本日、プレサイス・プロダクツ・ホールディングスによる尾張精機(7249)に対する、株式非公開化を目的とした株式公開買付け(TOB)が行われることが開示されました。今回の開示情報には公開買付価格を検証するための詳細な数値等は開示されていないのですが、DCF法評価における割引率についてのみ、その数値が開示されているので、今回は割引率の数値のみについて検証を行いたいと思います。

 算定機関がDCF法評価において採用した割引率は9.3~11.3%で、これはCAPM(資本資産価格(評価)モデル)を用いて算出された加重平均資本コスト(WACC)であるとのことです。一方、管理人が同じくCAPMに基づいて算出したWACCは2%~3%を少し超える程度でした(計算過程はこちら。)。これは尾張精機のベータ値に替えて同じ自動車部品業種のベータ値を用いた場合のWACCである4.5%程度に比べてやや低い一方、尾張精機の投下資本利益率(ROIC)が3.5%程度と考えられることから、ROICとの関係においては自然な数値と言えます。

 従って、尾張精機の割引率は3%~3.5%が適切な水準だと管理人は考えます。また、算定機関が採用した9.3%~11.3%という数値は、どのように算出すればこのような数値が算出されるのか非常に不思議な通常想定できない水準のものであり、不適切なものだと考えます。