368 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 13:04:40.02 ID:20/6EB1vO
俺がまだ小学生の頃だったと思う。多分、3、4年生だった。 
校外学習だったかなんだかで、バスに乗って美術館に行った。 
美術館について一通り順路を回った後、指定された時間まで各々自由に見て回って良いと言われたので、
仲の良い友人数人(確か自分含めて4人ぐらい)で回ることにした。 

最初の内は楽しかったんだけど、俺は正直途中で飽きてきて、「早く帰りてー」なんて言ってた。
他の奴らも大体同じみたいで、お互い帰りたい帰りたい言い合ってた。 
だけど友人の一人、Aと書くことにするが、そいつだけは真面目に絵を見てた。 
何だかんだ言っても美術館から出ることは出来ないし、みんなしてAの見たい所をついて回る形になってた。 

俺達がだべりながらなんとなく絵を見てたら、Aが立ち止まって動かなくなった。
それまでは立ち止まってもまたすぐに歩き出して、他の絵の所に行ってたのに。 
確か、なんとかの烏ってタイトルだったと思う。
烏って部分だけ覚えてたのは、その時は烏って字が読めなかったって言うのと、
(友人の一人が読み方を知っていて教えてくれた)
その絵に烏が描かれていなかったから。 
そりゃ絵のタイトルに入ってるものが、必ずしも絵にそのまま描かれている訳ではないと思う。
だけど、その絵は明らかにおかしかった。
風景画みたいに湖とその周りの景色が描かれている端っこに、奇妙なものが描かれている。 
一本の木から紐のようなもので吊されている、黒いもの。
何なのかははっきりしないけど、なんとなく人の形をしてるようにも見えた。
少なくとも烏には見えなかった。 



370 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 13:07:52.49 ID:20/6EB1vO
俺は、なんか気持ち悪い絵だなぁぐらいにしか思ってなかったし、他の奴らはちゃんと見てすらいなかった。 
Aはずっと動かない。声をかけてみても生返事。
ちゃんと絵を見てないとはいえ、いつまでも同じ場所に止まってるのは余計に退屈だ。
そう思って、Aに声をかけた後、他の友人達と別の場所を見ることにした。 

しばらく見た後、座れる所があったので座って時間を潰すことになった。
その場ではしょうもない話しかしなかったと思う。 

そろそろ時間だという頃に集合場所に向かってると、Aの姿を見つけた。
なんと、Aはまだあの絵を見ていた。別れてから10分くらいは経ってたはずだ。
Aにそろそろ集合場所だと告げると、またも生返事だったものの絵から離れて、一緒に集合場所まで向かった。 

その日はそれで終わった。
帰りのバスの中でAはいつも通りだったし、俺は大して気にしてなかった。 

校外学習が終わった次の日。作文用紙を渡され、昨日の感想を書けと言われた。 
俺は『とても楽しかった』だのありきたりなことを書いて、適当に仕上げた。
一緒に美術館を見た友人はみんな書き終えたが、Aだけは時間内に書き上がらず、家でやってくるように言われた。


371 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 13:10:44.18 ID:20/6EB1vO
次の日、昨日書き終わらなかった人たちが作文を出した。Aは出さなかった。 

また次の日、この日は締め切りとされていたが、Aと不真面目な生徒何人かは出さなかった。 
この時点で俺は違和感を感じていた。Aは普段から真面目で宿題を忘れたこともなかった。
普段の態度もおかしかった。なんだかボーっとして、いつものAとは程遠かった。
そんな状態が一週間くらい続いた。 


376 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 13:13:51.77 ID:20/6EB1vO
そんな時、Aが俺に相談してきた。 
なんでも、あの日見た烏の絵が頭から離れないのだという。
俺は正直そんな絵のことは忘れてたし、Aがあまりに深刻そうにしてたので、どうしたらいいのか分からなかった。
結局、その時どうしたかはあまり覚えてない。月並みな言葉を掛けただけだと思う。 

それからまた数日経つうちに、Aはどんどんおかしくなっていった。
授業中一人でブツブツしゃべったりしていた。保健室に行くことも多くなった。
俺も友人達も、Aとはあまり遊ばなくなった。 


382 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 13:17:55.93 ID:20/6EB1vO
そして、ある日それは起こった。
授業の途中、Aは急に倒れた。椅子から転げ落ちて、体をガクガク震わせていた。
教室がざわつく中、俺とAの目が合った。
するとAが叫びだした。ほとんど聞き取れなかった。 
その後、Aは先生に運ばれて保健室に行った。授業は自習になった。 


380 :本当にあった怖い名無し:2011/04/04(月) 13:16:23.05 ID:20/6EB1vO
しばらくすると救急車が学校に来た。 
窓から、Aらしき人が担架で救急車に乗せられるのが見えた。 
それきりAは学校に来なかった。
病院に入院したとも聞いたが、詳細は分からない。
学年がかわる頃、先生がAの転校を告げてからは、何も耳にしていない。