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2005年08月15日

★「醜聞(スキャンダル)」、志村さん素敵!★

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「醜聞〈スキャンダル〉」 
(1950) 日本

監督:黒澤明
製作:小出孝
企画:本木荘二郎
脚本:黒澤明
撮影:生方敏夫
美術:浜田辰雄
音楽:早坂文雄
出演:三船敏郎 山口淑子
桂木洋子 小沢栄 志村喬 他、

いつもながら、ネタばればれなのでご注意!

法廷ミステリーかと思えば、さにあらず。
これまた粋な人間愛を描いた秀作でありますた・・・。

この映画での三船様は、
他の作品とは、じぇんじぇんキャラが違いますねぇぇ。
モダンでクールで美男子で、正義に燃える熱血漢。
ブイブイ言わせて、でっかいバイクば乗りまわしてましゅ。
しかも、身だしなみに拘っていないように見えて、
こりが結構、お洒落です。
ヘルメットや長いライダーグローブがイカシテます。
(つっても、真っ赤なスカーフや、緑の触覚はないでしゅ)
で、お仕事は何かというと、こりがなんと新鋭画家!!
うっひょぉぉ〜、
しかもパイプをばお咥えなさってましゅよー!
正直、似合いませんねぇぇ(笑)。

「この作品、失敗か?」と、一瞬思ったでしゅが、
いやいや、そーんな事はありません。


この、三船様の演じる青年画家の青江は、
ほんに良い奴なんでしゅよ〜。
気取ったところは全然無し。
旅先で出会った人気歌手西條(山口淑子)しゃんをば、
ホレッとばかりにバイクの後ろに乗っけてタンデム激走、
温泉旅館に案内します。とは言え、
いやらすぅい目論見はまったくなしで、
風呂上りの浴衣姿のまま、堂々と彼女の部屋を訪れて、
伸びやかに、外の景色を眺めちゃったりしてます。
もう全然の自然体。後ろ暗さや、裏表がないんでしゅね。
人の善意を疑ったり、罠をかけたり、
そういう事とは無縁な、
とてーも良い奴。とにかく爽やかっ!

でもですねぇ、好事魔多しとはこのことか。
(いや、下心はなかったと思うけど…)
そんな二人を狙っているデバ亀・下司野郎がおったとです。
そりが、いつの間にか人気歌手の西條さんを追っていた、
売れない三流週刊誌に籍を置く、二人の記者。
隠れ潜んでパシャパシャと写真を撮っちゃってます。
さぁ、ここから物語は急展開! 

三流週刊誌「アムール」に、興味本位で扇情的な、
「西条美也子の愛欲秘話、
恋はオートバイに乗って!」

(↑ はい、そこのお客さん、笑わない、笑わない)
なる記事がデカデカと載っちゃって、
三船様の青江画伯(笑っちゃダメッ!)は大激怒。
憤慨のあまり、裁判に訴えちゃう事になるですよ。
さてさて、ここで、もう一人の主人公、
志村喬さん演じる蛭田弁護士が堂々と登場いたしましゅ!
と、言いたいところでしゅが、おやおやおやおや!?
この弁護士しゃん、全然堂々としてませんねぇぇ。



何だかこの弁護士しゃんてば、
情けない情けない、みっともないみっともない、
ヘロヘロのヨレヨレのショボシュボでしゅよ〜!
初めて訪れた青江さんのアトリエにも、
すぐに入っていく度胸がないのか、
もんのすげ〜情けない顔で、窓のガラスの割れ間から、
そっと中の様子を窺っていたりしてます(笑)、
だ、大丈夫なのかぁぁ、この人・・・。
しかも言ってる事が、胡散臭いっ!
「世の中、悪い弁護士が一杯、いる」
「売込みばかりで真面目じゃない弁護士が一杯、いるっ」
「依頼主を騙す、悪い弁護士もいーーっぱい、いるっ!」
んで、決め台詞はいっつも、「危ないっ!実に危ない!」。
あのね、そーいうアンタがいちっばん、あやすぅいっ!!(笑)

でもですねえ、後々この志村さんが、
名作「生きる」を連想させるような、
実に、沁み〜る芝居を見せてくれるんですよー。
こりが味わい深くって、良いんですわー。

特に、クリスマスの夜に、
バーでグデングデンに酔っちゃうシーン。
金欲しさのあまり、自分の依頼主を裏切るような、
己れのダメダメなところにホトホト嫌気が差して、
皆で“蛍の光”を大合唱(ホタル、じゃなくて“蛍”、ね)。
まるで、「素晴らしき哉!人生」を彷彿させましゅ。

「今度こそは、今度こそは、俺は変る、変るっ…」

んで、青江さんと一緒に泥池に写る星を見て、
(この泥池って、酔いどれ天使にも出てたなぁ〜)
「こんな泥水にも星が光ってる…」という辺りは、
うーーーーん、沁みるっ。
弱き人間の、素の弱さがストレートに描かれていて、

堪らな〜〜く、沁みりゅっ!!

あと、このちょこっと前のシーンの、
蛭田家のクリスマス会が、こりまたぁ良いんだわ!
実はダメダメ弁護士の蛭田には、
「なしてこの親に、こんな良い子ぐゎ?」
つーくらい、可愛い娘がいて、その子がしかも、
重篤な、末期の結核なんでしゅね。
で、この子が…、もぅ、なんとも天使のように良い子なの。
純真可憐、はかなくも優しく、
利口で済み切った心
を持った、
まさにまさに、地上の天使のような子でありんすよ。
んで、体が弱っている彼女を励まそうと、青江と西條嬢が、
心のこもったクリスマスパーティーを開くんです。
キラキラと輝くツリーを飾ったり、
オルガン弾いて「聖しこの夜」を歌ったりして・・・。
このシーンの、なんとも優しく暖かいことか!!
しかも、女の子の寝ているお布団の傍らには、
額にペタリと“キラキラお星様”が貼られた、
熊さんのヌイグルミが置かれてましゅ。
きっとこれって、青江さんのプレゼントですね。
青江さん、心意気は男らしくって豪快だけど、
なんとも優しみのあるイイ奴じゃないいですか。
真の強さは、
優しさにくるまれているもんなんでしゅねぇぇ。
さて、そんな心温まる情景を、
中に入れず、じっと物陰から見ている父親がいましゅ。
勿論、影で依頼主の青江を裏切っている父親の蛭田でしゅ。
でも、この暖かい光景と二人の優しさに包まれて微笑む、
余命幾ばもない娘を見て、そんな蛭田の目にも、
いつしか慙愧の涙が、一筋、二筋・・・。
うおお〜ん、ここはもう、涙無くして観れませぬー!



さて、後半はシビアな裁判劇があるのでしゅが、
このダメダメ弁護士の手腕は如何に?
罪無き二人の名誉挽回は果たせるのか?
と、そこんとこは実際に観てもらうとして、
最後にホタルが言いたいのはですね、
どーしてこの、良心溢るる名品が、かくもかくも、
ヒョーロン家や、ディープなファンに無視されているのか?
そこが、どーにも憤慨モノである、ということでありんす。

確かにそりゃ、三船様は画家に見えづらいし、
あんなところで有名な歌手と出会うのも不自然だし、
屋上に事務所があるのも奇妙だし、
いつまでも割れたガラスを直さないのも変だし・・
って、

だあぁぁーっ、うるさぁぁーいっっ!!

そんな事より、志村さんがスコブル良いんだから、
たっぷりこってり、誉めなちゃーーーいっ!!!

だってさ、ほら、

「お星様が生まれたんだよ」


Posted by カゴメ at 23:21 
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黒澤明と菊島隆三、「野良犬(1949)」と同じコンビで脚本。主人公は三船と山口かと思いきや、実は志村演じる弁護士。最近高額賠償判決が続いている「名誉毀損」について真正面から取り上げた「裁判劇」だったはずが、いつのまにか不器用で小ずるい弁護士(志村喬、病気の...
醜聞(1950/日)【ヘフレレ】at 2005年12月03日 16:45
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★★★★「醜聞スキャンダル」三船敏郎、山口淑子、志村喬、千石...【こぶたのベイブウ映画日記】at 2007年06月15日 12:44
 「蛍の光」は卒業式で歌う曲の定番であろう。  学校でこの曲を歌った方は多いと思う。  私も卒業式のために練習した記憶がある。だが、??.
『醜聞<スキャンダル>』 人はなぜ「蛍の光」に涙するのか?【映画のブログ】at 2010年04月03日 00:16
この記事へのコメント
ええですよねコレ。わたしゃあ大好きです^^
80年代にソフト化されてた数少ない黒澤作品だったので
思い入れもタップリ。
黒澤さんの人間をみつめるやさしい目を一番ストレートに
感じることができた作品かも。
正直ちょっとこっ恥ずかしい気もする最後の青江の
セリフも何故か自然に聞こえてしまうワケで。
ボクゼンさんも忘れられません…。
Posted by ドナルド at 2005年08月16日 16:27
>ボクゼンさんも忘れられません…。

ちょこっとしか出てないのが寂しいですけど、
やっぱり風味のある人ですね。
哀愁と可笑しみの、丁度良い配合具合に惹かれます。
Posted by カゴメ at 2005年08月17日 16:28
 
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