株山人の投資徒然草

大手運用会社をリタイアし、八ヶ岳に住む株山人の日記

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株を職業にして38年、株式投資の楽しさを個人投資家に伝えたい。
Kindle版のeBook「株式需給の達人 基礎編と投資家編」を出版しました。
需給を制する者は投資を制す!

株式投資の基礎

裁定取引の基礎知識

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どうも多くの評論家たちに誤解がある気がしてならないのが、裁定取引とその在庫である裁定残高だ。
先日もある評論家がテレビで、「裁定残高が非常に少なく、将来外人買いが入ってくる可能性がある」とか、「高水準の裁定売り残高が将来の買い戻しの要因になる」とか・・・明らかに間違ったコメントをしている。
以前、「裁定取引の都市伝説」として説明したが、今回は裁定取引の基礎知識をもう一度考えてみたい。

裁定取引とは、一般的に、相関性が高い商品の価格差を収益化する取引のことだ。
2商品の相関性が高い場合に、割高な商品をショートし、割安な商品をロングにして、ミスプライスを収益化する。
株式市場の場合は、基本的には、株価指数の裁定取引のことを指す。
株価指数の裁定取引には、TOPIX型と日経225型がある。
TOPIX型が全上場銘柄から計算される現物株価と、TOPIX先物の価格差を使う裁定取引だが、この現物株のバスケットを作るのに工夫がいる・・・1800ぐらいの全銘柄を売り買いするのがかなり大変なので、1000銘柄程度の連動バスケットで代用したり・・・統計的な技術が必要になる。
一方、日経225は単純平均なので、225銘柄の等株数の現物バスケットを簡単に作れる。

現物価格(株価指数値)に期間金利や将来受け取る可能性のある配当や株式調達コストなどを考慮して理論値を計算する。
そして、実際の先物価格(市場価格)がこの理論値を上回っていれば、先物をショートして現物バスケットをロングする。
毎日毎日、価格差をウォッチして、価格差が広がった時にこのロング/ショートを売り買いする。
これが溜まっていったものが、裁定残高と呼ばれる在庫になる。

ここからが重要で、裁定取引はその設定時に収益がほぼ確定する・・・3か月ごとにSQでポジション解消できるので、市場内での反対売買は基本的に発生しない。
先物をロールオーバーしなければ、先物はSQ値で清算される一方、現物の売り買いをSQ当日の寄り付きに出せば、現物株のバスケットをSQ値(SQ日の寄り付き値段)で処分できる。
つまり、先物はSQ値で清算され、現物はSQ当日の寄り付きで処分される・・・理論値通りに取引が解消される(ここでの損益は発生しない)わけだ。
だから、「裁定売り残が多いから、将来、現物買いが入る」というのはあり得ない話だ。
ここを多く評論家は間違う。

裁定残は毎日毎日の取引の結果であり、その裁定残が最低水準にあるということは、単に、先物の現物の価格差が広がらなかったということだ。
裁定取引を行っている証券会社には、ポジション枠というのがあり、その枠内で裁定取引を行う。
裁定残が少ないということは、ポジション枠に余裕がある状態だということ・・・とはいっても実際、裁定取引のリスクは小さいので、価格差さえ付けばほぼ無限にポジションを増やすことが可能だ。
つまり、裁定残が少ないからといって、今後、裁定の買いが入るというわけではない。
外人や機関投資家などの先物買いが入り、先物が上昇して価格差が広がり、先物売り/現物買いの裁定取引が入り、現物価格が上昇するというのが、通常のパターンだ。
先物買いが入ることで裁定取引を誘発する・・・その逆はない・・・ここも多くの評論家が間違う。

しかし、ちょっとしたイタズラもありえる。
特に日経225には歪みがある・・・つまり、超品薄の超値嵩株の存在だ。
日経225は単純平均なので、値嵩株の動きが大きく影響し、しかも売り買いが薄い品薄株は動きやすい。
品薄株はわずかな買いで値が飛ぶ・・・日経225への影響が大きく、日経225を押し上げる・・・先物に買いが入る・・・上昇した先物を売り、残りの現物株を買えば、有利にポジションを構築できる。
という流れで、先物が上昇し、さらに現物が買われていくということはありえる。
実際、裁定トレーダーは瞬間的に日経平均を数十円動かすことができた。
でも、これは悪ふざけで、一瞬だけの話、実需がついてこなければ修正されてしまう。


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ウィークリー雑感(8/11 大局から見る)

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景気がいいのに株価が下がる・・・米利下げがあったのに株が下がる・・・4-6月期で1兆円の利益が上げたソフトバンクGが下がる・・・好材料でも株価が下がる・・・米中摩擦の第4弾追加関税・・・悪材料でも株価が下がる・・・一体、どうなっているんだ?と感じる人も多いだろう。
こんな時は、大局から見ることも役に立つかもしれない・・・というわけで簡単な相場サイクルから確認してみよう。

景気・金利・株価の三つから成る相場サイクルは4つの局面に分かれる。
①金融相場・・・景気が悪く、金利が連続して引き下げられる局面で、株価は「不景気の株高」という上昇を見せる局面・・・PERの上昇で株価が反発する。
②業績相場・・・景気が回復に入り企業業績が増加するが、まだ金利は低水準で株価が本格上昇する局面・・・EPSの増加が株高につながる。
③逆金融相場・・・景気が絶好調で企業業績のいい状態で、徐々に金利が上昇する局面・・・EPSの増加が株高要因だが、金利の上昇によるPERの低下圧力がかかる。
④逆業績相場・・・景気がピークを越えて悪化し、業績悪化から株価が売られる局面・・・EPSの減少で株価が下落する一方、金利は低下を始め、次の金融相場につながっていく。

教科書的な相場サイクルだが、大局から現在の相場の位置を確認するには有益だ。
2017年以降FRBの利上げが続いてきた局面は「逆金融相場」と位置付けることができる・・・そして、逆にFRBが7月末の利下げをしたことで、「逆金融相場」は終わりを迎える。
「逆金融相場」の局面ではトランプの米中摩擦などもあったが、NY株価は2万2000ドルから2万7000ドルの大きな往来圏で推移している。
問題はこの先、「逆金融相場」から「逆業績相場」に移行し、業績が悪化し株価が大幅な下落をしていくのか? それとも、FRBが急速の継続的な利下げを断行し、「逆業績相場」を飛び越えて「金融相場」に移行するのか? ということだろう。

通常のサイクルに従って、「逆業績相場」に入れば、おそらく数%の減益ぐらいが想定され、株価も10%程度の調整で済むだろうと思われる。
企業業績が3割~4割の減益に入るほどの「事件」が起こっているわけではないからだ。
でも、トランプの圧力に屈してFRBが連続利下げをして、ECBや日銀が量的緩和を進めたら、確かに「金融相場」的になっていくかもしれない・・・でも、その株高は金融緩和の支えられたカネ余りによるものとなり、バブルに近い株高となるだろう。
その場合、その後の調整が大幅なものとなる可能性もあり、投資家は気を付けた方がいいかもしれない。




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裁定取引の都市伝説

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今年に入って、東証の裁定買い残が減少傾向で、6月には3000億円を下回った。
最近は5000億円だが、過去3兆円や4兆円の残高があった時と比べると過去最低水準といえる・・・この数字を評論家がよく話題にしている。
指数裁定取引とは、株式指数の先物と現物の価格差が広がった時、割高な指数な売って割安な指数を買う、その価格差を収益化する取引だ。
そんなに難しい取引ではないが、なぜか、都市伝説のような誤解が多いのもこの取引の特徴だ。

代表的な例だが・・・
(1)裁定買い残の下限が3000~5000億円で、これは株式指数の底値圏を示すという説・・・典型的な都市伝説のたぐいだろう。
裁定買い残が増加する時は、先物に大口買いが入り上昇し、現物価格を上回る・・・そして、先物を売る=ショートすると同時に現物株のバスケットを買う=ロングにする。
つまり、裁定買い残が増える時は先物に買いが入っている状況なので、裁定買い残がカラカラになれば、次に爆発的に増える、そして、株価は上昇する・・・ということらしい。
しかし、残念ながら、裁定残の動きは「主」ではなく「従」なので、先物に大口売買が入って大きく動くことが先で、それに裁定取引が追随していくに過ぎない。
だから、裁定買い残が過去最低水準だからと言って、先物の大口買いが入るわけでないし、底入れとは限らない・・・因果関係が逆転している。

(2)裁定買い残が増加する時は外人が日本株を買うという説。
これは正しい時もあったが、いつも正しいわけではないので、都市伝説みたいなものといえる。
外人でもヘッジファンドやCTAのような業者は基本的に先物をよく使うので、彼らが先物買いを仕掛ける時もある・・・そんな時、彼らの仕掛け的な先物買いで、スプレッド(先物と現物の価格差)が広がり、裁定買いが入り、株価指数が上昇したこともあった。
そういう意味では正しいのだが・・・先物の仕掛け人が必ずしもヘッジファンドやCTAなどの外人である必要もない・・・日本の投資家が仕掛ける場合も十分にある。
だから、外人買いと裁定残の動きがいつでも同じように関係しているわけでもない。

(3)「裁定買い残-裁定売り残」のマイナスは、投資家心理も極端な弱気を示すという説。
直近、7月5日現在では、裁定売り残が9583億円、裁定買い残が5124億円となっていて、「裁定買い残-裁定売り残」は、-4459億円・・・だから、市場心理は弱気が極まり、買い戻しで上昇すると言う。
昔は信用売りで裁定売りポジションを組んでいたが、今は証券会社が信託銀行などから直接株式を借りて売るケースが多い・・・裁定取引のコストが下がり、裁定売りを組みやすくなっている。
裁定売り残は、もちろん、先物が上昇しスプレッドが広がるならば利益が上がるので解消していく・・・あるいは、先物をロールオーバーせずにSQを使えば損益チャラで解消できる。
だから損失覚悟で現物株を市場で買い戻すのはありえないので、裁定売りの解消によって市場が上昇することもない。

東証が開示している裁定取引を行った業者の一覧表を見ると、5月まで主要な業者であったドイツ証券が裁定取引から撤退したようだ。
ゼロ金利でスプレッドが広がらず裁定取引自体の収益性が低下しているため、裁定業者は野村、みずほ証券など数社しか残っていない。
これも裁定取引の衰退を示しているのかもしれない。


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株式投資の基礎(6投資家向けファンダメンタルの見方)

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このコーナーもいよいよ本丸のファンダメンタル分析に入りたい。
個人投資家にとっては簿記からして難しく、複式簿記から始まる企業会計を全部理解する必要なんてまるでない。
そんな難しい会計分析だが、当ブログでは個人投資家向けに簡単に企業のファンダメンタルを分析してみたい。

まず、重要なのは投資家は利益を予想する必要もなく、会計数字にこだわる必要は全くないことだ。
そして、会計数字よりも会社のビジネス全体をざっくりと把握することがより大切だ。
次に、重要なのが何のために会計数字を見ているのか・・・株式投資をするためだという目的意識だ。
よく細かい数字に捕らわれて会社の実像を逆に分からなくなったりという場合もある。
そして、良い所を見つけて将来を考えることだ。
企業には良い所と悪い所が必ずあるが、企業の将来は良い所をさらに伸ばすことで生まれる。
悪い所をいくら改善してもマイナスが減るだけでプラスが生じない・・・プラスが生じるのは良い所からだ。

では、実際の例としてZOZOの決算(2019/3期)を説明資料を使って確認していみよう。
まず、売上げだが、商品取扱高は+19%の3231億円、売上げは+20%の1184億円だ。
ZOZOTOWNの商品取扱高が2割成長していて、それに手数料率をかけた売上高も2割ペースで成長している。
商品出荷件数の伸び率が1Q+24%、2Q+24%、3Q+14%,4Q+10%と鈍化傾向が見られる一方、出荷単価の伸び率は1Q-3.6%、2Q-0.2%、3Q-2.0%、4Q+3.8%とマイナスが減少し、4Qではプラスに転換している。
これは安物ばかりでなく単価の高い商品が売れ始めているということだ。
アクティブ会員の年間購入額は下落してきたが46300円水準で安定してきたし、購入点数も11点で安定している。
ということは、取り扱いブランド数1240社をさらに増やし、新規の会員数を増やしていくことで、売上の成長を維持できる可能性もある。

問題はコスト管理がムチャクチャなことだ。
販売管理費(販管費)が前期比+37%の793億円と、売上の増加20%に比べ、考えられないぐらい高い伸びを示した。
その結果、営業利益が21%も低下、大幅な減益となった。
こんな販管費の増加は普通考えられない・・・明らかに社長である前沢氏の判断ミスだ。
営業利益の増減要因を見ると、商品取扱の増加と手数料の増加による増益分74億円を、ARIGATO値引きによる損失30億円、広告宣伝費の増加42億円、輸送費と人件費45億円で大きく食いつぶし、さらに費用の増加が営業減益を招いてしまった。
ARIGATOキャンペーンの失敗、さたにZOZOスーツの失敗でによる人為的な販管費の増加、営業減益だったといえる。

ZOZOTOWNの事業自体はまだまだ成長の可能性がある。
特に海外ブランドは日本での販売ノウハウが無ったりコストと見合いで難しいブランドも多いだろうし、また、日本市場の開拓をネット販売で簡単にできるとしたら、ZOZOTOWNに参加したい海外ブランドも多くあると思う。
こうした点を考えると、売上の20%成長を維持できるだろうし、その場合、PERは30倍~40倍で評価される可能性がある。
PER30倍で2100円、PER40倍としたら2800円程度で評価されるかもしれない。
社長が最大のリスクなのは決算数字から明らかだ。

ビジネス全体をざっくりと把握する、投資の必要な部分を大きくつかむ、ビジネスの良い所を見逃さないようにする、この3点が重要だと思う。
アナリストではないので、経常利益やEPSの予想する必要はないので、大きくビジネス全体をとらえることだろう。
次回も具体的な実例でこの投資家向けファンダメンタルの見方を考えてみたい。



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株式投資の基礎(5流通市場)


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プライマリーとセカンダリーの発行市場を見てきたが、今回から株式の実際の取引を行う流通市場を見ていきたい。
流通市場はセカンダリーの株式取引を行う取引所で、以前は東京、札幌、名古屋、大阪、広島、九州までのローカル取引所があったが、現在は日本取引所として、現物株は東京に集中し、先物は大阪に集中して取引が行われている。
この流通市場は上場基準を明確にして、上場銘柄の情報開示を標準化し、投資家が安心して取引できる基盤を提供している。
東京証券取引所は1部と2部、マザーズなどに分かれている他、JASDAQ市場がある。
どの市場に上場してても同じと思うかもしれないが、実際は大きな違いがある。

まず東証1部に上場している会社。
上場基準は、株主数2200人以上、流通株式2万単位以上、時価総額250億円以上などがある。
当然、一部上場となれば日本でも代表的な企業として信用度も高いし、そこで働く社員も自慢できる。
でも、もっとも大きな違いはTOPIXという東証1部の全銘柄を対象とした株価指数の存在だ。
一部上場となれば、このTOPIXの採用銘柄となり、インデックス投資の対象になる。

東証2部に上場している会社。
2部の上場基準はだいぶ緩くなり、株主数800人以上、流通株式4000単位以上、時価総額20億円以上などだ。
2部に上場して株主数を増やし、時価総額を増加させてから1部に昇格するのが普通で、2部市場は単なる通過点になってしまっている。
だから、2部では投資家に人気のある会社はすぐに1部昇格してしまい、ずっと2部に上場している会社は成長性がないと思われてしまう。
こんな状態では2部市場上場の意味が不明だ。

さらにマザーズ市場とJASDAQ市場となると、違いがよく分からなくなる。
上場基準では株主数ではマザーズもJASDAQも200人以上と同じ、流通株式はマザーズが2000単位だがJASDAQは流通時価総額5億円以上と多少違いがある。
上場時の時価総額ではマザーズが10億円以上、JASDAQは50億円以上と異なる。
この違いに何か意味があるのかはさっぱり分からん。
小規模企業のスタートアップをサポートするならば、マザーズとJASDAQは統合して、設立直後から上場させて小型の成長企業を育てるぐらいの特色のある市場にすべきだろう。
スタートアップ直後から上場させ、情報の開示やエンゲージメントを義務付け、投資家と対話をしながら資金調達し成長していく・・・投資家を一緒になって成長物語を作っていくような市場があってもいいと思う。
投資家サイドから見ても、クラウド・ファンディングやICOなどの投資家保護規定のない資金調達に参加するよりも、このスタートアップ向けの市場で経営者とともに会社を成長させ、時価総額を増やしていける方がずっと良いだろう。
もともとは米国のNASDAQ市場のような新興企業向けの市場として作られたはずだが、なんか違ってしまった。

資金調達に主眼を置いたスタートアップ向けの市場と、巨大なインデックス投資に耐えられる規模と流動性を持った1部市場だけあれば十分だろう。
東証は、プレミアム、スタンダード、エントリーと三つの市場に集約する市場改革を打ち出した。
でも問題は時価総額を基準にした区別だ。
時価総額は株価によって大きく変化し、それを基準にすると、株価の変化で上場する市場がコロコロ変わってしまリスクがある。
三つの市場の特色を明確にして、エントリー市場のまま「NASDAQのアップル」のよう企業を生み出す制度にしてほしいと思う。




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株式投資の基礎(5プライマリーとセカンダリー)

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前回は会社設立から株式市場への公開までのプライマリー市場を見てきた。
今回は株式市場への公開(上場)後の資金調達であるセカンダリー・オファリング(以下、公募増資)を考えてみよう。
上場後の資金調達では株式を新規発行して投資家に売る、そして、売却代金をバランスシート上の資本として得る。
上場後の市場価格で発行する時価発行増資がほとんだだが、特定の第三者に向けて新株を発行する第三者割当増資も並行して行われるケースもある。

この公募増資は日本のように成熟した経済では評判が悪い。
公募増資によって発行株数が増加するので、一株当たりの価値(EPSやBPS)が発行株数の増加で減ってしまう(希薄化)からだ。
特に、経営者が株主から「ただ」でもらった資金だと勘違いしているような場合は、増資した資金をうまく使えず(利益が増えない)ので、モロに希薄化が起こり、その分株価が下がってしまう。
こうなると、株主にとっては公募増資は百害あって一利なしとなる。
この希薄化を乗り越えて企業成長することを株主は期待するわけで、この期待成長を資本コストと呼ぶ。
この株主の期待する資本コストを越える成長をすれば、発行株数の増加後も一株利益が増加し、株主はハッピーになれる。
つまり、公募増資は資本コストを越える成長を約束する企業ができる資金調達ということになる。
これができない企業は公募増資をすべきではない。

最近ではリートの公募増資が増えている。
リートは公募増資で調達した資金でオフィスビルを買ったり使い途が明確だ。
しかも、その物件投資による賃貸料からNOI利回り(ネット営業利益/投資額)を正確に計算できるので、一株当たり分配金の予想もほぼ正確にできる。
だから、優良物件に投資するための公募増資は、株主にむしろ歓迎され、希薄化を乗り越えてリート価格が上昇するケースが多い。
ただし、将来的には優良物件が割高になり、公募増資した資金で物件投資が期待したリターンが得られなくなる可能性がある。
こうした場合は、公募増資による希薄化がより大きく影響し、リート価格が下落するだろう。
希薄化で価格が下落する状況は不動産市場の過熱とともに、リート市場の限界をも示していると考えられる。
今年もホテルリートを始め、いくつかのリートが公募増資を行ったが、今のところリート価格が順調に推移していおり、リート市場は公募増資後の利益成長(分配金の増加)が期待しているといえる。






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株式投資の基礎(4プライマリーとセカンダリー)

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会社が設立され誕生、そしてシードラウンドでの資金調達から始まり、資金調達と成長を繰りかえし、株式市場に上場しパブリック企業(株式公開企業)となる。
会社の誕生から成長、そして株式市場への上場までの資金調達市場をプライマリー市場を呼び、株式市場への上場後は、セカンダリー市場となる。
だから、IPO,イニシャル・パブリック・オファリングはプライマリー市場での資金調達であり、PO,パブリック・オファリングはセカンダリー市場での資金調達になる。

企業が誕生して、最初にビジネス・アイデアと具体的な製品のプロトタイプを開発した時からシードラウンドでの資金調達が始まる。
そして、製品のスケールアップし、ビジネスモデルを進化させたシリーズA、ビジネス全般をスケールアップさせたシリーズB、成長を加速させグローバルやM&Aを視野に拡大期にあるシリーズCと段階を踏んで企業は成長していく。
テッククランチの情報では、2016年のシードラウンド企業の半分以上は27万ドルから75万ドルドルの資金調達をし、シリーズAの企業の資金調達は660万ドル(中央値)、シリーズBでの資金調達は中央値で1500万ドルと報告されていた。
今ほど未上場企業にスポットライトが当たっている時期はないかもしれないが、それでも次の資金調達までいくのは狭き門だ。
シリーズAでの調達に成功した企業は2016年でわずかに10%以下で、9割に企業は次の資金調達ができずに終わってしまう。
これはアメリカでの話だが、銀行融資が基本の日本でも同じように未上場企業が成長していくには高いハードルがある。

こうして成長してきた企業が株式市場に株式を公開する・・・これをIPOと呼ぶ。
それまで発行してきた株式から売出しを行う場合と、新規に株式を発行して投資家に販売する場合、あるいは売出しと新株発行の両方をする場合がある。
IPOで気を付けなくてはならないのは・・・
(1)IPOを出口と考えている経営者・・・会社設立から頑張って経営し、上場したのでもう十分と思ってしまう・・・こうなると経営者は株式を売却し、IPO長者になって打ち止め、シャンシャンとなる。
一方、こうしたIPOで株式を買った投資家は最悪で、やる気の失せた経営者の株を高く買ってあげたというお人好しさん、やる気のない経営者の救世主となってしまう。。
(2)上場する覚悟のない経営者・・・上場するということは不特定多数の投資家の監視を受けるということであり、わがまま放題、ワンマン経営を続けることはできない。
ZOZOの社長なんか見ていると、保有株を売却して、プライべートジェットで女優と豪遊、100億円の月旅行を予約・・・などなど、保有株を巨大な財布としか見ていない。
(3)上場する必要のない経営者・・・老舗企業などの上場でよくあるケースだが、成長する意欲がなく資金調達して新たな挑戦をするわけでなく、今まで通りのことを続けるだけの経営で上場した会社。
上場は不特定多数の投資家から資金を調達して新たに企業を成長させる大きなチャンスなのに、何もせず、上場企業をいうレッテルだけを欲しがる経営者。

上記の三点には注意を要する。
IPOをきっかけにして世界に雄飛する会社もあれば、IPOを出口としてIPO長者で満足する会社もある。
その差は経営者自身の考え方の差であり、IPOで社長の保有株の売り出すような会社には要注意かもしれない。
過去、IPOで大儲けした人も多いが、実はIPO段階では財務状況や損益状況から会社の価値を測定するのがけっこう難しく、その株価形成は予測不能に近い。




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株式投資の基礎(3会社は誰のモノ)

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日本語では株式だけだが英語では様々な言い方があり、それぞれが株式の特徴をよく言い表している。
一番なじみのあるのはストックという言葉だろう・・・経済でいうフローとストックのストックだ。
例えば国際収支でいうと、毎月の経常収支はフロー、それが積みあがった外貨準備などはストックと呼ばれる・・・会社の中で蓄積されたものがストックであり株というわけだ。
また、シェアと呼ぶ場合もある・・・会社の価値を小分けにしてその一単位がシェア(株)というわけで、そのシェアを持つのがシェア・ホールダー(株主)というわけだ。

ちょっと日本人には理解しにくいかもしれないのが、エクイティ・・・デット(負債)が期限があり返さなければならない資金であるのに対し、エクイティ(自己資本)は返さなくていい資金のことだ。
昔はエクイティファイナンスというと返さなくていいタダの資金をもらったと勘違いする経営者も多かったが、株主が期待するリターンをきちんと上げることがエクイティファイナンスの約束で、タダでもらったわけではない。
株主が払い込んだ資金がエクイティ(自己資本)であり、株主の期待リターンを資本コストと呼ぶ。

最後にステークという言い方だが、この言葉はちょっと注意が必要だ。
というのは、株主重視の欧米ではステークは株式と同義語なのに対して、日本では株主以外の利害関係も含めてステークという場合が多いからだ・・・これは会社は誰のものかという基本に根差しているから注意する必要がある。
欧米の会社は経営と執行が完全に分離していて、従業員は契約で雇われた者にすぎない・・・この雇用契約は厳密に仕事の範囲責任を明確にし、従業員は自分の会社とは考えもしない。
しかし、日本では従業員が会社に滅私奉公して出世の階段を登り、社長などの経営者になる・・・従業員の代表が社長をしているようなもので、従業員は自分の会社だと考えている。
だから、欧米ではステークホルダーは株主とほとんど同じ意味なのに対し、日本では従業員、取引先、株主などを含めて利害関係者(ステークホルダー)となってしまう。

会社の損益計算書にはこれらの利害関係者の立場がよく表れている。
まず売上げがあり、売上原価を引いて売上総利益を、そこから人件費などの営業費用を引いて営業利益を、さらに金利などの営業外費用を引いて経常利益を、特別損益を引いて純利益を出す。
取引先へ払う原材料購入は最初に引かれ、従業員に払う人件費は次に引かれ、さらにいろいろ引いて最後に残った純利益が株主のものになる。
最終的に企業の経営責任を負っているのが、自己資本=エクイティを出資する株主だ。
従業員には経営責任もないし、彼らは会社の所有者でもない・・・だから、本来、ステークを持つのは株主のはずだ。
でも、日本での、会社は従業員のモノという意識は・・・年功序列+終身雇用の日本で、従業員は運命共同体であり、会社は従業員の生活の責任も持つ・・・だからこういう家族的な一体感を持つ「社員は家族」的な経営が日本人には合っていたということだろう。




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株式投資の基礎(2株主権と投資価値)

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、前回、株式を保有すると漏れなくもらえる三つの権利について話した・・・一つは配当請求権、二つは残余財産請求権、三つは会社支配権(議決権、その他)だ。
この三つの権利は重要で、この権利を元にして株式の投資価値を図る7ことができるからだ。

まず、最初の配当請求権・・・配当を受け取る権利だが、受け取れる配当の金額から株式の価値を考えることができる。
(1)配当を株価で割ったもの(配当/株価)が配当利回りで、他の資産に投資した場合の利回りと比較することで株式に投資する価値があるかどうかを判断できる。
たとえば、債券利回りで円債0.05%、米10年債で3%、英国債で1.3%の時、日本株式の配当利回り2.0%に投資するかどうか・・・投資のリスクをリターンと比較して投資を判断することになる。
また、個別銘柄の配当利回りを比較して投資するかどうかを決めることもできる。

(2)将来にわたって配当を受け取れるので、将来の配当の成長を加味することができる。
これは配当還元モデルと呼ばれるもので、将来の予想配当を金利で割り引いて現在価値に換算した理論値を計算し、その理論値と株価と比べ割安かどうかを判断する。
計算が面倒な人は、今の配当利回りに数年後の利益成長を足して考えればいい。
同じ配当利回りなら、利益成長性の高い銘柄が割安になるし、利益成長が同じなら今の配当利回りが高い方が割安になる。

(3)配当の元である利益(一株利益)と株価を比べ、株価が何年分の利益となっているか(株価/一株利益=PER)で割安/割高を判断することもできる。
これは何年分に利益で投資を回収できるかという考え方で、成長性が高ければ年数が長くても投資できるし、成長性のない銘柄なら短い期間で回収できる方がいい。
配当は利益に配当性向(配当/利益)をかけたものなので、配当性向を引き上げる会社は配当利回りが上昇する・・・こうした経営者の株主に対する姿勢も判断に入れることができる。

次に残余財産請求権・・・会社の純資産が株主に帰属することから、純資産から株式の価値を考えることができる。
(1)PBRは株価を一株純資産で割ったもので、資産価値の代表的な株価尺度だ。
考え方は簡単で株価が一株純資産の何倍かを示すもので、市場全体と比較したり同業他社と比較できるし、1倍か1倍以下なら絶対値として割安と判断する。
しかし、解説書によってはこのPBRを解散価値としている説明しているが、厳密には間違いで解散価値ではない・・・PBRの「B」はブックバリューのBでこれは帳簿上の価値という意味だからだ。
帳簿上の価値は簿価であって時価でないため、解散時に簿価と時価の価値は大きく異なっている場合も多い。
リートの場合は資産が基本的に不動産なので、時価評価したネット・アセット・バリューを使っている・・・こちらの方が解散価値に近いだろう。

(2)純資産の成長率・・・これも大きな株式評価の要素だ。
決算ですべての材料や金利などの費用、人件費、税金などを支払った残りが純利益だが、純利益から役員報酬と株主配当を差し引き残った利益が内部留保で、この成長率が株価の決定要因になる・・・つまり、内部留保の蓄積が自己資本の成長そのものだ。
内部留保率が自己資本の成長率を決め、PBRを一定とした場合の株価の上昇率を決める。

そして、支配証券としての価値は企業買収や資本提携の場合に重要な要素で、買収先とのシナジー効果がどのぐらいあるかによって変わってくるので簡単ではない。
アクティビストと呼ばれる投資家は支配証券としての価値創造を目指しているが、様々な活動をしている・・・その評価は簡単ではない。
個人投資家には、まず議決権を行使して自分の意見を経営に伝える、意思表示することが重要だろう。

株主の権利から株式の価値をどう考えるかをテーマにしたが、これらの投資尺度は株式投資をする場合には非常に重要なので、実際の評価尺度の使い方は別途きちんと説明したい。



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株式投資の基礎(1株主の権利)

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今まで断片的に株式投資について書いてきたが、是非一度きちんと考えてみたいと思い、この「株式投資の基礎」を立ち上げた。

まず、一回目として株式とは何かを考えてみたい。
株式の保有者=株主の権利は法律で決まっていて安心して投資ができるわけだが、株式を保有すると何かいいことがあるのだろうか?
まず、株式を持つと、配当をもらえる権利を得られることだ。
配当請求権と呼ばれる権利が会社法で定められているとおり、一部例外はあるが、基本的に株主総会で配当額が決定され、株主は配当を受け取る。
会社は売上から、製造にかかった費用を資材調達先や取引先に支払い、従業員に給料を支払い、借金をした債権者(銀行等)に金利を支払い、法人税や固定資産税やその他の税金を国や地方に支払う。
そして、最後に残った純利益が株主のモノになる・・・その純利益から、株主に経営を任された役員に役員報酬を支払い、株主には配当を支払う・・・その残りは内部留保として会社に蓄えられる。
この順番が重要で、最後の純利益から配当を受け取る株主は最後の出し手と呼ばれるのはこのためだ。

第二に、株主は会社を清算した後に残った財産(残余財産)を受け取る権利を持つことだ。
これも会社法で決められているが、会社の資産から負債を引いた純資産が株主のものになる・・・これを純資産や自己資本または資本の部と呼んだりする。
会社清算では債権者会議が開催され、その会議で倒産会社の財産を精査し・・・まず従業員の給料の未払があれば先に支払い、銀行などに借金があれば返済され、最後に残った財産が株主に分配される。
でも、会社清算や会社倒産などの場合、債務超過(借金>資産)に陥っているケースが多く、従業員や取引先への支払いを優先し、銀行に借金の返済をすると株主には何も残らないケースもありえる。
だから、株主は株式投資した分が損失になる場合がある・・・その場合株主にはこれが最大損失となる。


第三に、会社の経営を監視し、株主総会での投票を通じて意見を表明できる権利(議決権)だ。
実は株主には議決権だけではなく保有比率により様々な権利が与えられている。
発行株式総数の1%以上を保有する株主には株主総会で議題を提出する株主提案権、3%以上を保有する株主には帳簿閲覧権が与えられ、5%以上保有すると財務省に大量保有報告の提出義務が生じ大口の保有者をしてリストアップされる。
さらに20%以上保有すればその保有企業を持ち分法会社として連結対象にすることができ、1/3以上を保有すると株主総会での特別決議に拒否権を持ち、50%以上になるとその会社を連結子会社にできかつ単独で株主総会の普通決議を可決させることができる。
2/3以上になると特別決議も単独で通せるし、85%以上になると東証の上場廃止基準に到達し上場廃止される。


この株式保有比率に応じて様々な権利が株主に与えられているので、何%の株式を保有しているかが会社を支配するカギになっている。
2/3以上の株式を保有すれば実質的な支配者だし、85%以上保有すれば東証から上場廃止され非公開会社としてほぼ完全に会社を支配できる。
その中間の株式保有比率がいろいろ問題になる・・・たとえば、ルノーの日産株の保有比率は43%、ということは連結決算の対象にはなるが、株主総会で普通決議を単独可決できない・・・つまり、他の株主との協働が必要になるから「ルノーは日産を支配している」とはいえない。

この支配証券としての価値を最大限に利用するのがアクティビストと呼ばれる投資家たちだ。
ソフトアクティビストとしてGPIF(日本の巨大年金)の運用も受託しているタイヨウパシフィックのファンドマネジャーと会ったことがあるが、極めて特殊な運用手法だった。
上場小型株の30-40%を保有して、企業経営者に圧力を掛けるのは常とう手段だが、彼らは上手な日本語を駆使して社長と個人的に懇意になり、社長の息子の米留学をアレンジしたり、フトコロに入り込む、そして、自分たちのプラスになる提案をしたり、企業にアドバイスして、企業価値の増加を目指す。
本来、「経営と執行の分離」原則の株式会社だが、ここまで経営者と運用者が密接だと会社の内部情報が運用者に漏れてしまう可能性があり、「インサイダー規制」に引っかかる可能性が心配になる。





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