日本電信電話(9432)によるNTTドコモ(9437)について当ブログではそのTOB価格について検証を行ってきました。また、本件に関しては当ブログにおいて一定の結論を出すと宣言しておりましたが、他のTOB案件などもあり、NTTドコモの結論については後回しとなっておりました。

 NTTドコモについて後回しとなっている間に検証手法がブラッシュアップされているので、現状当ブログで用いている検証手法をNTTドコモに改めて当てはめてみて、今回結論を出させていただきたいと思います。

 まず、割引率が適切なものかどうかについて検証します。開示されている株式価値算定書のDCF法評価で用いられている割引率はプルータス・コンサルティング作成のもので4.96%~5.01%、野村證券作成のもので4.0%~4.5%でした。これらの割引率につき、1.一般的な方法で推定した加重平均資本コストの数値と乖離していないか、2.加重平均資本コスト算出時のベータ値が同じ業種のベータ値と乖離していないか、3.割引率が投下資本利益率と乖離していないか、の3つの観点から検証を行いました。その結果がこちらです。

 管理人により推定された割引率は約3.5%で、算定機関が採用した割引率より低い数値となりました。一方で、業種ベータを用いた場合の割引つの推定値は約4.5%で、算定機関が採用した割引率に近くなります。投下資本利益率については簡易計算を行ったところ11%を超える数値となり割引率<投下資本利益率となりました。以上より、算定機関の採用した割引率は若干高い印象があるものの、必ずしも不適切とは言えないと結論できます。

 次に、採用されたフリー・キャッシュ・フローが適切なものであったか等について検証します。こちらのプルータス・コンサルティングが採用した財務予測を基にしたシートに基づいて説明します。DCF法の計算過程を逆算して求めた継続期間のフリー・キャッシュ・フローは7,339億円で、この金額を用いて継続的に生じる営業外損益を計算すると648億円となってしまい、過大な金額となっていましたがこの部分については修正せずに検証を行います。最初に営業費用について検証を行ったところ、こちらは過去の傾向と財務予測ほぼ一致しました。フリー・キャッシュ・フローの推定値については管理人の計算では予測期間全体で2,154億円ほど会社側よりも高いフリー・キャッシュ・フローが推定されました。必ずしも大きな金額ではありませんが、設備投資や運転資本の変動については疑念のあるところです。ほか、過去5年の還元性向について計算を行ったところ、対フリー・キャッシュ・フローで100%を超える還元を行っており、NTTドコモの市場株価はTOB価格の算定において基礎としてもよいものと考えられます。

 結論として、日本電信電話によるNTTドコモに対する公開買付けのTOB価格は若干安い印象はあるが不適切とは言えないと考えられます。