだ。
運用会社のパフォーマンス報告もすべて時価ベースで行われる。



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やさしい株式需給の話(9総合)

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前回までに東証の公表データである投資部門別売買状況(現物と先物)の数字を分析し、主要な投資主体の特徴や動きの見方を考えてきた。
今回はそれらのデータを踏まえた上で、日本の株式市場について総合的な需給の見方を取り上げてみたい。

まず株式需給の中での外人投資家についてだ。
いろんな評論家がよくあきらめたように言う、「日本の株式市場は外人次第」で外人が買えば上がるし、外人が売れば下がる・・・と。
日本人には自国の株式価格を決定する力がないということだろうか?
外人投資家のコーナーで紹介したが、外人と一括りに言えないほど多様化している。
最も価格に影響力があるのは、ヘッジファンド、外資系証券会社の自己売買、アルゴリズムトレーダーあたりだろう。
彼らは意図してマーケットインパクト(株価を動かすインパクトのこと)をかけた売買をするからだ。
かつてヘッジファンドの連中が「日本市場はたやすい、株価を強引に3%動かせば、あとは日本の中小投資家がトレンドフォローしてくれるので自動的に儲かる」と言っていたのを思い出す。
昔証券会社にいた時、売り決めといって、大口の成行売りを出して下値で証券自己に株を引き取らせるという売買手法があった。
ソロス一派のファンドマネージャーなどがよく使っていた手法で、確かにその後、慌てた日本投資家が続いて売り出すので株価は瞬間的に急落したのをよく見た覚えがある。
でも、これはトレンドではなくノイズ(瞬間的な振れ、雑音)なので、ワシたちプロップ(自己勘定運用)は大きく下げたところを逆に買いを入れたこともある。

逆に同じ外人でも長期投資家はできるだけ安く買い/高く売ろうとするので、マーケットインパクトをかけずに株価を動かさないように売買しようとする。
典型的なのは巨大ソブリンファンドや大手海外年金だ。
証券会社の営業マンがソブリンファンドを注文を受けると、コンフィデンシャル(他に動きを伝えるな)だと念を押されることが多い。
大口の売買をするだけに市場の噂が広まってチョーチン売買(コバンザメのように張り付いて売買する)が付くのを避けようとする。
ただ、売り買いする数量がバカでかいので、結局、市場は彼らの売買に沿って動いてしまう。
だから、外人の1兆円以上売買は、背後でこうした大型の長期投資家が動いているのが普通で、結果的に市場は大きな影響を受けてしまう。
今年の年初からの急落はかなり大きな投資家が動いた結果だということだ。
外人投資家でもトレンドを作る長期投資家(ソブリンファンドや大型年金など)と、短期のノイズになるトレーディング中心のファンドは分けて考える必要がある。

証券会社の自己勘定(日系も外資系も含めて)やアルゴリズムトレーダーなどは、使える資金の枠やリスク枠が決められており、資金枠・リスク枠を使い切れば逆にポジションを縮小するしかなくなる。
というわけで、買えば売る、売れば買うというのが基本行動だ。
だから、長期にわたってネットの買い越しを続けることできないので、長期のトレンドには影響しない。
日本の株価は外人次第・・・確かに巨大な海外投資家が日本株のウェートを引き上げる時は、大口の買いが続き、株価は上昇する。
しかし、短期トレーダーたちが大きく動いたからといって、彼らが株価を決めるわけではない。
実は短期トレーダーたちは東証の売買高の半分以上の売買をしており、動きが派手でよく目立つ。
でもそれらはノイズでありトレンドではないから、この派手な動きに右往左往しないことが大切だ。
長期トレンドを決めるのは、地味な買い手だがネットで大幅な買い越しをする可能性のある海外年金、国内年金、グローバルファンドなどがだろう。



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やさしい株式需給の話(8 先物)

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東証では投資主体別売買を現物株と先物で分けて公表している。
5月の先物ネット(TOPIX、差し引き)売買を見ると、自己-4045億円、委託+4053億円とあり、その下に法人-794億円、海外投資家+4791億円、個人-36億円と委託の内訳が出ている。
さらに法人の内訳、投信-759億円、事法+30億円、信託銀行-147億円、銀行+12億円、その他+63億円と出ている。

主な先物はTOPIXと日経225の2種類だが、機関投資家が使うのは基本的にTOPIX先物で225先物はより投機筋に使われるケースが多い。
だから機関投資家の需給を考える場合はTOPIX先物の数字を使う。

まずは機関投資家の大口売買だが、先物は証券会社の自己勘定が仲介する場合が多いことに注意が必要だ。
だから、先物取引では、自己のネット売買と委託全体のネット売買で合計ほぼゼロになる。
そして、自己はポジションヘッジのために先物が買い越しなら現物は売り越し、先物が売り越しなら現物は買い越しと現物と先物で逆になる。
委託の内訳を見ると、外人の買いと投信の売りと、自己の売りが対当しているのが分かる。
国内機関投資家の先物ヘッジ売りと海外投資家の先物買いを自己勘定の売りで吸収したわけだ。

次に現物売買と先物売買を合わせて見てみよう。
まず、海外投資家だ。
5月の現物はネットで-7396億円と売り越し、先物はネット+4791億円の買い越しになっている。
これは海外のトレーディング会社や証券自己が、海外籍のヘッジ・ポジション(現物買い/先物売り)を数千億円程度縮小させた可能性がある。
新規に現物に売りポジションを増やしたというより、既存のポジションの縮小と考えた方がいい。
だから、外人投資家のネットの売りは3000億円程度だったと想定される。
この3000億円程度のサイズの売り越しだと、年金やソブリンファンドというより、グローバルファンドの部分的なリバランスだろうと推定できる。

次に国内投資家、投信と信託銀行だ。
国内投信は現物株を-2826億円、信託銀行は-1088億円、それぞれ売り越しだ。
先物でも国内投信は-759億円、信託銀行は-147億円、それぞれ売り越し。
国内投信は解約などで資金が流出する時、とりあえず、先物を証券自己と相対で売っておいて、その後現物株を売り、先物からスイッチしていくというやり方が取られる場合が多い。
おそらく国内投信の解約が出て、それに合わせて先物を売り建て、現物株をその後売却するという取引が行われていたのではないかと思われる。
信託銀行の5月の数字は金額として小口で大きな年金がリバランスをしたというほどではない。
おそらく年金のバランス型のような配分を細かく変えるタイプの運用で株式を減らしたというようなの売りだろう。
本格的に動くときはこんな小さい額でなく、数千億円単位で売り越し/買い越しが出てくるからだ。

この月は事業法人が+4385億円の現物株の買い越しをしているが、これは自社株買いがほとんどだと思われる。
先物では事業法人は+4億円の買い越しと動きが小さい。
現物の買い越しは、ToSTNeTを使った取引で自社株買いということになる。

この月は総じて通常の売買が多かったように思う。
特に大口の海外年金やソブリンファンドが動いたような取引は見当たらないからだ。
現物の主体別売買状況と先物の売買状況を比べることで、大口の内外機関投資家の動き、国内投信の動きを推測することができる。


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やさしい株式需給の話(7国内機関投資家)

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前回は東証の投資部門別売買状況の法人部門を見てきた。
投信や事法の売買は相場観の基づくものではなく、投信への資金流出入、事法の自社株買いなどに基づいて売買される場合が多い。
しかし、今回話すつもりの金融機関は違う。
もちろん、銀行も持ち合い解消や自社株買いがあり、様々な動機で売買発注している。
しかし、国内年金の売買、金融機関の自己運用部門の売買や余資運用などは相場観に基づくものである。
その意味で株式需給を見る上では外人と並び重要な投資部門といえる。


東証の投資部門別売買状況の中に金融機関の項目と内訳をみてみよう。
5月は金融機関全体で2261億円の売り越しで、そのうち、生損保が543億円の売り越し、都銀地銀(以下銀行)が671億円の売り越し、信託銀行(以下信託)が1088億円の売り越しだった。
まず、最初の生損保は日本企業の大株主であり、主要企業の上位株主リストに名前を連ねる。
保険のソルベンシーマージン(リスク指標の一つ)の規制により、リスク対比で株式のウェートを変更していく。

規制上のリスクが過大になると、株式を売ってリスク水準を調整するわけだ。

都銀や地銀は長い間の企業と株式持ち合い関係を持ち、顧客企業の株式を保有してきた。
しかし、モノを言わない株主やシャンシャン株主総会などのガバナンス問題を指摘され、あるいは、銀行経営者の財務上の要請もあり、持ち合い解消を進めてきている。
すでにかなりの持ち合い株を売却済みだが、まだまだ残っており、その持ち合い株の売却が今でも続いている。

銀行の自己運用部門は得意の為替や金利物の売買だけでなく、株式先物やオプションで積極的にポジションを取りトレード益を上げている。
しかし、業務純益に含まれる先物や私募ファンドは積極的に売買するが、業務純益に含まれない現物株式を直接売買することはない。
したがって、東証の投資部門別売買に出てくるのは主に持ち合い株の売却分が中心になる。

そして、一番分かりにくいものの重要なのが信託だ。
信託銀行は二つのブックを持っていて、一つは顧客の資産を預かり運用する「信託部門」ともう一つは預金を集めて運用する「銀行部門」だ。
そのうち信託部門は国内機関投資家の資金を預かって運用する「運用」の機能と、投信や年金・外人の資金や証券を保管する「保管銀行」(カストディアン・バンク)の機能がある。
「運用」では国内年金から総幹事としてすべての資金を一括して預かり、自ら運用したり、投資顧問の指図により運用している。。
アクティブ運用もしているが、特にパッシブ運用では非常に高いシェアを持っている。
この自ら運用している資金の動きが東証投資部門別売買に表れてくる。

外人投資家でも日本の信託銀行に保管口座を持って日本株を売買しているケースもあるし、国内公募投信の資産も信託の保管口座を使っている。
でも、もっとも大きいのが国内年金の保管口座で、GPIFや公務員の共済年金が投資顧問の運用指図を受けて株式を売買すると、その取引は「信託」の数字として東証が公表する。
つまり、国内年金の売買は自ら運用していようが投資顧問が指図しようが、信託の売買として東証投資部門別売買に出てくるわけだ。



やさしい株式需給の話(6国内機関投資家)

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東証の投資部門別売買状況から株式需給を考えるコーナーだ。
外人投資家は東証売買高の半分以上を占め、また、発行株数の40%を所有する大口投資家だ。
しかし、その実体は外資系証券の自己勘定、アルゴ・トレーダー、ヘッジファンドなどの短期トレーディングから海外年金やソブリンファンド(国家ファンド)のような長期投資家までさまざまだ。
ここを理解していない評論家は多く、トンチンカンなコメントをしている人も多い。

今回から国内機関投資家に話を移そう。
東証が発表している投資部門別売買状況では、「委託計」の項目の中に小項目に「法人」があり、さらに法人内訳として、「投資信託」「事業法人」「その他法人」「金融機関」があり、さらに金融機関の内訳として、「生損保」「都銀・地銀」「信託銀行」などがある。

まず、投資信託(以下投信)だが、公募投信が主体で国内株投信への資金出入りによって買い越ししたり売り越したりする。
投信協会が投信資金の流出入を発表しているので、数字は簡単に得られる。
基本的にこの統計と連動しているので、国内投信に資金が流入していれば買い越しになるという比較的簡単に投信の動きを理解できる。
投信は日々解約や入金ができるので、頻繁に売り越しになったり買い越しになったりするのが特徴だ。

次の事業法人(以下事法)は、基本的に上場企業の株式の売買だ。
今や、バブル時代の流行った「財テク」ではないが、事法が運用目的で株式を売買することはほとんどない。
また、持ち合い株である銀行株を売却することもあるがそんなに多くはない。
ということで、事法の売買は自社株買いによるものが中心となる。
自社株買いも株主還元のため発行株数と減らす(一株当たりの価値を上げる)のが目的のものと、役員や従業員に発行するストックオプションのが目的のものと二種類ある。
株主還元のための自社株買いは買っただけでも発行株数から差し引かれるが、消却を実施して初めて本来の株主還元になる。
自社株を買っただけでは株式自体は存在しているので、経営者の判断でいつでも市場で売却し、元に戻すことができるからだ。
逆にストックオプションのための保有は本来一時的で、オプションが行使されれば、会社保有からオプションを行使した人に所有が移ることになる。
そして普通はすぐに売却されるので、東証の数字では個人の売りにカウントされる。
その他、公募増資やIPOもあるが、これらはプライマリー市場での株式の発行であり東証の投資部門別売買には反映されない。
ただし、この場合、IPOや公募で発行された株を受け取った人が市場で利食いをするので、東証の数字では個人の売りで出てくることが多い。
大雑把に言って、事法のIPOや公募増資で発行された株式は個人の売りとして市場には出てくる。
だから、個人が売り越し基調になるのはこのためだ。

その他法人は各種団体や宗教法人などが含まれるが、実態はよく分からない。
特に宗教法人は資金が豊富なところも多く、余資運用をしているはずだが統計がなく不明だ。

金融機関については次回に話そう。



やさしい株式需給の話(5外人投資家)

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やさしい株式需給の話のコーナー、外人投資家の需給動向を読むという話の続きだ。
外人投資家は毎日の東証売買高の半分以上を占める大口トレーダーであると同時に、日本株全体の4割を保有する巨大投資家でもある。
大口トレーダーとしては外資系証券の海外ブックの売買、海外にあるアルゴリズムトレーダー、海外のヘッジファンドなどがあり、毎日大口売買を行っている。
しかし、これらは一日終わればポジションのリスクを抑えたり、日本株以外に資金を回したり煩雑に動いているので東証売買高に影響しているが、あまり極端な売越し/買越しはしない。
ただし、ヘッジファンドにはいろいろなタイプがあり、価格の鞘取りをするファンドもあれば、大きく買持ち/売持ちで勝負するファンドもあり、東証での大口買い越し/買い越しに影響するファンドもある。

というわけで東証投資家別売買動向で数千億円レベルで売越し/買越しに大きく影響しているのは、グローバルファンド、ソブリンウェルスファンド(国家ファンド)、一部の巨大ヘッジファンドになるだろう。
前回海外年金の説明で話したと思うが、特にアメリカの巨大年金はアメリカ株の運用に最も注力しているので、アメリカ以外(EAFE)の株運用は一括してEAFAファンドに丸投げする年金もよくある。
こうしたEAFEファンドやその他のグローバルファンドを合計すると、数百兆円という巨額になる。
これらのグローバルファンドは相場観で資金配分を変えたり、株価指数のウェート変更で配分を変えたり、顧客の資金が出入りしたりする時に株式売買が生じる。
規模が大きいだけにポートフォリオの1%動かしただけで数兆円の売買が生じる可能性もある。

さらに大きく、東証の投資家別売買動向に表れてくる外人投資家はソブリンウェルスファンド(SWF、国家ファンド)だ。
SWFには原油や天然ガスといった資源系のファンド、貯まった外貨準備を元手にした外貨準備系のファンドなどがある(詳しくは世界の巨大投資家のコーナーを参照)。
いずれにしてもそのファンド規模は数兆円から100兆円にもおよび、SWF合計では数百兆円という規模になる。
この規模の資金が高いリターンを求めて世界の株式や債券、その他の資産クラスに流れていく。
ワシもサウジアラビア通貨庁やクウェート投資庁などと付き合いがあったので、その資金の規模を実感している。
運用資金の増額が一回あると1000億円単位で各運用会社にバラまかれ、各運用会社のファンドマネージャーが必死になって売買する光景を今まで何回となく見てきた。
SWFはその国の将来のために蓄えられている資金であり、そのパフォーマンスは各国財務省により厳格に管理されている。
そのためリターン追求の姿勢が明確で、リターンの上がっているファンドはどんどん資金が増額されていく反面、リターンの低いファンドからはどんどん資金が回収されていく。
ファンドマネージャーは厳しい競争状態に常に置かれているわけだが、それがファンドマネージャーに成長機会も与えてくれているともいえる。
SWFは長期安定資金だが、その資金移動は長期投資のわりに激しく活発だといえる。
詳細はベールに覆われているが、東証投資家別売買動向に大きく影響していると見てよいだろう。







やさしい株式需給の話(4 外人)

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東証の投資主体別売買動向から株式需給をどう見るかというコーナーの続きだ。
前回からは俗に言う外人投資家について話を始めた。
外人投資家は東証の売買高の半分以上を占める大口投資家だが、出来高のうち大きな部分を占めるのは外資系証券の自己売買と短期トレーダー(ヘッジファンドやアルゴリズムトレーダー)だろう。
外人投資家の中で中心的は存在である世界の年金やソブリン・ウェルス・ファンドは売買回転率が低く、日々の東証出来高の中で占める割合はそんなに高くないはずだ。

一方、外人投資家の日本株保有比率が4割あるが、その大きな要因は巨大年金やソブリン・ウェルス・ファンドの日本株保有だ。
つまり、日々の売買というフローの数字では外資系証券の自己売買や短期トレーダーの売買が大きな影響を持っているが、日本株の保有というストックの数字では年金やソブリン・ウェルス・ファンドが大きな影響を持っているわけだ。
そこで今回は株式需給をストック(保有)の面から話を進めたい。
まずは、海外の年金基金についてみていきたい。

世界の年金基金のうち最大なのは「世界の巨大投資家」のコーナーで話したとおり、日本のGPIFだ。
GPIFは日本全体のサラリーマンが加入する厚生年金であり、海外にはこうした国全体をひとまとめにした年金基金はない。
海外ではカウンティ(州、行政区)単位の年金があったり、教職員年金や公務員年金があったり、企業年金があったりするが・・・国民全体をカバーする年金はない。
それでも年金は加入者数によって規模が決まっていくので、人口の多い州や企業の年金サイズは巨大化する。
有名なのはカルフォルニアの教職員年金カルパースなどの州年金や、IBM年金など巨大企業で従業員数が多い企業年金だ。
欧州のフランスなどには公的年金があるが、アングロサクソン系の国には国民皆年金制度はない。
自己責任の原則が確立されており、国家が国民全員の面倒を見るという発想がないからだ。

さて、こうした海外年金の日本株投資について見てみよう。
まず海外年金の運用だが、規模の大きい年金ほど世界の株式市場にきちんと分散した運用の仕組みを持っている。
たとえば、MSCI世界指数。
これはMSCI(モルガンスタンレー・キャピタルインターナショナル)が算出している世界株価指数だが、世界の大手年金が指標として使っているものだ。
浮動株数(市場で売買可能な株式数)をベースに世界各国の時価総額を調整して、世界各国の時価ウェートを算出し、これをもとに世界株価指数を公表している。
そして海外年金はこの時価ウェートを元に各国市場へ分散投資する。
日本は世界指数の1割弱のウェートがあり、海外年金は基本的に株式ポートフォリオの10%弱を日本に振り向けている。

しかしここからがいろいろあるのじゃな。
海外年金のうちアメリカ年金は合計サイズはべらぼうに大きいが、アメリカ市場の時価ウェートが世界市場全体の半分あるため、この自国市場の運用が最も大事でここに関心が集中している。
アメリカ以外の半分のうち、欧州市場が半分、アジアその他で半分・・・つまり、アメリカ半分、欧州4分の1、アジア4分の1という割合だ。
よくあるケースが、重要なアメリカ市場は複数の運用手法で運用し、当然アクティブ運用も行っているが、それ以外の欧州・アジア市場は一まとめにしてパッシブ運用(指数連動運用)のみを行うというタイプだ。
この一まとめにしたアメリカ市場以外の部分をEAFE(イーファ)と呼んで、EAFEのパッシブやアクティブ運用を運用会社に委託する例が多い。
そうすると、日本には株式運用のうち1割弱がパッシブ運用で入ってくるだけの話になるし、EAFE全体の運用ができていない日本の運用会社は採用されにくい。
もちろん、一部の海外年金はアジアを重要市場と位置付け、国別にアクティブ運用を行っている。
しかし、ワシの経験では、こうしたアジア重視の年金はそう多くない。

というわけで、海外の年金基金は日本市場にあまり大きな影響力を持っていない。
日本市場の時価ウェートが変更されたり、指数対象銘柄が変更されたりする場合に大きく動き、市場でも目立つ存在になるが、それ以外は比較的おとなしい投資家だ。


やさしい株式需給の話(3 外人投資家)

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東証の投資主体別売買という統計が株式需給を考えるのにとても参考になるという話を前回したが、今回はその中でも読み方が難しい海外投資家を考えてみたい。
海外投資家は非居住者という意味で、日本人でも海外に居住し海外から株式注文を出せば海外投資家の範疇でカウントされることになる。
逆に外人投資家は国内に居住しても外人だが、国内居住者は海外投資家には含まれない。
でも面倒なので外人と一括りにして話をすすめたい。

外人投資家は上場株式全体の約4割を保有し、流通市場では一日の売買高のおよそ6割を占める大口トレーダーだ。
これだけの市場占有率を占める外人投資家だが、その中身は複雑で、一口に外人投資家といってもいろいろいて全体像をとらえるのはかなり難しい。
ワシの理解している範囲で話をしていくので、間違いもあるかもしれないがご容赦いただきたい。

まず、最初の外人投資家は外資系証券会社だ。
日本にいる外資系証券は、大体、グローバルな投資銀行の日本現地法人だ。
日本現地法人の自己勘定を持っている場合も考えられるが、通常、日本現法人の自己資本は限定的で自己資本規制により大きな自己勘定ブックを持つことはできない。
こうしたグローバルな投資銀行はグローバルブックを持っていて、自己勘定で保有する各国の株式を一元的に管理している例が多い。
グローバルブックを使うと、東証では非居住者の海外投資家に分類されることになる。
たとえば、外資系証券が東証でインデックス裁定取引を100億円実行したとする。
東証で現物株の指数連動バスケットを100億円買い、同時に指数先物を100億円売り建てる。
そうすると、東証の投資主体別売買では100億円の外人買いとして公表される。
株式取引は日本国外でもいろいろ行われているのは前の回で説明したが、その取引の帳尻合わせが東証を使って行われるという理解でいいと思う。
つまり、結論として外資系証券の自己勘定の売買が外人に分類されている場合が多いということだ。

次の外人投資家は海外にいるトレーディング会社だ。
これにはヘッジファンドも含まれるし、アルゴリズム・トレーディング会社も含まれる。
いずれにしろ、短期トレーディング中心の投資家たちだ。
10数年前に東証は完全に自動化され、板という売り買い注文が並んだ表も公開されるようになった。
それまでは日本の大手証券会社だけが独自にシステム売買を行い、板情報も会員証券にだけ配信されていたが、海外からの圧力と技術の進歩による市場開放が流れを変えた。
それを機に海外のヘッジファンドやトレーダー連中が大挙して東証に参入してきたんじゃ。
その結果、東証の一日の売買高の6割を外人投資家が占有するという現象を生んだわけだ。
こうしたヘッジファンドやアルゴトレーダーはプライムブローカレッジという専門的なブローーカーを使っている。
プライムブローカーはポジション管理から損益、融資/貸株、取引まで一社でカバーしている。
彼らプライムブローカーはたいてい大手グローバル・投資銀行の子会社で、ヘッジファンド向けにロング/ショートやオプション取引の専門ブローカーとしてファンドのニーズを一手に対応してきたのが始まりだ。

アルゴトレーダーはヘッジファンドと比べ、一般投資家にはわかりにくい。
もっと知りたいという人には、ワシは「アルゴリズムが世界を支配する」という本をすすめたい。
そこに元祖アルゴトレーダーと言われるピーターフィーの物語がのっているが、1980年代にはNY市場でアルゴ取引を実践し大儲けしている。
同じ頃、日本はバブルで何も考えなくても儲かる時代だったが、バブル時代の思考停止でアメリカに大きく遅れてしまったというわけだ。
ワシが大手証券で自己勘定を担当し始めた頃、その証券会社がアメリカのアルゴトレーダーのハルトレーディングと提携した。
隣のデスクで数人のアメリカ人が駐在してアルゴ取引を行っていた。
当時は何をしているのか全く分からなかったが、毎日毎日トレード益を積み上げており、その実力に目を見張ったことを覚えている。
一緒に飲みに行ったり、隣のデスクに部下を配置してトレードを観察し、ノウハウを学んだ。
ハルトレーディングはゴールドマンに買収されてしまい提携は解消されたが、ワシのチームでも同じような短期トレーディングシステムを実行した。
これが毎日毎日儲かり、他の戦略を合わせて大きな儲けを上げた・・・・昔話だな。

やさしい株式需給の話(2)

バブル時代「株価は夜つくられる」と言われ、夜の宴会接待で大口売買が決まり、翌日大口注文が執行され株価が暴騰するなんてよくある事じゃった。
市場売買は、多くの市場外での需給に基づいて執行される。
市場外での売買の一部(市場で執行された部分)しか一般人の眼には見えていない。
でも、この市場売買は統計数字として出てくるので、利用できるしその価値は高い。

この市場売買は東証が毎週、投資主体別売買状況として公表している。
2018年3月のデータを見てみよう。
投資部門別株式売買状況 東証一部 金額 全51社・・・とある。
東証のデータは、東証会員51証券会社からの報告に基づいているから、こういうタイトルになる。
後ほど詳細を見てみたいが、要は証券会社の自己申告であり、ホントに外人なのか自己なのかやや疑わしい場合もでてくる。
そして、自己計差引+3407億円、委託計差引-3529億円、総計-121億円・・・とある。
自己とは証券会社の自己売買部門で、委託とは証券会社に委託された売買である。
さらに、委託内訳として、法人+1964億円、個人+4055億円、海外投資家-9813億円、証券会社+264億円・・・とある。
この月は、外人の売りに対して、国内の法人、個人が買い向かう形だった。
証券会社とは東証の会員でない証券会社が会員に委託して売買した分である。

さらに細かくなり、法人内訳として、投資信託+1833億円、事業法人+452億円、その他法人+255億円、金融機関計-577億円・・・とある。
事業法人は2000年以降、法人間の株式持ち合いを解消してきたためずっと売越し主体だったが、ここ数年は自社株買いが増えてきたので買越し主体に転じてきた。
その他法人とは宗教法人だったり、団体や協会のような組織が含まれる。
さらに細かく、金融機関内訳があり、生損保-338億円、銀行-716億円、信託銀行+292億円、その他金融機関+185億円・・・とある。
特に注意が必要なのは信託銀行で、その背後に国内の年金がいたり、特金やファントラがいたりするので中身の分析は少し難しい。

これが東証の投資主体別売買動向の数字で、毎週、毎月、集計されて公表される。
数字の読み方として説明が必要になるのは、海外投資家と信託銀行だろう。
その他の投資主体は比較的単純なので、たとえば、投信は国内公募投信の売買だし、生損保や銀行はそのままだし、事業法人は先ほど説明したぐらいで理解できるじゃろ。
個人はIPOで個別銘柄を買っているし、オーナーの売りは個人にカウントされるから、基本的に売越しになりやすい。
次回以降、この二つの投資家、海外、信託についてもう少し考えてみたい。



やさしい株式需給の話(1)

株式コメント欄を見ていると、普通に「売りが多く株価が下落」とか「買い超過で株価上昇」とかの表現が見られる。
でも、市場では売りと買いが出会って約定が出来上がるため、「売り株数=買い株数」は常に成立しているはずじゃ。
それでは売りが多いとか買い超過って一体何なのだろうか?

たとえば、外人投資家がある銘柄の大口買いを考えているとする。
まずは、それを現地の証券会社に「買いたい」と伝える。
すると、現地の証券マンは東京のエクイティ部に伝えて「時価の1%上」などの価格を出してもらう。
東京のポジション担当者は買いのインパクトや市場状態を考えて、買いだったら時価より上の価格、売りだったら時価より下の価格を提示するわけだ。
そして、この外人投資家が納得すれば、「時価より1%上」で約定する。
すると、この外人投資家には株式が譲渡され、東京のポジションに売り持ち(ショート)が発生する。
そして、東京のポジションで発生した売り持ち(ショート)を翌日以降の市場で買い戻すことになる。
この時、いつ、いくらで買うかは担当者の判断で、市場が上がると思えば即買い戻すし、市場が下がると思えば時間をかけて買い戻す。
いずれにしろ「時価から1%上」までで買い戻し完了すればトレード益が上がる。

市場では「売り株数=買い株数」が成立しているので、外人の大口買いで株価が上がるかどうかは別の話だ。
でも、こうした潜在需要(市場に出ていない)は間違いなく株価に影響するはずだ。
つまり、市場で見えている以外に株式取引が多く行われており、それらが潜在的な需給として株価に影響していくのだ。

市場では「売り株数=買い株数」が成立していても、これらの市場外での需給を含めれば大きく買い超過になっていたり、大きく売り超過になっていたりしている。
というか、現実には市場に出ている注文はほんの一部分にすぎない。
市場取引は氷山の一角であり、株式トレードするにはこのことをよく肝に銘じることが大切じゃ。
ワシが投資顧問会社で2兆円以上の日本株運用をしていた経験でも、買いたい株数(または売りたい株数)を全約定するのに数か月かかるという銘柄も多くあった。
巨額なバスケット取引(多くの銘柄を一度に取引する)を証券会社としても、証券会社の自己ポジションに吸収され市場にはあまり出てこない場合もあった。
個人投資家にはこうした潜在的な需給は見えにくいが、ある程度推測することはできる。
このあたりの話を中心に数回にわたって株式需給の話を取り上げていきたい




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