株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版のeBook「株式需給の達人 基礎編と投資家編」を出版しました。
需給を制する者は投資を制す!

α(アルファ)とβ(ベータ)の話

アルファとベータを利用した株式投資(2)

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前回から、アルファとベータの話を始めた。
アルファとは価格変動のうち個別要因で動く部分であり、ベータとは株価指数に連動して動く部分のことだ。
でも、このアルファやベータが資産運用にどう役立つのか、よく分からんという人も多いと思う。

基本的な事を考えてみよう。
「タマゴを一つのカゴに入れるな」という投資格言があるが、「分散して投資リスクを下げる」ということだが、これはベータの話であってアルファの話ではない。
ベータは分散することによってリスク/リターン特性をいくらでも変化させられる。
簡単な話・・・通常、ベータというと株式指数の話になるが、他にも海外株式やリートや商品などの違った動き方をする各種ETFをまぜれば、分散効果によりリスクが低下する。
一方、超過収益であるアルファは分散できない・・・それぞれの個別要因でアルファが決まるからだ。
株式ポートフォリオを作る場合、銘柄数を減らした集中投資の方がアルファは高くなる・・・逆に銘柄数を増やしてしまうとアルファが減ってインデックスファンドに近い=ベータだけのファンドになってしまう。

株式投資する際に重要な事は、「リスクを考える時、ベータを分散する」と同時に、「リターンを考える時はアルファを取る」ことだ。
ベータには様々な種類がある・・・日本株、米国株、欧州株、新興株、金価格、原油価格、などなど。
それらのベータをどう組み合わせるのかが、大きなポイントだ。
また、アルファを取るには銘柄数を減らして集中
投資する・・・自分の好きな会社を徹底的に調べ、株価の動きを確認して、自信を持って長期で買うことが重要だ。

たとえば、NYダウのETFと金のETFを買うと・・・米国景気が強く企業業績が好調な時はNYダウが大きく上昇するので、NYダウのETFが儲かる。
一方、米国景気が悪化し、企業業績も不振の時は、金利が低下し、価値の安定した金のETFがパフォーマンスを支える。
この二つのETFを両方買うというだけで、米国景気変動のリスクを抑えることができ、長期的に安定したリターンを生む。

たとえば、ベータとして強い米国株、NYダウのETFかNASDAQのETFを買う・・・そして、アルファとして米国景気に連動するハイテク株や輸出株を個別で選んで買い、逆に内需株を信用で売る。
すると、どうなるか?
NYダウと日経平均を比べると、米国景気が強い時はNYダウの方がリターンが高くなる・・・そして、東京市場ではハイテク株や輸出株が内需株より上昇する。
その結果、強いリターンを上げるNYダウのパフォーマンスに、日本株のロングショート(ハイテク・輸出株買い/内需株売り)の強いリターンを組合せることになる・・・つまり、ベータの利益とアルファの利益の両方を取る、「二重取り」することができる。
単にハイテク・輸出株を買っても儲かるだろうが、NYダウと輸出株買い/内需株売りのロングショートの方がより大きく儲かるはずだ。

このように、ベータとアルファを組み合わせることで、自分の狙いたいポジションを作ることができる。
特に現代の投資ではETFという金融商品が登場し、非常に簡単に外国株であれ商品であれベータのポジションを作ることができる。
自分の考え方を基に自由にベータを分散させれば、独自の自由なベータ・ポジションを作ることができる・・・現代の投資では非常に重要な考え方だ。



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アルファとベータを利用した株式投資(1)

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資産運用の現場で、ごくごく日常的に使われる言葉がα(アルファ)とβ(ベータ)だ。
一般投資家にあっても今やアルファも知らないで株式投資をしているの?・・・と言われる時代だ。
資産運用の世界でプロと素人の差が近づいているということかもしれない。

しかし、このアルファとベータというこの二つの言葉があることで、運用の現場での日常会話がすごく簡単にスムーズになってきたのは事実だ。
この二つの言葉を理解することで資産運用の世界をより簡単により深く理解できると思う。

株式投資を少しでも経験している人は直感的に理解できると思うが・・・
個別銘柄の株価の動きは、市場全体の動きに影響される部分と、個別の材料で動く部分に分かれる。
例えば、日経平均やTOPIXという株価指数が大きく上昇する時は、多くの銘柄の株価も上昇する。
逆に株価指数が大きく下落している時は、個別の下落銘柄数が1000銘柄を大きく越えるような全面安の状態になることが多い・・・こんな経験をした人も多いと思う。
これは東証一部の個別銘柄のリターンと東証指数(TOPIX)との連動性が高いということだ。

と同時に個別の決算情報やニュースなどで株価が大きく動くこともある。
利益の大幅な増額修正など、ニュースのインパクトが大きければ大きいほど、市場の動きと関係なく株価が大きく動く。
つまり、個別銘柄の動きは、市場と関係なく動く部分と市場に連れて動く部分があり、この市場に関係ない固有部分をアルファと呼び、市場との連動部分をベータと呼ぶ。

というわけで個別銘柄のパフォーマンスは、株価指数の動きに連動する部分(ベータ)と、その企業の固有の動きであるアルファに分けられる・・・簡単に言えば、「株式市場が上昇すると考えるから買う」というがベータ投資だし、「この会社が成長するはずだ」として買うのがアルファ投資だ。

つまり、個別銘柄のパフォーマンスは株価指数の変化によるベータ+個別銘柄のアルファで表される。

例えば、過去一年でTOPIXが10%上昇し、株式Aが12%上昇したとする。
この株式Aのβ値が1とすると、ベータ・リターンは10%、アルファ・リターンは2%になる。
株式投資をする場合、このベータを取ろうと投資するのと、アルファを取ろうと投資するのは全く姿勢が違ってくる・・・「ベータを取る」とは株式市場の上昇を期待して投資することであり、個別銘柄ならば指数連動性の高い大型株に投資するという意味になる・・・そして、反対に「アルファを取る」とは指数の対して超過収益を得る銘柄=指数連動性の低い小型株などに投資することになる。

複数の銘柄を組み入れた分散ポートフォリオの場合、β値は1に近づく(市場と連動性が高い)ので、アルファはポートフォリオのリターンから市場のリターンを引いたもの、つまり株価指数に対する超過収益と同義語になる。
このアルファとベータをどう使うかが資産運用の大きなカギになる。


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アルファ(α)とベータ(β)の話(6)

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ロング/ショートはプロが運用すると、純粋にアルファを収益化するのが目的になるから、意外と自由度がない運用になりがちだ。
ロング/ショート運用に資金を投じる顧客は市場が上がっても下がってもプラスのリターンを期待しているから、その期待に応えるため完全に市場ニュートラルにポジションを持っていくからだ。
でも、我々個人投資家はそんなことに全く捉われる必要はない。
自由な運用こそがロング/ショートの醍醐味だからだ。

素人の運用は、投資期間を柔軟にできるところがプロとの違いだ。
プロの運用は時間で区切られ、3か月、1年、3年、5年の各期間でランキングを付けられ、競争させられる。
でも、素人は3か月だろうが1年だろうが関係なく、儲かる時点までホールドすることもできるし、売りたいと思ったらいつでも売れるし、場合によっては塩漬けにして株価さえ見ない(買ったことさえ忘れる)という選択肢もある。
この時間を自由に使えるというところは素人の強みの一つだ。

今回は素人の簡単なロング/ショート運用を考えてみよう。
もっとも良くないのは、ロング側でもショート側で両方で儲けようとすることだ。
上がりそうな銘柄を買って、下がりそうな銘柄を売る・・・思い通りになれば、2倍儲かるというポジションだ。
株式投資はそんなに思い通りになるものじゃないし、逆に上げりそうな銘柄が下がり、下がりそうな銘柄が上がるという股裂き(マタザキ)になってしまう可能性もある。
だから、ロング側は自分の好きな現物株式や金融商品でいいけど、ショート側はリスクを相殺するようなポジションにするのが基本だ。

具体的なやり方じゃが・・・
投信でもETFでも現物株式でも何でもいいので、自分が買いたい金融商品や現物株式をロングにする。
まず、その保有する金融商品や株式の特性を考えてみる。
例えば、アメリカ株が下落するとそれ以上に下落してしまうかもしれないとか、為替がドル安・円高に大きく動くと損してしまうかもしれないとか、金利が上昇すると業績が悪化してしまう(反対に良くなる)・・・などなど。

そして、その特性からリスクを抑える方法を考える。
アメリカ株が下落すると大負けするかもしれない・・・となれば、アメリカ市場での売り上げが大きくアメリカ依存度の高い銘柄を少しだけショートする、
円高になると大負けするかもしれない・・・輸出比率のランク上位の銘柄を少しだけショートする、
金利上昇で大負けするかもしれない・・・債券ETFなどを少しだけショートする、などなどの対応ができる。
ショート側のポジション量はごく少々で十分で、読みが違って損が出る時、ちょっとヘッジが効いて損が少なくて済んだというぐらいでちょうと良い。

こうして、リスクを抑える方向でショート側を組み入れることで、ロング/ショートの大敵である股裂きや大負けをなくすことができる。
素人のロング/ショートは、大負けを避けて、少しづつでも利益が上がる、気長に運用できるポジションが適していると思うんじゃ。



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アルファ(α)とベータ(β)の話(5ロング/ショート)

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アルファとベータを分解すると、様々な面白い運用ができる。
例えば、インフレが高まると儲かるポジション・・・金のETF買い+商社株買い/電力株売り。
世界のインフレ率が上昇すれば、まず、金価格が上昇し始めるので、ベータ(β)として金のETFを買う。
さらにアルファ(α)として、商品市況に連動する商社株を買い、原油価格が上昇するとマイナスになる電力株を信用で売る。
これだけで、インフレ・ヘッジのポジションを作れる。
また、世界恐慌で儲かるポジション・・・SMTグローバル債券インデックス(国内投信)を買う+薬品などディフェンシブセクターETF買い/機械株など景気敏感セクターETFを売る。
世界恐慌になれば金融緩和期待で資金は債券に向かうと予想できるので、世界債券指数に連動するSMTグローバル債券インデックス(β)を買う。
さらに景気にディフェンシブなセクターETF(薬品など)を買い、世界景気悪化で影響を受ける景気敏感セクターETFを(たとえば機械株など)信用売りする(α)。
アルファ(α)とベータ(β)を分離して考えるだけで、アイデア次第で面白いポジションが作れる。

ここでアルファ戦略(ロング/ショート)の重要な考え方である「リスクの相殺」を見てみよう。
各会社は複数のセグメント(事業部門)を持っているのが普通なので、個別銘柄のリスクはかなり複雑になる。
たとえば、誰でも知っている大型株、日立と三菱電を簡単な例としてリスクの相殺を考えてみよう。
今期1Qのセグメント利益(ウェート)では、日立が情報通信286億円(20%)、高機能材料276億円(19%)、建機273億円(19%)、産業システム209億円(14%)、電子装置191億円(12%)で、総合電機の雄らしく、通信システム、産業システム、電子部品・材料、建機などバランス良く稼いでいる。
一方、三菱電の1Qセグメント利益は、産業メカトロ448億円(62%)、家電200億円(27%)、重電60億円(8%)と、メカトロ(ロボット)に重心を置いた経営だ。

この両社株でロング/ショートを作ってみよう。
より特徴のあるセグメント利益を持つ三菱電を買い、全般的にバランスが取れた日立を売るロング/ショートが分かりやすい・・・そのココロはメカトロ=ロボットの今後の成長を収益化することだ。

このロング/ショートのリスクがどう相殺されるかを考えてみたい。
三菱電の買い持ちすることで利益の6割を占めるメカトロ部門をロングにしていることになり、逆に日立を売り持ちすることで三菱電にないセグメントである建機と電子部品・材料をショートにしていることになる。
だから、このポジションの目標はロボットの成長性を買うことになるわけだ。
でも他のリスクもある・・・建機(日立建機)、高機能材料(日立ハイテク)などが伸びていくと、このポジションでは損失が出てしまう。
つまり、三菱電買い/日立売りでは、ロボットが伸びればプラス、建機や電子部品などが伸びるとマイナスになる。
これが「リスクの相殺を考える」ということじゃ。
でも、個別銘柄ではセグメント(部門)が多く複雑なので、個人投資家には少し難しいかもしれない。
そこで次回は個人等投資家でも簡単にできるロング/ショートと、どういうリスクを取ってどういう収益をターゲットにするかという話をしてみたい。


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アルファ(α)とベータ(β)の話(4ロング/ショート)

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アルファとベータの話の4回目だ。
前回までに、ペアトレード、マーケットニュートラルの話をした。
ペアトレードは最も基本的で簡単なアルファ戦略だが、個別銘柄の1対1の売り/買いの組合せなので、思惑通りのリターンを上げるためにはどうしてもマーケットに合わせた微調整が必要になる。
特に市場が急上昇したり急落したり大きく変動した時は注意が必要だ。
だが、自分の好きな銘柄を買い、同業他社で負け組と思われる銘柄を信用取引で売るだけでポジションが作れるので個人投資家でも簡単にできる。

マーケットニュートラルも簡単なアルファ戦略で個人投資家にも簡単にできる。
自分の好きな会社を10銘柄程度選び、225のミニ先物をショートにするだけでポジションを作れる。
主な注意点は、まず、先物での追証(証拠金の追加)に現金を用意しておくこと。
先物をショートするため、特に市場の上昇局面では先物ショートに損失が出るので、追加の証拠金をあらかじめ用意する・・・100の資金のうち、80程度で現物を買う・・・つまり、80%の組入れを基本にしていくぐらいの余裕がちょうどいい。
もう一つは先物と現物に重複しているウェートがあるため、大きなリターンを上げにくいことだ。
地道に少しづつリターンを重ねておくコツコツ・タイプの個人投資家にはいいかもしれない。

そして、今回からより一般的なアルファ戦略であるロング/ショートについて話そう。
ヘッジファンドなどが運用する高度な数学モデルを使ったロング/ショートもあるが、そんな話をしても個人投資家には現実で不可能なので、誰でもできるロング/ショートの話を中心に進めたい。

自分の好きな10銘柄をロングして、自分の嫌いな10銘柄をショートするとしよう。
まず考えることは、10銘柄を均等金額で配分するか、他の方法で配分するかだ。
その10銘柄がすべて大型株あるいはすべて小型株なら、そんなに違わないので均等金額で10銘柄にポジションを作ればいいだろう。
しかし、小型株と大型株が混ざっていたり、値動きの大きい株と小さい株が混ざっていたりする場合はポジション金額に差をつけた方がいい。
値動きの大きい小型株はポジション量を少な目に、値動きの小さい大型株はポジション量を多めにする方がポジションが安定する。
等金額だと、どうしても値動きの大きい小型株で損益が決まってしまうからだ。

次にショート側の10銘柄の信用取引の売りだ。
日本の信用取引は海外で一般的な貸し株(レンディング)と違う特殊な制度なので、そこをきちんと理解しなければならない。
日本の信用取引は信用買い(借金で株買い)と信用売り(空売り)のバランス(信用倍率)で成り立っている。
信用買い>信用売りならば、株式を他から調達する必要がなく、きわめて安いコストで空売りができるが、一旦、信用買い<信用売りとなると、株式をどこからか調達する必要があるので高い品貸料が発生する。
これが逆日歩というもので、普段の空売りのコストは安いのに、逆日歩が付くと急に高くならため、売り方が一斉に買い戻しに走り株価の急騰をまねく場合がある。
これは日本の信用取引制度の大きな欠陥だが、文句を言っても始まらない。
これを理解して始めることがしかない。

三番目はロング/ショートのリスクの相殺だが、話が長くなったので次回に話をしたい。

α(アルファ)とβ(ベータ)の話(3 α戦略)

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固有のリターンである「α」と市場全体のリターンに影響される部分である「β」を分離することで、いろいろ面白い運用ができる。
というわけで、前回はペアトレードの話をした。
ペアトレードは2銘柄のうち、1銘柄を売持ち(ショート)にもう1銘柄を買持ち(ロング)にする一番簡単なロングショートで、市場が上がろうが下がろうが絶対収益を稼ぐことができる運用だ。
ただし、個別銘柄をそのままロング/ショートにするので、固有のリターン(α)が強く出てくるし、個別銘柄の変動に含まれる市場変動部分(β)も不安定になる。
だから、個別のニューズで大きく影響されたり、市場が大きく変動した時(暴落や暴騰した場合)に市場の影響を中立化できない場合(市場の動きに影響される)も多い。
それだけ、ペアトレードのリターンは不安定できちんと結果を出すには運用者の細かい対応が必要だ。
運用者は市場の動きとぺトレードのリターンを細かく比較しモニターし、場合によっては個別銘柄のウェートを調整したり、先物を売買して市場リスクを調整することが求められる。
その意味では運用者の対応能力でリターンが変わってくる運用手法だといえる。

これに対してリスクの低いα戦略としては、マーケットニュートラルがある。
これはロング側に株式ポートフォリオ、ショート側に株式指数先物で市場リスクを相殺するα戦略だ。
一般にアクティブ運用は株価指数を上回るリターンを得ることが目的なので、株価指数先物の売り持ちで市場リスクを取り除くことはごくごく普通に見える。
要は株価指数を上回るリターンを出せば勝ち、下回れば負けと、素人にも分かりやすい。
でも、このマーケットニュートラルで高いリターンを上げるのは実は簡単ではない。

ポイントは二つある。
たとえば、自分の自信のある10銘柄をロングにして、日経先物をショートするとしよう。
この10銘柄が日経平均採用銘柄だとすると、ポジション上、この10銘柄がロングで、日経平均225銘柄のうちこの10銘柄を除いた215銘柄をショートしているのと同じになる。
しかし、ロングの10銘柄は自信のある銘柄だが、ショートの215銘柄はちゃんと調べているわけではない。
全銘柄を調べて自信を持ってショートしているならいいけど、実際はよく見ていないし調べていない銘柄が多いはずだ。
だから、勝てるかどうかはよく調べていない銘柄が下がってくれれば勝てる、下がってくれなければ負ける・・・つまり、運だ。

もう一つはポジションの無駄の問題だ。
このロング側の10銘柄が日経平均225の採用銘柄だとすると、日経先物の中にもロング銘柄が含まれているので、その部分はリターンを生み出さない。
10/225(約5%)の部分はロングとショートがかぶっているので、約5%はポジションの無駄となる。
さらに、市場が上昇した場合、先物売りに損失が出てしまう(現物では利益が出ている)ので証拠金を追加する(追証)必要がある。
そのために証拠金のために現金を別に保有しておく必要があるので、ポジションをフルに使えない・・・だいたいポジションの10-20%は現金で持つ・・・これもポジションの無駄になる。

という訳で、マーケットニュートラルには株価指数先物を売るのでショート銘柄を選べないこと、ポジションに無駄がでてしまうことなどの問題がある。
もちろん、ファンドマネージャーにとっては、普段やっているアクティブ運用の延長にある運用なので、親しみやすいといえるだろう。
でも、本当に高いリターンを上げようとしたら、マーケットニュートラルは使わない。






α(アルファ)とβ(ベータ)の話(2 α戦略)

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前回から、α(アルファ)とβ(ベータ)の話を始めた。
αとは価格変動のうち個別要因で動く部分であり、βとは株価指数に連動して動く部分のことだ。
このαやβが資産運用にどう役立つのか、よく分からんという人も多いと思う。
そこで今回からαを使ったα戦略、βを使ったβ戦略の話をしていきたい。

αとβを分離すれば、いろいろな使い方やおもしろいポジションができる。
たとえば、βをNYダウにして、αを日本輸出株にすると、アメリカの景気が良ければNYダウが上昇し、さらにアメリカの景気に影響される輸出株が上昇するので、二重のリターンを受け取ることができる。
この戦略のポジションは、日本の輸出株ロング/日本内需株ショート、さらにNYダウETFのロングという組み合わせになる。
輸出株のロングショートは、業種別ETFを使えば作れる。

まずはα戦略の基本から始めよう。
αは市場に連動しない固有のリターンであり、市場が上がろうが下がろうが全く関係なく、リターンを上げられる絶対リターン(absolute return)戦略である。
その最も基本的な戦略はペアトレードと呼ばれるもので、この詳細を見てみよう。
ペアトレードは2つの個別銘柄の買い(ロング)と空売り(ショート)の組み合わせだ。
株式Aと株式Bとすると・・・
まず第一に株式AとBのそれぞれの株式指数連動部分を考える。
株価指数ウェート(時価総額/指数の時価総額)を見て、だいたい同じような比率の株式Aと株式Bを選ぶ。
株価指数ウェートがあまりに違うと、株価指数が上昇/下降する時に値動きの違いがでてしまい、それがパフォーマンスに影響してしまう。
さらにβ値もあまりに違う場合は考慮しなければならない。
株式Aのβ値が1 株式Bのβ値が0.5ならば、株式Bのポジションを2倍までは必要でないにしても増やさないと株価指数の影響を中立化できない。
株式Aと株式Bの株価指数連動部分を同じぐらいにして売りと買いポジションで相殺することがペアトレード成功の極意だ。
そして残っている部分がαで、このペアトレードの結果、β部分が相殺され、純粋にαだけのリターンを取り出すことができる。

ペアトレードのリターンを決めるのはαで、何によってαを作り出すのかを考えなければなかない。
一つは統計的に過去の連動性の高いペアを考える。
たとえば、同じ業種で同じビジネス環境にある2つの銘柄・・・鹿島建設と大成建設、ソニーとパナソニック、新日鉄とJFE、ドコモとKDDI、などなど・・・
そのうち相対的に安い銘柄を買い、高い銘柄を売るという理屈だ。
2つ目はファンダメンタルのよる違いを考える。
高成長株をロングに、停滞株をショートにするなどなど・・・
3つ目はバリュエーションの違いを考える。
PERやPBRの割安株をロングに、割高株をショートにするなどなど・・・

このあたりがアイデア勝負で一番おもしろいところだが・・・・
実際にペアトレードを運用すると、かなり市場に合わせた臨機応変な対応が必要とされる場面が多いので注意が必要だ。
最悪の場合は、いわゆる「股裂き」という状態で、ショート銘柄が上昇し/ロング銘柄が下落するという事態だ。
これは損失が急速に増えてしまう。
ペアトレードは「股裂き」に注意。




α(アルファ)とβ(ベータ)の話(1)

11A519B5-BE29-4E1E-810D-F4AD2A472487


















資産運用の現場で、ごくごく日常的に使われる言葉がα(アルファ)とβ(ベータ)だ。
この二つの言葉があることで日常会話がすごく簡単にスムーズになる。
一般には馴染みがない言葉かも知れないが、この二つの言葉を理解することで資産運用の世界をより簡単に表現できる。

株式投資を少しでも経験している人は直感的に理解できると思うが・・・
個別銘柄の株価の動きは、市場全体の動きに影響される部分と、個別の材料で動く部分がある。
例えば、日経平均やTOPIXという株価指数が大きく上昇している時は、多くの銘柄の株価も上昇している。
逆に株価指数が大きく下落している時は、個別の下落銘柄数が1000銘柄を越えるような全面安の状態になることが多い。
・・・こんな経験をした人も多いと思う。
これは東証一部の個別銘柄のリターンと東証指数(TOPIX)との連動性が高いということだ。

と同時に個別の決算情報やニュースなどで株価が大きく動くこともある。
大幅な利益の増額修正など、ニュースのインパクトが大きければ大きいほど、市場の動きと関係なく株価が大きく動く。
つまり、個別銘柄の動きは、市場と関係なく動く部分と市場に連れて動く部分があり、この市場に関係ない固有部分をα(アルファ)と呼び、市場との連動部分をβ(ベータ)と呼ぶ。
個別銘柄のパフォーマンスは、株価指数の動き×βに固有の動きであるαを足したものになる。
例えば、過去一年でTOPIXが10%上昇し、株式Aが12%上昇したとする。
この株式Aのβ値が0.9とすると、α値は3%になる。
複数の銘柄を組み入れた分散ポートフォリオの場合、βは1に近づく(市場と連動性が高い)ので、αはポートフォリオのリターンから市場のリターンを引いたもの、つまり株価指数に対する超過収益になる。

このαとβをどう使うかが資産運用の大きなカギになるわけだ。
次回からこのαとβの話を進めていきたい。




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