2008年07月06日

真夜中の電報配達

朝六時から、年に一度の栗田のグラウンドの草刈りの日。昨年も同じことを書いたと思うが、このグラウンド、かつての栗田集落の青年壮年諸氏が、ボールを投げ、打ち、ベースを駆け抜けていた。いまではそれは遠い幻で、かわりに草が旺盛に茂る。

五時半頃、お隣の元局長さんがグラウンドまで軽トラに乗せてあげよう、と誘いに来てくださる。ご好意に甘え、同乗。助手席で、先日「栗田林道」を行き止まりまで歩いてみたことを報告する。

元局長さんによると、二万五千分の一の地図のとおり、山奥の芝平(しびら)の集落までは、この「栗田林道」が旧・長藤郵便局(「長藤文庫」の隣の木造の郵便局)からは最短のルートであり、昔はこの林道を抜けて、郵便物を配達していたそうだ。
「電話のない時代だから、電報なんかだと、夜中でも届けに行ったもんだ」。

あの熊の出る「栗田林道」を真夜中に!

この話を助手席で聞いた途端、怖い話を聞かされた子どものように、思考が硬直してしまい、あとは妄想が膨らむばかり。鎌で草を刈っているあいだも、同じ映像がリフレインして困った。

昔の郵便局員の制服は、犬山の「明治村」で現物を着たエキストラを観たような気がするが、妄想のなかの局員はそういう服装ではない。
まだ入局まもない紅顔の少年は、軍国少年のようにゲートルを巻き、なぜか小脇に植物採集の胴乱を下げている。なかには、もちろん大事な電報が一通だけ。発信者が電文に込めた切迫性が、そのまま運ぶ自分の危急を暗示しているようで、気味が悪い。
熊除けにと渡された角笛を、言われたとおりに、ときどき吹きながら歩いていく。その音色は森の静寂にこだましながら、闇に消えていく。まさか、この角笛で熊が寄ってくるということはないんだろうな。果たして、無事に届けられるんだろうか?
あ、遠くに家の灯りが見えるぞ。電報を待って、まだ起きていたんだろうか。それともあれは・・・。

はっ、鎌で手を切る!

kaguradon at 23:32コメント(0)トラックバック(0) 

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