株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

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株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版のeBook「株式需給の達人 基礎編と投資家編」を出版しました。
需給を制する者は投資を制す!

統計数字から考える

バフェット指数は株価暴落を示唆

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ウォーレン・バフェットが重視したということで「バフェット指数」と呼ばれているが、考え方は昔からあったものだ。
株式価値の大きさを示す株式時価総額と、実物経済の大きさを示す名目GDPを比べたものだが、これが再び投資家の注目を集めている・・・計算式は簡単・・・株式時価総額/名目GDP×100だ。
実物経済はGDP成長率でせいぜい3%しか増加しないので・・・ブームによって株価が上昇しすぎると、実物経済に比べ株式時価総額が高すぎる状態になる。
つまり、バフェット指数は実物経済に比べ、株価価値が膨らみ過ぎていることを示す指標だ。

過去、日本の1980年代のバブルで、1989年12月に日本バフェット指数が145を記録して、その後、バブル崩壊、1990年代の長期低迷を招いた。
また、米国でもITバブルの絶頂期であった2000年3月に米国バフェット指数が148まで上昇し、その後、ITバブルは崩壊、2000年代前半のハイテク不況につながった。
というわけで、バフェット指数の150(株式時価総額は名目GDPの1.5倍)となると、行き過ぎで株価が暴落するという経験則ができてしまった。

そして、米国のバフェット指数だが、現在150台に上昇し、過去の経験則ではバブル崩壊=株価大暴落が予想される状況が起こっている。
ちなみに日本のバフェット指数は現在122であり、まだ、余裕がある状態だ。
では、この米国のバフェット指数の150をどう考えるか?

2018年9月にも米国バフェット指数が146になった時があった・・・バフェット指数を見ている投資家には警戒感が強まった・・・そして、NY株価はクリスマス暴落に向かって下落した・・・昨年のクリスマスの事だったので、多くの人の記憶に残っているだろう。
そして、1年後のクリスマスに再びバフェット指数が鬼門の150を越えてきた。

でも、考えておくべきことは、グローバル化した米国企業が世界を相手に利益を荒稼ぎしてEPSを増加させてきたことで、株式時価総額は増加してきたという事実だ。
一方、名目GDPは国内事業の総付加価値であり、企業の海外活動で荒稼ぎした収益が反映されていない・・・その意味ではGDPではなくGNPを使う方がいいかもしれない。
ともかく、米国企業のグローバル化時代で、バフェット指数の分母の名目GDPと分子の株式時価総額のベースが一致しなくなってしまったといえる。
分母の名目GDPび米国企業が海外で稼いだ付加価値を加えるたら、バフェット指数はもっと小さくなるし、見方も変わるかもしれない。。
それでも株式時価総額と実物経済の大きさを比較することの重要度は全く変わらない。


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心配なのはアメリカじゃなく国内景気

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ほとんどの評論家や投資家の眼がアメリカに向かっている。
米国景気がいいとか悪いとか、トランプが何をツイートしたか、NY株式が新値を取ったとか・・・etc。
確かに日本の株価はNY株が上昇すれば上がるし、下落すれば下がる・・・でも、そんな表面的な事柄だけでなく、経済指標を見ると日本の国内景気が一番心配になる。
最近の経済指標から確認してみよう。

まずは、7-9月期のGDP.。
全体は前期比年率で+0.2%・・・微妙な数字だが、消費税前の駆け込みを考えると弱めだ。
内訳の個人消費+0.4%・・・9月の家電販売などの数字を見るとかなり駆け込み買いが入っていたので、それを差引いて考えるとかなり弱い数字ではないか・・・10-12月期の個人消費で確認すべきだが感覚的には弱い。
設備投資+0.9%・・・製造業の業績悪化の反面、非製造業は好調で設備投資全体を引っ張った。
純輸出ー0.2%・・・輸出ー0.7%に対して輸入+0.2%、韓国向けや中国向けなどの輸出環境が悪化しているため、GDP全体にはマイナス寄与となった。

次に10月の貿易統計。
貿易収支は4か月ぶりの黒字だが・・・問題は輸出ー9.2%ではなく、輸入ー14.8%と大きく減少したことだ・・・これは内需の失速を示しているかもしれない・・・7-9月期の輸入はまだプラスだったが、10月に入り急減速した。

そして、日本の製造業PMI。
世界でセンチメントの回復が見られるが、日本は6月の49.3から一貫して低下、10月は48.4まで下がってきた・・・11月の暫定値は48.6とやや反発した。
一方、世界のPMIを見ると株価の反転とNYやフランスの新高値更新でセンチメントが改善してきている・・・だのに、日本の製造業では全く改善していない。

これらの数字から何を考えるか?
まず、個人消費だが10-12月期はかなり減速してくる可能性がある。
(1)消費税の引き上げが、キャッシュレス・ポイント還元の恩恵を受けない高齢者世帯には大きなマイナスになる。
(2)企業業績の悪化で冬のボーナスがマイナスになる・・・上期の業績で冬のボーナスが決まる会社はかなり厳しいボーナスになる。
(3)消費税前の駆け込みの反動だが、9月の小売り販売から推測すればそこそこの反動減が出てくる可能性がありそう。

そして、設備投資も経営者の景気判断から先送りされてくる可能性がある。
日本のサラリーマン社長にとっては、業績が悪い中での設備投資、フリーキャッシュフローの減少は難しい判断になる・・・業績悪化の最中に果敢に設備投資をして数年後に大きな売上成長をするという判断をしにくい。(目先の業績悪化は自分の責任で、成果が出る数年後には退任しているかもしれないから)
日本企業は内部留保が大きく、それを使って設備投資をすればいいのだが、内部留保は過去の社長の実績であり、なかなか取り崩すという判断ができない。
比較的業績の良い非製造業が設備投資を引っ張っているが、下期はやや慎重になるかもしれない。
というわけで、下期の設備投資にはあまり期待できないかもしれない。

それでは輸出はどうか?
輸出環境は全く変わっていない・・・韓国への輸出は抑えられるだろうし、中国も米中問題の前に中期的減速が明確になっているからだ。
対米輸出もそれほど大きく増加するとは考えにくい。

・・・となると、個人消費、設備投資、輸出と、国内景気はけっこう厳しいかもしれない。


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ウィークリー雑感(5/26 指標で実態を見る)

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最近問題の米中摩擦だが、関税引き上げ戦争から、より個別の中国問題に焦点が当たってきた。
ファーウェイ問題は拡大し、中国の監視カメラ企業に矛先が向かい出した。
このブログでは一貫して書いてきたが、中国の共産主義的で独特の、政府と企業の関係や距離感が、こうした摩擦を助長させてしまうことだ。
市場ではエモーショナルな意見がいろいろ出され、日本企業には大した影響はないと考えていいのか?あるいは大変な事態になっているのか?専門家の話を聞いていてもよく分からない。

企業別にはいろいろあるだろうが、こんな時はシンプルに全体を見るというのが大切だ。
あまり個別に考えすぎると、かえって枝葉末節に惑わされることになるかもしれない。
このような市場状況でワシが重視しているのは、製造業PMIとOECD景気先行指標だ。
これらは全体や各地域の景気状況をシンプルに実態を表していると思っている。
だから、惑わされるような市場になると、ワシはここに戻って考えることにしている。

Country US GERMANY EURO JPN CHINA   CLI
Source ISM Markit Markit JMMA Caixin   OECD
May-19 50.6 44.3 47.7 49.6 50      
Apr-19 52.8 44.4 47.9 50.2 50.2    
Mar-19 55.3 44.1 47.5 49.2 50.8   99.1
Feb-19 54.2 47.6 49.3 48.9 49.9   99.3
Jan-19 56.6 49.7 50.5 50.3 48.3   99.4
Dec-18 54.1 51.5 51.1 52.4 49.7   99.5
Nov-18 59.3 51.8 52.7 52.2 50.2   99.7
Oct-18 57.7 52.2 53.1 52.9 50.1   99.8
Sep-18 59.8 53.7 54.1 52.5 50.0   99.9
Aug-18 61.3 55.9 54.5 52.5 50.6   100.1
Change6m ▲ 8.7 ▲ 7.5 ▲ 5.0 ▲ 2.6 ▲ 0.2   ▲ 0.8
5月中国PMIは予想値、発表は6/3。 OECD先行指数は3月まで、6か月変化も2018/9~2019/3で計算。

こういう数字は素直に見ることが大切だ。
(1)米国のPMIが急速で低下している。
過去6か月の低下が-8.7ポイントと主要国で最大の低下だが、これは今まで堅調だった分低下も大きいということだろう。
米経済にリスクが高まっているといえるだろう。
(2)ドイツとユーロ圏は相変わらず最も低調。
さらに英国メイ首相の退任が決まり、ブリグジットがまた不透明になったり、ドイツPMIの低下が著しい。
ドイツは中国経済への依存度が高く、中国失速へのリスクが高い。
(3)中国は小康状態だが、再低下の可能性も否定できない。
過去6か月の低下幅では、最も小さいが油断はできない。

全体としてグローバルに景気がスローダウンしている。
これはOECD先行指数でも確認できる・・・昨年8月にはまだ100以上を維持してきたが、そこから徐々に傾向的に低下してきている。
2か月ほど前には、年後半のグローバル景気の回復を期待して、NYダウを始めナスダックも半導体SOXも上昇したが、あれは「一体、何だったのだろう?」って感じだろう。
特に注目は6月には発表される中国CAISIN製造業PMIの動きだ。
これが再び50を下回るようならば、グローバル・スローダウンの第二ラウンドが始まるかもしれないからだ。




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日銀短観、前回ブログからの変化

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9月の短観についてのブログから・・・
(1)日本企業全体にある人手不足とその対応。雇用を見ると、大企業で6月-21から9月-23、中小企業で6月-35から9月-37と人手不足が拡大している。それにつれて省力化のためソフトウェア+研究開発投資の伸び率が高まっている(大企業6月+4.6%、9月+10.3%、中堅企業6月+9.7%、9月+13.8%)。ソフトウェアや研究開発を推進し人手不足に対応する企業の姿が浮き彫りになっている。

(2)企業の価格判断がデフレ感覚から変わりつつあること。国内製品・サービス需給判断、大企業製造業で6月-2から9月+1と1990年6月以来のプラスに転換。販売価格は大企業製造業6月5から9月7と上昇、仕入価格も大企業製造業6月30から9月27と上昇、販売価格と仕入れ価格の上昇を感じている経営者が多い。国内の製品需要が強く、1990年以来の需要超過になり景気の腰が非常に強い。この価格判断が企業の利益率にどう影響するか、そして、販売価格をさらに引き上げることになるのか要注目だ。
・・・・と書いた。

    Jun-17 Sep-17 Dec-17 Mar-18 Jun-18 Sep-18 Dec-18 Mar-19
業況判断 大企業 20 23 25 23 22 21 21 17
  中堅企業 16 18 19 20 20 17 17 13
製品需給 製造業 -6 -5 -2 0 -2 1 -1 -6
製品在庫 製造業 8 8 7 6 6 7 6 8
販売価格 製造業 -3 -2 -1 1 5 7 6 1
仕入価格 製造業 13 14 18 26 30 27 24 17
雇用判断 大企業 -10 -11 -13 -18 -16 -18 -19 -18
  中堅企業 -17 -22 -27 -29 -25 -27 -26 -26

3月調査までの変化は簡単にまとめると、以下の4点があげられる。
(1)大企業(全産業)業況判断が+21⇒+17へ大きく低下、経営者の景気判断が下向きだ。
(2)国内需給も+1⇒-6へと低下し需給の緩和へ動いてしまった。
(3)仕入価格の上昇分の販売価格への転嫁が遅れ、販売価格は+7⇒+1と値上げは一部を除いてほとんど進んでいない。
(4)雇用判断だが、大企業は-18⇒-18、中堅企業は-27⇒-26と人手不足は依然として続いている。

この半年で経営者の景気判断や国内製品需要はスローダウンしたようだが、雇用の不足感は引き続き強く残っている。
しかし、日本経済の課題であった賃上げや販売価格の引上げは見られず、人手不足や仕入価格の上昇で企業の利益は圧迫される可能性がある。
日本経済全体にも停滞感がある・・・というのが、日銀短観の3月調査の結果だろう。

しかし、この3月調査で注目すべき点もある・・・売上高経常利益率(経常マージン)だ。

大企業製造業では、2018年度売上+2.3%、経常利益-1.9%、経常マージン8.17%、2019年度予想売上+0.6%、経常利益-1.3%、経常マージン8.02%となっている。
仕入価格の上昇や人手不足が明確であり、しかも売上が横ばいでも、経常マージンは8%という比較的高い水準が予想されている。
これは経営者のコストコントロールへの自信、AIやソフトウェア投資で自動化・効率化を実現できるという自信の表れではないだろうか。
設備投資全体は企業業績の停滞もあり、全産業・全規模で-2.8%とマイナスに転じるが、ソフトウェア投資は+5.8%、そのうち中堅企業+19.2%、中小企業+6.3%と大幅に伸びる予想だ。
こうしたソフトウェア投資に注力することで高い利益率を維持しようとしているのかもしれない。




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統計の不正、役人の闇

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1980年代はじめの頃、ワシは投資情報部で政府の統計数字と毎日にらめっこをしていた。
何故か? というと、四半期のGDP統計がどうしても理解できなかったからだ。
たとえば、GDPの需要項目の一つである民間設備投資。
今は財務省の法人企業統計で、全国数万社の設備投資金額を集計して企業側からの設備投資計画と実施額から民間設備投資を推計し、GDP統計を作り上げている。
当時もこの法人企業統計の数字は発表されていたが、このGDPの数字とどうしても合わない。
その他に導入される設備機械からの統計で機械受注があり、設備投資のうち建物などへの投資は建設着工統計などを利用して考えてみたが、やはり、どうしても合わなかった。
経済研究所のエコノミストやその他の人たちに尋ねても、もう一つしっくりした解決策がなく、悶々と数字とにらめっとしていたわけだ。

そのうち、GDP統計の数字について大幅な改善が行われた。
その説明を見て、GDP統計は十数年もの間、経済企画庁(現内閣府)ノンキャリアのベテラン職員が手で計算して出していたということが分かった。
鉛筆をなめなめしての手計算だったと聞いて、はっきり唖然とした覚えが今でも残っている。
国家の中枢ともいえる役所で、東大を出た頭の良い人がたくさんいる中で、キャリアたちは全く計算方法も知らず、ノンキャリのオジサンたちに丸投げしていたのだった。
役所のキャリアとは、自分では何もしない(できない)で実務をノンキャリに丸投げする人たちだったのだ。
GDP統計の不自然さは海外のエコノミストやファンドマネージャーからも指摘され、大幅な改善が行われることになった・・・そして現在の法人企業統計を見れば誰でも民間設備投資の動きを把握でいるまで分かりやすい統計になった。
40年前までの日本は今の中国と一緒で、国の統計が信用されない国だった。

今回の基本統計の不正を見て思い出したのが、この40年前の記憶だ。
厚生省でも、キャリアは面倒な事をノンキャリに丸投げし、全数調査がめんどくさいので抽出調査に勝手にしてしまった。
でも、ここから言えるのは、キャリアの責任は非常に重いということだ。
民間では様々なデータの不正が発覚し、厳しい処分が役所により行われた。
ビルの耐震データの不正、自動車の排ガス不正、燃費データの不正・・・多くの企業が不正により業績低迷を余儀なくされたし、株価も大幅に下落し株主も責任を取らされた。
中にはカルロス・ゴーンのように三菱自動車の不正を利用して資本参加し、統括会社がら給料を不正に受け取るという離れ業を演じた強欲男もいたが、多くの経営者はデータ不正で処分された。
今度は役人の番で、ノンキャリのせいにせず、キャリアに厳しい処分を行うことを期待する。




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統計数字から考える(2 日銀短観)

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統計数字から考えるとういうことで、前回は財務省の法人企業統計を取り上げたが、今回は日銀短観を考えてみたい。
これは日銀の短期経済観測調査という、3か月に一度、全国の約1万社にアンケート調査をしたものだ。
主要な項目としては、まず、業況判断、これは業況が「良い」から「悪い」を引いて回答総数で割ったパーセント表示したDI(ディフュージョン・インデックス)だ。
日本経済を担う大企業、中堅企業、中小企業が業況をどう判断しているのか大雑把に取らえることができる数字だ。
次に売上げ、利益などの項目だが、伸び率で表示され、設備投資、在庫、価格判断、資金繰り、金融の貸し出し態度、雇用などの項目が「良い」-「悪い」のDIで表示されている。
日銀短観の数字は経営者の判断の集まりなので、経済のセンチメント指標としてとても参考になる。
ヒト、モノ、カネの経営要素を経営者がどう感じているかが分かる、たいへん興味深い数字だ。

それでは実際に日銀の9月調査を見てみよう。
第一の注目点は、やはり日本企業全体にある人手不足とその対応なのだろう。
雇用を見ると、大企業で6月-21から9月-23、中小企業で6月-35から9月-37と人手不足が拡大している。それにつれて省力化のためソフトウェア+研究開発投資の伸び率が高まっている(大企業6月+4.6%、9月+10.3%、中堅企業6月+9.7%、9月+13.8%)。
人手不足感が厳しく、外国人労働者のビザ発給問題も政治課題になる一方、短観ではソフトウェアや研究開発を推進し人手不足に対応しよとする企業の姿が浮き彫りになっている。

第二の注目点は、企業の価格判断がいよいよデフレ感覚から変わりつつあることだ。
国内製品・サービス需給判断だが、大企業製造業で6月-2から9月+1と1990年6月以来のプラスに転換した。
しかも販売価格は大企業製造業6月5から9月7と上昇を見込む経営者が増え、一方仕入価格も大企業製造業6月30から9月27といずれも上昇し、特に仕入れ価格の上昇を感じている経営者が多い。
つまり、国内の製品需要が強く、1990年以来の需要超過になり、景気の腰が非常に強いことを暗示する。
さらに販売価格と仕入れ価格ともに引き締まった状態だが、特に仕入れ価格の上昇が顕著だ。
為替の円安傾向や原油価格の上昇が企業に原材料価格に反映しているためだろう。
この価格判断が企業の利益率にどう影響するか、そして、販売価格をさらに引き上げることになるのか要注目だ。

短観が日銀から発表され、多くのマスコミはヘッドラインの業況判断だけを見て、貿易摩擦懸念や自然災害で業況判断が3四半期連続で悪化したというコメントを出している。
数字を細かく見ると、今回の日銀短観は以下の点で企業業績に悪影響する可能性も指摘される。
(1)幅広い景気拡大の中労働需給が引き締まり企業は人手不足に直面している。このままだと人手不足で生産が落ちたり、人件費の圧迫で企業収益が抑えられる可能性もある。
(2)国内の製品需給の引き締まり、いつ販売価格に転嫁されるか、いつ国内物価が上昇を始めるが注目点になってきたことだ。
(3)業況判断DIの停滞は、やはり仕入れ価格が上昇見込みで販売価格の転嫁が遅れているために企業の利益マージンが低下させることを見ているのかもしれない。
こうした点に企業経営者がきちんと対応できるかが分かれ目だ。



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統計数字から考える(1法人企業統計)

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駆け出しのアナリストの頃から、統計数字を見ることが好きだった。
数字を眺めては考える、また数字を眺める・・・数字はワシの想像力の源泉といえるものだったからだ。
分からなくなったり、迷ったりしたら、統計数字に戻り考え直すのが一番だ。
人の話の受け売りをしたり、みんなが言っている意見に迎合したり・・・これが意味ないのは、数字という事実を見ていないからだ。
事実が数字で表されるなら、その数字をきっちり読み取ることが事実の理解につながる。
前置きが長くなったが、統計数字から考えるというのがワシの原点だった。
4-6月期の法人企業統計が財務省から発表されたが、これを例に数字から考えることをテーマに基礎編の話をしたい。

法人企業統計は全国97万社を対象にしたサンプル調査で、上場企業だけでなく中堅や中小企業が含まれているので、日本経済全体を広く見ることができる。
注目点の一番目は、日本企業の安定した企業成長だ。
全産業の売上高はだいたい前年同期比3-6%程度で増加しているが、その中で売上高経常利益率が2017年4-6月期の8.8%から、2018年4-6月期には10.6%と上昇してきている。
人件費の年率プラス3-4%、設備投資の年率プラス5-10%とコストを増加させながらの、利益率10%台乗せは日本企業の稼ぐ力の着実な向上を示している。

二番目は毎年の利益の集積である、内部留保=資本の蓄積、これは資本の良質さを表している。
日本企業は毎年の利益から内部留保することで資本の蓄積を図り、株主資本は676兆円にまで拡大した。
この株主資本には資本金と資本準備金という株主が払い込んだ資本と、利益準備金という過去の利益の蓄積があるが、資本金と資本準備金合計が約250兆円なのに対し、利益準備金は450兆円である。
つまり、過去の利益、内部留保の積み上がりが質の高い資本の蓄積につながっているわけだ。

三番目に蓄積された資本をどうやって使うのかという問題だ。
これが最も重要で、日本企業は蓄積された良質の資本をうまく生かしていないと言われる。
これは経営戦略そのものだが、現在の日本企業が保有する自己資本676兆円、しかも現預金で保有する201兆円をうまく使えば、日本企業の稼ぐ力をさらに引き上げられるだろう。
本気で自社株買いをすれば、現預金(201兆円)だけで東証の時価総額(650兆円)の30%を買えるし、本気でM&AをすればAI・フィンテックのITベンチャー企業をいくつも買える。
日本企業の問題は主として経営者の本気の問題なのだ。

自社株買いは一株純資産より高い株価で買うと償却する際に自己株式処分差損が出るし、一株純資産と同じか低い価格で購入し償却すれば逆に自己株式処分差益が出る。
つまり、一株純資産かそれ以下で自社株買いをすると、効果的に発行株式数を減らせ、一株当たりの価値を高めることができるわけだ。
自社株買いはタイミングが重要で、日本企業は株価の安い時期に積極的に自社株買いをすべきだ。
M&Aについては、良い企業はそれなりのプレミアムをつけないと買収できないので、買収時の株価が安いか高いかはあまり関係ない。
それよりも買収先の将来成長性や自社ビジネスとのシナジー効果などを読むことが重要だ。

いずれにしても、これだけの質の良い資本余剰を持つ日本企業は、その使い方次第では大きなビジネスチャンスをつかむことができるはずだ。



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