株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

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株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版のeBook「株式需給の達人 基礎編と投資家編」を出版しました。
需給を制する者は投資を制す!

投資相談

投資相談:倉庫株と安田倉庫

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安田倉庫のお尋ねがあり、考えてみました。
倉庫株はもちろん景気、物流需要に影響されるが・・・基本的に倉庫の保管面積×単価で営業収入が決まってくるので、倉庫の保管面積はほぼ一定であり単価の変動も少なく、比較的業績が安定した業種としてディフェンシブな評価がされている・・・でも、東証全体で33銘柄が上場しているので、業種内の競争も激しい業界でもある。
業界のバリュエーションはディフェンシブな業種でもあり、PERのレンジは5倍~15倍程度、PBRは0.3倍~1.2倍程度、配当利回りは1.5%~2%程度のレンジで市場評価されている。
ナツさんのお尋ねの安田倉庫(9324)は、PBR0.42倍、PER9.4倍、配当利回り1.91%と、倉庫業界のレンジの中央から若干割安圏にある。
この会社は歴史のある保守的な会社なので、堅実な経営と安定した業績が投資家には魅力となる・・・ナツさんは良い所に目を付けたと思う。

有価証券報告書(2019/3)でファンダメンタルを確認すると、いくつかのポイントがある。
(1)営業収入は伸びているが、保管業務、倉庫作業、国際貨物などでは若干の増収、陸運とその他部門が伸びている。
伸びている陸運はネット通販が伸びているので需要が強く、売上の伸びは期待できる・・・ただし、人手不足で運用員の確保が困難になっていることと人件費が上昇してきているコスト上昇要因になってきた。
もう一つのその他部門は会社に取材しないとよく分からないが、36億円から45億円を9億円増加し、全体伸びをけん引している。
2019/3の利益増加は主要部門というよりその他から来ているので、持続性は不明だ。

(2)古い会社なので株式の持ち合いが多く、保有有価証券423億円と、倉庫などの中核固定資産583億円と比べて、明らかに多すぎる。
これは安定した業績を上げる会社にありがちな、第三者から買収されるリスクを経営陣が感じ続けてきたことがあるかもしれない。
大株主は損保ジャパン7%、明治安田生命6.4%、東京建物5.4%、みずほFG4.2%・・・と分散しているが、大株主全体で42%は安定化されている。
しかし、バックボーンとして経営を支えられる大株主はいない・・最大株主が7%、現社長はみずほ銀行出身だが、みずほは4%しか株式を保有していない。
持ち合いで安定株主を確保しているようは見えるが、柱となる大株主がいないので敵対的買収が懸念されているのだろう。
そのために423億円も有価証券を保有することになっている・・・昔からの保有であり、簿価は低いと思われるが、この余分な株式持ち合いで資本利益率(ROE)を引き下げているのが辛いところだ。
ちなみにこの会社のROEは4%と低く、通常、日本の年金基金などの投資対象にはならない。

(3)保有資産(倉庫など)は首都圏中心で、比較的資産価格も安定していると見てよいだろう。
所有資産の内訳を見ると、神奈川地区(大黒ふ頭など)が15万8000m2と最も大きく、東京地区で7万4000m2、大阪地区3万8000m2と続く。
横浜の大黒ふ頭や東京の大井ふ頭などの倉庫のウェートが高く、資産の減損も出にくい地域分散となっているように思う。
この資産価値でも大きな不安要素は無さそうだ。

バリュエーションも割安だし、業績も安定しているので、個人投資家には投資対象になる会社だと思う・・・ただし、配当利回りは市場平均並みで特に魅力はない。
ただし、保有有価証券が多く、株式市場が大きく下落した時は、影響を受けやすいのが難点とみられる。


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ロスカットをすべきなのか?

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日経CNBCで、個人投資家向けの個別銘柄の投資相談をやっている。
ある個人投資家が「材料株を高値で買ってしまい、株価が半分以下になってしまった。どうすればいいか?」と質問した。
その材料株はスマホのSIMカードをやっている会社で、2年ほど前に人気化したらしく、その投資家氏はその時買ってしまったらしい。
そして、答えは・・・株価が半分以下になってからではどうしようもない。たとえば、株価が10%下がったらロスカットをするとか、ルールを自分で作るべきだ。

昔、証券会社で自己ポジションの運用をやっている時、ある部長が「なんで、こんなにやられているんだ? ロスカットはどうなっているんだ?」と怒鳴ってきたことがあった。
ワシは当時やっていたロング/ショートで「股裂き」と呼ばれる状態にハマっていた。
ロング側で買った株が下落し、ショート側で売っていた株が上昇したために損失が膨らんでいた。
このロング/ショートは、「平均への回帰=ミーン・リバージョン」という現象、つまり株価が一時的に乖離しても一定期間を置くと平均値に戻ってくるという考え方でやっていたので、ワシは一時的乖離と考えていた。
だから、この部長に言った「ロスカットはしません。一時的な損失だから。」
でも、この部長、損失が増えると自分の立場が危うくなると思い、ロスカットしろと無理やり言ってきたが、頑として無視した。
その後、大幅に「平均への回帰」が起こり、損失の2倍以上の利益が生まれた。

ロスカット、損失を限定させることは、自分のポジションを守ることにつながるし、売ってしまえば損失を忘れられるかもしれない。
しかし、これは株式投資の原則「株は安く買って、高く売れ」に逆らっていることを忘れてはならない。
この個人投資家氏のように、材料が出て株価が急上昇している株を高値で買ってしまうと・・・そして、人気が一巡し株価が下落・・・そして、ロスカット水準に下落し、安値で売却する。
これを繰り返すと、この投資家のポジションは永遠に損失を積み重ねることになる。
際限のない損失により、この個人投資家は最悪、破産してしまうかもしれない。
なぜか? 一見、ロスカットは損失を最小にする魔法のように見えるが、株式投資の原則に反し「高く買って、安く売る」ことをしているからだ。

ではどうすればいいのか?
たとえば、株価が半分になっても自信を持って保有できる株のみに投資することだ。
あるいは、投資採算を厳しく判断して買えば、株価下落によってさらに魅力が増す銘柄に投資することだ。
会社のHPを見たり、決算書をネットで見たり、説明会のビデオを見たり、様々な開示資料が簡単に手に入る・・・自分で会社を調べて、そして、自信をもって買うことだ。
そうすれば、仮にNY市場が暴落して株価が半分になってしまっても、ロスカットではなく買い増しを考えることができる。
そこが投資で成功するか?失敗するか?の分かれ目のような気がする。



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楽天(4755)の株価下落を考える

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サルでも反省する。
ワシも反省する。





友人から「楽天は一体どこまで下がるのでしょうか?そんなに悪い会社ですか?人気が無さですか?」というメールが来たので、ブログ上で一緒に考えてみたい。

まず、楽天の1-3月期の決算、5/10に発表された説明会資料を見る。
売上は14%増加、IFRS営業利益は30%減少・・・部門別にみると・・・・
1)国内ECを含むITセグメント: 売上+14%、 営業利益-44%
2)FINTECHセグメント: 売上+15%、 営業利益+20%

Eコマース売上の伸びも世界のEコマース企業は売上を30-40%伸ばしているのに比べやや低い。
日本全体(アマゾンを除く)のEコマースも前年同期比で+11%となり、やや飽和状態、あるいは、対アマゾンで競争激化が起こっていると思われる数字だ。
Eコマースは潜在顧客数の大きさが将来の伸びを決めるので、日本国内のみでやっていても所詮、最大1億2000万人の市場しかいない。
一方、中国の微博やアリババなどの潜在顧客数は国内だけでも膨大、なにせ、中国は14億人の人口の国だ。
アマゾンなど米国企業は3億人の国内市場でスタートし、70億人のグローバル市場で勝負する。
この点、日本の国内Eコマースは潜在市場が小さく、競争激化を招きやすい。
楽天もアジアに本格的に進出するとかしないと、成長の限界がある。

FINTECH部門は好調で、
楽天カードが売上+15%、営業利益+6%と伸び、
楽天証券が売上+33%、営業利益+62%と大幅な伸び、
楽天銀行も売上+10%、営業利益+20%。

楽天カードマンのテレビ広告をよく見かけるが、クレジットカードを成長のカギと見ているのだろう。
ショッピング取り扱いも+21%と伸び、リボ残高も+16%で好調だ。
さらに楽天銀行も住宅ローンや楽天スーパーローンで好調で、クレジットカードと貸し出しの金融部門が収益を引っ張ったといえる。

しかし、中身をよく見ると、楽天銀行の預金総額は2兆円に対して住宅ローンとスーパーローンの合計は8000億円で預貸比率は40%と低い。
つまり、差し引き1兆2000億円は貸出先が見つからず、有価証券での運用をしているはずで低金利の有価証券では儲けがない。
さらに貸し倒れ関連費用を80億円計上したが・・・カードの延滞債権が690億円、銀行の延滞債権が360億円で合計1050億円計上されている。
一方、貸し倒れ引当金は865億円と延滞債権の8割は引き当てされている。
しかし、毎四半期ごとに延滞債権が増加してきており、ここが金融事業のポイントになってきそうだ。

楽天証券は国内の株式売買高の増加とFX売買高の増加が大幅な増益の理由としている。
しかし、証券は変動が激しく、このまま増加するわけではないし、逆に減益要因となる場合も将来的には十分に想定される。

というわけで株価は下落歩調になっているのだろう。
しかし、PER13倍、PBR1.6倍はEコマース企業のバリュエーションとして割安だし、ネット証券と比べてもSBI証券と同レベルで割高感はない。
おそらく、700円か700円以下は株価のボトム圏になるかもしれない。
その後の展開は、Eコマースではアジアやグローバル市場への本格進出が重要だと思うし、FINTECHではマネックス証券のように暗号通貨ビジネスをどう楽天の金融部門に取り入れていくか・・・だとワシャ思う。
最後に、リスクは三木谷さんが金融界出身だけに金融にどっぷり浸かりすぎたら成長は止まることだ。
金融は競争が激しくさらに大きく環境変化する業界なので、そのスピードについていけるとは思えない。




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