本日、常磐開発(1782)がMBOの実施を発表しました。当該銘柄は配当利回りや時価総額に対するネットキャッシュの水準等の観点から見て株式市場において極めて割安に放置されてきた銘柄のように思います。

 実際、開示資料にある株式価値算定書におけるDCF法評価において9.93%から11.93%という極めて高い割引率が採用されており、今回の買付価格である1株につき7,800円という買付価格はMBO局面での価格としてはあまりにも安すぎるのではないかと直感的に感じられるところです。

 DCF法において10%もの高い割引率が採用されている場合、その根拠について詳細に開示させるルールが整備されるべきだと管理人は考えます。

 当ブログではこの買付価格の根拠となった株式価値算定書の内容を検証することにより、価格の公正性についてチェックします。

追記:株式価値算定書でのDCF法評価の概要

(単位:百万円)
2021年3月期
(6ヶ月)
2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期 2027年3月期
売上高 11,351 18,289 17,853 17,634 17,609 17,605 17,535
営業利益 623 782 603 569 591 619 616
EBITDA 736 954 783 768 780 805 797
フリー・
キャッシュ・
フロー
91 118 107 -45 444 507 561
「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」19ページより

割引率:9.93%~11.93%

永久成長率:-0.50%~0.50%

評価額:7,149円~8,520円

(追記終わり)

 まずは、DCF法評価における継続価値フリー・キャッシュ・フローの検証になります。永久成長率に応じた投下資本変動は反映されていないと仮定すると、継続期間のフリー・キャッシュ・フローは516.5百万円、事業価値と株主価値の差額は2,438百万円と推定されました(検証結果はこちら(※)。)。事業計画最終年度の営業利益616百万円×(1マイナス実効税率30.62%)=427百万円ですので、継続期間におけるフリー・キャッシュ・フローが不当に低い金額となっているということはなさそうです。引き続き検証を続けます。

※ 当初の計算において事業価値の算出に誤りがございましたので、ファイルを差し替えております。ご了承ください。