2006年06月

2006年06月28日

「ノブヒロさん」は終わらない

中山です。

ノブヒロが復活している、あるいは普通にいる、という根拠は?

実は昨年、ある人が男の子を産んだのだそうです。

ところが、その信じられない不思議な因縁と産まれ方、生まれた日、時間、その赤ちゃんとエツコさんとの微妙な関係、距離。そして赤ちゃんがエツコさんを見たときに見せる表情と動作、そして因縁を思わせる今の状況……。

ひょっとしてこれは、と思っていたときに知ったこの映画の公開とインタビュー。

そして、ビデオで観た映画に現れたノブヒロさんの顔、見事な記憶の再現、そしてあの結末……。
しかも最近、またまた何かに導かれるようにすることが……。

これらのことに関しては、これ以上書けません。書いてはいけない……。

『新耳袋』では色々考えた上、200年前の因縁云々という部分をカットせず書きました。
ブログに書き込みがあったように、それが『新耳袋』的ではないという意見があることも承知しています。

しかし、今となっては因縁を示唆したことは正しかったと思います。
だから、話は続いているんです。ノブヒロさんが死んで16年たった今でも……。

私は彼女の語ったこれらの話を、全部信じているわけではありません。
ただ、怪異蒐集家としては、非常に興味ある凄い話なわけです。想像や妄想だけで、こんな話は出てこない。それはもう、怪談というよりホラー小説の世界。

この私でも、こんなことが実際あるのか! という印象。エツコさんには引き続き取材を重ね、いずれは何かの形で発表してみたいな、と思うのです。

書くならきっちりとした形で書くべきだとも思います。もちろん、エツコさんの許可あってのことですが。

ちなみに、映画『ノブヒロさん』は、大阪ではシネ・ヌーヴォにて8月19日より公開予定です。

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2006年06月27日

ノブヒロさんの執念

中山です。

エツコさんが凄く怖く思ったこととは?

「それは、映画のラストがノブヒロの思った通りの筋書きになっていることです。彼は私と一緒になることに異常な執念を持っていたんです。それが叶えられずに、会ってちょうどひと月で死んだんです。死んでからも、私と子供の下に彼は来ました。私はそれを拒否しました。ところが、映画の中では、最後に私はノブヒロを取りますよね? 子供を棄てて……。現実の逆。この映画はノブヒロの勝利宣言ですよ。ノブヒロが願ったことが、この映画で成就されている。ノブヒロは映画のことを知ってますよ、きっと。ドラマ部分も2人だけの封印されていた記憶の再現ですもの。私にはわかるんです。彼、なにかの形で復活してますよ。ノブヒロのパワーがこの映画を作った。そうとしか考えられない……」

映画の中のキャラクターと、現実にある状況と、姓名の不思議な一致。

見事なまでに再現されたノブヒロさんのアトリエ。映画の中で彼の描く絵もそっくり。2人の衣装も同じ(これで役者の顔に靄がかかっていたと言いますから、確かにヤバいと彼女は思ったのでしょう)。

特にラストシーンで平田満の着ている衣装と着こなしは、ノブヒロさんが死んだときの姿そのものだという。

これを単なる偶然が重なっただけと言えるのか……。

エツコさんは、あの映画こそはノブヒロさんの執念の表れだと言うのです。

「もし、そうでなかったら、監督さんや、スタッフの方々は、なんでそこまで私たちのことを知っていたの? ってそれを聞きたい……。こんなことを言うと、みんなはそれを気のせいだよ、って片付けようとするに決まっています。だから誰にも言わない。でも、中山さん、Oさんにだけ聞いてもらいたかったんです」

とエツコさんは言う。

しかし、彼女が「ノブヒロは復活している」(『映画秘宝』のインタビューでは「彼は今も普通にいます」と言っている)という根拠が、実は他にもあったのです……。

続く。



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2006年06月26日

後日談、さらに続き

中山です。

エツコさんの会社の一室で……。

山口プロデューサーから渡された、7月公開(大阪では8月19日)される劇場映画『怪談新耳袋・ノブヒロさん』のビデオ……。

「今、ここで見ているとそうではないんですけど、私の家で見るとね……」

これを渡されたとき、エツコさんは「私、見ません」と言ったのを私は聞いていたのです。
「これを見ると、ノブヒロが甦るような気がするんです」と。

ところがその夜、見なければならないという観念に襲われたというのです。
それで妹さんに来てもらって、一緒に見たのだそうです。

すると、エツコ役の内山理名とノブヒロ役の平田満の顔に靄がかかって見えなかったという……。

「最初、テレビかビデオの故障かな、と思ったんですが、そうじゃなかったんですよね。顔の部分だけが見えないんです。そしたら、そんな演出なのかなって。でも妹が、そんなのありえないよって。そうよね、主人公の役者の顔をえんえんと靄で隠すなんて。でもね、2人の身体は普通に見えるんです。会話もちゃんと聞こえる。そしたらノブヒロのアトリエのセットが、もう現実そのままなんで、ロングショットの画面の中なんて2人がまるで、私とノブヒロだと思えてくるんです。凄い、と思ったのが、2人の着ている衣装もあの時のまま。妹も、そのリアルさに悲鳴を上げて、お姉ちゃん。この映画ヤバいよって。これ、監督さんの意図なんでしょうか?」

「衣装やセットは監督のイメージでしょう。でも、あなたの過去の記憶は、あなた以外、知りようがないです」

「でしょう……」

「それに、映画の中で出てくる姓なんか、私やノブヒロの実家や実名の名前なんです。どうして監督さんはそれを知ったのでしょう」

「……知るわけがありません。僕だって知らないし、『新耳袋』にはただ、ノブヒロ、エツコとしか記してありませんから」

「そうですよね。でもね、これを見て、凄く怖く思ったことがあるんです」

「まだあるんですか!!」


……続く

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2006年06月24日

後日談、続き。

中山です。

エツコさんの会社に出向いた我々が見たものは!

「ここ、何か見えません?」
と、エツコさんがモニターの画面を指差したのです。
「えっ?」と、思わず体を乗り出す私とO氏。
「ほら、ここ」
「……」
「巻き戻しましょう。もういっぺん」
「はぁ……」
「いいですか、もう少し…、ほら、ここ!」
「むむむむっ」
画面、ポーズになる。
「ほら、ここ、何か見えません?」

内山理名扮するエツコの部屋のシーン。

エツコ、娘のアヤカを寝かせつけている。
玄関のチャイムが鳴る。出ようとして玄関モニターを見る。
「あっ!」とエツコが声を出す。
死んだはずのノブヒロが玄関先にいる。
と、携帯電話が鳴る。
発信先は”ノブヒロさん”。
はっ、とモニターを見る、ノブヒロはいない。
戸惑いながら、電話に出る。
「もしも…」
ブツッと消える。
ガタン、と奥の部屋で音がする。
慌てて音のした部屋を見る。
血のりが点、点、と床に着いている。
その先に、娘アヤカが今まで寝ていたベッドがあるが、が、アヤカがいない!


この誰もいないベッド。
ここにノブヒロさんの顔が、ドンと乗っているというのだ。
それは私とO氏も、指摘されて認識できた。
一見すると、それは布団のシワである。だがエツコさんに、「ほら、これ、顔の輪郭、目、鼻、口、この口歪んでますよね。それからここ、手がここに出てます。何かを指差している……」
「あっ!」
そう、彼女の言う通りに見ていくと、それは布団ではなくまぎれもない顔に見えたのです。
「布団のシワが…、偶然、そう見えるのでは……」
「これ、布団じゃないです。ノブヒロの顔がベッドの上に乗ってるんです。そしてこの顔、そのものです。最初にこれ、妹と見てたんですけど、このシーンになった途端、二人とも悲鳴上げたんですよ」

続くシーン。
ベランダの戸が開いていて、カーテンが揺らめいている。

そのカーテンの向こうにノブヒロさんがいる、という。
誰かがカーテンの向こうに立っているのは、指摘されずぜとも分かった。
男だ。
「これ、ノブヒロですよ。私にはわかるんです。これは意図なんですか?」
「いや、それは豊島監督に聞いてみないと……」
私にはノブヒロさんかどうかはわからない。
ただ、黒い影の男が立っているのはO氏ともども確認出来た。しかし……。
(不思議なことに、エツコさんの会社で見た時にはハッキリと見えた人影が、帰って私のモニターで見てみると、まったくいないのだ。ベッドの上の顔は奇妙なほど見るたびによりはっきり認識できるのだが……)

「実はね、このビデオ、もっとヘンなことがあるんです」
エツコさんは言う。


続く……。







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2006年06月22日

ノブヒロさん後日談

中山です。

『映画秘宝』8月号、ご覧になりましたか?

ギンティ小林さんの”WILDBOYS”のコーナーで、劇場版『怪談新耳袋・ノブヒロさん』の特集記事が掲載してあります。「ノブヒロさん」とは『新耳袋・第七夜』の最終章に掲載した、謎の死を遂げたノブヒロという初老の男が、意中の女性エツコさんに一年間取り憑き、死に誘おうとする壮絶な話。そのエピソードが映画化され、この夏に全国公開されます。

そのノブヒロさんに取り憑かれたという体験者エツコさんへの取材が、『秘宝』に掲載されています。エツコさんは大阪で会社経営をしている女社長さん。
そのエツコさんに無理を言って、再びその恐怖の体験談を語ってもらったわけです。

作劇塾のブログにその詳細はありますが、去る5月24日に、ギンティさん、『秘宝』の編集長・田野邊さん、本編監督の豊島圭介さん、メイキング映像とTBS特番担当の演出担当の村上堅二さん、マンガ家のヒロモト森一さん、映画プロデューサー・山口幸彦さんらが来阪し、作劇塾の教室でそのインタビューと映像収録が行われたのです。

この時に再びエツコさんの口から、あの恐怖の体験が語られ、その一部始終が『秘宝』に掲載されたというわけですが……。

後日談があるのです。

これは『秘宝』にも掲載されていないので、このブログを読んでいる人だけに。

後日、エツコさんから連絡があったのです。
「ちょっと聞いて欲しいことがある」と。

実はいろいろなことが起こっているらしいのです。
元々エツコさんを紹介してくれたのは、私のマネージメントをしているO氏。O氏とともにエツコさんの会社へ出向きました。

まず、エツコさんが山口プロデューサーから預かった『ノブヒロさん』の映画のビデオを我々に観せて「ほら、ここ、なにか見えません?」

ノブヒロさんがいる、というのです!

そして彼女の指さす画像を見ると、あっ!

つづく。



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2006年06月21日

テレビ局への営業

中山です。

20日、O氏、N氏とともに大阪市内のA放送局へ。
先日書きました、怪談テレビ番組の企画書を持っての営業です。
編成部の部長さん、旧知の課長さんとお話させていただきました。

「基本的なうちの方針として、オカルトとか心霊モノはやるな、というのがスタンスでして……」

ほら来た。もう十何年も聞き続けた言葉。しかしオカルトだの心霊モノだのを怪しげないかがわしいイメージにしてしまったのはテレビ局ではないか。それに、オカルトと怪談は違うモノ。オカルトは実は深いんです。オカルトというのはそもそも……(ここではヤメときましょう。長くなる……)。
怪談は芸の世界。
人を話の世界でどう怖がらせるかというのがキモ。
幽霊が存在しているとか、崇りがあるとか、そんなことを検証したり、霊スポットに行ったり、霊能者が出たり、血みどろの再現ドラマを作ってみたり、そんなイメージがあるようですが、それは怪談とはちょっと別のモノ。それこそテレビ業界がそれを作ってきたんです。

怪談を書く、語る人イコール、霊の存在を全面肯定してるとか、オカルト信望者だとどうも思われがちで……。一般の人がそう思うのは仕方ないでしょうが(そう見せている部分は無いわけではないので)、仮にもものづくりのプロである放送局の人間がそう思うのはいかなるものか(それともそういうキャラが欲しいのか)。

笑わせる芸は巷にあふれ、認知されているのに、どうして怖がらせる芸は、妙な偏見を持たれているのか……。そんな気持ちで局の方に訴えてきました。

「文芸の世界では怪談が復興し、怪談文学賞ができました。映画も、結局ハリウッド進出したのは怪談調のホラー映画でした。ゲーム、コミックも含め、怪談・ホラーはいまや重要なエンターテイメントとして受け入れ、支持されているのに、なぜテレビ局だけは未だに十年前と同じスタンスにあるのでしょう?」

まあ、そのようなことを言いました。
怪談復興には、やっぱりテレビ番組化するのが不可欠。
検討してみます、というお言葉はいただきましたが。
すると帰り道、私のマネージメントをしているO氏、「まあ、しかるべきところに、話は前もって通してありますさかい、大丈夫ですわ」

しかるべきところって、どこ?

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定例会議

毎週、月、木曜日は作劇舎の定例会議があります。

作劇舎とは、私の一連の仕事の調整とマネージメント、そして作劇塾と連動して、塾生や卒業生をマスコミにデビューさせたり、仕事をしてもらうための、営業やマネージメント、あるいは制作そのものを請け負うための事務所です。

会議には私の他に総務のS君、Oさん、マネージメントをしてくれているO氏、スタッフのN氏、塾生のM君、J君にも入ってもらっていて、仕事の進め方や考え方を身体で習得してもらっています。

19日の会議は11時開始のところ7分遅れ。原因はS君と塾生の非常階段での喫煙(先週より室内禁煙にしたのです)。
「11時開始はわかってるやろ。いつまで煙草吸ってんねん」と私の怒りが会議の第一声。
私は一応、作劇舎の代表で塾長、それで平気で待たせるとは……。

私がえらそばっている、というのではなく、それを他の現場でやってしまうと、もう使ってもらえない。プロの現場では遅刻、無断欠勤はタブー。それは塾で教え込んでいるはずなのですが……。

さて、この日あがった議題と決定事項は?

まず、8月15日、うめだ花月での怪談トーク『怪怪怪』の開催が決定しました。共演はロザン
、元シェイクダウン後藤君、未定ですがもう一組。また詳細は決定次第塾のHPなどに掲載します。ちょうどそこに、コアマガジン社より6月30日発売のムック本『あなたの知らない闇世界』で、私のイベントに関する情報を載せたいと連絡があり、早速『怪談の間』と共に掲載させる手配をとりました。

また、携帯電話の映像配信を使った新しい映像企画の話が入ってきたので、”携帯映像”の見せ方、使い方に関する意見、戦略で終始議論。制作はできれば塾生にもやらせたいが、映像や企画をやりたいという塾生が数人しかいないので、今の体制では困難。

でも、この携帯電話映像は、頭の使い用で凄く面白いビジネスチャンスのあるメディアになると思います。私にもアイディアがあるんですけど……、映像系の塾生を緊急募集する必要があるな……。それから、怪談のテレビ番組の企画書もあがってきました。
近く各放送局に営業をかける予定です。


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2006年06月20日

作家とコレクターの関連性

中山です。

最近SF評論家の重鎮・聖咲氏や作家の石田一氏、メディアライターの麻尾典彦氏らの会合に誘われ、塾生Mをひとり連れていきました。Mはメディアの世界のプロデュースを将来やっていきたいという男。

さて、いつもながら皆さんは話が濃い。

まあ、オタクなんですな、みなさん。映画のポスターや貴重な資料、フィギュアなんかを海外にも出向いてゲットする。麻尾氏などはあの大震災の時、地下資料室が浸水して、トラック二台分の映画ポスターを処分したそうな。

で、交流している人としてアッカーマンなんていう名前も出るわけです。レイ・ハリーハウゼンとか。Mは話についていけずポカーンとしている。

「キミ、おじさんたちの話、ついていってる?」

と石田氏。

「いや、アッカーマンなんて知らんでしょう」

と私。「でも、私の授業で『シンドバット七回目の冒険』は観せてるから、レイ・ハリーハウゼンは知ってるはずです」

すると、「中山さん、間違ってます。それはリバイバルの時。本来は『シンドバット七回目の航海』」
「それ違う。初公開はシンドバットではなくて『シンドバット七回目の航海』」
「だったら中山さんが正しい。リバイバルは『シンドバット七回目の冒険』」
「DVDは『シンドバット七回目の航海』ですけど……」

まあ、そんな人たち。

京極夏彦、菊地秀行、有栖川有栖、ヒロモト森一……。作家さんと話していると、やっぱりオタク的なこだわりをお持ちで、まあ熱い、おもろい、濃い!
この感覚、作家には必要なのです。

コレクターというのは、ともかく歩くわけです。古本屋、中古レコード屋、ホビー店……。
行っても欲しいものがあるとは限らない(無い場合が圧倒的に多い)。今はネットで捜すのもありますが、やっぱり歩く。なんとしてもゲットするまで歩き回る。そして人脈をあたる。情報交換する。そうやってゲットした時の嬉しさはもう……。

実はこれ、取材に通じるのです。

つまり、欲しい情報、ネタをゲットするまで歩いて歩いて人にあたるわけです。でも、なかなか実らない。見つからない。まあ、簡単に得られる情報なんて、プロの書き手にとってはほとんど意味がないのですが。

だから、やっぱり歩く。人脈を作っていく。

これは、コレクターと同じ作業。見つからない、実らないということが前提としてあって、それでも欲しいものは執念で追う。これが真のオリジナル作品を書くには必要。一般の人はそこまでの執念が持てず、諦めてしまうのです。
作家にコレクターが多いのは、そこに関係しているように思います。

うちの塾生なんか、そこのこだわりがちょっと……。

だから熱い会話についていけないわけです。
で、先日言うたわけです。三度の食事を犠牲にしてまでも夢中になれるなにかを持て、と。

そしたら「お金があれば、僕だって欲しいもの集めてますよ」だって。

ダメだわこれは……。

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2006年06月17日

収集癖について(その2)

中山です。
収集家(コレクターについて)。
これ、男の習性なんですね。女にはあまりない。

Nゲージを走らせて喜ぶのは男。鉄道模型に夢中な女って、ちょっと聞いたことがない。いでも、ちょっと引くかな。
ジャズやクラシックのレコードとか、昔の映画のポスターや看板も、骨董品や絵画なんかも、集めるのは男。音大に通う女子大生がCD大量に持っていたとしても、コレクターとはニュアンスが違う。

以前、テレビの番組でハイヒール・モモコが「Nゲージに夢中になっている夫を説教して」という主婦の依頼を受け、「こんなん走らせて何の意味があんの!」って罵倒してたのを見ましたが、ちょっと待て、アンタはシャネル集めてるやん!

そう、女性は”己の身につけるモノ”以外には興味を持たないんですね。

トリオ・ザ・ミミックというモノマネの師匠がいてはります。

以前、ちょっとお話を伺ってたら「女は文化を破壊しまんな」とおっしゃる。
モノマネ芸人にとって憧れの巨匠がアメリカに居た、それで会いに行ったそうです。
昔のこと、大きなテープレコーダーを抱えて。マイクの前で色々パフォーマンスをやってくれて、「わあ、これは貴重や。家宝にしよう」と大切にした。それに芸の勉強になる。

ところがある日、そのテープがない。探せども探せどもない。こら大変や!
すると奥さん「あ、それ捨てたわ。部屋スッキリしたやろ」

哀しい話ですな。
それにその奥さんの言葉、私もなんや聞いたことがあります。
「部屋スッキリしたやろ」って、大事に保管していた60年代後半から70年代の少年雑誌、マガジン、キング、画報、冒険王、サンデー、ブック、ぼくら……ない!
20年ほど前、田舎に帰った私に言った母の言葉でした。
スッキリした部屋の何がおもろいねん。すぐに散らかしたるわい!

昔、我が部屋に女性を招いたら、こんなことを言われました。

「本棚にある汚いもん捨てたら?」

あほかー! 
あれは『キネマ旬報』の第一号からのバックナンバーや!
「意味わからん」って言われました。

今、40代男性サラリーマンのお小遣いがまた減ったそうです。経済的イニシアティブは奥様方が持っている。で、40代男性は文化の橋渡しを若者にしていく宿命を持つ世代なのですが、なんか、このままだと、日本の庶民文化の未来が不安です。






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2006年06月16日

収集癖

怪異蒐集家の中山です。

この前、梅田の某大型書店のホラーコーナーにいたら、「やっぱりそんな本、お好きなんですね」と、知らない女性に声をかけられました。
また、ある女性雑誌から、この夏オススメのホラーブックを紹介してくださいというオファーがありました。

実は私、あんまり他人様の書いたホラー、読まないのです。

いや、読むことは読みますが、それより歴史(古代史や宗教)関係や、映画、音楽にかんするもの、小説はわりと古典(今、近松にハマってます)が好きで、そちらの方が優先します。

なんでしょう。聞いてゾッとしたことはしばしばありますが、読んでゾッは、あまりないんです。

プロの怪談は上手い、と思う。でも、素人の話す怪談はホンマに怖いことがある。
リアリティが命なんでしょうね。恐怖の感覚は。

映画もホラーはあまり見ない。西部劇、戦争アクション、ミュージカル(アステア!)、それに日本映画(黒澤、溝口、小津はもちろん、増村、川島、喜八、中平に日活アクション、東映時代劇)に夢中です。

私の主宰する作劇塾の塾生の何人かは、その影響でしょうか、西部劇や時代劇をマンガで真剣に描きたいという者もでてきました。さすがに西部劇やヤメとけ、と止めましたが。

サントラ・コレクターで随分集めています。でも、サントラについて話せる人がいません(だから自慢できない)。サントラコレクター仲間いませんか?

上方落語のコレクターでもあります。カセットやLPレコード、今はデジタルビデオで、落語番組を片っ端から録画してあります(「平成紅梅亭」「特選!落語全集」は全部あります)その数一千題は軽く突破しています。落語好きが昂じて、昨年、塾生たちと”桐の一門”を結成。私は”桐の雄加留斗”という高座名でワッハ上方で一席演じました。

でも、映画好き、音楽好き、落語好き、というのが怪談語りの素養になっているのは事実です。
話の構成やビジュアル感覚は映画、そのリズムやテンポは音楽。そして間と演じ方は落語から。
みなさん、なんでもやっておくことです。

怪獣フィギュアも集めています。さっき届いたのはガラモンの特注モノ。
18000円、安い!

えっ、オタクかって?

収集癖があるんです。切手、コインは中学のときやってました。
怪異蒐集の源は、そもそも収集癖にあるのです。

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2006年06月15日

怪異蒐集家という肩書き

中山です。

怪異蒐集家という肩書きについて。
あっ、これは”かいいしゅうしゅうか”と読みます。

なぜかこの肩書きになってから、心霊相談が私のところに持ち込まれたりしています。

「僕には何もわからないし、何もできません」と言うと、「えっ、どうして?」と驚かれることもしばしば。何か妙なモノが見れて、いつも恐ろしいものと対面しているようなイメージを持たれているようです。

言っておきますが、「蒐集家」ですから。単なるコレクターですから。

ジャズ・レコードのコレクターが必ずしもプロのミュージシャンでないように、萌え系グッズを集めているアキバ系の男の子が、必ずしも萌え系ではないように……。

私は怪異のコレクターなのです。
それは何かって?

いや、怪談のコレクター。

あるじゃないですか。友だちの家で深夜お互いに語る怪談。合宿やキャンプで語る怪談。そういうのをただ、「怖っ」と思うだけでなく、これは話として面白い、それを聞く度に何故か話が変化していく……。そして、「あるんだなあ、そんなことが」という驚きの発見。そこに惹かれて、記録しておかねばとメモやテープに撮りだしたのがきっかけ。

ついでに、いわゆる心霊写真やビデオ、録音テープなども自然と集まるようになりました。
今から20年以上前のことです。

これがひとつの元となって『新耳袋』が生まれました。

まあ、そんなものを真剣に集めている人、他にいなかったんですな。

ちなみに怪異蒐集家の名付け親は、京極夏彦さん。

ですから、この肩書きを持つ人物は、世界に私と木原浩勝の2人だけなのです。

みんなで名刺を作ったとき、京極さんは自らを”怪異愛好家”としていました。
京極さんの持つ唯一の名刺だそうです。


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2006年06月14日

『心霊タクシー』の撮影

『心霊タクシー』の撮影は大変……。

それは幽霊に祟られて、とかじゃなくて、時間的にハードなんです。これが。
11日は夕方4時に大阪天満にある制作会社に集合。打ち合わせ後、5時に出発。まず、怪奇現象が今も続いているという東大阪のあるマンションで撮影。次にK市近郊にある幽霊トンネル、子供の幽霊が歩いていたという府道。続いて大阪府内の廃旅館の探索、最後は大阪府内T町の心霊トンネルに妖怪(?)が出現したという神社へ移動。

一挙3本分の撮影で、気がつけば空が白いぜ。

時計を見たら14時間拘束。その間、ほとんど車内で喋っているか、漆黒の霊スポットを探索しているか、という状態。さすがに最後はちょっと酔い気味。

中でも廃旅館はヤバかった。

ここを写した写真。2階の窓に人の顔がはっきり見えているという(私にはそうは見えない)ので、それを調査するという企画。ところが潜入する直前に、あるスタッフは無人のはずの漆黒の旅館の窓に、茶色の小さな顔(子供?)がひょっこりのっかっていて、我々を見てスッと姿をくらましたのを見た、と言って(2人が同時に見たらしい)そこから仕事を放棄。

しかし、私は嫌がるオーケイと共に中へ。

オーケイの岡山くんはどうも、そういうモノを感知しやすいらしく、ある人に特注の数珠を作ってもらって腕にはめていました。

「自分だけ助かろうというのか」と、相方小島くんと2人でイジめました。

だいたい私は怪談誌『幽』でいつも書いているように、単なる怪異蒐集家であって、霊能力者でもなんでもないんです。何も見ないし、感じない。その私がヤバい、と思う空気。特に何が起こったわけでもないのに、出てきたときは生気を吸い取られたような状態。
しかも、茶色の顔があったという所は、部屋中に焼跡が……。

でも、最後の神社で邪気が祓われたような気分。しかし、ここは妖怪変化【ようかいへんげ】の現れたところなのです。

一体それはどんなものだって?

それは、番組を見るしかない。CS京都……。

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2006年06月13日

心霊タクシー

怪異蒐集家の中山です。

これからはこのブログで、私の近況や日々思っていることなどを、気軽に書いていこうと思っています。

さて、一昨年オンエアーされて好評だったCS京都『心霊タクシー』が、装いも新たに7月より来年4月まで月1本ずつのオンエアーが決定しました。そして、先日(11日)に7、8、9月分の恐怖の3本撮りが夕方より早朝にかけて行われました。

【心霊タクシー】とは?
関西在住の方は数年前、関西テレビで北野誠の『乗ってけ! 誠タクシー』という番組があったのを覚えていらっしゃるかと思います。これが秀逸なアイデアの番組で、例えば、東京から来阪した芸能人を新大阪まで北野誠が乗ったタクシーが出迎え、車内で移動先までトークするという合理的番組。
一度、これに私が乗り込んで、心霊スペシャル版がオンエアーされたことがありました。

そのとき、あの京都の幽霊マンション(『新耳袋・第六夜』第九章参照)に遭遇したわけです。

『心霊タクシー』は、『誠タクシー』のプロデューサーが企画したもので、北野誠の代わりに私がタクシーに乗り込み、霊体験者を乗せ、体験談を車内で聞きながら、現地へ行くといういたってシンプルなもの。

関西テレビでも一部放映されたようなので、ご覧になった方もおられるかも。

今までは私の他に、ナビゲーターとして松竹芸能のエリカちゃんという女の子と一緒に京都府内の怪しげなスポットを回っていましたが、今回は『心霊タクシー2』となって、ナビゲーターは松竹芸能の漫才コンビ、オーケイの2人が勤めることに。

でも、男ばかり狭苦しいタクシーの中で、怪談しゃべるというのはどうなんやろ?

次回はその撮影中のエピソードを少し……。


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プロフィール
中山市朗(なかやまいちろう)

作家、怪異蒐集家、オカルト研究家。
兵庫県生まれ、大阪市在住。


著書に、
<怪 談>




<オカルト・古代史>




などがある。
古代史、聖徳太子の調査から、オカルト研究家としても活動している。






作家の育成機関「中山市朗・作劇塾」を主宰。



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