2011年06月

2011年06月30日

苦情ある説得

 中山市朗です。

 今週は第5水曜日となりますので、授業はありません。

 ところで、
 ここんとこずっと不眠症です。
 塾生たちも心配してくれているんですが。
 今までこんなこと無かったんで、「不眠症」言うてるスガノなんかに「寝られへんのやったら、寝んかったらええやん」と言うてたんです。その時間仕事もできるし、趣味にも打ち込めるやん、て。
 でも、なってみると大変。
 眠たいのに寝られないんですね、コレ。
 寝られないなら起きて何かしようとしても、眠い状態は続いているんですね。だからやっぱり寝ようと横になっても寝られない。起きると、頭がボオッと・・・。
 酒飲んでも同じ。
 一度、ウィスキーを一気に飲み干して、そしたらコテッと寝られた。
 起きて「あー、寝た!」
 そう思って時計を見たら、1時間しか眠れていない。
 その途端、頭ガンガン・・・。

 不眠症の原因はストレスだそうで。
 食欲もあんまりない。どんな猛暑でも食欲旺盛な私なのに。
 そういうことに無縁の私ですが、心あたりはある。
 昨晩、その要因かと思われる人と話をしてみたけど・・・。
 こら当分、不眠症は続きそう。

 そんな眠れない中、WOWOWで1930年代のジョン・フォード特集を午前9時45分からやっているので、頭痛の頭を抱えながら鑑賞。
 『四人の復讐』『若き日のリンカーン』『海の底』『サブマリン爆撃隊』。
 いずれも貴重な映画です。DVDにもおそらくなっていない。
 ところがコレ、前から気になっていたんですが、WOWOWって、洋画の字幕が大きすぎるんです。その上、ゴシック体でギラギラしていて。
 もう、邪魔。目障り。映画に集中できない。
 特に昔の映画は縦横4対3。昔のテレビとほぼ同じ。
 だからワイドテレビだと、左右に黒地が入るんですね。
 ということは、映画が映る面積はそれだけ小さいわけです。
 そこにあのデッカイ、ギラギラした字幕。
 感覚として4分の1が字幕。
 せっかくの高画質がもう台無し。字幕ばっかりに目がいって。
 ジョン・フォード自身がこれを見たら、絶対に文句を言うでしょう。作品への冒涜です。

 これ、ハイビジョン高品質の作品価値を下げています。つまりWOWOWの価値をも!
 字幕がどれだけ大きいかは、市販のDVDやブルーレイと比べたらわかります。

 おそらく小さいテレビで見たらそんなに気にならないのでしょうが、大画面で見るともう耐えられない。醜い。目障り。余計にストレスになる。
 しかしテレビのデジタル化はワイド画面であり、大画面で観るように家電業界は推進しているはず。またハイビジョンは大画面になるほど映えるわけですし。
 そこにあの醜い字幕。
 妙なことにハイビジョンではないSDモードの映画は、字幕小さいんです。
 逆違うんかい!

 あまりの醜さに耐えられなくなって、思わずWOWOWカスタマーセンターに苦情電話。

 そしたら相手の男性は親切丁寧に答えてくれました。
「私、もう20年来WOWOWの視聴者です」
「それはありがとうございます」
「ところで、これはずっと前から気になっていたことですが、洋画の字幕があまりに大きいので目障りです。そんな苦情ありませんか?」
「実はございます。私個人としても大きいと思います」
「(WOWOWの人もそう思っていた。うん、当たり前やけど)今朝もジョン・フォード特集やってましたよね。あの企画は素晴らしい。お礼を言いたいくらいです。しかしスタンダードの画面にあの字幕は醜すぎます。気になってしょうがない」
「映画の好きな方ほど、そうおっしゃいます」
「じゃあ、なんであんなに大きいわけ?」
「字幕が小さいと読みづらいという意見もございまして」
「でもインフォメーションや告知番組なんて小さいですよね。あの洋画の字幕は大きすぎます。また、ああいう特集は映画好きのために放送しているわけでしょ?」
「その通りでございます」
「それに大画面で観ると、余計字幕が大きく見えます。あれほど大きくしないと字幕が読めないとなると、演者の表情とか所作、見えないですよ。劇中の文字とか小道具も。出演している役者の顔やタイトル文字のほうがよっぽど小さかったりしますから。他局、例えばスターチャンネルハイビジョンなんて、もっと字幕は小さいですよね。ただWOWOWさんとの提携の問題で、WOWOWさんで放送するものはスターチャンネルのも字幕は大きい。つまりこの字幕が大きいというのは、WOWOWさん独自の意向であり、方針だと思うのですが」
「その意見、確かに承って、必ず報告いたします。私もそう思っておりましたので」
「どうです? せめて字体を細くして明朝体にすると、それだけでも印象は違うと思うんですが」
「あっ、それ素晴らしい意見です。ぜひ、検討するように申しておきます」

 というわけで、あの嫌がらせとしか思えない、ギラつく大きな字幕にみなさんクレームをつけましょう。

 WOWOWカスタマーセンターはこちら

 最近、NHKのBSも字幕大きいんですよ。
 高齢化社会ってことなんでしょうか?












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2011年06月28日

なまなりさんとDark Night

 中山市朗です。

 6月25日の土曜日は、怪談の日でした。
 祝日にならんかな?

 まずは通天閣劇場で『北野誠・おまえら行くな』の第二部に出演。
 16時40分頃、楽屋に入るといきなり誠氏が「中山くん、ちょっと相談があんねんけど」
 なにかと聞けば、
 怪談作家で『おまえら行くな』の構成を担当している西浦和也氏を通じて、ある人の相談を受けたらしい、というか、うかっと受けてしまったと言うんです。
 その人、彼女ができた途端、仕事運が信じられないほどの急上昇。
 ところがEカップの彼女と浮気してしまって・・・そしたら彼女「あなたがうまくいってるのは私のおかげだからね。裏切ったら、どうなると思う?」
 で、彼女とEカップの女性、どっち取ったらええんでしょう、という相談。
 そんだけなら、単なるアホな相談なんですが。
 ところがその彼女というのが、どうも特殊な家系というか、一族らしい。
 そこがちょっと恐ろしい、と。
 その辺りのことをちょっと聞いて、ピンと来た!
 私、誠氏に言いました。「ひょっとしてその彼女、四国の○○の出身?」
「そう、わかる? 犬神家の娘やて」
「わっ、それ、えらいこっちゃ」」
「俺、それに首突っ込んでええもんやろか? これって『なまなりさん』やん」

 『なまなりさん』
 私が取材して書いた長編実話怪談。
 退魔師でもある映像プロデューサーの伊東という男。仲間のカメラマンから持ちかけられた相談が、彼の婚約者に嫉妬したある双子の美女による呪いの罠。
 婚約者はやがて自殺をするが、彼女は双子に呪い返しをしていた。
 その呪いがその姉妹の家系にもともとあった呪殺の霊をも呼び起こし、やがて双子の姉妹は家族もろとも呪われ、父親ひとりを残して一家は絶えてしまう。
 そして相談を受け除霊を行なった伊東氏も、その後一切のものを無くす。
 最初伊東氏に会ったときは、映画会社を立ち上げ、映画制作のパーティをホテルの1フロア貸し切って行なうプロデューサー。元銀座のナンバー1ホステスと結婚間近で。
 ところがその半年の間に、その全てを失い離婚もして、千葉の友人宅で四畳半の仮住まい。私、その急落人生をこの目で見ました。
 伊東氏、『なまなりさん』が出版された直後に行方不明になって。
 風の便りに聞くと、伊東さん、今えらいことになっているらしい。
 というか、生きているの?

 一度人生の頂点を見せて、一気に全てを奪い、命とその家をも絶やす。
 それが、なまなりさん。
 これ、ホントの話です。
 姉妹に蠱毒という呪術を教えたのは四国の某所出身の母親、代々呪術が伝わる一族の出で、父は島根出身の・・・もちろん全部は書いていません。土地や人名も微妙に変えたり、避けたりしています。というか書けない。

 で、誠氏の口から出る、現在その相談相手の彼の身の上に起こっていることや、関係する土地が、私の書いた『なまなりさん』に共通しているんですよ。
 その彼、彼女の実家に挨拶に行きたいと言うと、彼女に言われたそうです。
「ふふっ、今のあなたは、私の町へは絶対入れないから」

「俺、中山くんの『なまなりさん』を読んでて、出てくる話が同じなんでちょっとソイツに話してみたんや。そしたら蠱毒とか知らんかったらしいけど、聞くと思い当たることがあるって。これ、どうなんのやろ?」と誠氏。
「このまま別れたら呪いで殺される、結婚したら成功するけど、そこの家系は男は長生きしない。さあ、どっちを選ぶか、やなあ」
 そしたら西浦氏。
「僕がその相談受けたら、その途端、彼んとこの会社とうちの専門学校、大口の契約が突然結ばれたんです。今までの取引先全部解約して、彼んとこ一本の契約ですよ! その間の経緯とかまったく無くて、いきなりです!」
「あっ、キミももう逃げられんな」
「マジっすか?」
 で、おもろい事実が判明した。
 四国の彼女の家系はもとを辿ると中臣鎌足の直系に行くらしい。
 中臣家は古代天皇に仕えた呪術集団。
 ところが西浦氏の先祖は中臣家に一族を滅ぼされ、その首を跳ねられた蘇我入鹿の、これも直系の一族!
 そういえば彼の本名は西浦ではなく、ある特殊な名前で、それを物語っている名なんです。
 中臣鎌足の直系子孫と蘇我入鹿の直系子孫が、呪術一族を介して会おうとしている!
 これ、私としてはもう興味津々。
 しかも誠氏が心配そうに言う。
「で、その彼女やけど、相談相手の彼がオレの名前出したらしくて、その彼女『誠さんと会ってみたいなあ』やて。会っても大丈夫なんか?」
 そら自由やけど、気ぃつけや。

 ということで、誠氏のイベントで、その話をしたわけです。
「もしものことがあったら、その顛末、俺が本に書くわ」
 そしたら誠氏「頼むわ」やて。
 誠くん、西浦くん、まあ長生きしてくれ・・・。

 さて、深夜0時からは、道頓堀ZAZAにて『中山市朗Dark Night Vol.4 真夜中の怪談スペシャル』
 この日来られたお客さんは、お得じゃなかったでしょうか?
 
 司会は松竹芸能養成所出身の若手女性漫才師、まんまる小動物の半田あかりさん。
 休憩明けには、相方の片山さんと体を張った漫才が披露されました。
 ゲストは告知していた笑福亭純瓶さん。怪談と妖怪をこよなく愛する落語家さんです。
 そしてもう一人、若手漫才師、かまいたちの山内建司さん。彼は吉本興業所属。
 彼も怪談大好きだそうで、私の怪談ライブにも客として来たこともあるそうです。
 この日、彼から語られた怪談に、聞き覚えが・・・。
 思わず正直に「それ、なんか吉本の芸人から聞いたことあるで」と言うたら、
「それ、僕が中山先生に言うたんです!」やて。
 失礼しました。

 芸人さんの語る怪談は、やっぱりすごいとアンケートにもありましたが、特に純瓶さんの口から次々と出る怪談は、「わっ、さすがにプロの噺家や」と実感しました。
 繁昌亭、出る・・・。
 浪速座、出た・・・。
 中座も・・・。
 藤山寛美さんが・・・。
 劇場って、やっぱりすごい。

 で、サプライズは北野誠氏と西浦氏の特別出演。
 実は『おまえら行くな』の出演依頼があった時「ああええよ。その代わり夜の僕のライブにも出てな」と条件出してたんです。正式なオファーではなかったので、告知していませんでした。
 さて、西浦氏の本名のことを先に書きましたが、『新耳袋』に出てくる警備会社のI課長 とは彼のことでして。お客さんにそのことを言うと、ちょっと「おお・・・」となって。
 元I課長の口から、I課長本人の体験談も語られました。

 そしてここでは書けませんが、私と純瓶さんで、実名で芸人、芸能人に関する不思議体験、恐怖体験などがザクザクと。最後に私が語った、私の体験した・・・恐ろしい話は、七月発売の『小説新潮』に掲載予定です。
 というわけで、『おまえら行くな』で2時間。
 『Dark Night』で夜を徹しての4時間30分
 合計6時間30分の怪談語り。
 どちらにも参加してくださったお客さんも大勢いて。
 ほんま、ありがとうございました。

 次回の『Dark Nihgt Vol.5』は、8月下旬を予定しています。詳細は7月1日の私の公式ホームページにてお知らせいたします。
 怪談師の雲谷斎さん、作家の田辺青蛙さん、そして呪いの市松人形ちゃんをゲストにと交渉中です。場所を変えて、もうちょっと広いところでやるかも。
 ところで呪いの市松人形ちゃん、ギャラなんぼ?




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2011年06月25日

6/22の小説技法

 中山市朗です。

 遅まきながら、22日(水)の小説技法の報告です。

 いつもの合評です。
 の、前に合評についてちょっと考えてみましょう。

 こういう小説とかマンガとかを教えている専門学校やウチのような塾は、必ずこの合評をやっているはずです。課題となる作品を提出し、それをみんなで批評しあうわけです。

 実は小説はこう書くものだ、という明確なものはありません。だからこれは教えようがないんです。人それぞれ、起承転結とか序破急は知っておくほうがいいのに決まっていますが、そんなの無視した作品もあります。ストーリーの無い小説だってあります。
 ただ、これは明らかに小説ではないな、と思う作品があります。
 その大概は、客観的視点に欠けている、つまり読者を意識していないという点にあるようです。これは本人はなかなかわからない。
 また、プロになるためにはまず投稿なり持ち込みをして、編集さんに読んでもらうわけですが、それは実に論理的(編集さんによりますが・・・?)な分析で持ってブッた斬られるわけです。特にマンガはそう。
 この編集さんの洗礼に、おそれおののき、作家やマンガ家の志望を辞めた、という人も多くいると思います。
 こういう論理に対抗するにはまさに論理で行くか、熱い気持ちで行くかのどちらかです。

 作家になるには、その論理的思考も学ばねばなりません。
 作品作りとは無意識ではありますが、実に論理の積み重ねなわけなんです。
 またそこには、自然と客観的視点も伴います。

 その客観的視点を学ぶには、実際に他人から聞くのが一番いいわけです。
 そのための合評です。
 みんなで提出された作品を読んで、感想や意見、指摘をするわけです。
 親や友達に読んでもらう、というのもアリですが、おそらく「面白かったよ」とか「もうひとつやな」みたいな感想しか返ってこないでしょう。
 そこで、同じ作家やクリエイターを目指す仲間同士だと、感想だけではなくて具体的な指摘や修正方法、あるいは編集さんに言われた体験などから、プロになるために大切な意見やアドバイスも出されます。「これ面白いわ」と肯定的な意見ももちろん出ますが、かなり辛らつな意見が出ることも多くて、慣れない人は泣き出したい気持ちになるかもしれませんが、読者の意見はもっと辛らつで残酷なものだと覚悟するべきでしょう。
 みなさんも、平気でプロが作った小説やマンガ、映画やドラマを「おもんない」「金返せ」の一言でブッた斬っているはずです。
 プロになるということは、言われる立場になるということです。

 さて、合評で出された意見を赤ペンで原稿に書き入れていくとアカだらけになります。
 これはプロの作家でも洗礼を受ける、まさにアカが入る、ということです。
 編集さんが入れてくる無謀で無慈悲なアカ修正。
 これを修正し、編集さんと意見のやりとりをするのも作家の仕事なんです。
 編集さんのアカは客観的な意見です。で、書き手はどうしても書きたいことがあって、その部分が冷静になっていないときもあるわけです。でも、編集さんのアカは、ちょっと受け入れられない、そんなときは議論してすり合わせるわけです。
 論理的思考がここで問われます。
 ただ、プロの作家の場合、編集さんからさらに高度な要求が出されるアカが多いわけです。作家が90パーセントのモノを書いてくると「100パーセントにしてください」、100パーセントのものを書くと「120パーセントになりませんか?」と言ってくるんです。
 なぜかというと、作家の出す出版物は商品なわけです。
 ラーメン屋でもそうです。
 もっと旨いスープはできないか、もっとオリジナルな味は出せないか!
 そう思って努力するわけです。
 そういうラーメン屋が話題になって客も入るし、「こんなんでええか」と努力しないラーメン屋はいつの間にやら潰れていたりするもんです。
 それと一緒。
 家でチキンラーメンを作っているのとワケが違います。

 たいていの作家志望者は、このことの意識が無いわけですね。
 書いた原稿が、ほぼそのまま本になる。
 そんなことは無いわけです。
 さっき言ったように、もうアカだらけ、なんてこともあるわけです。
 出版社のイロとかやり方、編集方針なんてのもありますしね。
 しかし、ウチの塾生はそんなことないですが、専門学校で教えていた頃は合評で辛らつなことを言われると泣き出したり、あるいは「わかる人にだけ分かってもらえばいい」てなアホなことを言い出したりする学生もいたわけです。
 まあわかる人が10万人もいて、その10人に1人が本を買ってくれるというなら、それでもいいのでしょうが・・・。

 さて、合評は自分の作品が批評されるだけでなく、人の作品を読み込んで批評する立場にもなるわけです。ここで重要なのは、「ここはダメだ」「ここは面白くない」と指摘するとき、ではどうしたらダメでなくなるか、どうしたら面白くなるかの提案をしなきゃアカンわけです。つまり、論理的な意見が必要なわけです。
 
 学生同士の合評で失敗するパターンはこれ。
 代案が出ないで辛らつなことばっかり言い合っていると、さすがにこれはケンカになります。あるいはお互い論理的思考になってないから意見が出ない。シーンとした合評。出ても誤字脱字の指摘・・・。
 だからいい合評というのは、実は難しかったりするんです。
 ウチの場合はうまくいっています。
 最終的なジャッジは私がしていますし。

 そして何より、勇気をもって指摘する、意見を言うということも必要。

 そういった合切を身に付け、かつ、自分の作品の完成度を上げるというのが、合評の意味です。塾生のなかにはあまり意見を言わない人もいますが、言う努力をしてください。
 意見を言わない人は、人の作品をちゃんと読み込んでいない不届き者だと思います。
 意見を言われる人も、言ってくれるのはひとつの愛だと思いましょう・・・?

 ということで、やっと報告です。今回はサッサと行きます。

 N子さんの短編怪談。セリフや地の文が説明になっちゃっています。怪談はその説明が無いから怖い、というところもあります。今の分量を半分くらいにする気持ちで修正してみよう。

 T野くんのSFホラー。小説なんだから、SFなんだから、もっと奔放な発想で書いてほしい。ちょっとおとなしい、そんな感想をもちます。
 
 Yくんのアクション小説。文章能力はかなりあります。ただ、アクションの描写がちょっとマンネリ化してきました。ストーリーもあまり進展していません。最初から読み直してみると色々なことが見えてくると思います。

 Kくんの大河内伝次郎に捧げる小説。今回はちょっと枚数が少なくてなんとも言えないんですが、地の文が説明になっています。確かに説明の必要なシーンではありますが、主人公の動き(演技)に合わせて書いていくと、その説明が動きに変わるはずです。試してみてください。

 T田くんのヤンキー小説。いや、テンポも出てきて読ませます。どっちかと言うと、マンガにしたほうがいい題材と世界観のような気がします。この先進めましょう。



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2011年06月24日

幽ガットメ−ル

 昨日のUSTREAM配信番組『地下鉄探偵団』のテーマは大阪城。
 ということで、大阪城に関する怪談、歴史、エピソードなどを調べていたらあんまり面白くて、気がついたらスタジオへ行く時間、そのときにまた気がつきました。
 ブログ書くのを忘れてた!

 ということで、中山市朗です。

 大阪城は江戸時代はお化け、幽霊、妖怪の巣窟でした。
 どんな化け物がどこに出て、なぜそんなことになったのか、の90分です。
 またその原因を追求すると、江戸時代以降の大阪のいろんな歴史がつながります。
 阪神はなぜタイガースなのかも、わかります。
 ということで『地下鉄探偵団』のアーカイプはこちらから観られます

 さて、以前から告知していました、中山市朗がお届けする新怪談。
 怪談は生々しいのがよかろう。ということで、メルマガで配信いたします。
 しかも動画!
 そうなんです。そのために心霊スポットや、怪異が実際あった場所へロケに行っていたわけです。心霊スポットで怪談語るのはものすごくエネルギーが要ります。
 ヘロヘロです。
 帰るのはたいてい早朝、寝ようとしたら背中がゾクゾクしています。
 誰かにそのことを言ったら「憑いてまっせ、それ」と言われました。
 でも昼に起きたら、そのゾクゾクも無くなっていましたので、今は元気です。
 しかし、そんな無謀なことができるのも、何人かいる怪談師のなかでもまったく霊を見ない私くらいじゃないですか?

 そのサンプルができました。

『中山市朗PRESENTS幽怪案内』
 毎週第1〜第4の月曜、金曜に「中山市朗の語る怪談、及び怪異スポット案内」が動画配信されます。またカメラマンA氏が、ロケ中に起こった怪異やハプニングなどを写真などを交えてコラムで紹介いたします。実はいろいろありました・・・。

 まぐまぐメールマガジンより配信予定
 サンプルはこちら

 最初の一ヶ月は無料です。
 いずれ山の牧場特集のためのロケも決行する予定です。
 またこれは、と思う心霊写真や幽霊の声も紹介します!
 皆様からの怪しげな事件や物証のタレコミ、お待ちしています!
 みんなで呪われましょう!

 え? 水曜日の授業の報告?
 明日!


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2011年06月22日

私は告知する

 中山市朗です。

 最近、ずっといわゆる心霊スポット、ミステリースポットを周っています。
 一昨日は『関西ウォーカー』の人たちと山の牧場へ。
 『関西ウォーカー』のイメージは、街中のグルメだのファッションだのイベントだのを紹介する雑誌だったのですが、この日は車で大阪から3時間、山を登り、草を分け、泥道を行き、さながら探検隊。
 編集のYさんは「編集部に10年いて、こんな取材はじめてです」と言いながら、実は山の牧場探検は長年の夢だったとか。
 そして夜を待って六甲山へ。
 お化けバスを見ました・・・?

 その二日前は、チーム中山市朗のメンバーと真夜中の一龍旅館、水間観音、芸大周辺、どんづるぼう・・・。
 その移動中はずっと怪談を喋っているので、かなり体力使います。

 でもそういうスポットに行ったから出るとか、ホントはそういうことではなくて、怪異はあまねく、どこにでも、誰の前にも現れる、というのが『新耳』的怪談なのですが。

 さて、夏は怪談の季節、と誰が決めたんでしょうね?
 私は別に冬でも秋でも春でも、みんな怪談の季節やと思っています。でもなぜか、夏になると怪談イベントが増えてきます。
 
 今のところ、正式決定したそういう怪談イベントの告知をします。

 6月25日(土)
 北野誠怪談ライブツアー『おまえら行くな』
 通天閣劇場にて行なわれる2度目の会。
 18時開場、18時30分開演。
 詳細はこちら

 そして深夜からは、
 『中山市朗 Dark Night Vol.4 〜真夜中の怪談スペシャル〜』
 ゲスト 笑福亭純瓶、その他秘密?
 こちらはスミマセン、前売完売しました。キャンセルがあった時のみ、当日券が出るようです。

 
 7月1日(金)
 私の書斎での『怪談会』
 怪談好き集まれ!
 そしてDark Nightに行けなかった人もこっちへ来い!
 無料ですが、怪談を1話は語っていただきます。
 参加希望者は塾のメールへ。
 info@sakugeki.com
 (返信は水曜日、木曜日となります。29日の水曜日までにご連絡ください)

 なお、この日より毎週火曜日、金曜日に、怪談好きの皆様へネット動画にて中山市朗の語る怪談、怪異スポット案内を配信します。
 題して『幽怪案内』。
 こちらは有料です。詳細に関しては、もうしばらくお待ちください。


 7月15日(金)
 『大坂城天守閣復興80周年トーク』
 なんか大阪城に観光誘致をという主旨の「USTREAM in 大阪」が開催するイベントの一環のようです。
 出演
 北川央(大阪城天守閣 研究主幹)
 北野誠
 中山市朗
 高橋知子(観光ライター)

 北川さんは『幽』13号で大阪城怪談を紹介してくれた怪談仲間。
 それに北野誠?
 となるとこれは、大阪城怪談で盛り上がること間違いない!

 場所は大阪城公園西の丸公園にある大阪迎賓館。
 詳しくはこちら

    
 7月24日(日)
 『ストロベリーソング・オーケストラ 月蝕夜奏会』
 出演
 中山市朗と奇譚楽団
 日比谷カタン、北村信二、豊川猫座敷の猫藪、大原蓮
 聞き手 宮悪戦車
 司会 ソーシャ・カンパネラ

 私の怪談に即興音楽が!
 詳しくはこちら


 8月6日(土)
 『ふるさと怪談トークライブ in 京田辺』
 出演
 遠藤徹(作家・英文学者)
 田辺青蛙(作家)
 中山市朗
 東雅夫(文芸評論家)

 場所は京田辺商工会館・研究室
 13時30分開場、14時開演
 入場料2000円(すべて今回の東日本大震災で被害を受けられた「みちのく怪談プロジェクト」支援のための義援金として送られます)
 詳しくはこちら
hurusatokaidan

今日は田辺さんが直接教室にチラシを持ってきてくださいました。

 





 田辺青蛙さんと言えば「第1回 Dark Night」で起こった市松人形の怪!
 8月の「中山市朗 Dark Night Vol.5」は、まだ日程未定ですが、あの人形を再び皆様の前にご披露いたします・・・


 8月14日(日)
 『怪談ナイト』
 出演
 中山市朗
 山田誠二(映画監督)

 開場は守口市プラネタリウムドーム「ムーブ21」
 毎年恒例のプラネタリウムでの怪談会です。
 17時開場、17時30分開演
 前売2000円、当日2500円
 チケット取り扱い方法などは、近日お知らせいたします。
 詳細はこちら



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2011年06月16日

6/15の作劇ゼミ

 中山市朗です。

 まずは2月23日のブログをお読みください。

 一体、なにがあったのか?
 いよいよそれを語ります。
 私の体験した、奇妙な話・・・。
 今、原稿にもしております。

 『中山市朗・Dark Night Vol.4』にて。
 〜真夜中の怪談スペシャル〜
 6月25日(土) 23時30分開場、24時開演。
 ゲストに笑福亭純瓶さん、ほか。

 純瓶さんは大阪の落語、漫才界の怪談にお詳しいので、おそらく私も対抗して、ライブの醍醐味、有名人に関する怪談を、実名で語る・・・かも?
 約4時間の怪談ライブをご堪能ください。

 詳しくは中山市朗公式サイトにて。

 そして7月1日(金)は、私のプライベートな怪談会を私の書斎で。
 こちらは入場料はいりません。ただ、怪談をひとつは語っていただくのが条件です。
 私の怪談蒐集が目的です。
 膝突き合わせて、怪談を聞き語りしましょう。
 
 こちらは深夜12時頃より開始。
 参加ご希望の方は、塾のメールまで。

 sakugeki@sakugeki.com

 7月以降はいろいろな怪談を皆様にお届けできると思います。このブログで順次発表していきますので、どうぞヨロシク。

 さて、15日(水)の作劇ゼミの報告です。
 クリエイターを目指すなら熱く語れ!
 熱く語るものがあれば、それが作品のテーマとなり、書き続ける原動力となる!

 というわけで、自分が熱く語れるもの、あるいはこれなら講釈を垂れられる、というものを15分の枠の中で語ってもらっています。クリアすべきは、興味をもっていない状態の人たちを、どう共感させ、それ、見てみよう、調べてみようと思わせるか、です。

 シナリオライター志望のUさん。
 TBS系で1990年に放送されたドラマ『誘惑』について。

 ドロドロの愛憎劇。
 まずこのドラマの主要スタッフ、特に脚本家、そしてキャストについての注目すべき点を指摘し、ドラマ上の登場人物たちの相関図を示しながら、ドラマの展開がどうなっていくのかを語ります。
 Uさんがこのドラマの面白いところは、不倫や復讐によって崩壊しようとする家庭を、奥さんが夫の愛人を撃退して家庭を納める、というところにあると言います。
 もっともこのドラマがなぜ好きなのかというと、宇都宮隆が出ているから、だそうですが・・・?
 
 質問。

 宇都宮隆の演技力は?
 脚本家が三人いるが、それぞれの特徴は?

 私としては、脚本家を目指すUさんの、この脚本のここがスゴい、という具体的なところをもっと指摘してほしかったのですが。
 ちなみに宇都宮隆の演技は、ファンの目からしても最低だそうです。

 作家志望のKくん。

 パソコンのオンラインゲーム『WAR ROCK』の魅力について語ります。
 もともと韓国製のゲームで、一人称シューティング・ゲームで、派手なグラフィックは無いが、チャットで世界中の人たちと情報交換したり友達になったりできることが魅力なのだとか。
 で、5分もしないで終わった・・・?

 質問が飛びます。

 他のオンラインゲームとどう違うのか?
 世界でどれくらいの人がやっているのか?
 チャットで何を話し、何語で話すのか?
 オンラインゲームは依存性が指摘されるが、そんなことをやっていて将来不安にならないのか?
 など、Kくんは不安にならないそうです(なれ!)。

 Kくんはどうも主観的なモノの見方しかできないようで、客観的な視点が無い。クリエイターとしてこのゲームの企画の生まれた背景やポイント、そしてそれがどうユーザーに応えているのかが語れていません。つまり、興味のない人には彼の話はまったく通じません。彼の書く小説がまったくそうなので、やっぱり人前で語ることと、書くことは同じだと実感します。

 続いてDくん。
 NBAについて語ります。なんやねんそれ、ですわな。
 ナショナル・バスケット・アソシエーション、つまり北米のプロ・バスケットのリーグ名なのです。NBAはいつ、どうやって発足し、まったく人気のなかったバスケットの人気が何がキッカケで起こったのか、そして紆余曲折ありながら、昨今はどうなのかを15分で語ります。チャック・クーパー、ビル・ラッセル、ウィルト・チェンバレン、マジック・ジョンソンというスタープレイヤーの名が挙がり、彼らがどんな凄い選手だったのかを語ります・・・。

 質問。

 バスケットそのものの起源は?
 他にどんなリーグが?
 最強の選手は?
 バスケの人気が日本でイマイチなのは?
 そもそもなんでバスケ?

 私はDくんの話を聞いていて、日本のプロ野球と被るところが大いにあったんです。
 その発足、沢村栄治対ベーブ・ルース、ルー・ゲーリック。戦中、戦後のプロ野球。セ・パ2リーグ分裂、長嶋入団、ON対村山、江夏、巨人V9、ドラフト制の功罪、大リーグへの挑戦、イチロー効果など、日本の男の子の夢はプロ野球とともにあった・・・と、熱く語ってみたいものです。私の子供の頃に言われたのが、
 男の子の好きなもの、巨人、大鵬、玉子焼き。
 王、金田、広岡(おお、金だ、拾おか)。
 古い!
 で、思ったわけです。Dくん、なんでプロ野球に関心ないの? まあ勝手ですけど。

 続いて、
 Tさんは、最近生物学の本にハマっています、という話。

 NHKサイエンス『ミトコンドリアの新常識』
 ヘタなダイエット本を読むよりも、こういう生物学の本を読むほうが参考になるそうです。
 そもそもミトコンドリアとは何かというと・・・。
 まあ体内にあるミトコンドリアは増やしたほうがいいらしいです。
 で、増やすためには・・・。
 あと、福岡伸一『動的平衡〜生命はなぜそこに宿るのか〜』
 生きているってどういうことなのか?
 それを考えるには、このように生物について書かれてある本を読むと、そこに自分の体のことが書かれてあるといいます。
 永田和宏『タンパク質の一生』・・・。

 なんか本の紹介で終わっちゃった。そこから自分の意見を導き出してほしい。

 質問は、
 『パラサイト・イヴ』についてどう思うか?
 ミトコンドリアが増えすぎてのマイナス面はあるのか?
 ミトコンドリアを増やすには、ウォーキングだけじゃダメなの?

 私はまったく健康に気を遣ったことがないので・・・。

 最後はMくん。
 資料が配布されました。
 テーマは『エジプトのファラオはドナーカードにサインをするのか?』
 Mくんは古代エジプトが大好きなのですが、ただ古代エジプトについて講釈たれるより何か切り口が、ということでドナーカードを切り口にしたそうですが。
 要は、古代エジプト人の死の世界観と現代科学をしての死の観念は違うんだと。
 Mくんはストーリーを用意しました。
 現代の医療を知り尽くした人間が、古代エジプトにタイムスリップして、最先端の知識と技術を駆使してファラオに気に入られ、脳死した人間から内臓移植をした途端、捕らえられ処刑される。つまり古代エジプト人は心臓に全てが宿るという考えなので、心臓が動いている者から内臓を取ると殺人になる・・・。
 とまあ、古代エジプトの医学と現代医療の考え方の違いを提示したわけですが。

 切り口とツカミはよかったんですが、語りに張りがない。
 これは自信がないように思われます。

 質問は、主に私から。
 私も『モーツァルトの血痕(7月です。今度は絶対!)』を執筆したとき、ずいぶんと古代エジプトについて調べましたから・・・

 今日は5人。今回でこの課題は終了です。
 総括として、ウィキペディアを調べたら出てくるようなことをタラタラ言っていた塾生もいましたが、やはりちゃんと自分で調べて、ロジックを組み立て、構成を考えて、どう語って、何を聞き手に与えたいのかは、やってほしい。
 作家やマンガ家、映画監督を目指している者が、一般の人よりモノを知らない、話してもツマらん、一緒にいて面白くない、ではあかんでしょう。
 それに、資料の配布、ホワイトボードの活用、ビデオを、数値を見せる、ということをもっとやってほしい。自分はわかっていても、人の名前とか固有名詞、業界用語はわからないことが多いと考える配慮も必要。
 ただ、自分に関心のあることを喋って自己陶酔するのは、一番危険なこと。
 それをある意味、エンターテイメントにしなきゃ。
 学校の授業、クソ面白くなかったでしょ? 今思えばためになることを教えてくれていたんでしょうけど、興味がわかない。
 私、長いこと若者に教えていて実感したのは、面白くない授業をして、生徒を退屈させるのは、先生が完全に悪いと、今は思っています。
 授業が面白かった先生っていうのは、サービス精神のある、熱心な先生だったんですよきっと。

 面白いことをどれだけ知っていて、伝えたいものがどれだけあるか。
 そして他人に対するサービス精神、これ、いります。

 クリエイターって、一種のサービス業ですから。



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2011年06月15日

誇り高き線上

 中山市朗です。

 指揮者・佐渡裕さんが、ベルリン・フィル・デビューされましたねえ。
 しかも定期演奏会。
 先日のNHKプレミアム・シアターで放送していたのを、じっくり鑑賞いたしました。
 いや、素晴らしかったです。
 特にショスタコーヴィッチの交響曲第5番。最終楽章なんてなんか涙出てきそうでした。演奏そのものは緻密で情熱的。で、汗だくで振る佐渡さんに、ベルリン・フィルのメンバーたちが懸命に答えようとしているのが、画面でわかるんです。
 これはおそらく凄いこと、なはずです。

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団といえば、世界最高峰のオーケストラ。
 20世紀前半は伝説の指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラー。後半は楽壇の帝王ヘルベルト・フォン・カラヤンによって鍛えられ、ともに世界最高の音楽を世界に示したオーケストラなんです。
 過去、マーラーやリヒャルト・シュトラウスも客演指揮をしたといいますが、その客演者もなかなかこの指揮台には上がれないといいます。で、上がったとしても、「この指揮者ダメだ」と思ったら、オーケストラのメンバーは指揮者のことを見放す・・・。で、二度とオファーは無い。
 いやもう、佐渡さんのような新人指揮者は、針のむしろでしょうな。

 マスコミでは日本人指揮者としては近年では小澤征爾さん以来だと騒ぎ立てていましたが、小澤さんのベルリン・フィルデビューは1966年9月、これも定期演奏会でした。ということは、45年ぶりということなんですね!
 もっとも朝比奈隆、岩城弘之といった日本人指揮者も小澤さんより早くにベルリン・フィルデビューをしていますが、続かなかったというのは、やはりそれだけ厳しいということなんですね。
 その後も若杉弘、小泉和裕・・・。
 でも常連でCDやレコードを出しているのは小澤さんだけ。
 デビューしてもそこからが難しい、というのは、この世界どこでもそうなんですわ。

 もっとも戦前の日本人は豪傑というか、やることが違うというのか、それが許される時代だったのか、山田耕作、近衛秀麿、貴志康一なんて人たちは、自腹でベルリン・フィルを雇ってデビューしています。特に貴志康一は1935年に、19曲の自作曲をベルリン・フィルで録音し、レコードを出しました。
 一部、今もCDになっていて、私が持っているのは、

 交響組曲「日本スケッチ」 第一章・市場 第二章・夜曲 第三章・面 第四章・祭り

 大管弦楽のための「日本組曲」 第三章・道頓堀 第五章・花見


kishi_01 そう、貴志康一という人は大阪の人やったんです。吹田市の出身らしい。1909年の生まれといいますから、2001年まで現役指揮者で、93歳で亡くなった朝比奈隆さんよりひとつ下なんですね。なんと貴志は28歳で亡くなっているんです。
 音楽界の山中貞雄みたいな人です。
 長生きも芸のうちとはよく言ったものです。
 朝比奈さんは70歳過ぎて注目された人でしたしね。
 おもしろいことに、貴志康一の指揮ぶりは、唸ったり、指揮台でジャンプしたり、屈んだ姿勢からバッと伸び上がったり、派手な指揮ぶりだったらしい。当時の格式あるドイツの、それもベルリン・フィルには、ちょっとそれはなかったと思われます。どうやらこれは聴衆を意識したものだったらしいんですね。

 で、今回の佐渡さんの指揮ぶりは近いんですよ。
 やっぱり唸ったり、飛び跳ねたり、身体全体で指揮していました。
 実は佐渡さんの師匠が、レナード・バーンスタイン。あの人もダイナミックな指揮ぶりで、その指揮棒でコンサートマスターの楽譜を飛ばした、というエピソードのある人。
 演奏前にドキュメンタリーも放送されてまして、佐渡さんのその大きなジェスチャーは、どこから影響を受けたのか、という質問に。
 それは師匠のバーンスタイン・・・ではなく、
 桂枝雀さんだと!

 おもしろいと思うなら、伝えたいと思うなら、その手法はなんでもアリ、という枝雀さんのパフォーマンス哲学が、今回のベルリン・フィルの指揮台の上で繰り広げられたんですねえ。おもしろいですなあ。
 ちなみに佐渡さんは、京都は太秦の出身です。上方落語どっぷり、みたいです。
 うん? 太秦、佐渡・・・ヤツは秦氏か?

 ところで佐渡さんが振った、ショスタコーヴィッチの交響曲第5番の第4楽章。
 ソ連映画の傑作『戦艦ポチョムキン』のサウンド版に、この曲が使われていましたが・・・。
 これを聴いて、いつもアレを思い出してしまうんです。
 1978年東映で公開された『宇宙からのメッセージ』。『スター・ウォーズ』公開前にあやかって急遽製作された、なんやこれ映画でしたが。
 最初、ちょっとカッコいい曲やなあと思っていたら、後にショスタコ聴いて。
 あれ、パクリやん!
 すっげえ、似てます。それともアレンジ? インスパイア?
 もちろん『宇宙からのメッセージ』の方がですよ。
 「リアベの戦士」という曲です。

 で、お知らせです。

 来る7月1日(金)の夜0時より、私の書斎で怪談会を行ないます。
 まあ私のネタ収集の一環でもありますが、怪談好き者同士、一晩語りましょうよ。
 ということで、参加条件は一つは怪談を語ること。
 部屋の大きさに限界ありますんで、20人とちょっとの人数制限をします。

 参加ご希望の方は、塾のメールまで。
 sakugeki@sakugeki.com

 ※返信は水曜日、木曜日となります。

 私の電話番号を知っている方は、そこからでもオーケーです。

 遠慮は無用です。
 『新耳』の十夜に相当ネタを下さったあの怪談豪傑も(見かけはひ弱ですが)凄い話を引っさげて参加すると言っています。



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2011年06月09日

6/8の小説技法・・・はワシが不在でした

 中山市朗です。

 8日(水)の小説技法の報告です。
 と、言いたいところですが、昨日は咄々にあるお仕事ができまして、お休みさせていただきました。
 とはいっても、ちゃんと合評は行なわれました。
 塾生だけで。
 どんな雰囲気で、どんな意見が出され、どう修正されたのか?

 塾生といえば、Yくんがアルバイトを探しています。
 今まで貯めていたお金で悠々自適だったYくんも、その貯金がそろそろ底につくというわけで、バイトをしなきゃ死ぬらしいです。
 で、腰の重いYくんが、あちこち面接を受けているそうですが。
 結果は5件の面接を受けて、まるで阪神タイガースを思わせる5連敗。
 普通、バイトてそんなに落ちるか?
 どうもここにはカラクリがありそうです。

 彼が受けたバイト先はいずれも飲食店での接客業。
 そら落ちるわ。
 きっと女性が欲しいと思うもん。お店としては。

 さて、あなたは飲食店の店長です。ひとりアルバイトを募集します。どっちを採用しますか?

 A、若くて爽やかな笑顔の女の子
 B、お世辞にも爽やかとはいえない、体にガタがきてしょっちゅう溜め息をついている口の悪いYくん。

 B? あんた店潰す気?


 実はウチもこんな経験がある。
 塾を作って2年ほどしたとき、唯一の女性スタッフが辞めることになったんです。
 あとスタッフは男ばっかり。
 当時は今と違って、週4回やっていましたので。
 で、女性の塾生には女性の相談相手が欲しい。女性の視点から見るアイデアや気遣いも塾には必要。で、求人誌に連絡を取って「女性スタッフ急募」と頼もうとしたら、
「それはできない」
 という返事。
 男女雇用機会均等法というのがあるので、男性、女性とは書けない、と。
 はあ? 男はおんねん。女性スタッフがいるねん。
 でも求人誌側は「でも決まりなんで」と役人みたいな言い訳の一点張り。
 スタッフ雇うのは行政でも求人誌でもない。ウチや。迷惑すんのはウチと、知らんと無駄足踏んで面接に来る男性。
 結局「スタッフ募集」と出して、やっぱり男性2人から面接してくれ、という連絡がありまして。
「もう決まりました」言うて、面接断りました。交通費出して来られてもねえ。
 以後、ウチに女性スタッフがいません。

 Yくんもきっとそれ。
 入れる日や事務的な話だけして、連続で落ちているわけですから。ほんま無駄足、時間の無駄。
 彼も律儀やから、不採用の通知がくるまで他を受けんと待っているそうやし。

 ところで最近のニュース番組は、男性アナと女性アナの2人が必ずいます。これ、男女雇用機会均等法でそうなっているそうです。そういや昔は、男性アナ1人だけでした。ニュース番組は。
 名アナウンサー、いましたよねえ。まあ番組としては女性アナがいるほうが華やかな感じはしますが、2人もいるのかなと、私思いますけど。

 男女雇用機会均等法・・・ふむ。
 男女平等に雇用機会を与えるという、それはいいのですが、なんかこう・・・。

 でもYくんもそれがわかっていたら、食べ物屋以外の職種に面接行っていたと思うけど。
 と思ってYくんに聞いたら「工場の作業とか、肉体労働はしたくありません」やて。

 飢え死にしやがれ!
 



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2011年06月08日

怪談インザダーク

 中山市朗です。

 最近、会う人に言われるので先に言います。
 パソコン買いました。
 日本橋の「ソフマップ」で9800円!
 お店の人に薦められて。

 今使っていますが、全然問題無いっす。

 さて、
 6月25日(土)「中山市朗・Dark Night Vol.4」
 いよいよ近づいてまいりました。
 オールナイトでの、真夜中の怪談スペシャル、となっております。
 ゲストには、近日発売予定の『幽』15号の「上方怪談・街歩き(ゲラチェック中)」で、ともに西宮市近辺の怪異を探った、落語家の笑福亭純瓶さん。それに特別ゲストもあるかも?

 詳細はこちら

 あっ、それに当日は、北野誠氏の怪談ライブツアー『おまえら行くな。2011』の第二回目にも出演します。通天閣劇場にて18時30分開演となっております。

 詳細はこちら

 北野誠といえば、
 私、北野誠、某編集者の3人が何かを企むための密会を、東京の某所で行ないました。
 ですから私、昨日まで東京におりました。
 それはどんな企みかって?
 密会ですから、まだ言えません。
 企みが成ればいいのですが。

 企みといえば、
 私が皆さんに、独自の怪談をお送りしようという『幽怪案内』。
 まだお送りするメディアは決定しておりませんが、怪談の収録は行なっています。
 先日もロケに。

 いやこれが、大変!

 ある、幽霊が出るという廃墟にて怪談収録。続いて、実際2人が死んでいるという給油所での収録。そして心霊トンネルで有名な場所と、近くにある塾生たちが肝試しに来て実際に怪異にあったという山の中の神社にて収録。もちろん夜の強行突破。
 いや、何が出たというわけではないのですが、なんて言うんですか、エネルギーを取られるというのか、12本の怪談を収録するところが、4本で息切れ。
 いつも元気な私が、もうヘロヘロになってカメラマンにギブアップを宣言。
 帰って寝ようとしたのですが、なんか背中のあたりがゾワゾワするんです。 
 連れて帰ったかな?

 ところで前回、六甲山周辺で怪談収録をしたとこのブログに書きましたが、ロケに使ったカメラマンAくんの車の中は、翌日からなぜか死臭がして、1週間消えなかったそうです。





 


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2011年06月02日

6/1の作劇ゼミ

 パソコンが壊れてしまって困った困った、こまどり・・・中山市朗です。
 画面が真っ暗で何も映らないんです。
 もう買い換えんといかんのかなあ。

 1日(水)の作劇ゼミの報告です。
 今回から新しい塾生がひとり、作家志望のOL、T岡さん。
 小説を書くのは初めてだということですが、初心者の方、お待ちしています。
 要は何事も考えるよりやってみよう、です。

 さて、先月より塾生たちに得意とするものを語ってもらおうという課題をしています。
 自分は興味をもっていても他人はそうではないというとき、どうその人を自分のフィールドに取り込むか、というのも作家としてのワザの一つとなります。

 最初はYくん。
 彼がハマッている劇団「キャラメルボックス」について。
 まずその結成からの歴史、アングラ的ではあるが内容は、子供にでもわかるエンターテイメント。だから感情移入がしやすい。そして動員数が多い。
 その辺りのメカニズムを語ります。
 短編小説があるなら短編芝居があってもいいじゃないか、から始まった45分の芝居をして、しかも安いチケットで入ってもらうという動員作戦の成功。
 作家の成井豊氏がもともと国語の先生をやっていたという経験からの、わかりやすい戯曲など、Yくんは語っていきます。
 ビデオも見せます。
『さよならノーチラス号』のオープニングのダンス。
 時代劇『風を継ぐ者』の殺陣シーン。

 質問としては、有名な人は出ているのか。
 殺陣シーンは本格的な殺陣師が付けているのか。質問者の時代劇マニアKくんによれば、見事な殺陣だそうです。
 演劇の値段は(総体的に)高いのはなぜか。

 私は学生時代、色々な小演劇が立ち上がるのを見てきました。
 芸大の「劇団新感線」「南河内万歳一座」、京大の「そとばこまち」。「そとばこまち」の団員とは、私の卒業制作映画にも出てもらっています。そして中島らもによる「リリパットアーミー」など。
 そういう劇団も、劇場をもたず、アングラ的だけどエンターテイメント志向、オープニングのダンス、見事な殺陣は見られました。その関西発進の小劇団の影響は、絶対あると思います。そのあたりのこと、あるいは魅力の違いにもっと踏み込んでもらいたかったかな、と。そして演劇の値段が高いといったMくん。ちょっと待て・・・。

 続いてT井くん。もう国民的アイドルになったAKB48について語ります。
 まず彼女たちが、いかにアイドルになったのかという仕掛けを語ります。
 選挙制はなぜ行なわれるようになって、どういう効果をもたらせたのか。
 実のところ・・・と、芸能界の暗部、大人たちのギラギラした欲望、その商法、そんな中で生まれるアイドルの子達の苦しみ、矛盾、挫折・・・。
 そして今回の大震災にも関わらず、自主規制できなくて選挙をやる裏事情。
 芸能界のマネーゲームの犠牲になっていくアイドルたちの悲哀。

 いや、私は面白かったんですが、あれれ?
 AKB48の魅力について語るんじゃなかったっけ?

 T井くんも、語っているうちに思わぬ方向にいってしまったようです。
「みんなでAKB48、応援しようぜ」というメッセージのはずが「じゃ、応援しても無駄じゃん」的雰囲気に。
 
 質問です。
 前田敦子はなぜ人気があるのか?
 選挙で最下位の子は誰?
 NMBの子が一位になったらどうなるのか? それ、この問題を考えるいい質問だとT井くん。
 私は「アイドリング!!!」がその戦略をとらないのはなぜ、ということを聞きました。

 そしてKレンジャーくん。
「封印作品」について。

 まったく世に出なかった、あるいは二度と公開、あるいは市場に回らない作品のことですが。いうたらそれ、発禁のことです。
 差別問題、風俗やヤクザを称賛した作品、放送禁止用語などについて語りますが、映像や出版物、マンガや放送、歌の話まで取り込んでしまったため、ちょっと本質が語られていません。それは私、放送作家でもあったので、その辺の事情は全部知っています。そんな私が「それは知らんかった!」と膝を打つ話が出ればよかったのですが。
 無い。

 で、質問。
 まずは言い訳から始まった彼の態度にNGの説教が。
 そのとおり。のっけに勉強不足で、とか、面白くないかも、なんて言われたら、その後を聞こうとは思わない。
 封印作品って、どんなものがあるの?
 それも言ってなかった・・・。
 
 うーん。

 ということで以上3人。もっと多くの人にやってもらいたかったのですが、T井くんのなんとか伝えたいという態度が、時間を取ってしまったので、残りの人は次回に。
 15分で語るという構成力も、問われているからね。






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2011年06月01日

雨に謳えば

 中山市朗です、

 まず最初にお知らせから。といっても今回のブログはお知らせだらけですが。
 先週28日(木)にソーシャルネットワーク大阪のUstreamでオンエアされた『地下鉄探偵団』が明日2日の夜8時より再放送されます。
 また9日(木)の『地下鉄探偵団』のテーマは「四天王寺前夕陽丘」と「玉造」の駅周辺における怪談、都市伝説、オカルト的歴史です。
 情報をぜひ、お送りください。


番組宛
作劇塾のメールアドレス…info@sakugeki.com


 さて、
 6月です。
 夏です。
 私の季節です。

 CM動画まで作って5月中発売をうたっていた電子書籍『モーツァルトの血痕』。
 まだ出ていません!
 延期に延期を重ねて、ちょっとこれ以上遅れると、私が嘘つきになっちゃいます。

 実は先日、電子書籍のプログラム作業をしている出版元の担当者とプログラマーが説明にきたんです。
 テキストの書籍化は終了しているようです。
 ただ原稿用紙1600枚分を縦書きに対応させるのに、時間がかかったそうです。
 で、今は容量との戦いが繰り広げられているらしい。
 書籍は三巻で発売予定なのですが、その三巻目が、秘教オペラ『魔笛』の解読編となっていて、カラヤン指揮/ウィーン国立歌劇場の演奏の音楽が聞けて、オリジナルの楽譜が読めるようになっているわけですが、これが膨大な容量でして、20メガ内に納めなきゃならない。その作業をやっているところだそうです。
 また、膨大な引用文献と解説、絵図も本文中の単語、人名をクリックすると出てくる仕掛けになっていますが、その容量もプラスしてありますし。
 そして不具合のチェックも。
「もうしばらく待ってください」ということです。

 モーツァルトという天才作曲家の死因が、フリーメーソン、イルミナティ、古代のエジプト秘儀、モーゼの宗教、カバラ、失われた十部族、古神道、そして天皇、聖徳太子の「未来記」へと連なる、オカルト大辞典ともなる大作です。

 さて、もう一つ。このブログで告知しました「早くて6月」に中山市朗ならではの怪談企画をお送りしようという、題して『幽怪案内』。
 私の頭の中にあるものを完璧にこなすメディアが無いことがわかり、企画変更か、時間はかかるけどインフラしちゃうか、と悩んでいます。つまり新しいメディアを作ってしまうわけです。技術的にはそう難しいことではないのですが。
 企画変更をすれば既存のメディアでお送りすることはできます。ちょっと妥協せんとあかんのですが。
 ただこれも、誰もやっていない企画なので、そのメディアが通してくれるのかという問題もあります。
 一方インフラするとそれをいろんな人に、特にクリエイター志望の若い人たちに使ってもらえます。ということは管理もしなきゃならないので、これは一つの会社を作るような話になっちゃいます。うーん。
 起業考えている人、いないかなあ。

 とりあえず、いつでもお送りできるように怪談収録は進行しております。

 ということで、その収録中の裏話を。

 危険なことに挑戦しました。
 夜中の2時に、緑も縁もない霊園に入って、知らない墓石の前で墓地の怪談を語る。
 色んなところで怪談を語ってきた私も、こんな経験は初めてです。
 これをビデオにて収録したわけですが。
 台風の接近で雨が降る中、墓地に佇む私にカメラを向けた瞬間。カメラに原因不明のすごいノイズが。「なんかヤバイですよ」というカメラマンの声を無視して、私が怪談を語りだすとノイズが綺麗になくなった・・・。
「午前0時のさわやかウィンドウ」は、やっぱりホンマなのか。 

 そんな私も、この日ちょいと妙なモノを見ちゃいました。
 
 同じ日、雨の降りしきる六甲山のドライブウェイ。
 だいぶ前、私も同行したある心霊スポットを巡るテレビ番組のロケで、六甲ドライブウェイの展望台で起こった怪奇を語ります。
 久しぶりにその現場に行ってみたんです。
 そこには、広い展望台に車が一台停まっているだけ。
 雨も降っていてひと気もありません。
 これやったら誰にも邪魔されずに収録できる・・・。
 そう思って車から出て、ふとその停まっている車を見たんです。
 そしたらその車のあたりから、5、6人の若い男女がぞろぞろと歩き出して、休憩所に入った、ように思ったんです。というのも、その先はその休憩所しかないわけです。
 それを観て、「ちょっとこの周辺のこと、聞いてきます」とカメラマンのAくんがその後を追って。私も話を聞こうとAくんの後を追ったんです。まだ右足にプレートが入ってるんで、そんなに走れないんで、ゆっくりと。
 そしたら休憩所の前で、Aくんがひとり、突っ立っているんです。
「あれ、こっちに若い人、来なかった?」
「僕もそう思って追いかけたんですが、誰もいないんです」
「休憩所に入ったん違うの・・・?」
「いえ・・・」
 休憩所、締まっています。だーれもいません。
 トイレも一個だけ。開いているし。
「うん?」
 再び車に戻って、待機していたスタッフYくんと、聞き役で来てもらっていた「古代史探偵団」の真名子ちゃん。二人に聞いてみると、
 真名子ちゃんは「えっ、見ましたよ私。若い人、5、6人、あっちに歩いてましたよ。えっ、いないんですか? ということは、私見ちゃったんですか?」
 ちょっと興奮しています。
 Yくんは「僕は声だけ聞きました。ちょうど車を降りて準備にかかったんで、あの車に背を向けてたもんで、見てはいません」
 声、というのもおかしい。だってここからあの車まで、20メートルくらい離れています。それにすごい雨。声、聞こえるか? ワシは聞こえなかった。
「でもこの展望台に入ったとき、あの車を囲むように人がいたのは見ましたよ」とカメラマン。囲んでた? 車を? で、カメラマンは黒い影だったと言うんです。
 と、そういえばおかしいことが。
 その5、6人の若い人、女性も二人ほどいて、白のドレスに赤い模様があったのを覚えています。黄色いTシャツに青いジーンズの、これは男だったのか女だったのか。
 でも今見ると、照明がない。そこ暗いんです。それにこの雨の中、誰も傘をさしていないかった・・・。
「ちょっと聞いてきます」
 カメラマン、その一台の車に走っていって、中の人と会話。
 すぐ戻ってきて、
「『最初から誰もいませんでしたよ』って言われました」
 その車、カップルがいたらしいのですが。
 二人いたとしたら、いかにしてもあの車には、あと3人しか乗れないわけでして。
 しかし私や他のスタッフも、5、6人の男女を確かに見た。で、ここ、台風接近中の六甲山ドライブウェイ。他に車なくって、どうやってきて、どこへ行った?

 まあ、それだけの話。
 幽霊? バカな。
 人でしたよ、あれ。
 雨の闇の中に、忽然と消えたけど。



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プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

オフィスイチロウ


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