2007年03月

2007年03月30日

植木等さんの訃報

2d535f98.jpg 中山市朗です。

 いやあ、ファンでした。
 『無責任』『日本一』『クレイジー』の各シリーズ、LDとビデオでほとんど持ってます。
 『シャボン玉ホリデー』の貴重なレア映像もあります。
 歌はCDではなくなるべくオリジナルで、ということでEP盤、ソノシートで集めていました。
 私は小学校の頃『シャボン玉ホリデー』で、ずっとクレイジー・キャッツ観てたんです。
 無性に元気になるんですよね。植木さんのあの顔と歌声は。

 植木等さんは昭和36年『スーダラ節』を大ヒットさせますが、これを作詞したのが前東京都知事の青島幸男。彼が言うには植木等という男は「病弱な母親を踏みつけ、泣いてすがる妹を張り倒して、大事にしている婚礼衣装をむしり取り、酒代に替えてあばれ回ってテンと恥じない、なんて役どころがぴったりに見える」
 いや、これだけ聞けば、本当に無責任男!
 しかし、本当の植木さんは律儀な人で、お酒も全然飲まなかったそうですが。


 植木等さん、実は一緒に仕事したことあるんです。
 私がメイキングの現場監督として入っていた、黒澤明監督の『乱』の現場です。
 植木さんは隆大介演じる三郎を助ける藤巻という武将を演じていました。
 映画やテレビで観るのとまったく同じ凄く明るい人で、黒澤監督も、植木さんの演技にはほとんどNGを出さず、ずっと笑顔で接していらっしゃいました。相当、植木さんを信頼していたようです。
 ある日、某役者が監督に絞られていました。
 「ダメだ、ダメだ。何でこんなことができないんだッ!」
 監督の怒りは収まらず、NGが何度も出て、回りの雰囲気も緊張してきます。
 それを次の出番を控えて待っている植木さんが、ちょっと心配そうに見ていらしたんですが、やっとOKが出たら、途端に「こりゃまった、やりましたね」と、まるで 『無責任シリーズ』に出てくるあのキャラクターそのままのように踊ったんです。
 「わあ、植木等や!」
 そう思いました。
 映画に出ているテンションと地のテンションが同じ人、そうはいません。
 でも、今考えると、それもあえて作ったのかな?
 そうだとしたら、本当のエンターテイナーですな。

 ご冥福をお祈りします。



kaidanyawa at 20:39|PermalinkComments(1)

2007年03月28日

遊べ!

 中山市朗です。

 もう3月も残りわずか。
 新年度のことを色々考えています。

 なんでしょうか。塾生に限らず今の若い人たちは、ちょっとおとなしい。
 妙に生真面目なんですな。
 遊びを知らないし、リスクを怖がる。

 家でゲームをするのは、我々は遊びとは言いません。

 色々なものを見たり、身体で感じてみることが遊びであり、勉強なんです。
 ゲームばっかりやって、漫画ばっかり読んでいるようじゃあ、読者をアッと言わせることはできません。

 もっと人と会え、縁を作れ、言うてるんですけど。
 そしたら、お金が無いので、と言う。

 お金が無いので、できません、言うのは最低です。
 ずっと貧乏しとれ、と言いたい。

 みんな、もっと自分自身に投資してほしい。
 投資をすると、その分取り戻そうと努力します。

 その努力がお金を生むんです。

 我々の世界で言うと、売れる作品が書けるというわけ。

 先日、ある人と話していると、700万円の制作費を使って、35ミリの映画を撮った大学生が知り合いにいると聞きました。今、その借金に追われているらしいんだけど、こんなバカが何かをやらかすんですよねえ、と。

 そう、そんなバカになってほしい。

 映画監督になりたいと言うばっかりで、何のリスクを負わずにちまちまパソコンで映像を作っているのと、700万円使って映画を創った者。

 どっちの方にプロデューサーが仕事を任せようとするか、ですな。

 まあ、総合的な判断が必要なんでしょうが、私は700万円使ったという大学生に会ってみたい。きっと、すごくエネルギッシュで映画が好きなんだろうなあ、と思うわけです。

 私も大学時代、200万円で16ミリの映画を撮った経験があります。これは自信になったし、ホントにものを創る意味を知りました。やっぱり3万円くらいで作った8ミリ映画とは全然違うわけです。作品に対する考え方も撮り方も、完成した後の展開も。

 200万円の元を取ろうと考えますから、客のことを考えて作るし、製作費を有効に使うことも考えるし、責任もかかってくる。上映会のことも考えなきゃならないし。

 ここで初めて、プロデューサーの感覚がわかってくるんです。

 これも、いわゆる遊びだったんです。生きた遊び。

 そんなにお金かけて、「お前らバカやな」と笑っていた友人たちは、今、誰一人としてこの業界にはいません。逆にこの200万円の映画製作に関わったメインスタッフの5人のうち、3人がこの業界にいます。そんな世界です。

 漫画や小説はそんなにお金はかかりません。
 特に小説なんて、原稿用紙と鉛筆さえあれば書けるわけです。

 だからもっとバカやれるはずです。

 と、いうわけで、来年度は塾生たちともっと遊んでみようかな、と思っている次第であります。

 


kaidanyawa at 00:18|PermalinkComments(1)

2007年03月22日

『怪怪怪供挌進!

 中山市朗です。

 さっき、エンタイトル出版の打越編集長とお話していたんですが…。

 塾生たちの怪談マンガ&小説集『怪怪怪供戮癲⊇佝任泙任△箸錣困。4月初旬には本が出来上がり、中旬頃から書店に並ぶことになりそうです。

 私としては、まだまだ注文はあるんですけど、去年よりはみんな成長しています。

 打越さんも「なかなかいいですよ」と、言ってました。
 でも、今度はもっと上を目指さないと。

 打越さんとは『怪怪怪』とは別に、せっかく塾と出版社が結びついているんだから、何か面白い企画をやりましょうよ、という話になりました。

 特にライター、小説家目指している塾生は、いろいろ企画を売り込むチャンス。
 私も、打越さんが遊タイム出版の編集長だったときに、持ち込みしたところから『妖怪現わる』が出版され、別冊『宝島』などへの執筆活動が始まったのですから。

 その環境が、今、塾の中にある!
 これ、ほんま、他にはありませんから。

 でも、ぼーっとしとったら、そら、その環境も生かされへんわな。

 と、書いていると京極夏彦さんから電話。

 「『怪怪怪供戮離殴蕁▲競辰箸任垢韻標ました。みなさん成長しておられますね。これだったら大丈夫、帯の件、引き受けました」

 実は、『怪怪怪供戮遼椶防佞帯の推薦文を頼んでたのです。

 「あんまりひどかったら書きませんよ」とそのとき、冗談半分で言われて。
 だから一応、京極さんいも評価はいただいたわけです。

 もちろん「細かいところを言えば、いろいろ問題はありますが、それはプロの人でもありますから。僕は、どんな大作家が書こうが大絶賛はしません。でも、これはがんばっているから、みんなで応援しよう、というエールは送りたい」と、ありがたい言葉。
 
 というわけで、京極夏彦のエールの入った帯が『怪怪怪供戮防佞ます。

 ところで、5月頃には塾総務・菅野君の小説が、6月にはいよいよ私の新刊(新しい試みの怪談です)と、塾関係者の出版物がそろいます。

 塾生諸君、後に続け!


kaidanyawa at 16:37|PermalinkComments(0)

2007年03月08日

現代では「理想」?

 中山市朗です。

 前回、人を残す、という野村監督の言葉について触れましたが、ちょっと今回もそのことで・・・

 ある劇団の座長さんとお話していたら、こんな事を聞きました。
 昔は弟子を取っていた。

 劇団の門を叩いてきた子には無給で、下働きをさせる、雑用をさせる、そして何年かしたら、舞台に上げる。台詞は一言か二言・・。そこから上へ行く子もいれば、挫折する子もいる。
 ところが、今はそれでは来ないそうなんです。
 なぜ無給で働かされるの? なぜ雑用係なの? 私は俳優になりたいのに・・・と、入ってもすぐ辞める。
 じゃあ、団員の確保はどうしているんですか、と聞くと、ワークショップという形をとるんだそうです。
 月謝を払って下さい。それなら教えます。 そうしたら来るんだそうです。
 やらせる事は一緒。下働きに雑用・・・でも、それがカリキュラムだと言うと、黙って嬉々として着いて来る。

 「バカでしょ?」
 その座長さんは笑ってました。
 無給だと、損していると思う。
 金を払え、と言ったら学校だと思う。
 でも、やる事は一緒。

 まあ、教えられる方がラクしようという魂胆が見え見えで、なんか情けないような気がします。
 お金を払ってるんだから、その分教えてくれるだろう。そして面倒も見てくれるだろうという安易な発想なんですね。
 本当は逆なんですけどね。
 なぜなら、こういう場合は、お金の切れ目が縁の切れ目ですから。
 師弟の間に、金銭のやり取りは、基本的にはありませんから。だからこそ、一生、師弟でいられる・・・。


 我が作劇塾も、それが「理想」です。

kaidanyawa at 16:23|PermalinkComments(1)

2007年03月07日

野村克也の色紙を見て思うこと

中山市朗です。

先日、池乃めだか師匠がオーナーをしているスナックに飲みに行きました。
すると、こんな色紙が飾ってあったんです。

財を残すは下
仕事を残すは中
人を残すは上とする

楽天イーグルス監督 野村克也

共感!
野村再生工場とも言われ、また古田選手をはじめ、各選手を育て上げた野村監督ならではの言葉です。

愛情や博愛の気持ちが無くても、いや、無い方が財は残るかもしれません(昨年世間を騒がせた、どこかのIT企業や、スキャンダルまみれの政治や官僚たちのように)。

仕事を残すことは、なるほど大切なことかも知れません。私も作家であるのなら、後世に残る作品を書き続けたいとは思います。しかしこれは、ある意味、自分のことだけを考えていても成し得ることです。

しかし、

人を残すことは難しいんです。
まず、思いが必要です。
これが無いと、人を残そうという気にはなりませんから。

そして、教えなければいけない。与えなければならない。愛情がなければならない。けど、時には非情さも必要なんです。手間ひまもかかる。問題も起きる。

そういう環境を作るには財が必要だし、教える側に実績がないと人は来ない。
また、教えられない。

時間がかかる。数年、いや数十年を要することだってあるでしょう。
そんな中から何人が育ち、思いやノウハウを次世代へと受け継いでくれる。

人を残すとはそういうことです。

本当は、ビジネスでは人は育たないと思います。
師弟の関係に近くなればなるほど、それは可能になると思います。そこに利害は無く、思いがあるだけですから。教える側は、教え子が師匠以上の実績を残してくれたとき、初めて報われるんだと思います。

ところで、めだか師匠はお客のカラオケに合わせて、ドラム叩いてはりました。
昔、ミュージシャンやってはったらしい。
私は、カラオケ大嫌い人間なんですが、それはまた別の問題。

kaidanyawa at 19:11|PermalinkComments(1)
プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

オフィスイチロウ


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