現在当ブログで取り上げている常磐開発(1782)のMBOに関連してなされた株式価値算定書でのDCF法評価の是非についてですが、今回は管理人によるDCF法評価を試みます。

 ここまでで行ってきたDCF法評価プロセスの検証では全体として整合の取れた前提条件を復元することに失敗してきたことから、次のような方針で財務予測を管理人において再予測しています。

1.売上高については財務予測の金額が正しいとの前提を置く。

2.経常的に生じる営業外損益として実績期間最終年の受取配当金26百万円+賃貸等不動産に関する賃貸損益6百万円-支払保証料2百万円=31百万円が財務予測期間中に毎期生じると仮定し、これを株式価値算定書での財務予測に当てはめて財務予測期間中の減価償却費を逆算する。

3.逆算して求めた減価償却費は正しいものと仮定して売上原価と販売費及び一般管理費を売上高に金額が対応するものとして推定し、推定結果から算定書の財務予測ではこれらが過大計上されているとの判断を行い、管理人による推定値を採用することとした。

4.償却性固定資産への投資については2で求めた減価償却費から逆算した。非償却性固定資産については財務予測期間の売上高が増加しているわけではないので変化がないものと仮定した。

5.運転資産については過去の傾向が継続するものとして予測期間の金額を推定した。

6.1~5の結果から予測期間のフリー・キャッシュ・フローを推定した。

 以上の財務予測結果はこちらです。割引率には加重平均資本コストを用い、一般的な方法で推定したベータ値や一般的な建設業の業種ベータ値としてざっくりとしてですが0.6を用い、4%の割引率を採用しました。永久成長率は0%、非事業性資産としては現預金から一般的な方法で推定された運転資金の過去1年の4半期で最も多い金額を差し引いた金額を用い、負債としては借入金、リース債務、退職給付に係る負債を考慮することにします。

 財務予測を行って気付くことは、常磐開発は実績で20%超、財務予測期間の管理人の推定でも15%超の高い投下資本利益率(ROIC)を達成しているということです。すなわち、常磐開発は現在の営業エリアに強固な営業基盤を築いており、それにより高い超過収益率を得ていると考えることができます。

 永久成長率0%の仮定の下、財務予測最終年度の投下資本利益率が永久に継続すると仮定した場合のDCF法評価結果はこちらです。1株当たり36,988円の評価結果を得ました。一方、財務予測最終年度以降の投下資本利益率は割引率と同等の4%にまで低下すると仮定した場合のDCF法評価結果はこちらです。1株当たり17,424円の評価結果を得ました。従って、管理人によるDCF法評価結果は1株当たり17,424円~36,988円ということになります。

 この評価額はMBOに反対する株主からも強制的に株式を買取る際にのみ正当化される特殊な評価額であるということと、フリー・キャッシュ・フローに対してあまりにも低い金額しか配当が行われていなかったことから市場株価が常磐開発の株式価値を正確に反映していなかったという事情から、市場株価に対して極めて高い評価額が算出されたものと思料されます。

 とはいえ、ここまで市場株価と評価額に乖離がある場合はさすがに管理人も不安になるものです。誤りを発見された方はメッセージまたはコメントいただけますと助かります。