2009年10月07日

颱風前夜

定休日二日め。

長谷の「みらい塾」の女将から、「蔵に宿泊する人たちが読む本を見繕って欲しい」というオーダーを受けていた。あまり肩が凝らなくて、ゆったりと目を通せる本、山の散策や温泉めぐり、野草摘みなどに役立つ本、といったところが選択のポイントかな、と思い、段ボール二箱ほどを選んだ。どうせ、颱風接近で、家に縮こまっているだろうと思い、「信濃屋中米商店」Sさんをお誘いし、二人で長谷へ。

「みらい塾」はいつも喫茶の客や宿泊客、いろいろな訪問客で賑わっているので、今日のような静寂な空間を味わうのは初めて。こうした静けさも、またいいものだ。女将によると、毎年この時期は、稲刈りなどで農家が忙しくなるので、そのせいか宿も比較的落ち着いているそうだ。
女将はマスコミの露出も多く、わりとポンポンとした物言いをされるので、そうしたイメージを抱いている方も多いかも知れぬが、私とSさんがお伺いすると、わりとシンミリとした話になる。今日は途中から、半生記のような話になぜかなってしまい、楽屋で杉村春子の身の上を聞いているような含蓄があった。もちろん、銘々の前に置かれているのは、カフェ・ブリットの珈琲なのだが、身の上話を聞いているあいだ、ひとことも口を挟まず、黙々とチラシに目を通しているご主人のAさんは、私の憧れのひとのひとりである。

今日はそのAさんが栽培しているナメコ汁を、昼にご馳走になった。ナメコというと、都会人はアタマがちんちくりんのキノコを想像するだろうが(もちろん私だってそれしか知らなかった)、傘が開くと大きくてナメコの味がするナメコ茸になるのである。もちろんヌルヌルもしている。そのほか、あまり苦くないゴーヤの炒め物など、Aさんが丹誠込めた土で育った野菜料理をたらふくいただいてしまった。

お持ちした本は一冊一冊検分していただいたが、気にいってもらえたようで良かった。最後に蔵の部屋のなかに入り、どんな本の置き方をするか、打ち合わせをする。

「信濃屋中米商店」Sさんは別段田んぼを持っているわけでもないし、裏に山を背負っているわけでもないのに、明日来襲するらしい大型颱風のことをしきりに気にかけ、かつその気象情報にも詳しい。やはり、このへんが都会人のシッポの持ち主なんだろう。女将とAさんの夫婦は、颱風が直撃すれば、私たちよりはるかに甚大な被害を被るだろうに、わりと鷹揚に構えている。これは、私が住んでいる栗田の集落の人たちからも感じることだ。自然のことは自然なこと、あれこれ考えても仕方がない、ということだろうか。もちろん、治水のことや大風の対策などには、事前に細心の注意を払うのだろうが、どっしりと構える伝統があるのではないか。その点、都会の子どもは颱風が来る、と聞くと何かワクワクしたものなあ。それが大人になっても抜けないんじゃないだろうか。


kaguradon at 23:33コメント(12)トラックバック(0) 

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コメント一覧

1. Posted by きったちゃ   2009年10月09日 00:34
こんばんは。
台風はいかがでしたか?都会と田舎では台風も感じ方が違うのでしょうか?私は自宅が吹っ飛ぶのではないかと怖くなり、ほとんど眠る事が出来ませんでした。それでこの深夜まで仕事です。
これも台風災害なのでしょうか・・・・
特に災害に遭われていないことをお祈り申し上げます。
2. Posted by 信濃屋中米   2009年10月09日 06:52
台風の夜は犬を抱えて震えていました。抱える相手の居ない人のことを考えながら・・・・。
3. Posted by CAMBIO   2009年10月09日 09:01
Oh塚さま 先日は飲みっぱなし食いっぱなしで失礼しました。辰野は台風の風があまり吹かず、そよそよ程度で行っちゃいました。なんでかな・・・?我が家は南斜面の風当たりの強いところなんだけど。
でも、私もいまだに台風が来るとわくわくした気分があります。またリンゴが落ちたかな・・・?
4. Posted by 管理人(書肆月影)   2009年10月09日 13:32
きったちゃさん、どうもです。
おかげさまで今回の颱風では、これといった被害はありませんでした。一昨年は、同じ集落で床下浸水したり、公民館が土砂で埋まったりで、大変でしたけれどね。お気遣いありがとうございます
5. Posted by 管理人(書肆月影)   2009年10月09日 13:34
中米さんへ。大きな夢を抱いて寝ていましたが、何か?
6. Posted by 管理人(書肆月影)   2009年10月09日 13:45
cambioさん、どうもです。
私の幼少時は大田区に呑川という川がありましてね、これが颱風が来ると、よく氾濫したんだ。ウ〇コはプカプカ浮いているわ、死んだ猫は流れてくるわ、戸板で浮かんだ大人がタバコをふかしているわ、で子どもにとってのワンダーランドでしたね。でも、大人は畳を上げながら、怒ったような悲しいような顔をしていた記憶がありますから、それなりに大変だったのでしょう。颱風をひとごとのようにしか感じない幼児性から、一歩も抜けでていない気がします
7. Posted by みらい塾女将   2009年10月09日 19:59
大塚さま
先日は蔵の本お届けいただきありがとうございます。私すこし?いいえ沢山喋っちゃいましたね.講演料逆に私が支払ったほうが良かったでしょうか?マア・姉御だからそこのところは負けといてね。

私言ったでしょう・・・・。無口だってね。口が6っつあるってこと。だから42年も連れそうには私にはAさんがピッタシの人なんですよ。もったいない位いい人なので余り人目につかない処に大切にしまってあるのです。長藤文庫にも行きたいようですのでそのうち一緒にお邪魔します。

ま〜みなさん台風で盛りあっがっていますが・・・・。なにも被害がなくて本当にようございました。
8. Posted by 管理人(書肆月影)   2009年10月10日 08:29
女将さま、書込みありがとうございます。
初めて知りましたが、女将さまは口が六つおありですか。知りませんでした。え?床に入ると、アタマも六つになる?そのことは夫のAさんしか知らない。夫婦円満の秘訣って、そんなもんなのですね。よく勉強になりました。
このあいだ、いただいたシソの実の甘辛煮(?)ですが、毎日少しずつ食しております。シソの実は、香りが少しキツいのと、トゲトゲボソボソしているので、あまり得意ではなかったのですが、あの甘辛煮は、手間がかかっているだけあって絶品ですね。さすがだと思いました
9. Posted by ダーク・ロースト   2009年10月10日 12:44
お前様の大きな夢というのは例のあれかいな?・・・どこぞの素封家に婿入りするという・・・アホクサ、それは爺いの妄想と言うのですわ、世間では。
10. Posted by 管理人(書肆月影)   2009年10月10日 16:37
ダーク・ローストさま、大きな夢は玉の輿、小さな夢は柳腰、口惜しかったら婿入りしてみい
11. Posted by みらい塾女将   2009年10月10日 21:59
長藤文庫大塚さま
可笑しくて・おかしくて?噴出してしまいました。全くまったくだね・・・・・・。ところでシソの実の甘辛煮はじつはオリーブオイルで炒めて弱火で数時間かけてつくりました。気に入ってもらえてよかったです。褒めていただいたのでまた差し上げますよ。
12. Posted by 管理人(書肆月影)   2009年10月11日 20:59
女将さま、どうもです。先日いただいた生プルーンのシラップ漬けも、遠来のお客さんに出して差し上げております

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