"かぎろひ" 「本」のページ

ビジネス書を中心とした「おすすめ本」の書評を発信していきます

608. 「最高の休息法」 久賀谷亮

「最高の休息法」 久賀谷亮 ダイヤモンド(16/07) 

■書評■

 脳は、何もしていない状態でも疲れます。

 慢性的な疲労感が抜けない原因は、そこにあるとして、その
解消法として、「マインドフルネス」の具体的手法を、小説仕
立てで語った書です。

 マインドフルネスのメソッド自体は非常にシンプルです。

 呼吸や食事、簡単な運動など、目の前の物事に集中すること
で、脳のモンキーマインド(過去や未来を駆け巡る雑念)を
解消し、脳疲労の原因となる脳の過剰な活動を抑えます。

 また、物語のおかげで、日常生活に取り入れやすい方法であ
ることも、伝わってきます。

 「マインドフルネス」を、ビジネスに適用する際の入門書と
して有用です。

[Amazon]


[楽天ブックス]
世界のエリートがやっている最高の休息法 [ 久賀谷亮 ]

■目次■

◆マインドフル・モーメント(最高の休息法の物語)
 0.先端脳科学が注目する「脳の休め方」
 1.「疲れない心」を科学的につくりには?
     脳科学と瞑想のあいだ
     疲れているのは「身体」ではなく「脳」
     勝手に脳は疲れていく
     疲れない脳は、「自分でつくれる」
 2.「疲れやすい人」の脳の習慣
    「いま」から目をそらさない
    「何もしない」を練習する
 3.「自動操縦」が脳を疲弊させる
     集中力を高める方法
     雑念は「自動操縦の心」に忍び込んでくる
     マルチタスクが脳の集中力を下げる
    「集中モード」の脳では、何が起きているか
    「自動操縦」を脱する方法
 4.「脳」を洗浄する「睡眠」X「瞑想」
     やさしさメッタ
     眠りながら「洗浄液」で脳の疲労物質を洗い流す
 5.「扁桃体」を抑えつけるな
     疲れを溜め込まない「不安解消法」
    「前頭葉」と「扁桃体」のアンバランスがストレスを招く
    「ブリージング・スペース」で緊張感をほぐす
    「脳構造」が変われば「ストレスの捉え方」も変わる
     疲労は「疲労感」という脳現象
 6.「さよなら、モンキーマインド」
     こうして雑念は消える
     月に一度は「怠けること」に専念する
     脳を疲れされる「ジャッジメンタル」とは
 7.「怒りと疲れ」の意外な関係性
    「緊張モード」の脳科学
    「扁桃体ハイジャック」から脳を守れ
     脳か来る「衝動」にはRAINで対処
 8.「レジリエンス」の脳科学
     瞑想が「折れない心」をつくる
    「レジリエンスX脳科学}の結論は「マインドフルネス」
 9.「脳」から「身体」を治す
     副交感神経トレーニング
    「競争」が最も脳を疲れさせる
     身体をリフレッシュする「ボディスキャン」
 10.「脳には脳の休め方がある」
     人と組織に必要な「やさしさ」
     

■ポイント■

◆「脳の疲労を解消する七つの休息法」
 1.マインドフルネス呼吸法
   「いまここ」に意識を向ける
   「背中はシャッキリ、お腹はゆったり」
   「呼吸は意識の錨」
   「呼吸にラベリング」
 2.ムーブメント瞑想
   「動きと感覚」に意識を向ける
   「食事瞑想」:初めて見るみたいに
 3.ブリージング・スペース
   「身体全体」で呼吸
   「緊張を感じた部分に呼吸を吹きかける」
 4.モンキー・マインド解消法
   「繰り返しやってくる雑念」に名前をつける
   「捨てる」「例外を考える」「賢者の目線で考える」
   「善し悪しの判断をやめる」「由来を探る」(Deep Needs)
   「雑念=電車」−「自分=プラットフォーム」
 5.RAIN
   「認識する(Recognize)」
   「受け入れる(Accept)」
   「検証する(Investigate)」
   「距離をとる(Non-Identification)」
 6.やさしさのメッタ、思いやりのメッタ、感謝のメッタ
   「ポジティブな感情を自分の中に育てる」
   「マインドフルネスで嫌いな人のことを想う」
   「やさしさのフレーズを唱える」
   「心や脳の疲れは、他人に対するやさしさの欠如という形で現れる」
   「感謝できること10個を書き出す」
 7.ボディスキャン
   「横たわって全身をスキャン」
   「鼻から息を吸い、つま先に吹き込む、つま先の空気を身体を通して
    鼻から出ていく」

◆「疲れているのは「身体」ではなく「脳」」
 ・「疲労」は「疲労感」という脳現象
 ・「マインドフルネス」は、最高の休息法
 ・「DMN(Default Mode Network)」という浪費家
    DMN:脳がさまよっている時に働く回路:脳は勝手に疲れていく
     内側前頭前野、後帯状皮質等(自己へのとらわれ)、
     脳のアイドリング時に働く雑念
     反芻思考(rumination)
     くよくよ思い悩む人ほど脳のエネルギーを浪費する
     脳の全エネルギーの60-80%を占める

◆「マインドフルネス」で集中力を高め、自己コントロールを手に入れる
 ・集中力の向上
 ・感情調整力の向上
 ・自己認識の変化(自己とらわれ減少、自己コントロール力向上)
 ・免疫機能の改善

◆「脳疲労は「過去と未来」から来る」:心のストレッチ
 ・現在の方に、意識をストレッチしてみる

◆「マルチタスクが集中力を下げる」
 ・自動操縦モードに慣れた人は、集中力が弱っていく
 ・自己認識vsフロー状態(リラックスと集中が共存)

◆「前頭葉」(理性)と「扁桃体」(感情)のアンバランスがストレスを招く
 ・マインドフルネスで、フラットな関係性に
 ・脳構造が変われば、ストレスの捉え方が変わる

◆「脳の疲れを防ぐ食事」
 ・「野菜」「果物」「ナッツ」「イモ」「魚」「オリーブ油」
  「チーズ」「ヨーグルト」
 ・「鶏肉」「卵」はほどよく

◆「脳が回復する5つの習慣」
 ・「ON/OFFの切り替え儀式」(音楽、アロマ、シャワー等)
 ・「自然に触れる」(人を超えたスケール)
 ・「美に触れる」(脳の報酬系)
 ・「好きなことに没頭する」(報酬系)
 ・「故郷を訪れる」(安心感)

◆「月に一度、丸一日、休息のためだけに使うレイジーディ」
 ・「自分のケア」を意識的に

◆「雑念」が「疲労」を生む(モンキーマインド)
 ・「考えている自分」と「考えていること」を分離し傍観者になる
 ・「電車」(考え)と「プラットホーム」(自分)
 ・「ジャッジメンタル」(認知の歪み)を認識する

◆「扁桃体ハイジャック」には、RAIN
 ・「怒り」は脳が自分を守るために発動させる「緊急モード」
 ・「タスクオリエンテッド」(目的指向)は、余裕なく「怒り」の要因に
 ・Recognize:怒りが起きていることを認識する
 ・Accept:怒りが起きているという事実を受け入れる
 ・Investigate:身体に何が起きているかを検証する
 ・Non-Identification:怒りと自分を同一視せず、距離をとる

◆「レジリエンス(復元力)」:心の平静を保つ能力
 ・「楽観性」「ソーシャル・サポート」(人とのつながり)
  「思考の柔軟性」(リフレーミング)、「信仰」(大いなるもの)
 ・「エクアニミティ(Equanimity)平静」:不安を呼び出して、
   「世の中はそういうものだ」
   「どんなことも、ありのまま受け入れられますように」
 ・「いまここ」に集中する(過去、未来からの遮断)
   「登山」の「目の前の一歩一歩」

◆「競争」が最も脳を疲労させる
 ・「疎遠になった人」への連絡

◆「薪木を燃やし続けるには「空間」が必要」
 ・「マインドフルネス」は「最高の休息法」
 ・「感謝」が「幸福」をもたらす

◆「Doing(タスクオリエンテッド)」から「Being(マインドフルネス)」
 ・「静かな心を持つと、内面にある叡智が目覚める」

607. 「運が良くなる人」と「運が悪くなる人」の習慣 横山信治

「運が良くなる人」と「運が悪くなる人」の習慣 横山信治 アスカ(16/12) 

■書評■

 本書は、上司から紹介された本です。

 運が良い、悪いは、偶然のようですが、本書では、運の良さは、
日頃の考え方と行動の結果だと説きます。

 構成も非常に分かりやすく、考え方、行動、自己研鑽、コミュニ
ケーションの観点から、運がよくなる人と、運が悪くなる人との対
比で整理されています。

 また、各々の項目も、見開き2ページで簡潔に、かつ、具体的な
事例とともに解説されていますので、運を引き寄せるためのコツを
体系的に理解することができます。

 「運を引き寄せる人」は素直であり、
 「運に見放される人」は指摘する。

 素直に、読んで、実践していきましょう。


[Amazon]


[楽天ブックス]
「運が良くなる人」と「運が悪くなる人」の習慣 [ 横山 信治 ]

■目次■

1.運が良くなる考え方
2.運を捕まえる行動
3.運を呼び込むための自己研鑽
4.運が巡ってくるコミュニケーション
5.運を引き寄せる話し方・伝え方


■ポイント■

◆「運」は「人との縁」「好奇心」から生まれる

◆「健全な欲」と「執着した欲」
 ・「過程」を楽しめるか、「結果」に執着するか

◆「意図的に笑い、リラックスする」
 ・「心身一如」

◆「何が起こっても、自分の責任、必要だから起こった」
◆「自分は運がいいと思い込んでいる」
 ・「人生で起こること、すべてよきこと」

◆「今に集中する」(悩まない、考えすぎない)
 ・「不安のリスト化」「受け入れる」「対処を冷静に考える」
 ・「どんな辛いことも「いっとき」」

◆「時間軸を長くもつ」(状況を静観する勇気)
 ・「運気が下降気味のときは、動かない」

◆「喜びを見つけるゲーム」(感謝)
 ・「相手の良いところ」「出来事の意味」を感じる

◆「意志力を保持する」(部下への指示も)
 ・「自分で選べること(決定権)」「人に感謝されること」

◆「チャレンジ精神で冒険してみる」
 ・「恥」は成長するための糧になる

◆「損切りをする」
 ・「失敗」を認める勇気

◆「直観を信じ、決断する」(欲、希望的観測は無いか)
 ・「決断」したら、もう一方の選択肢を忘れる

◆「結果を気にせず、動き続ける」
 ・「今(目の前)」のことに全力を尽くす
 ・「チャンス」に気づき、「掴む」行動に移す

◆「手間のかかること、めんどくさいことをする」
 ・「人が嫌がることを率先して行う」

◆「選択肢を増やし、同時にたくさんのことを併行する」
◆「まずやってみる」(スピード)
 ・「思い立ったが吉日」

◆「与える」(笑顔、喜び、お金)
 ・「はい、わかりました」

◆「自分の弱さを知る」(教えを乞う)
 ・「運」は人が「運」んできてくれる(傲慢さの戒め)
 ・「10年真剣に修行すれば、自分の強さがわかる
   さらに10年修行すれば、相手の強さがわかる
   さらに10年修行すれば、自分の弱さがわかる」

◆「誰でもできることを、誰もできないくらいする」
 ・「地味な努力を欠かさない」
 ・「人は失敗するのではない。努力するのを諦めるのだ」(エルフ・ルート)

◆「アピールをしない」「失敗の演出をする」
 ・「嫉妬」「嫉み」を増幅させない
 ・「味方をつくる」より、「敵をつくらない」

◆「相手に気づかれずに手柄を譲る」
 ・「正論で論破する」と、敵を増やす

◆「陰日向なく努力する」
 ・「要領をかましても、すぐばれる」

◆「あるものに感謝する」
 ・「大いなるもの」に対する「謙虚さ」

◆「客観的な視点で自分を観る」
 ・「他人」から観た「自分」

◆「虚栄心を捨てる」
 ・「相手を引きずり落とす」と運気は落ちる

◆「整理整頓」
 ・「心」の断捨離も

◆「運がいい人」の習慣に触れる
 ・「幸運」は伝染する

◆「他人からの恩義に感謝し、忘れない」
 ・「したことを忘れ、してもらったことを忘れない」
 ・「ご縁」と「ご恩」を大切にする

◆「人によって態度を変えない」
 ・「無関心の相手とのコミュニケーション」を怠らない

◆「失敗談を面白おかしく話す」
 ・「笑い」は、相手への好意を示し、相手に優越感を与える

◆「無駄な敵を作らない」
 ・「味方は利害の範囲で協力してくれるが、敵は利害を超えて
   攻撃してくる」

◆「嫌いな相手に迎合しない」
 ・「誰からも好かれることなどありえない」
 ・「完璧」を手放すと「運気」が上昇する

◆「冷静に怒る」
 ・「感情」を引きずったまま「行動」に移さない

◆「相手の状況により、臨機応変に対応する」
 ・「気配り上手」に
 ・「三献の茶」(石田三成)

◆「相手が望んでいることを察知し、期待以上のことをする」
 ・「相手を喜ばせたい」という気持ち

◆「人のためにお金を使う」
 ・「モノ」より「体験」に

◆「不必要な批判は口にしない」
 ・「聴き上手」に

◆「会話の主役の言いたいことを把握して、認める」
 ・「褒める」=「相手を主役」にする

◆「面白そう」
 ・「好奇心」は運気を上げる重要なキーワード

◆「はい。喜んで」
 ・「肯定」から入ると、脳もできる方法を模索する

◆「相手の「変化」を褒める」(人への興味)
 ・「いつもと違う」という変化のアンテナを高くする
 ・「相手が話したいと思っていることを引き出す質問」

◆「できると信じる」(自己暗示)
 ・「成功イメージ」を明確に描く

◆「相手の利益を考える」
 ・「人は「論」では動かず、「利」で動く」

◆「背中で伝える」(正論は人を遠ざける)
 ・「言葉」ではなく、「行動」で示す

◆「言行一致」「陽気」「笑顔」「声」

606. 「真理のことば」 佐々木閑

「真理のことば」 佐々木閑 NHK出版(12/06) 

■書評■

 老いや病い、死の苦しみから、人は目を背けることができ
ません。

 かくも絶対的な苦悩を宿命づけられている私たちが、それ
でも安らかに生きるにはどうすれば良いのでしょう。

 仏教の始祖ブッダは、世界は原因と結果の因果則でしか動
いていないことを悟りました。

 そして、その苦しみを正しく受け入れることができるよう
に「自分の心の在りよう」を変えていくことが、苦悩から解
放される唯一の道だと説きました。

 本書は、「ダンマパダ(真理のことば)」の解説を通じて、
「釈迦の仏教」のエッセンスが、分かりやすく記載されてい
ます。


[Amazon]


[楽天ブックス]
ブッダ真理のことば [ 佐々木閑 ]

■目次■

第1章 「生きることは苦である」:「一切皆苦」
第2章 「恨みから離れる」:「諸行無常」
第3章 「執着を捨てる」:「諸法無我」
第4章 「正しいものの見方」:「涅槃寂静」

■ポイント■

◆「この世は、原因と結果の因果則によって粛々と動いている
だけであって、不可思議な力をもった救済者などいない」

◆「自分を変えることが唯一の救われる道」

◆「因果関係によって作り出されたすべてのものは苦である」
 (一切皆苦)

◆「仏と法と僧に帰依する者は、四つの聖なる真理、すなわち
「苦」と「苦の発生原因」と「苦の超越」と「苦の終息につながる
八つの聖なる道」とを正しい智慧によって見る」

 ブッダが悟ったこの世の真理を「四諦」という。
 人間の苦悩が生まれ出るプロセスを分析し、それにどのよう
 に対処すべきかを説いた「仏教の基本方針」です。

・「苦諦」生きることは本質的に苦であるという真理(一切皆苦)
・「集諦」苦の原因は心の中の煩悩であるという真理
・「滅諦」煩悩を消すことで苦が滅するという真理
・「道諦」煩悩をなくし、悟りを得るための八つの道を実践すること

 そして、煩悩を消滅させるための八つの道を「八正道」といいます。

・「正見」:正しいものの見方
・「正思惟」:正しい考え
・「正語」:正しい言葉
・「正業」:正しい行い
・「正命」:正しい生活
・「正精進」:正しい努力
・「正念」:正しい自覚
・「正定」:正しい瞑想

 この「正しい」とは、自分中心の誤った見解を捨て、この世の在り
ようを客観的に見るということです。

◆「人の苦しみにはすべて原因がある。そして、その原因は煩悩である」
 その煩悩の中でも、いちばんおおもととなるものが「無明」である

◆「無明」とは「智慧(明)」が無いこと。
 その智慧とは、「この世で起こっているものごとを正しくとらえる力」
のことです。そして、この世の正しい姿とは、「すべてうつろう」という
こと。

◆「自分の救済者は自分自身である。自分を正しく制御してはじめて、
人は得がたい救済者を手に入れる」

◆「「因果関係によって作り出されたすべてのものは無常である」(諸行無常)
と智慧によって見る時、人は苦しみを厭い離れる。これが人が清らかになる
ための道である」

◆「執着を捨てる」
「欲望とは、味わいのない苦しみ」
執着し、貪る者は、ますますそこに縛られてしまう。

◆「自分」はどこにもない
執着とは、「自分中心」の世界観から発生する。自分中心の考え方に立つ
限り、欲望は消えません。

◆自分というのは、本質のない仮想存在なのですから、それを取り巻く世界
も仮想であり、執着も自ずと消える。これを「諸法無我」という

◆「すべての存在に、自我なるものはない」(諸法無我)と智慧によって
見る時、人は苦しみを厭い離れる。これが人が清らかになるための道である」

◆この世の一切の事物は自分のものではないと自覚して、自我の虚しい主張
と縁を切った時、執着との縁も切れ、初めて苦しみのない状態を達成できる。

◆「信仰より自己鍛錬」
瞑想により、外界からの情報を遮断することで、世の中の真の姿が見えてくる
集中した精神は、特別な力を持っている

◆「自分」とは「空」である

◆「自我の概念」が「修正可能な錯覚」

605. 「名人伝」 中島敦

「名人伝」 中島敦 あおぞら

■書評■

 弓の名人になることを志した、紀昌の生涯を描く書。

 道を極めることの究極の姿が描かれている短編小説です。


[Amazon]


[楽天ブックス]
李陵/山月記/弟子/名人伝改版58版 [ 中島敦 ]

■あらすじ■

 趙の都・邯鄲に住む紀昌は、天下第一の弓の名人になろうと、
名手・飛衛に入門し、五年余の難しい修行のすえに奥義秘伝を習
得する。

 紀昌は飛衛を殺そうとして失敗し、さらなる名人を求めて西の
霍山に隠棲する老師・甘蠅を訪ねる。

 紀昌は矢を放たずに鳥を射落とす不射の射を甘蠅に見せられ、
霍山にとどまる。

 九年後、紀昌は無表情の木偶のような容貌になって邯鄲に戻っ
てくる。飛衛をはじめ邯鄲の住人は紀昌を天下一の名人と認めて
絶賛するが、紀昌は「至射は射ることなし」と言って名人芸を披
露しようとしない。

 「弓をとらない弓の名人」として紀昌はかえって有名になる。

 その後ついに紀昌は弓を手に取ることがなく、晩年には弓の名
前すら忘れ去るに至る。


■ポイント■

◆「射之射」から「不射之射」

◆「至為は為す無く、至言は言を去り、至射は射ることなし」

604. 「私の個人主義」 夏目漱石

「私の個人主義」 夏目漱石 ちくま文庫

■書評■

 漱石が、大正三年に、学習院にて行った講演内容をまとめた書。

 松山、熊本、英国と経ながら、文学とは何かについて深めていく
中で、自分の生きる道を決め、独自の「個人主義」を確立していっ
た経緯が分かりやすく記載されています。

 この「個人主義」は、いわゆる自我を押し通す類いのものではな
く、「義務」を伴った「個性」の発展を目指し、「他の存在」を尊
敬すると同時に「自分の存在」を尊敬するもの。

 「自分の個性」と「他人の個性」、「権力」と「義務」、「金力」
と「責任」という対比がポイントです。


[Amazon]


[楽天ブックス]
私の個人主義 [ 夏目漱石 ]


■ポイント■

◆「自己本位」概念の確立
・「他人本位」では、足下が固まらない。根本的に自力で作りあ
げるしかない。
・自分の手に握ってから強くなった。
・文学と科学は異なる。科学は普遍的だが、文学は個性的でいい。

◆「何かに打ち当たるまで」行くこと
・霧、靄の中でも、とことんやり続け、進むべき道を掘り当てること。
それが、自信につながっていく。
・その道を進んでいくと、個性が発展していく。

◆「個性」「権力」「金力」の三箇条
1.自己の個性の発展を遂げようと思うならば、同時に他人の個性も尊重しなければならない。
2.自己の所有している権力を使用しようと思うならば、それに付随している義務というものを心得なければならない。
3.自己の金力を示そうと願うなら、それに伴う責任を重んじなければならない。

◆「義務心」を持っていない「自由」は、本当の「自由」ではない。

◆「他の存在」を尊敬すると同時に「自分の存在」を尊敬する。

603. 「生産性」 伊賀泰代

「生産性」 伊賀泰代 ダイヤモンド(16/11)

■書評■

 マッキンゼーの元人材育成マネジャーが、いかに組織と人材の生産性
を上げるかを説く書。

 日本の組織と米国の組織を比べたとき、生産性とリーダーシップ以外
には、その人材力と組織力を左右する決定的な要因は何もない。

 量を追う発想が生産性を下げる。

 等、当たり前のことながら、なかなかできていないことに対する、処
方箋が有用です。

 生産性を高め、人生の質を高めていきましょう。


[Amazon]


[楽天ブックス]
生産性 [ 伊賀 泰代 ]


■目次■

序.軽視される「生産性」
1.生産性向上のための四つのアプローチ
2.ビジネスイノベーションに不可欠な生産性の意識
3.量から質の変化
4.トップパフォーマーの潜在力を引き出す
5.人材を諦めない組織へ
6.管理職の使命はチームの生産性向上
7.業務の生産性向上に直結する研修
8.マッキンゼー流資料の作り方
9.マッキンゼー流会議の進め方
終.マクロな視点から


■ポイント■

◆「生産性」=「付加価値額」/「投入資源量」

◆「成長するとは、生産性を上げること」

◆「ビジネスイノベーション」には、
 ・「問題意識」と「画期的な解決法への強い希求心」が必要
 ・"Motivation for innovation"

◆「思考」は「制約条件」が設けられた方が発展する

◆「明確な優先順位づけ」と「迅速な意思決定」

◆「選抜は目的ではなく、成長支援のために不可欠な手段」

◆「トップパフォーマーを育てる三つの方法」
 ・「ストレッチゴールを与える」
 ・「比較対象を変える」(一年前の自分、他のトップ)
 ・「圧倒的なライバルの姿を見せる」

◆「ノウハウの言語化し移植できる能力」
 ・人に教えることで、言語化ができ、思考の整理となる

◆「三割と三%の両方を意識する」

◆「マネジャー」の仕事は
 ・決断をすること
 ・リスクに備えておくこと

◆「ロールプレイ」(創造性の政略)
 ・相手の視点に立つことで、自分の行動を振り返ることができる
 ・豊富なフィードバックが得られる
 ・知識だけでなく、言動の練習ができる

◆「仕事に取りかかる前に、アウトプットイメージを持つ」
 ・ブランク資料は設計図

◆「会議の達成目標を具体的に明記する」
 ・自分の意見を明確にする(ポジションをとる)
 ・意思決定のロジックを定める
 ・セッティングとファシリテーション技術

602. 「最強の呼吸法」 北川貴英

「最強の呼吸法」 北川貴英 マガジンハウス(11/11)

■書評■

 「システマ」とは、ロシアがまだソビエト連邦時代に、
ミハイル・リャブコという人が、当時の独裁者スターリンの
ボディーガードから教わったとされる近接格闘術です。

 そのシステマ格闘術の中でも、大事な要素とされるのが
「呼吸法」で、システマブリージングと呼ばれています。

 人間の能力を抑え込んでしまう原因は「恐怖心」です。
そして、その「恐怖」のスパイラルを断ち切るには、肉体
それも、「呼吸」が一番効果的です。

 呼吸法で、「恐怖心」を消して、能力を発揮できる状態
を創っていきましょう。
 

[Amazon]


[楽天ブックス]
最強の呼吸法 [ 北川貴英 ]

■目次■

1 何故あなたは恐怖を感じるのか?
2 恐怖が生む三つの足かせ
3 恐怖心を消すには「ブリージング」せよ
4 最強の呼吸法 基礎編
5 最強の呼吸法 日常への応用編
6 現代を生き抜く護身術編
7 ロシア武術「システマ」とは?

■ポイント■

◆「バースト・ブリージング」は、鼻から吸い、口から吐く。
これを小刻みに行なう。

◆「恐怖心」は人を緊張させ、萎縮させ、健全な思考力や判断力
を奪う。「恐怖心」に駆られた行動は取り返しのつかない過ちを
引き起こすことすらある。

◆人々が余計な「恐怖心」にとらわれることのない、健全な思考と体、
そして心を持ち続ける必要がある。

◆「恐怖心」の源は脳。目や耳からの情報を受け取ると、脳は過去の
記憶をもとに未来への予測を始め、危険かどうか判断する。これ
が恐怖心の始まり。

◆肉体は、脳や精神に比べて格段にコントロールが容易。
だから、恐怖のスパイラルを断ち切るには、肉体に働きかけるの
がもっともやりやすい。

601. 「般若心経」 佐々木閑

「般若心経」 佐々木閑 NHK出版(14/01)

■書評■

 「空」とは、「色即是空」のほんとうの意味とは。

 日本人にとって最もなじみの深いお経「般若心経」について
分かりやすく解説されたNHK「100分de名著」ブックス。

 「般若心経」は、「釈迦の仏教」とは異なり、自らが仏へと
至る「神秘力」を得るための重要な真言。

 わずか262文字に秘められた壮大さを感じることができます。

[Amazon]


[楽天ブックス]
般若心経 [ 佐々木閑 ]

■目次■

1.最強の262文字
 「五蘊」はみな「空」である
 「釈迦の仏教」から「大乗仏教」へ
 「頂は一つ」ではない
 「般若経」の精髄

2.世界は「空」である
 「色即是空」
 「五蘊」「十二処」「十八界」
 「釈迦の世界観」

3.「無」が教えるやさしさ
 「十二支縁起」も「四諦」もない
 「因果」と「業」
 「利他」と「廻向」

4.見えない力を信じる
 「唱える」ことに意義がある
 「芳一」の教え
  聖なる「呪文」
 「簡略化」のパワー
 「神秘」は心のパワーを生み出す触媒

5.「私とはなにか」
 「物質と精神」の複合機能としての「私」

600. 「緊張をとる」 伊藤丈恭

「緊張をとる」 伊藤丈恭 芸術新聞社(15/07)

■書評■

 なぜ俳優は舞台で緊張しないのでしょう?

 「瞬間的緊張」と「慢性的緊張」をとるための方法論を、演劇
的アプローチで、興味深く記載されています。

 そして、これらは、単なる方法論ではなく、なかなか直接コン
トロールできない、人間の潜在意識を扱う心理学の書とも言えます。

 なかなか深いです。

[Amazon]


[楽天ブックス]
緊張をとる [ 伊藤丈恭 ]

■目次■

第一話 楽しみやすくする
第二話 不安をとる
第三話 集中する
第四話 躊躇をとる
第五話 発声する
第六話 乗りやすくする
第七話 ポジティブを考え直す
第八話 こだわりを捨てる
第九話 役づくりを学ぶ
第十話 深いリラックスを目指す
第十一話 テンションを上げる
終話 その後

■ポイント■

◆「「緊張してない」って自己暗示かけても効けへんで。それより緊
張してるって認める方が緊張はとれるんやで」

◆「うーん、じゃ、前進にグッと思いっきり力を入れてパッと抜く
「グッ・パー」、肩を思いっきり上げてストンって落とす「肩スト
ン」、鼻から強く息を吸って口から強く吐く「強い呼吸」をやってみ」

◆「自分だけ他の人と違うんとちゃうか、自分だけ見られてるんちゃ
うかとか。誰も大してあんたのことなんか見てないのに、自分の勘
違いで自分を緊張させてもうてんねん」

◆「成長過程では「見つめる鍋は煮えない」って考えがあるねん。鍋
を見てたらフタを開けてしまうやろ。開けたら煮えへんねん。カッ
プ麺ずっと見てたら3分待たれへんのと一緒やで。努力は続けなが
らも、成果は気にせえへんことが大事やねん」

◆「緊張する理由って、嫌われたくないっていうのが大きいやん?」

◆「慣れるには恥ずかしい経験をいっぱいしたほうが早いねん。成功
せんでもええから意識的に恥ずかしいことをやるねん」

◆「緊張の心拍数の範囲があって、興奮状態はそれを超えた心拍数や
から緊張を忘れるねん」

◆「心は無理強いさせられると休止状態になるねん」

◆「演技の場合はお客さんじゃなく相手役に意識を持っていけばいい
ねん。これよう覚えときや。意識って減らそうとしても減らせられ
へん。じゃ、『別のものに意識を持っていく』やねん。そしたらお
客さんへの意識はなくなるから」

◆「集中って基本的には『対象』がなかったらできひんねん」

◆「本番で新しい発見したろ、っていう気持ちでやるねん」

◆「大げさ過ぎる練習で躊躇をとる」

◆「集中してから練習を始めるのと違って、始めながら集中するねん。
集中は結果的なもんやから、最初から求めたらアカン」

◆「大きい目標は大きい不安と葛藤と緊張になるねん」

◆「自分の心に『俺もええとこある』って認めたる栄養をあげな、
自信なくして、緊張するねん」

◆「『量より質』でなく『質より量』で、1パーセントしかできてな
くても『とりあえずOK』にして、自分を「その気」にさせていくねん」

599. 「知性を磨く」 田坂広志

「知性を磨く」 田坂広志 光文社新書(14/05)

■書評■

 目の前の現実を変革する「知の力」=「知性」を磨くための知性論。

 そもそも知性とは何なのか。

 その問いに著者は、知性と知能の違いの説明と共にこう答えています。

「知能」とは、「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力。
「知性」とは、「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力。

 本書では、知能ではこれからの時代、いずれ通用しなくなる、知性を持った
スーパージェネラリストになろうと勧めています。
 

[Amazon]


[楽天ブックス]
知性を磨く [ 田坂広志 ]

■目次■

第一話 なぜ、高学歴の人物が、深い知性を感じさせないのか?
第二話 「答えの無い問い」に溢れる人生
第三話 なぜ、「割り切り」たくなるのか?
第四話 「割り切り」ではない、迅速な意思決定
第五話 精神のエネルギーは、年齢とともに高まっていく
第六話 「固定観念」を捨てるだけで開花する能力
第七話 なぜ、博識が、知性とは関係無いのか?
第八話 頭の良い若者ほど、プロフェッショナルになれない理由
第九話 なぜ、優秀な専門家が、問題を解決できないのか?
第一〇話 「スーパージェネラリスト」とは、いかなる人材か?
第一一話 「垂直統合の知性」を持つスーパージェネラリスト
第一二話 スーパージェネラリストに求められる「七つの知性」
第一三話 なぜ、経営者がスーパージェネラリストになれないのか?
第一四話 「予測」できない未来を「予見」するには、どうすればよいのか?
第一五話 なぜ、「目標」と「ビジョン」が混同されるのか?
第一六話 「志」と「野心」は、何が違うのか?
第一七話 なぜ、「戦略」とは「戦わない」ための思考なのか?
第一八話 なぜ、優れたプロフェッショナルは、「想像力」が豊かなのか?
第一九話 「知性」を磨くための「メタ知性」とは何か?
第二〇話 なぜ、古典を読んでも「人間力」が身につかないのか?
第二一話 あなたは、どの「人格」で仕事をしているか?
第二二話 なぜ、多重人格のマネジメントで、多彩な才能が開花するのか?
第二三話 なぜ、スーパージェネラリストの知性は、現場にあるのか?
第二四話 なぜ、人類は、二〇世紀に問題を解決できなかったのか?
第二五話 「二一世紀の知性」とは、いかなる知性か?


■ポイント■

◆精神が「楽になる」ことを求め、「割り切り」に流されていくと、
深く考えることができなくなり、「答えの無い問い」を問う力、「知
性」の力が衰えていく。

◆自身の中にある「思い込み」と「固定観念」に気がついたとき、
我々は、これまで無意識に抑圧してきた「隠れた才能」を開花させて
いくことができる。

◆「知識」とは、「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるも
のである。「智恵」とは、「言葉で表せないもの」であり、「経験」か
らしか学べないものである。

◆プロフェッショナルが永年の経験を通じて身につけた智恵を、自ら
歳月をかけて同じ経験を積み、その智恵を掴むのではなく、わずか数
冊の本を読んだだけで掴みたいと思う「安直な精神」。
この「安直な精神」が「知識と智恵の錯覚」という病にかかったとき、
どれほど頭の良い読者であっても、決して、プロフェッショナルにな
ることはできない。

◆ある「戦略」の下で「戦術」を決定するためには、まず、具体的な
「固有名詞」を想定し、可能な限り「背景情報」と「周辺情報」を入
手したうえで、その「戦術」」を実行したときの「シミュレーション」
を徹底的に行い、「戦術」の最善策を検討する。

598. 「サピエンス全史」 ユヴァル・ノア・ハラリ

「サピエンス全史」 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社(16/09)

■書評■

 国家、貨幣、宗教…「虚構」が他人との協力を可能にし、
文明をもたらした。農業革命は、史上最大の詐欺だった。

 今から120万年前に人類が誕生してから、現在に至るまでの
史実を、著者は丹念に紡ぎ、「物語」として綴っています。

 本書のキーワードは「虚構」。

 国家も法律も経済も貨幣も宗教も民族も、手で触れて実体が
ないものはいずれも「言語が生み出した虚構」。

 そのことを踏まえて、最後には「人生とは何か」「幸せとは
何か」というところまで論じられています。

 大著ですが、知的興奮を覚える名著です。


[Amazon]



[楽天ブックス]
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

サピエンス全史 上下巻セット [ ユヴァル・ノア・ハラリ ]
価格:4104円(税込、送料無料) (2017/2/28時点)




■目次■

第1部 認知革命

第1章 唯一生き延びた人類種
 不面目な秘密/思考力の代償/調理をする動物/兄弟たちはどうなったか?

第2章 虚構が協力を可能にした
 プジョー伝説/ゲノムを迂回する/歴史と生物学

第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
 原初の豊かな社会/口を利く死者の霊/平和か戦争か?/沈黙の帳

第4章 史上最も危険な種
 告発のとおり有罪/オオナマケモノの最期/ノアの方舟

第2部 農業革命

第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
 贅沢の罠/聖なる介入/革命の犠牲者たち

第6章 神話による社会の拡大
 未来に関する懸念/想像上の秩序/真の信奉者たち/脱出不能の監獄

第7章 書記体系の発明
 「クシム」という署名/官僚制の驚異/数の言語

第8章 想像上のヒエラルキーと差別
 悪循環/アメリカ大陸における清浄/男女間の格差/生物学的な性別と社会的・文化的性別/
 男性のどこがそれほど優れているのか?/筋力/攻撃性/家父長制の遺伝子

第3部 人類の統一

第9章 統一へ向かう世界
 歴史は統一に向かって進み続ける/グローバルなビジョン

第10章 最強の征服者、貨幣
 物々交換の限界/貝殻とタバコ/貨幣はどのように機能するのか?/金の福音/貨幣の代償

第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
 帝国とは何か?/悪の帝国?/これはお前たちのためなのだ/「彼ら」が「私たち」になるとき/
 歴史の中の善人と悪人/新しいグローバル帝国

第12章 宗教という超人間的秩序
 神々の台頭と人類の地位/偶像崇拝の恩恵/神は一つ/善と悪の戦い/自然の法則/人間の崇拝

第13章 歴史の必然と謎めいた選択
 後知恵の誤謬/2 盲目のクレイオ

第4部 科学革命

第14章 無知の発見と近代科学の成立
 無知な人/科学界の教義/知は力/進歩の理想/ギルガメシュ・プロジェクト/
 科学を気前良く援助する人々

第15章 科学と帝国の融合
 なぜヨーロッパなのか?/征服の精神構造/空白のある地図/宇宙からの侵略/
 帝国が支援した近代科学

第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
 拡大するパイ/コロンブス、投資家を探す/資本の名の下に/自由市場というカルト/
 資本主義の地獄

第17章 産業の推進力
 熱を運動に変換する/エネルギーの大洋/ベルトコンベヤー上の命/ショッピングの時代

第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
 近代の時間/家族とコミュニティの崩壊/想像上のコミュニティ/変化し続ける近代社会/
 現代の平和/帝国の撤退/原子の平和

第19章 文明は人間を幸福にしたのか
 幸福度を測る/化学から見た幸福/人生の意義/汝自身を知れ

第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ
 マウスとヒトの合成/ネアンデルタール人の復活/バイオニック生命体/別の生命/特異点/
 フランケンシュタインの予言


■ポイント■

◆およそ七万年前、ホモ・サピエンスという種に属する生き物が、
なおさら精巧な構造体、すなわち文化を形成し始めた。そうした
人間文化のその後の発展を「歴史」という。

◆歴史の道筋は、三つの重要な革命が決めた。約七万年前に歴史
を始動させた認知革命、約一万二〇〇〇年前に歴史の流れを加速
させた農業革命、そしてわずか五〇〇年前に始まった科学革命だ。

◆私たちはつい最近までサバンナの負け組の一員だったため、自分の
位置についての恐れと不安でいっぱいで、そのためなおさら残忍で
危険な存在となっている。多数の死傷者を出す戦争から生態系の大
惨事に至るまで、歴史上の多くの災難は、このあまりに性急な飛躍
の産物なのだ

◆チンパンジーが一日五時間も生の食べ物を噛んでいるのに対して、
調理した食物を食べる人間は、たった一時間あれば十分だった。調
理をするようになったおかげで、人類は前よりも多くの種類の食物
を食べたり、食事にかける時間を減らしたりでき、小さな歯と短い
腸で事足りるようになった。調理が始まったことと、人類の腸が短
くなったり、脳が大きくなったことの間には直接のつながりがあっ
たと考える学者もいる

◆火の力は、人体の形状や構造、強さによって制限されてはいなかっ
た。たった一人の女性でも、火打ち石か火起こし棒があれば、わず
か数時間のうちに森をそっくり焼き払うことが可能だった

◆誰が信頼できるかについての確かな情報があれば、小さな集団は大
きな集団へと拡張でき、サピエンスは、より緊密でより精緻な種類
の協力関係を築き上げられた

◆ホモ・サピエンスはどうやってこの重大な限界を乗り越え、何万も
の住民から成る都市や、何億もの民を支配する帝国を最終的に築い
たのだろう? その秘密はおそらく、虚構の登場にある。膨大な数
の見知らぬ人どうしも、共通の神話を信じることによって、首尾良
く協力できるのだ

◆農業や工業が始まると、人々は生き延びるためにしだいに他者の技
能に頼れるようになり、「愚か者のニッチ」が新たに開けた。凡庸
な人も、水の運搬人や製造ラインの労働者として働いて生き延び、
凡庸な遺伝子を次の世代に伝えることができたのだ

◆人類は農業革命によって、手に入る食糧の総量をたしかに増やすこ
とはできたが、食糧の増加は、より良い食生活や、より長い余暇に
は結びつかなかった。むしろ、人口爆発と飽食のエリート層の誕生
につながった

◆歴史の数少ない鉄則の一つに、贅沢品は必需品となり、新たな義務
を生じさせる、というものがある

◆こうして没収された食糧の余剰が、政治や戦争、芸術、哲学の原動
力となった。余剰食糧のおかげで宮殿や砦、記念碑や神殿が建った

◆記録を粘土板に刻みつけるだけでは、効率的で正確で便利なデータ
処理が保証されるわけではないことは明らかだ。そうした処理には、
目録のような整理の方法や、コピー機のような複写の方法、コンピ
ューターのアルゴリズムのような、迅速で正確な検索の方法、そし
てこれらのツールの使い方を知っている、杓子定規の文献管理責任
者が必要とされる

◆アステカ族は自分たちが全世界を知っていて、そのほとんどを支配
していると確信していた。自分たちの領土の外にスペイン人などと
いうものが存在するとは想像できなかった

◆視野が狭かったために高い代償を払う羽目になったのは、アメリカ
大陸の先住民だけではない。オスマン帝国やサファヴィー帝国、ム
ガル帝国、中国など、アジアの数々の大帝国の人々は、ヨーロッパ
人たちが何か大きなものを発見したという話が早々に伝わってきた
にもかかわらず、そうした発見にあまり関心を払わなかった。世界
はアジアを中心に回っていると信じ続けており、アメリカ大陸、あ
るいは大西洋や太平洋の新しい遠洋航路の支配をめぐってヨーロッ
パ人と競おうとはしなかった

◆じつは産業革命は、エネルギー変換における革命だった。この革命
は、私たちが使えるエネルギーに限界がないことを、再三立証して
きた(中略)私たちに不足しているのは、私たちの必要性を満たす
ためにそのエネルギーを利用し、変換するのに必要な知識なのだ

◆産業革命は、安価で豊富なエネルギーと安価で豊富な原材料との、
先例のない組み合わせを実現させた。その結果、人類の生産性は爆
発的に向上した

◆資本主義と消費主義の価値体系は、表裏一体であり、二つの戒律が
合わさったものだ。富める者の至高の戒律は、「投資せよ!」であ
り、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」だ

◆個人の解放には犠牲が伴う。今では、強い絆で結ばれた家族やコミ
ュニティの喪失を嘆き悲しみ、人間味に欠ける国家や市場が私たち
の生活に及ぼす力を目の当たりにして、疎外感に苛まれ、脅威を覚
える人も多い。孤立した個人から成る国家や市場は、強い絆で結ば
れた家族とコミュニティから成る国家や社会よりもはるかにたやす
く、その成員の生活に介入できる

◆あなたが現代のティーンエイジャーだとしたら、自分に満足できな
い可能性がはるかに高い。同じ学校の生徒は醜い連中だったとして
も、あなたの比較の対象は彼らではなく、テレビやフェイスブック
や巨大な屋外広告で四六時中目にする映画スターや運動選手、スー
パーモデルだからだ。となると、第三世界における不満はおそらく、
貧困や疾病、腐敗、政治的抑圧ばかりでなく、先進国の標準に接す
ることによっても助長されうるのではないだろうか?

597. 「逆説の日本史15」 井沢元彦

「逆説の日本史15」 井沢元彦 小学館(08/08)

■書評■

 「逆説の日本史15」近世改革編。

 ヒーロー:新井白石、徳川吉宗、松平定信
 悪役:間部詮房、徳川宗春、田沼意次

 これが、教科書における通念ですが、そこに鋭いメスを入れた
歴史書です。

 ・なぜ、紀州の四男の吉宗が、八代将軍になれたのか
 ・吉宗創設の「御三卿」の真の意図とは
 ・田沼意次と松平定信の確執と、その裏の黒幕とは
 ・倒幕の予兆は、松平定信と光格天皇との関係で起こっていた

 等、教科書では知り得ない時代の裏側について、興味深く記載さ
れています。

 徳川将軍で著名ではない、家宣(6)、家継(7)、家重(9)、家治(10)、
家斉(11)の役割も、目から鱗でした。

 日本史の面白さを再確認できました。

 
[Amazon]


[楽天ブックス]



■目次■

第一章.「六代将軍家宣の新政編」〜側用人を重用した権力機構〜
 ・綱吉の「側用人システム」を活用
 ・「絵島生島事件」と、月光院vs天英院の争い
 ・「将軍継承レース」:尾張vs紀州

第二章.「八代将軍吉宗の支配編」〜「改革の英雄」の実像を暴く〜
 ・四男吉宗の「強運」
 ・「新井白石の否定」と「綱吉への回帰」
 ・「儒教」の「貴穀賤金」思想が経済政策の誤りに

第三章.「将軍吉宗vs尾張宗春編」〜経済政策にみる明と暗〜
 ・吉宗の失政を批判した宗春
 ・芝居見物を自由化した商都名古屋活性化計画
 ・吉宗が創設した「御三卿」で「将軍家の独占」

第四章.「田沼意次vs松平定信編」〜「幕府を潰した男」と「天皇」の復活〜
 ・徳川家重が暗君でなければならなかった「正史」のわな
 ・通商国家を目指した意次暗殺の首謀者は松平定信
 ・松平定信を操り人形とした黒幕・一橋治済の陰謀
 ・朝廷の政治的要求を受け入れた先例が「倒幕」の始まり
 ・「天皇」という称号を復活させた「光格天皇」

596. 「大局観」 羽生善治

「大局観」 羽生善治 角川新書(11/02)

■書評■

 稀代の棋士、羽生さんの「大局観」論。

 わかりやすい語り口で、感情のコントロール、リスクをとること、
集中力、毎日の練習の効果、負け方、目標設定、直感、運、スターの
資質等、多岐にわたる経験談が綴られています。

 羽生さんでも、公式戦で400回、負けている。

 「大局観」で、「いかに読まないか」の心境になるには、数多くの
経験を積んでいく必要があります。

 経営の世界にも通じる、良書です。
 

[Amazon]


[楽天ブックス]



■目次■

第一章 「大局観」

1.検証と反省
2.感情のコントロールはどこまで必要か
3.リスクを取らないことは最大のリスクである
4.ミスについて
5.挑戦する勇気

第二章 「練習と集中力」

1.集中力とは何か
2.逆境を楽しむこと
3.毎日の練習がもたらす効果
4.教える事について
5.繰り返しの大切さ

第三章 「負けること」

1.負け方について
2.記憶とは何か
3.検索について
4.知識とは
5.直感について
6.確率について
7.今にわかる

第四章 「運・不運の捉え方」

1.運について
2.ゲンを担ぐか
3.スターの資質
4.所有について

第五章 「理論・セオリー・感情」

1.勝利の前進
2.将棋とチェスの比較
3.コンピュータと将棋
4.逆転について
5.ブラック・スワン
6.格言から学ぶこと
7.世代について


■ポイント■

◆「読み」と「大局観」
 ・「読み」:ロジカルな判断
 ・「大局観」:経験の積み重ねによる
   「大局観」を用いて、いかに「読まない」心境になるか
   「経験」の誤謬も
 ・「感覚」と「思慮深さ」のバランス
   しっかりと、ロジカルに考える力も大切
    この地道な努力が、後々の「大局観」に反映される
    難局でもがく経験が重要

◆「日常の練習」の効果
 ・「あれだけやったのだからという自信」
 ・「続けること」は偉大な才能
   「習うより慣れよ」
   「量」から「質」への転換
 ・「繰り返す」
   「信念を貫き、楽な道を選ばない」
   「千里の道も一歩から」

◆「リスク」をとる
 ・「経験」を積むにしたがい、「リスク」を避けるようになる
   「リスク」に正対し、恐怖と不安に打ち克つこと
 ・「リスク」とは、自動車のアクセルのようなもの
   「実際に体験」しないと、身体感覚で身につかない
 ・「大きなリスク」をとると視野が狭くなる
   「視野」を拡げてリスクを軽減
 ・「漠然とした不安」は「暗闇」と同じ
   「実体」はないことが多い

◆「ミス」について
 ・「感情・心境」「過去の経験」「状況認識誤り」
   「地道に小さな選択」を重ねていくしかない
 ・「正対」する
   「MVP」Mission, Vision, Passion

◆「集中力」を鍛える:「リラックスした集中」
 ・「助走期間」が必要
   「海に潜る」間隔
 ・「目的意識」が必要
   「可視化が難しいテーマ」について考える
   「ブレークスルー」:次なるステージを明確に
 ・「集中力」を高めるトレーニング法
  ・「何も考えない時間を持つ」
    「対極」を意識する
  ・「一つのことをじっくり考えることに慣れる」
    「不慣れなテーマ」を掘り下げて考える訓練
  ・「時間と手間のかかることに取り組む」
    「長編小説」を読む

◆「負け」は「進歩の一プロセス」
 ・「自分なりのスタイルを貫きながら、新たなスタイルを創出」
   「変化」のきっかけとなる
 ・「打たれ強さ」:「鈍感力」も必要
   「適当な負け」は必要不可欠

◆「検索」と「地道な努力」のバランス
 ・「便利さ」の裏の危うさ
 ・「供給サイド」に軸足を置く
   「得た情報」に血肉を加えて「供給側」に
 ・「情報・知識」は、創造に干渉する
   「先入観」「思い込み」

◆「直感」は研鑽を積んだ者のみに降りてくる
 ・「行動」「検証」「反省」のサイクル

◆「運」について
 ・「自分はついている」と公言するには自信と決断が必要
 ・「準備」:すぐに掴める体勢
 ・「心の強さ」:大らか、前向き、慈悲深さ
   「ツキに拘らない大らかさ」
 ・「流動性」:モノを手放す
   「過去」を総括する覚悟

◆「真面目」の語源
 ・「柳は緑、花を紅、真面目(しんめんもく)」(蘇東坡)
   「真面目」:「自分らしく、真剣に生きている様子」
    「表面的なことにとどまらない本質的な意味を知る」

595. 「逆説の世界史1」 井沢元彦

「逆説の世界史1」 井沢元彦 小学館(14/01)

■書評■

 「逆説の日本史」の井沢元彦さんの「世界史」版第一弾。

 第一巻は、古代エジプトと中華帝国の興廃で、テーマは「文明はなぜ
衰退あるいは停滞するのか」。

 古代エジプト文明編では、ピラミッドは何のために造られ、巨大建築
物を造る技術はなぜ継承されずに文明が滅亡したのかを。

 中国文明の力量と停滞編では、15世紀に世界の最先端だった国家がな
ぜ六百年以上も停滞しているのか、儒教社会を支配する「中華思想」に
ついて記されています。

 いずれも、教科書的な、年表通りの説明ではなく、現代につながる視
点での検証が興味深いです。

 「ピラミッドはファラオ(王)の墓ではない」
 「中国が抱える問題」と、「中華思想」「儒教(朱子学)」との関係性

 という視点は新鮮でした。

 ただ、中国文明編の最後の方は、現代の中国、韓国に対する主張が強
すぎて、「逆説の世界史」の第一巻としては、少し違和感ありました。

 とは言え、著者のチャレンジ精神に敬意を表します。


[Amazon]


[楽天ブックス]



■目次■

序章.「人類はいかにして文明を持ったか」
1.民族、宗教、イデオロギーを超越した新たな視点
2.時代分類は「利器の材質」から「情報蓄積ツール」へ

第一章.「古代エジプト文明の崩壊」
1.なぜ巨大ピラミッドが建造されたのか
2.ヒエログラフと文字の起源

第二章.「中国文明の力量と停滞」
1.儒教文明の呪縛と毛沢東の文化大革命
2.朱子学国家が東アジアに与えた悪影響
3.歴史を改竄する中国共産党の偏向教育


■ポイント■

◆「人類文明の進歩が始まったのは、文字による情報の蓄積が可能になったから」
 ・「紙」の出現(中国:蔡倫105年)

◆「ピラミッド建造の工法が伝承されなかった理由」
 「ヒエログラフが後世に伝わらなかった理由」
 ・「言霊」信仰

◆「新儒教」の創始者・朱子が東洋世界を停滞させた
 ・「孝」の思想:「公」より「ファミリー」優先
   韓国大統領のファミリー汚職、北朝鮮の世襲
 ・「士農工商」:「商業」の蔑視
 ・「祖法」の重視:「変化」できない
 ・「来世」はない:儒学
   死者を鞭打つ、悪人は悪人

594. 「あした死ぬかもよ?」 ひすいこたろう

「あした死ぬかもよ?」 ひすいこたろう ディスカヴァー21(12/12)

■書評■

 人生最後の日に笑って死ねる27の質問。

 人は、なぜかみな、「自分だけは死なない」と思っているもの。
でも、残念ながら、みな、いつか必ず死にます。

 それを受け止めることこそ、「生」を輝かせることにつながります。
自分が「いつか死ぬ身である」ということをしっかり心に刻み込めば、
自分のほんとうの気持ちに気がつき、もっと自分らしく、人生を輝かせ
ることができるのです。

 今生きているということこそ、奇跡であることを受け止めて、新しい
自分で、新しい人生を歩き始めてみましょう。
 
[Amazon]


[楽天ブックス]


■目次■

しつもん0 人生最後の日、何に泣きたいほど後悔するだろう?

第1章 後悔なく生きる

しつもん1 あと何回桜を見られるだろう?
しつもん2 どんな制限を自分にかけているだろうか?
しつもん3 あなたが両親を選んで生まれてきたのだとしたら、その理由は何だろう?
しつもん4 あなたの人生は、100点満点中、いま何点?
しつもん5 失う前に気がつきたい幸せは何ですか?
しつもん6 これだけは失いたくないものベスト5は?
しつもん7 今考えている悩みは、たとえ人生最後の日であっても、深刻ですか?

第2章 ドリーム(夢)を生きる

しつもん8 あなたにとって理想の人生とは何でしょう?
しつもん9 あなたは何によって憶えられたいですか?
しつもん10 自分のお墓に言葉を刻むとしたら、何と入れる?
しつもん11 あなたの死亡記事が出ます。なんて書かれたい?
しつもん12 あなたの大切な友だちが、どんな夢を持っているか、知っていますか?
しつもん13 「いつかやる」、あなたの「いつか」はいつですか?
しつもん14 あなたが死ぬ前にやりたいことを、10個あげてみよう

第3章 ミッション(志)を生きる

しつもん15 あなたが生きることで、幸せになる人はいますか?
しつもん16 なんのためなら、誰のためなら死ねる?
しつもん17 おじいちゃん、おばあちゃんの名前をちゃんと言えますか?
しつもん18 お金と時間がありあまるほどあるとします。どんなことをしますか?
しつもん19 死後、あなたは誰の記憶に残るだろう?

第4章 ハートの声(本心)で生きる

しつもん20 あなたがホッとするときはどんなとき?
しつもん21 半年後に死ぬとしたら、今の仕事をやめる?
しつもん22 その嫌な感情は、体のどこで感じていますか?
しつもん23 もし今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていたことをしますか?
しつもん24 今日飲むお茶が最後のお茶だと思ったら、今までと何が変わる?
しつもん25 なにもかも大丈夫だとしたら、ほんとは、どうしたい
しつもん26 これまでの人生で一番うれしかったことはどんなこと?

ラストメッセージ

しつもん27 理想の人生を生ききったあなたが、今日のあなたにメッセージを贈るとしたら?

■ポイント■

◆「もっと冒険しておけばよかった」

◆“あなたが生まれたとき、
 あなたは泣いていて周りの人たちは笑っていたでしょう
 だから、いつかあなたが死ぬとき、
 あなたが笑っていて周りの人たちが泣いている。
 そんな人生を送りなさい。”

◆「メメント・モリ」:死を忘れるな

◆「やりたいことはすべてやるがいい。
  人間は、死ぬ間際、やったことに後悔する人は少ないものだ。
  やらなかったことに後悔する」

◆「感」じたら、すぐに「動」くこと。その先に「感動」がある。

◆「人生は、幸せになるのが目的じゃない。
幸せがスタート地点。幸せから夢へ向かうんです。
今が不満だから幸せを目指すという人は、夢を成し遂げても、
そこに見えるのは、新しい不満です」

◆「想像の中で、椅子を2つ向かい合わせ、今の自分と、天寿を
全うして亡くなる直前の自分を各々に座らせ、会話をさせる」

「すべてだいじょうぶだから。
 やってみらいことはやってみるがいい。
 なにもかもだいじょうぶだから。
 人生最後の日を迎える私から見ると、
 うまくいったかどうかなんて、どうでもよかったんだとわかる」

「人生最後の日から見ると、すべての出来事は夢の中の想い出になる。
 昨日のことだって、もう、みんな夢の中の記憶だろ?
 夢の中で、ビビってどうする? 夢の中で、心配してどうする?
 なんであんなことに深刻になっていたんだろうと、自分に笑う
 しかないよ」

「どっちでもいいんだ。結果はすべて、人生最後の日に、夢となる
 のだから。だから、大切なのは、どんな気持ちで、それをやって
 いたのか。ほんとうに大切なのは、そこだけだ」

「ほんとうに大切なのは、ハートをひらくこと、自分に素直になること。
 いまの自分の気持ちにちゃんと寄り添ってあげるんだ。
 「ほんとは、どうしたいの?」って
 それが、未来の私から、あなたに一番伝えたいこと」

「人生は文字どおり旅なんだ。旅に成功も失敗もあるか。
 そして、旅には、やらなければいけないこともなにもない。
 歯を磨く、それくらいのもんだ。
 だいじょうぶ。子どもの頃の気持ちを思いだしてごらん。
 そう、その気持ちだ。
 家の扉をあけたとたんに、走り出していたあの頃のあなた」

「私は、私の人生を選んでほんとうによかった。人生最後の日、私は
 いま幸せだ。いま、心からそう思えるのはあなたのおかげだよ。
 いまのあなたが、たくさん、たくさん、悩んでくれたからだ」

593. 「下町ロケット2」 池井戸潤

「下町ロケット2」 池井戸潤 小学館文庫(10/10)

■書評■

 テレビ放映で人気ののあった「下町ロケット」。

 書籍版は、「下町ロケット」しか読んでいませんでしたので、
「下町ロケット2」を読んでみました。

 直木賞受賞作の続編ということで、この作品も、勧善懲悪タイ
プながら、楽しく読めました。

 ロケット研究者から、家業の町工場を継いだ主人公が、今回は、
医療機器の部品製作に挑みます。

 医療関係のドロドロとした人間関係と、「医は仁術」という
使命感との対比。

 製造業に勤める身として、また胸が熱くなりました。
 
[Amazon]


[楽天ブックス]


■目次■

1.「ナゾの依頼」
2.「ガウディ計画」
3.「ライバルの流儀」
4.「権力の構造」
5.「錯綜」
6.「事故か事件か」
7.「誰のために」
8.「臨戦態勢」
9.「完璧なデータ」
10.「スキャンダル」
11.「夢と挫折」
12.「挑戦の終わり 夢の始まり」

[あらすじ]

 ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を
切り抜けてから数年。

 大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。

 量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られ、ロケット
エンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコ
ンペの話が持ち上がる。

 そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器
の開発依頼が持ち込まれた。

 「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓
病患者を救うことができるという。

 しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の
開発は、中小企業である佃製作所にとってあまりにもリスクが大きい。

 苦悩の末に佃が出した決断は。

 医療界に蔓延る様々な問題点や、地位や名誉に群がる者たちの妨害
が立ち塞がるなか、佃製作所の新たな挑戦が始まった。

 直木賞受賞の前作から5年を経た続編。

592. 「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか」 田坂広志

「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか」 田坂広志 PHP研究所(07/08)

■書評■

 田坂広志さんの、マネジメント論です。

 「人間の出会いが生み出す「最高のアート」」というのが、
著者の語るマネジメントの本質です。

 即物的な「マネジメント手法」ではない、「心得」が身に
染みます。

 「人間観」「心のマネジメント」「究極の楽天性」・・・

 「人間成長」とは、遙か遠く、高く聳え立つ山の頂。

 私たちの歩む、マネジメントの道は、辛くも素晴らしいもの
です。

 
[Amazon]


[楽天ブックス]


■目次■

・「なぜ、あなたは、自ら「重荷」を背負うのか」
・「経営者やマネジャーが背負う「重荷」とは何か」
・「素晴らしいマネジャーの「後ろ姿」から学んだもの」
・「なぜ、マネジメントの道を歩んだのか」
・「そもそも「人間としての成長」とは何か」
・「マネジャーが身につけるべき「人間観」とは何か」
・「職場における「出会い」とは何か」
・「仕事における「苦労や困難」とは何か」
・「いかにして「部下の成長」を支えるか」
・「いかなる「言葉」を部下に語るべきか」
・「マネジャーが巡り会う「奇跡」とは何か」


■ポイント■

◆「マネジャーの「重荷」とは」
 ・「部下や社員の人生」:「生活」だけでなく「成長」に責任を持つ
    密やかな「権力志向」や「操作主義」に流される落とし穴

◆「部下に対する「心の姿勢」」
 ・「部下を、一人の人間として遇する」
    一人の人間としての成長の可能性を認め、その成長を支える

◆「重荷」を背負うマネジャーが得るもの:「一人の人間としての成長」
 ・「自分の責任や評価に心が向かうと、心が萎えてくる。
   しかし、自分が部下の人生を預かっていることを想うと、力が湧いてくる。
   決して諦めず、粘り強くその問題の解決に取り組む力が生まれてくる。
   そして、どんな難題でも、それに挑戦する勇気が湧いてくる」
 ・「この子供(部下)のためにも、ここで挫けるわけにはいかない」
 ・「深く考えることにより、直観力や洞察力も生まれてくる」

◆「心のマネジメント」:「相手の心を感じ取れ、働きかけられる力」
 ・「リズム感」:相手の心のリズムを感じ取り、それに合わせて応えられる
 ・「バランス感覚」:相手の心の動きを感じ取り、バランスをとるさじ加減
 ・「対機説法」:相手の機に応じて語る
   「マネジメント」とは「心の修練」が求められる道

◆「人間としての成長」とは「心の世界」が見えるようになること
 ・「人間」と書いて「人の間」と読む
   「人と人とが、心を互いに理解し合えるようになること」
   「人と人とが、心を通わせることができるようになること」
   「人と人とが、心を一つにすることができるようになること」

◆「心の世界」が見えるようになることとは
 ・「相手の気持ちが分かる」(相手の気持ち)
   「下座の行」で「無言の声」を聴く修練
 ・「場の空気が読める」(集団の心)
   「MBWA」職場を俳諧するマネジメント:皮膚感覚で掴む
   「力に満ちて、そこに在る」(掴み、働きかける)
 ・「自分が見えている」(自分の心(無意識の世界))
   「強い劣等感」(ウェット・ブランケット):「褒められない」
   「謙虚」:「自信」
   「感謝」:「魂の強さ」

◆「人間学」を学ぶ唯一の方法
 ・「心を込める」:「魂のエネルギー」
    「すべてのことに心を込める」修行を10年続ける覚悟
 ・「人間と格闘する」:「正対」する修行
  ・「信頼を得る」
  ・「自ら心を開く」:エゴとの格闘
  ・「聞き届け」:深い共感の心をもって聴く、
          心の奥深くに届けるように聴く
          共感の想いを、相手の心の奥深くに届けるように聴く
  ・「その人にとっての真実」に耳を傾ける
     虚心に理解、ありのままを受け止める
  ・「最下層にいるときに、組織の舞台裏を見る」
  ・「反面教師」という言葉の落とし穴
    「他人の姿は、すべて、自分の中にもある」:謙虚さ
  ・「本当の強さ」
    「豊かな人間観」:人間というものの可能性を信じる
    「深い人間観」:何によっても揺らぐことがない

◆「邂逅」の思想:「縁」
 ・「出会い」→「巡り会い」:「深い縁」
 ・「荒砥石」、「観世音菩薩」:「成長」のため

◆「苦労・困難」の意味
 ・「成長の機会」:正念場でしか学べないこと
   「自分の中の可能性」が開花
 ・「喜び」がある
   「働き甲斐」「生き甲斐」を感じられる
 ・「結びつける」:危機のときに団結
   「苦楽を共にした仲間」

◆「究極の楽天性」:命とられるわけではない
 ・「腹を括って、覚悟を定める」
 ・「生死の体験」から掴んだ「深い死生観」
 ・「必死」:我々の日常こそが、すでに「生死の体験」

◆「部下の成長」を支える
 ・「自分」が成長すること:人を「成長させる」ことはできない
   「成長」は自動詞
   「人間は、説教によって「成長したい」と想うことは無い」
   「後姿」で伝える
 ・「上司の成長の限界」が「部下の成長の限界」
    組織の「器の大きさ」も定めてしまう
 ・「引き受け」「成長への意欲」
   「立派な人物」である必要はない
 ・「成長の場」を創り出していく
   「自然」「ご同行」

◆「言霊」を語る:自分の語ることを深く信じていること
 ・「自分にとっての真実」
   「自身のぎりぎりの「体験」の中で掴んだこと」
 ・「腹を据えて、覚悟をもって語る」:「命がけ」で語る
   「価値観」の真剣勝負
 ・「師弟の世界」
   「師匠」の圧倒的な個性と格闘し、その格闘の中から個性を磨く
 ・「人生を賭して何を証すか」
   「自分自身が信じる価値」とは何か(社会通念ではなく)

◆「マネジャーが巡り会う「奇跡」とは」
 ・「人間としての「成長」を求めて」
 ・「人間との「邂逅」を求めて」:「深い縁」「巡り会い」
   「奇跡の一瞬」:一瞬の生と一瞬の生の巡り会い
           六十五億の人々の中での巡り会い
 ・「奇跡の一瞬」を「最高の一瞬」にしたい
   「一瞬」の出来事を「永遠」に
 ・「最高の作品」:「最高のアート」

591. 「日本人の知らない日本」 伊勢雅臣

「日本人の知らない日本」 伊勢雅臣 育鵬社(16/06)

■書評■

 「国際人ではなく、国際派日本人を目指そう」

 本書は、著者が二十年に渡り発行されてこられたメルマガ
「国際派日本人養成講座」のエッセンスを、分かりやすく整
理された書です。

 日本の豊かな歴史伝統を「根っこ」と称して、日本人であ
りながら、なかなか学ぶことができない、日本の良さを、史
実に基づいて記述されています。

 単なる「日本称賛」論ではなく、その奥底に流れる、日本
の歴史、文化を、丁寧に紐解かれている姿勢に共感致します。

 日本人として、是非知っておきたいことが満載されており、
こんな国に生まれて幸せであること実感できます。

 
[Amazon]


[楽天ブックス]


■目次■

1.「あなたは自分の言葉で日本を語れますか?」
2.「クール・ジャパン」
    日本の何が凄いのかを知ろう
3.「日本らしさとは何か」
    自分の中の「見えなかった根っこ」を見出そう
4.「世界史の中の日本」
    歴史の荒波を乗り越えた先人の知力と胆力に学ぼう
5.「The Globe Now」
    現代国際社会をどう生きればいいのか

■ポイント■

◆「大いなる和」の国
 ・「和を以て貴しとなす」:「大和」
    グループ活動
 ・「もったいない」:「物体ない」
    QCサークル:不良ゼロを目指す
 ・「木も人も自然の分身」
    日本の森林率68.5%は、世界の奇跡

◆「日本人としての「見えない根っこ」」
 ・「世界有数の緑豊かな国土に世界有数の近代産業を築いた国」
   「和を以て貴しとなす」倫理観
   「生きとし生けるもの」を尊ぶ自然観

◆「日本食」
 ・「専門性」と「伝統継続性」
 ・「いただきます」という神事
   「調理」という神事に携わる誇り

◆「公」とは「大きな家」
 ・「義勇公に奉ず」

◆「小さな世界一企業」
 ・「歯医者さんの証明」:岡本硝子
 ・「超小型ベアリング」:NSKマイクロプレシジョン
 ・「スクリュー」:ナカシマプロペラ
  ・一つの事業分野に一途に徹する
  ・その分野で顧客のどんな要求にも応えようと挑戦する
  ・そのために長期的に技術を開発し、技能を深める

◆「幸福なる共同体」を創る知恵
 ・「礼儀正しさ」
 ・「微笑み」
 ・「労働観」
 ・「子供への愛」

◆「日本文明のエネルギー」:「万世一系の皇室」
 ・「世界最古の土器」
 ・「世界最古の漆器」
 ・「世界最大の陵墓」
 ・「法隆寺五重塔」
 ・「奈良の大仏」
 ・「正倉院」

◆「正月行事と先祖の祈り」
 ・「元旦とともに東からやってくる歳神様」
   「歳暮」「餅つき」「大掃除」「門松」「注連飾り」
   「大晦日」「初詣」「除夜の鐘」「お年玉」「おみくじ」
   「数え年」「鏡開き」「小正月」「ハレとケ」

◆「いのちの結び」
 ・「ホリスティック」:自然治癒力、自律的な連携

◆「天才:ユダヤと、達人:日本」:成功したアウトサイダー
 ・自国文化への誇り
 ・アウシュビッツと広島

◆「心の拠り所」:古事記、国旗、日本語
 ・労働観:神と同じ
 ・養生訓:「心身」の間に「気」

590. 「幸せになる勇気」 岸見一郎、古賀史健

「幸せになる勇気」 岸見一郎、古賀史健 ダイヤモンド社(16/02)

■書評■

 本書は、アドラー心理学ブームを引き起こした、「嫌われる
勇気」の続編です。

 前著同様、青年と哲人の対話という物語形式でまとめられて
います。3年ぶりに哲人を訪ねた青年が語る衝撃の告白。

 「愛される人生ではなく、愛する人生へ」
 「本当に試されるのは、歩み続けることの勇気」

 アドラーの語る「愛」「自立」について、理解が深まる書に
なっています。

 
[Amazon]


[楽天ブックス]


■目次■

1.「悪いあの人、かわいそうな私」
2.「なぜ「賞罰」を否定するのか」
3.「競争原理から協力原理へ」
4.「与えよされば与えられん」
5.「愛する人生を選べ」

■ポイント■

◆「哲学」と「宗教」
 ・「歩み」を止めると「宗教」
 ・「哲学」とは、永遠に歩み続けること:「生きる態度」
   「我々は哲学を学ぶことはできない。哲学することを学べるだけ」(カント)

◆「教育」とは「自立」に向けた「援助」

◆「無条件に「尊敬」する」:「対等」な存在として接する
 ・「尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であること
   を知る能力」
  「尊敬とは、その人が、その人らしく成長発展していけるよう、気遣うこと」
 ・"respect" : "respisio"(見る)

◆「他者の関心事」に「関心」を寄せる
 ・「共同体感覚」(Social Interest)
   自己の執着から逃れ、他者に関心を寄せる
 ・「共感」:他者になりきって感じてみる

◆「目的論」:「いま」が「過去」を決める
 ・「「いま」を肯定するために、「過去」をも肯定する」
 ・「人間は、いつでも自己を決定できる存在」
 ・「本当の意味での「過去」は存在しない。「いま」に彩られた解釈だけ」

◆「悪いあの人」と「かわいそうな私」からの脱却
 ・「これからどうするか」

◆「賞罰」は「独裁者の率いる組織」の方法論
 ・「叱責」→「教える」
 ・「暴力」は、未熟なコミュニケーション

◆「問題行動」の「目的」:「所属感」
 ・「称賛の欲求」:「いい子」を演じる
   「ほめてくれなれけば、適切な行動をしない」
 ・「注意喚起」:「目立つ行動」(いたずら、できない子)
   「存在を無視されるくらいなら、叱られた方がいい」
 ・「権力争い」:「反抗」「不従順」
   「同じコートで対応しない」
 ・「復讐」:「ストーカー」「自傷」「引きこもり」
   「相手の嫌がること」を繰り返す(こんな自分になったのはお前のせい)
 ・「無能の証明」:「これ以上わたしに期待しないでくれ」
   「厭世的に課題を拒絶」

◆「自分の人生は自分で選ぶ」:「結果」の「引き受け」
 ・「他者の指示」を仰いで生きていた方が楽
 ・「自分の理性を使う勇気を持つ」
 ・「依存」と「無責任」の地位に置かない
 ・「幸せ」の本質は「貢献感」

◆「褒めて伸ばす」を否定する
 ・「褒める」ことは、「能力がある人が能力のない人に下す評価」
   その目的は、「操作」である
 ・「褒賞」が「競争原理」を生む:「他者は敵である」ライフスタイルに
   「競争原理」から「協力原理」に

◆「共同体感覚」:「自らの意志で自らを承認」
 ・「人間の身体的弱み」(劣等感)→「孤立」への恐怖(所属感)→「共同体感覚」
 ・「私の価値を自ら決定することが「自立」」
 ・「普通であることの勇気」:「ありのまま」で「居場所」がある
   「人と違うこと」に価値をおかず、「わたしであること」に価値を
   「個性」とは、「相対的」なものではなく「絶対的」なもの

◆「すべての喜びもまた、対人関係の喜び」
 
◆「信用」と「信頼」
 ・「信用」:相手のことを条件つきで信じること:「仕事」
 ・「信頼」:いっさいの条件をつけずに信じること:「交友」
   「自己信頼」あっての「他者信頼」
   「信頼」できるか否かは、「尊敬」できるか否か
 ・「先に能動的に信じる」こと
   「汝の隣人を、汝自らの如く愛せよ」(ルカ福音書)

◆「愛」とは、意思の力で、築き上げるもの
 ・「自利利他」:「不可分」なる「わたしたちの幸せ」を築き上げる
   「自立」とは「わたし」からの脱却(主語が変わる)
   「自立」とは「自己中心性」からの脱却
 ・「愛」とは「決断」である
   「運命」とは、自ら創り上げるもの
 ・「他者」を愛することによってのみ、「自立」を成し遂げられる
   「自己中心性からの解放」→「自立」→「共同体感覚」

◆「いまここを、真剣に生きる」:「一期一会」

589. 「仕事の技法」 田坂広志

「仕事の技法」 田坂広志 講談社現代新書(16/01)

■書評■

 田坂先生の、普遍的な「仕事の技法」論です。

 「仕事の技法」の根幹的技法は、「深層対話の技法」である
という主張は、日々の業務を通じて痛感致します。

 本書では、具体的な「仕事の場面」を通じて、その「深層対
話」の重要性、その修得法について、分かりやすく説明されて
います。

 仕事の根幹は、「人間」を相手とした「対話」であり、本技
法は、「人間」への大いなる敬意をもつという意味で、職種や
役職を問わない「仕事力」「人間力」を磨く大切なものです。

 手っ取り早いノウハウなどなく、実践により修練を重ねるこ
とでしか修得できないものですが、日々の業務でじっくりと取
り組んでいきたいものです。


[Amazonで買う]


[楽天ブックスで買う]


■目次■

序.「仕事の技法」の最も根幹的な技法とは何か?
1.すべての分野で役に立つ「仕事の技法」は「深層対話の技法」
2.「仕事のできる人」は必ず身につけている「相手の心を感じ取る技法」
3.「心配り」や「気配り」の本質は「言葉以外のメッセージ」を感じ取る力
4.相手の「真意」や「本音」を感じ取る「深層対話力」
5.「言葉以外のメッセージ」こそが相手に伝わってしまう
6.本を読んだだけでは掴めない「プロフェッショナルの技法」
7.「深層対話の技法」が身につく本の読み方
8.多忙な日々の中でも深層対話力を身につける「反省の習慣」
9.商談や交渉、会議や会合の直後に必ず行うべき「追体験」
10.「追体験」において求められる「視点の転換」
11.相手の表情、仕草、動作から感じ取る「言葉以外のメッセージ」
12.優れたプロフェッショナルから学ぶべき「深層対話の視点」
13.「一人での反省」がしばしば陥る「解釈の誤り」
14.究極の「深層対話力」を身につける「深夜の反省日記」
15.「深夜の反省日記」において見つめるべきは「自分の心の動き」」
16.相手から必ず見抜かれる心の中の「操作主義」
17.「直後の反省会」を効果的にする「場面想定」の技法
18.「場面想定」の習慣で身につく最も実践的な「戦略思考」
19.「無意識に相手に伝えているメッセージ」に気がつく高度な「深層対話の技法」
20.最も成熟した「深層対話力」は「聞き届け」の技法から
21.すべての仕事に活用すべき「深層対話力」
22.「心理学」を学ぶだけでは決して身につかない「深層対話の技法」
23.「深層対話力」とは極めて切れ味の良い「諸刃の剣」


■ポイント■

◆「仕事の技法」は「対話の技法」
 ・「仕事」の根幹は「人間」を相手とした「対話」
 ・「表層対話」と「深層対話」
   「深層対話力」こそ、すべての仕事に共通する「根幹的技法」

◆「働く」とは「傍を楽にする」こと
 ・相手の「心」を楽にすることも、「働く」こと
 ・そのためには、「言葉以外のメッセージ」を感じ取る
 ・自身の「言葉以外のメッセージ」も振り返る

◆「智恵」を掴む本の読み方:「課題意識」を明確に持つ
 ・「走馬燈リーディング」:「追体験」をしながら読む
 ・「即実践リーディング」:「課題」を絞り、実践する

◆「直後の反省会」で「追体験」
 ・「時間の流れ」に沿って「追体験」
   「発言内容」「表情の変化」「心の動き」
 ・「相手の視点」で振り返る(第二ポジション)
   「相手の心の動き」を想像し、「自分の心の動き」を振り返る
 ・「表情」「仕草」「動作」
   「論理的に考える行為」ではなく「直観的に感じる行為」
 ・「優れた上司」複数人で行う
   「小さなエゴ」が解釈を誤らせる(小さなエゴの動きに留意)

◆「深夜の反省日記」:「自分の中の複数の自分」を育てる
 ・「濾過された感覚」
 ・「自分との対話」
 ・「自分の心の動き」:「操作主義」「性急な成功への願望」に気づく

◆「操作主義」は必ず見抜かれる:誤魔化しは効かない
 ・「下段者、上段者の力が分からない」
 ・「自分の操作主義的な心に気づけば、相手の操作主義も感じられる」

◆「事前の場面想定」の効用:「仮説」→「検証」
 ・「己の「原則」を持っている人間こそが、最も柔軟になれる」
 ・「事後の反省会」の視点を共有しておく
 ・「仮説」を持っていると、「検証」がやりやすい
 ・「場面想定」の習慣が「戦略思考」を鍛える

◆「戦略的行動力」:思考と行動の両立
 ・「その先を読め、そこから「戦略思考」が始まる」
 ・「わずか5分の会議にも、「戦略」をもつ」
   「目的」「狙い」「企み」を見抜く
 ・「会議の状況設定」の能力も身につく

◆「無言のメッセージ(視線、仕草、面構え)は伝わる」
 ・「相手が話をしているときにこそ」伝わってしまう
 ・「聴き届け」:「深い共感の心をもって相手の話を聴く」
 ・「力に満ちて、そこに在る」

◆「深層対話力」の奥には「人間力」がある
 ・「温かい人間力」の背後に「深い人間観」がある
 ・「心理」を感じ取る修練が大切:「心理学」を学んでもだめ
   「正対」して、相手の細やかな心の動きを感じ取る修練

◆「深層対話力」は「諸刃の剣」
 ・「共感」「支援」「協調」から、「操作主義」に陥る罠
   「密やかな優越感」「無意識の傲慢さ」
 ・「相手に、深い「敬意」を持って接する」
 ・「深層対話力」は「自己の深層と対話する力」に他ならない
Profile
最新記事
Recommendation
おすすめソフト「紙Copi」

訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Recent Comments
Amazonサーチ
Amazon Best Seller
  • ライブドアブログ