株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

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株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版のeBook「株式需給の達人 基礎編と投資家編」を出版しました。
需給を制する者は投資を制す!

私募ファンド

私募ファンドの話(2私募投信の運用)

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私募投信には大きく分けて二つのニーズがある。
一つは金融機関のトレーディング益を上げるためのツールで、もう一つは小規模の年金基金のための少額投資商品だ。
金融機関のトレーディング部門は、手っ取り早くトレードできる利便性と高い換金性があり、価格が透明でパフォーマンスが毎日計算される透明性が重要だ。
だから、複雑な投資収益を上げる私募投信よりも、簡単で分かりやすいインデックス型の私募投信が求められる。
昔した運用会社でも金融機関向けには、日経225の連動した投信、MSCI-グローバル指数に連動した投信、ユーロストックスに連動した投信など利便性・換金性・透明性の高い各種インデックス投信が金融機関向けでは人気があった。

もう一つの年金基金向けは、大手年金や海外のSWFに向けた大型のアクティブ運用商品を元に私募投信を作り、小規模の年金基金の少額投資に対応できるようにしたものだ。
基本的には大型の投資顧問の商品は最低投資金額に制限があり、小口の投資家には向かない。
しかし、私募投信に作り替えれば、小口の資金の出入りにも対応できる。
さらに通常の四資産バランス型とは異なる、ロング/ショート、不動産投資、太陽光発電、インフラ・ファンドなどのオルタナティブ商品も続々と出されたことも、品揃えの良さで私募投信が売れた理由だ。

その中でも人気のあったのが、ロング/ショートやマーケット・ニュートラルなどの絶対値運用だ。
これらは株式投資の基本的運用プロセスを変えない、ファンドマネージャーが自分のやり方でできる絶対値ファンドで、彼らにはに慣れた運用手法で安定性の高い運用でもある。
と同時に市場が上がっても下がっても絶対値の収益が取れることで、運用ポートフォリオ全体のリスクを引き下げる効果もあり、リターンの下支えをできる点も評価されている。
特に短期金利の低い時期には、絶対値で3%程度のリターンを上げるロング/ショートやマーケットニュートラルは年金基金にはありがたい存在なのだ。
ロング/ショートの場合、年金基金によっては現物株の空売りを禁じているところもあり制限を受けるが、私募投信への投資ならば基金の規則上もクリアーできるので、この分野では私募投信に強みがある。

また、不動産投信、特に私募リートは上場リートとは評価方法が異なる。
上場リートは市場に上場しているため毎日時価が変動するが、私募リートは時価変動がなくNAV(ネットアセットバリュー)で評価されるため評価時価が安定しているのが強みだ。
上場リートのバラティリティを懸念して、NAVでの評価になる私募リートを組み入れている年金基金も多い。
太陽光発電やインフラファンドは、株式や債券と異なる収益源泉を持つため、株式市場や金利の変動から独立しているのが強みだ。
でも、太陽光発電は買取価格の如何によってパフォーマンスが決まってしまうし、インフラファンドは日本では規模が小さいため機関投資家の運用対象にはなっていない。
もちろん海外のインフラファンドは規模も大きくリターンも高いので、一部の積極的な年金基金は海外ンフラファンドに投資している。





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私募ファンドの話(1)

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おそらく、私募という言葉は個人投資家にはあまり馴染みがなく、関係ないやと思われているかもしれない。
しかし、市場はすべてつながっているので、私募ファンドに何か起きれば様々な市場が連鎖反応を示すことになる。
東証やNYSEなどの上場市場ばかり見るのではなく、私募ファンドへもアンテナを張っておく方がいいと思い、数回に分けて私募ファンドを考えてみたい。

今回は私募投信の話だ。
日本でいう私募投信は、少人数(通常は50人以下)を対象とした投信と適格投資家を対象とした投信(通称プロ私募)と二つある・・・機関投資家と年金基金などのスポンサーが中心とした私募投信と、金融機関向け(適格機関投資家)のプロ私募。
通常、特定の金融機関や年金基金のニーズにあった商品設計をするので、投資家も少人数であるのが普通だ。
プロ投資家を対象とするので、不特定の投資家を対象とした公募投信のような詳細な説明書(目論見書)を作る必要もなく、ニーズにそって機動的に設定し販売することができるのがメリットだ。

金融機関にとってみれば、銀行会計上、私募投信は「その他有価証券」に分類され、銀行の本業利益である業務純益に含まれるので、決算意識の強い銀行には大きなメリットになる。
その他有価証券は投資目的の有価証券投資とは異なり、上がったり下がったりする時価の変動を計上しなくていいルールになっているし・・・しかも、私募投信を解約した利益が「有価証券利息配当金」に含まれるので、本業の利益である業務純益に計上される。
つまり、私募投信は運用商品なのに時価会計がいらない、しかも、運用商品なのに本業である業務純益に含まれるという、銀行経営者からすれば「美味しい商品」だ。

銀行間の競争は激しく、貸出しが伸びない低成長経済でも銀行経営者の威信をかけた熾烈な利益競争が行われている。
ここ10年で私募投信の残高は急増、2018年3月末で89兆円と成長してきた。
リーマンショック後に一時的に36兆円から25兆円に急減し、その後相場の回復とともに増加してきた。
特に2014年以降は毎年10-15兆円という増加を示し、本業での攻め手に欠く銀行が余資運用に力を入れている様子がよくわかる。
私募投信の中には、デリバティブをガンガンに組入れたハイリスク投信もあるが、銀行は背に腹は代えられないという感じで走っている。

次回はもう少し中身に迫ってみたい。



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