昨日に続いて、JSR(4185)による医学生物学研究所(4557)に対する公開買い付けに際して提出された株式価値算定書について検証していくことにします。今回は、割引率についてです。

 提出された2つの株式価値算定書における割引率はプルータス・コンサルティング作成のもので6.4~9.8%、野村證券作成のもので7.00~8.00%となっています。また、プルータス・コンサルティング作成のものでは株主資本比率として対象会社のみならず類似上場会社の情報に基づいていることのことですが、類似上場会社が何かについては記載がありません。一方で、野村證券が類似会社比較法で用いた類似会社はカイノス(4556)、栄研化学(4549)でした。

 この類似上場会社を株主資本比率の推定に用いる手法については、今回は採用しないことにしました。それは、野村證券の採用した2社の類似上場会社においても株主資本比率が大きく異なるっており、従って対象会社の属する業界においては定まった株主資本比率が求め得ることを想定しこれに対象者の株主資本比率を当てはめる手法を用いるのは適切でないと考えられるためです。

 管理人が一般的な手法に基づいて推定した医学生物学研究所(4557)の割引率である加重平均資本コスト(WACC)は、ベータ値の算出期間を算定基準日前までとするかコロナ暴落前までとするかで異なっているのですが、算定基準日前までで8.67%、コロナ暴落前までで6.09%となりました(算出過程はこちら。)。すると、野村證券の7.00~8.00%というのはあり得る数値と言え、プルータス・コンサルティングの6.4~9.8%というのは不適切とまでは言えないものの、若干高い印象を受けます。