2013年02月

2013年02月28日

おお神は太子の匂い その1

 中山市朗です

 新刊が出ました。3月4日発売ですので、3月頃から全国の有名書店に出るはずです。
 『聖徳太子・四天王寺の暗号』(ハート出版)

 私がもうひとつのライフワークとしている古代史ものです。

 2001年に角川書店より『捜聖記』という古代史本を木原浩勝との共著という形で出しましたが、これは小説の体で執筆しました。
 聖徳太子は蘇我の皇子ではなく、物部の皇子であり、その血脈は丹後半島にある海部(あまべ)氏に行くという過程のもとに書いたものでした。
 ただ、小説とはいえ、あの中に書かれた記述はほぼノンフィクションでありまして、四天王寺関係者から聖徳太子直筆の預言書『未来記』が存在しているという話を聞かされたところから、主人公が聖徳太子の謎を追うことになったという設定からして、事実あったことであり、登場人物の口から発せられる言葉や仮説は、実際に交わされた会話や議論であったりしました。
 ただ、あれを小説にしたのは「この話はオフレコで」とか「これは書かないでください」とか、あるいは後に撤回された話などもあり、ならばフィクションの体で書けば文句ないだろうという考えに基づいたものだったわけです。

 もうひとつの要因は、私はちゃんとした歴史の専門教育を受けたわけでもなく、専門家でもないことから、作家としてのイマジネーションで書くことなら許されるであろうという気持ちもあったわけです。
 そして『捜聖記』を上梓後も、私の日本という国の成り立ちへの興味、古代へのロマンは尽きず、研究は続けていたんです。また古代の謎解きはまさにオカルトですしね。
 私の研究法は怪談の掘り起こしと同じです。
 現地に行って話を聞く。掘り起こす。もちろん文献にも当たりますし、神社や寺の由緒、縁起、祭神、系図、その土地名、地形などもくまなく見ていくわけです。
 まあ、民俗学的アプローチ。
 すると、私の中で天皇と天皇をサポートする豪族たちの正体、それはつまり彼らはいつ、どこから来た何者であるのか、についてある結論に到達したわけです。
 太陽を崇め、オリオン星座を見て航海し、牛をトーテムとした海洋民族とは何者か、ということです。
 おそらく歴史学者の先生方からすれば、まあ黙殺を食らうことでしょう。

 ところが3年ほど前、京都の祇園祭を取材している折りに、私の考えを立証してくれるあるモノが存在すると知ったことと、ある外国人の研究者からも同じような話を聞いたことから、その結論に自信をもつことができ、その結論に至る過程を一度まとめてみようとしたのが、今回の出版物の動機となったのです。
 したがって今回は、ノンフィクションです。
 え? じゃあトンデモ本だろうって?

 そういうことは、読んでから言ってください。
 私が実際に取材し、見てきたモノ。場所。証言。そして地元に残る文献、伝承、祭神。それらから見え隠れする情報を、私なりに解釈したものです。

 『捜聖記』にはありがたいことにコアなファンがたくさんいらっしゃるようなのです。
 なんと、と学会の中にファンの方が大勢おられるんですよ。
 今回はそこから何歩も踏み込んで、より深く聖徳太子の血脈について言及していますので、満足していただけると自信をもって断言いたします。『捜聖記』では仮定だった聖徳太子と海部の関係をより詳細にしておりますので。
 なお、私の取材の一部にはビデオカメラを入れておりまして、『古代史探偵団』として編集し、YOUTUBEにて公開していますので、併せてごらんいただくと、より臨場感を味わっていただけるかと思います。
 動画だけ見て、皆さんなりの推理推測、仮説を考えるというお楽しみもありです。

『古代史探偵団』

 四天王寺編
 四天王寺七宮編
 元四天王寺編

 以上3編は、オフィス・イチロウのホームページからご覧いただけます。
 こちらから飛べます。

 奈良・穴穂神社、石上神宮編を明日か明後日には、パート1、2を公開。・
 その後1週間おきにアップし、全8本ある動画を3月いっぱいをかけて公開します。

 そして丹後半島の籠神社、竹野神社、間人町、御所の壷捜し(太子の母、間人皇后が一時逃避し、住んだという場所)、三柱神社などを行く動画もその後公開します。

 また雪解けの春ごろには、丹後の久美浜ロケに行かなければならない状況となりました。
 海部の神を追っていると、ここに行き着くんです。謎です、ここは。
 久美浜・・・古代史の謎を解明するなら、ここ行かなきゃ。


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2013年02月27日

サンデー・ナイト・フィーバー

 中山市朗です。

 またまたお知らせです。
 と言っても、今回は私ではなく、作劇塾の総務をしてくれているライターのスガノくんの情報です。
 彼が、菅野日曜日というペンネームで、青心社から小説を出しました。
 『すれちがいが止まらない』というラブコメだそうで、彼がマンガ家を目指して専門学校に通っていた頃の友人関係や、その頃観ていた夢、みたいなものが、どうやrあこの作品の下敷きにあるようです。
 だそう、とか、どうやら、という曖昧なことを書くには原因がありまして、彼は私に献本したというのですが、まだ届かないので未読なわけです。
 買って読め、ということなのかな?

 献本というのは、出版された本をお世話になった人やマスコミ関係者に進呈することであります。
 スガノくんが小説を出すのは2冊目ですが、1冊目を出したとき、彼は献本のことを知らなかったようで、本がほとんど売れませんでした。1ヶ月ほどして、おかしいなと思った私が指摘してやっと気付いたみたいで、献本は宣伝、広報の一環で、書評を書いてくれたり、雑誌やメディアが取り上げてくれるためのものなのです。これ、しっかりやらないと、なかなか話題になりません。まあ献本したから話題になったり、書評が出るというものではありませんけど(要は内容ですから)。でも、献本することによって業界に存在をアピールすることになり、次の原稿依頼が発生したりします。

 さて、私も今、今回出版する『聖徳太子 四天王寺の暗号』の献本リストを先方に送ったところです。今回の件でお世話になりました方々、誠にありがとうございました。

 オフィス・イチロウのホームページのトップにあります動画で、今回の出版のいきさつ、裏話などを紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

 オフィス・イチロウのホームページはこちら

 それから、『古代史探偵団』も復活、動画の更新も行ないます。
 これは今回の出版物と連動しております。
 現在のところ、四天王寺編、四天王寺七宮編、元四天王寺編を貼りつけておりますが、2〜3日のうちに、穴穂部と石上神宮編を数回に分けて配信します。
 こちらは、聖徳太子の母の血脈を追って、奈良県天理市に潜入、物部神道の奥義を探ります。また、八尾市へもロケを慣行、太子の母、間人皇后の出自に関する重要な場所を紹介いたします。
 また、丹後半島の間人町、御所ノ坪(間人皇后が一時住んだという場所)、三柱神社、竹野神社、そして元伊勢籠神社にロケをした、丹後半島編も4月頃から連続して配信いたします。
 視聴料は無料ですので、ぜひ『四天王寺の暗号』と併せて。
 



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2013年02月24日

ワシらの一番長い日

 中山市朗です。

 またまたお知らせです。
 中山市朗のプライベート怪談、日取りが決定いたしました。

 不安奇異夜話の翌週の土曜日、つまり3月23日(土)の深夜に、恒例の私の書斎での開催とします。
 参加費は無料です。
 ただし、お一人1話は怪談を語っていただくことが条件。
 お話によっては、私の怪談語りや執筆に使わせてもらいます。
 従って、ネットで拾ったもの、雑誌や本に載っていたもの、芸能人が語っていたものなどはNG。ご自身の体験でなくとも友人や家族、仕事仲間、あるいは旅先などで聞いた話であるなら大歓迎いたします。
 私も語ります。

 膝突き合わせてのオールナイト怪談会です。

 3月23日(土)深夜24時より、翌朝5時くらいまで。
 場所 中山市朗・書斎(大阪市中央区南船場)

 参加ご希望の方は、オフィス・イチロウまでメールかお電話ください。
 集合時間、場所などをお知らせいたします。

 オフィス・イチロウ メール
 info☆officeichirou.com 
 (☆を@に変えて送信ください) 

 電話
 06-6264-0981

 また出張怪談もいたします。
 お気軽にお問い合わせください。

 そして私の新刊『聖徳太子 四天王寺の暗号』の注文はコチラ



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2013年02月21日

合言葉は上梓

 中山市朗です。

 お知らせです。

 私の新刊が近日発売されます。
 『聖徳太子 四天王の暗号』
 古代史です。ノンフィクションです。
 ちょっと値が張りますが、ハードカバーで、内容は非常に濃いです。

 予約がとれるようになりましたので、よろしくお願いいたします。

 予約はこちらから

 著者分類で私がSFホラー作家になっているのはなぜ?

 


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2013年02月20日

夜話リング・インフェルノ

 中山市朗です。

 ライブのお知らせです。

『不安奇異夜話・2013 大阪堀江乃怪春乃陣』にゲスト出演します。

 開催日 2013年3月16日
 開場 23:30
 開演 24:00
 入場料 3500円

 出演 ファンキー中村 あみ
 ゲスト出演 雲谷斎 中山市朗

 会場 Minamihorie ZERO
 住所 大阪市西区2丁目13-26
 電話 06-6542-3808
 
 お申し込みはこちら

 
 また、季節の変わり目恒例の、中山市朗プライベート怪談会も来月なかには開催しようと思っております。日取りはただ今調整中。
 場所は中山市朗の囲炉裏のある書斎。
 参加費は無料ですが、1話は怪談を語ることが条件。

 追って詳細はお知らせいたします。

 



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2013年02月14日

わが町は風水なりき

 中山市朗です。

 明日配信予定しております作劇ネトラジは、風水がテーマになっています。
 補足です。
 風水の基礎は陰陽道からきています。この概念は日本でも大変に古くから朝廷によって実践されてきました。
 でもいつから、というのはわかりません。
 卑弥呼が使ったという鬼道がそうだったかもしれません。また、渡来人が大挙渡来してきた痕跡の残る丹後半島には、数々の道教の痕跡も残っています。

 『日本書紀』によると、継体天皇7年(512)に五経博士が来朝したとあります。
 五経とは、易経、書経、詩経、礼記、春秋の5つのことです。で、易経というのが卜筮のことでして、陰陽の元素となる相生と相克により森羅万象の法則を読み解く陰陽道の基礎となるわけですな。
 そして欽明天皇15年(554)に百済から易博士、暦博士、医博士、薬博士らが来朝したとあります。ですから朝廷が陰陽道を受け入れたのは、だいたい6世紀ごろ、ということだと歴史学的には考察されるわけです。

 ところでネトラジで話題になっていた四神相応。
 東西南北を司る聖獣が王都や寺院を守護するという地相術ですね。
 北に山ありて玄武、南に池沼ありて朱雀、東に川ありて青龍、西に道ありて白虎。
 で、この四神相応といえばすぐに引き合いに出されるのが、平安京と江戸なんですが、実は誰も指摘しないのが不思議でならないんですけど、日本で最初にこの四神相応で守護された街づくりがされたのは、おそらく難波の都なんです。つまり大阪。
 だいたい日本最初の国際都市として造営されたのが、この難波。
 大阪市内に上町台地が通っていますが、あそこに古代の難波の町が造営されたわけです。今の天満宮から住吉大社までがその上町台地。今の中央区難波なんて、その名の通り、海やったわけですし、住吉大社も海神ですから、すぐ近くまで海だったんです。
 また、上町台地の西側も低地になっていまして、河内湾が東大阪あたり、生駒山の麓にまで入り込んでいました。

 この上町台地に都市が造営されたのが難波です。造営したのは聖徳太子。
 まず、四天王寺が建立され、四筒院、これは今で言う福祉センター、が造られ、外国の使節団を歓待する施設や宿泊所も造られましたし、難波館という商館もあったとされます。16棟もの倉庫群はその遺構が発見されています。四天王寺の南門からは大道という官道が造られ、飛鳥の都へ通じていました。そして大阪湾には外国から来た船が停泊していました。遣隋使、遣唐使の船もこの難波津から出帆したんです。政治の中枢は飛鳥でしたが、難波もまた商業と貿易の街として栄え、飛鳥の都に収穫の恵みをもたらしたんです。
 これは、まさに倭国の威信をかけた国際都市として設計されたのです。
 外国との本格的な外交、貿易、文化の輸入というのを意識的にやろうとしたのが聖徳太子であったわけです。おそらくそのスポンサーには秦氏がいたと思われます。秦氏もまた土木と建築技術をもつ集団であり、聖徳太子は四天王寺の番匠堂で長尺をもった建築の神様として祀ってあります。
 平安京や平城京が造られる以前のことですよ。

 この難波の象徴が四天王寺だったんです。
 この四天王寺は、まさに風水の概念により造られ、難波は四神相応に守護された理想都市であったのです。
 まず四天王寺の伽藍は、南門を元に真北に配置されています。北辰信仰です。中国ではこの北辰、つまりは北極星を天皇大帝としました。道教でもっとも地位のある王、あるいは道師のことです。おそらく日本の天皇という称号は、ここからきています。
 真北を向いているということは、南北線がある。南北線があれば東西の正確な位置が導かれる。四天王寺は東西南北を性格に測って建立されているんです。天体と方位、つまりこれが陰陽道の基本であるわけです。
 不思議なことに、四天王寺は仏教最初の寺と言いながら、本尊は釈迦でも阿弥陀さんでもなく、四天王そのものだったと四天王寺の由緒にはあります。
 四天は陰陽でいう春夏秋冬を表し、春夏秋冬はそのまま東西南北に対応するのです。
 つまりこれ、四神相応です。

 北は、北辰信仰の妙見山があります。この山が開けたのは中世のことのようですが、秦氏によって古くから妙見信仰はあったようです。
 南は河内平野が開け、池沼がしばし氾濫した場所です。また百舌鳥古墳群、古市古墳群、磯長谷古墳群といった太陽の子孫たる天皇陵が多くあり、朱雀がいるにふさわしい場所です。
 東は四天王寺の青龍池に名水をもたらす生駒山がある。生駒山は草香と呼ばれた青山に対応します。えっ、東は川じゃないのかって?
 実は東は川としたのは平安時代の文献『作庭記』に記されたもので、もともと中国では青山、青林を青龍としたんです。つまり生駒山が青龍となります。四天王寺の亀の池は、この生駒山からくる水脈からなる青龍池の水とされていますから、ここが龍穴となります。
 西は、大和の経済基盤を支えた難波津の港があり、金属や穀物を象徴する白にあたり、秋の収穫をも象徴する白虎に対応します。

 見事な四神相応です。これが聖徳太子によるものだという証拠もあります。
 四天王寺に所蔵してある七星剣。現在は東京国立博物館に寄贈されていますが、これは聖徳太子が所持していた鉄剣とされ、北斗七星に龍頭、白虎などが彫られています。
 ちなみに天皇陵の向こう、今の大和川の南はあの世とされていました。
 熊野神はあの世を司る、隠れ神となったわけです。
 そしてあの世とこの世の境、ということで堺と名づけられたのです。

 古代の大阪、誰もあんまり取り上げないのはなぜなんでしょう?
 まだまだいっぱい、面白いものがあるのにね。


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2013年02月12日

真どん底

 中山市朗です。

 いつぞやのブログで、「がんばってます」について書きました。
 ADになった元塾生のKくん、周囲の塾生たちは「彼ADとしてがんばってるんですから、がんばってるでええやないですか」と言う。
 私は「ただがんばってるだけじゃ、プロになれん。だいたい本気とは思えん」
 みたいな内容だったと思います。
 私は心配して言った言葉のつもりだったんですけど。

 そしたら最近、「Kくん、AD辞めましたよ」という報告が。
 AD、アシスタント・ディレクターのことです。使い走りです。
「え、なんで?」
「あまりにしんどいので、と言ってました」
 ほらほら、本気違ったやん。
 ADがしんどいのは当たり前。そんなん百も承知なはず。で、これはもうラストチャンス。お前がんばってるだけじゃ通用せんで、厳しい世界やで、覚悟してるか? もう後が無いで。
 あえてあのとき、彼のことをブログに書いたのは、そういう私なりのKくんへのメッセージだったつもりが・・・やっぱりか。
 で、理由がしんどいから?

 もう彼も30歳に近い。
 塾にいたころは課題のシナリオの提出がない。映画監督を目指す者がシナリオを書かないのはありえない。なのに3ヶ月も続いて平気な顔でした。自覚ゼロ。
 そこを叱ったら、泣きそうな顔をする。
 映画の現場に入れるチャンスを作ってやっても反故にする。紹介してもらったADも辞める。まともな映画の1本も撮ったことがない。映画も見てない。
 彼が「僕は絶対映画監督になりますよ」と言っていた言葉を、周囲は信じてやれと言ってもとてもそんなんで通用する世界じゃない。信じられるわけがない。でも、なりたいと言って塾に来ているからには、やるべき方策を教え、指導します。
 そしたら指導がイヤだと言って塾を飛び出して、結局こうなった。もう、この世界、無理ですよ、彼。
 しかも辞め方が、現場を放棄したとか。聞いただけで真実かどうかわかりませんけど。これ、責任放棄というか、現場の人たちに大迷惑をかけちゃいます。ムチャクチャです。
 
 ハングリーじゃないんですよね。辞めてもバイトをすれば、なんとか食っていける。食っていきながら、また次の夢を見る。きっとKくん「諦めたわけじゃないです」と言うでしょうね。
 ちなみにKくんはかなり高学歴です。勉強はできたんです。

 前回のブログで、塾に通いながらまったく作品を出さず、それで平然としながら「僕は作家になります」と言っている某君のことも書きました。彼もなんですが、こういう若者に共通しているのは、誰にも叱られたことがない、ということです。Kくんは自分で言ってましたもん。
「僕は親からも先生からも叱られたことがない」
 つまり彼を最初に叱ったのは私ということになります。あとで彼は言っていました。
「叱られたとき、僕は先生を憎みました」
 こわっ!

 つまり叱られたことがないから、自分が悪いという概念がない。で、こんなことになっている状況は、周りが悪い、ということになる。自分が悪いという感覚がないから、叱られる意味がわからないんですね。叱られてどう対処すればいいのかわからないんです。
 そうなった原因は簡単です。親は彼の欲しがるものをずっと与えていたんです。だから自分で欲しいものを自分で取る必要がない。そして世間に出る。
 当たり前ですけど、誰も何も与えてくれません。
 すると、与えてくれない大人が悪い、社会が悪いという理屈になるわけです。
 で、いつまで経っても、一人前にならない。
 Kくんだけじゃない。ホント多いですよ、そういう若者。

 一方、何も言わなくてもやりたいことを成就するために、コツコツと実績を積み上げていく優秀な若者もいます。やっぱり親が厳しかったとか、いい先生にめぐりあった、という人たちに多い。人に感謝する気持ちのある人が、やっぱり周りにかわいがられて、チャンスももらっていき、それをちゃんと我が手に掴むわけです。
 今は情報がこれだけ飛び交っていて、メディアが変革しているときですから、そこを見極める目ももてば、すごい優秀な人材になると思うんです。そういう人も何人もいますよ、我が塾には。
 つまり塾という環境は同じでも、最後は塾生自身の人としての質の問題になるわけです。

 この質を作るのは親の教育。
 あまい親は無能な子を作ります。
 すべてとは言いませんが、これやっぱりありますよ。
 親御さんも、この不景気の世の中、仕事に追われて子供と向き合う時間もなく、だからせめて愛情の証に、子供がほしがっているものを与えてやりたい、気持ちはわからないでもないですが、結局、もっと厳しくなる競争社会において、まったく通用しない大人になっちゃいます。
 ニートなんて親が食わしているからずっとニートなんだよ。と、これは北野誠さんの言葉ですが、まったく同感。

 腹が減りゃ、さすがに動きますよ。これは本能ですから。そこ、食わせちゃうから。

 ある米国の大学の研究委員がインタビューでこう言っていました。
「今、アジアの若者は強烈なエネルギーとパッションを持って我が大学ににゅうがくしてきます。中国、台湾、韓国、インド。でも日本人はほとんど来ません。満ち足りすぎて危機感を覚える必要性にかられていないからでしょう」

 これからますますビジネスが国際化する時代。何度もこのブログに書きましたように、出版界だって国際マーケットを意識しなきゃならんとき。
 しんどいからやんぴ、なんてことで、どうやってこれから生きていけるのでしょう?

 貧富の格差とともに、人材の格差がこれから問題となりそうです。



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2013年02月10日

1/31の小説技法 その2

 中山市朗です。

 前回の続きです。
 てにをは、ら抜き、さ入れ。なんのことかわかります?
 作家を目指していたら、聞いたことあるでしょう。
 
 てにをは。これは、○○で、○○に、○○を、○○は、という日本語の基礎を的確に使えているかどうか、の指摘です。ここを間違えると日本語にならないし、文章にして後で読んでみると、あれれれ、となっちゃうんです。
 ら抜き。食べれる、食べられる。どっちが正しいのか。通常の会話では「食べれる」を使うと思うのですが、文法上は「食べられる」が正解となるわけです。しゃべれる、しゃべられる。感じれる、感じられる。信じれる、信じられる。こういう、ら抜き、が指摘されます。否定されるというわけではなく、その使い方が正しいのかどうかの判断が委ねられるわけです。
 さ入れ。着せる、着させる。入れる、入れさせる。飛ばす、飛ばさす。食べれる、食べさせる、のようにさを入れるか入れないか。

 休まさせていただきます。
 休ませていただきます。
 作らさせていただきます。
 作らせていただきます。
 
 さあ、どっち?  さを抜くのが正解です。でもやっちゃうんですよね。

 方言の問題。作家が日常的に使っている言葉を文にすると、これ、使います? なんて指摘も。キャラクター造形に、時には方言は必要なアイテムですが、読む側に負担をかけるなんてことも。私の書くものはけっこう大阪弁が出てきますけど。
 数字、17か、一七か、十七か。一ヶ月か、一カ月か、一か月か。

 あとワープロ変換だとどうしても誤字、脱字が出てきます。
 私の経験では作家志望の若い人たちは「キミ、暴走族におったの?」と聞きたいような、やたらと難しい漢字を使いたがる傾向にありますが、そこも指摘されます。一般の人が読めない字を使っても意味がないことです。内容はソフトなのに、使っている字はお堅いというアンバランスさも出てきます。やたら難しい漢字を使う人は、だいたい内容に自信をもっていない人が多いようです。

 あと、確信犯、役不足、ヤバイ、気が置けない、姑息、やおら、憮然として、小春日和、失笑、撃沈、セレブ・・・誤用してませんか?

 まあ、これらは指摘されれば修正すればいい。
 わちゃー、となるのは、知識不足、取材不足を指摘されること。これは編集は指摘してくるけど、どう修正し書き直すのかは、作者に委ねられます。
 物語は矛盾していないか、文脈の流れはこれでいいのか、破綻はないか、キャラクターが途中から別人になっていないか、会話が成り立っているか、説明が多すぎないか、逆に少なすぎないか、もっとリズムやテンポが出ないか、会話ばかりになっていないか、テーマに沿っているのか、差別用語、禁止語句を使っていないかなど、まだまだあります。このページ全面改稿なんて指摘も。逆に作家側が読み直していて恥ずかしくなり、「ここ、もういっぺん書き直していい?」なんてことも。

 それに、出版となるとページ数がほぼ決定されます。原稿用紙に換算して何枚、が出るとそれをオーバーしてもダメ、少なすぎてもダメ。そこにきっちりと物語を入れ込まないとダメです。
 商標や著作権に抵触していないかのチェックもあります。人の名前とか。気をつけないと訴えられることもあります。
 たいて、この校正は、初稿、再稿、三稿と3回行なわれます。これだけ修正をやってもまだ誤字、脱字があったりします。本になってもあるんですよね、たまに。本を買ってページを開いたら、訂正という紙が入っているのがそれ。本になって気付いたんですね。誤植の場合もありますし。

 作家になって自作を本にして、商品として買ってもらおうという人が、アカ入れを拒否する、というのは、いかに無謀で恐ろしいことか、わかりますよね?
 どんな工場でも不良品を出さないように厳重にチェックしています。それでもたまに、不良品が出る。一個の不良品のために全品回収なんてこともあるじゃないですか。
 ゲラ修正とは、作家として自分の作品を不良品にしないための作業です。
 アマチュアの小説家とプロの小説家の違いは、この修正をちゃんと担当編集という第三者とともにやっているか、やっていないか。ここなのです。

 まあゲラ修正嫌いという作家さんは確かにいますし、私も短いコラム程度のものなら編集さんに「勝手に修正してそのまま印刷所にまわしていいよ」なんてサボっちったことも確かにありましたけど。
 でも、新人作家はいい編集によって育てられるということもあります。
 編集さんとの出会いも、作家になるには必要なことです。これは運かもしれませんが。

 だからアカに対応できていない塾生は、ちゃんとアカに向き合ってほしいと思うわけです。書くだけなら家で書けよろしい。でもそこにアカが入るなんて環境はあまりないと思うんですがね。だから合評をやっているわけです。ここでアカになる箇所に赤を入れて、帰って修正するわけです。それがどうしてもできない、というのなら、プロはもう諦めてください。それくらい大事な作業ですから、これは。

 それと合評は月2回。だから年に24回、提出する機会があるわけです。
 2回しか出していないという塾生と、ほぼ毎回提出してくる塾生がいます。これ、3年やったら圧倒的な差が出ます。やっぱり塾を出てプロとなる塾生は、これをやっている人たちです。1年に24回、自分の書いた原稿にアカを入れてもらって地道に修正に応じることを、そのたびに積み重ねているわけですから。そら、力もつく。
 今、プロデビューできるくらいの力量をもったな、という塾生がいますが、彼もその蓄積を確実に積み重ねてきたわけです。彼が最初に書いてきた原稿と比べると、きっと雲泥の差を実感できるはずです。
 でも、修正に応じない塾生は、何年経っても同じレベルのまま。これでは10年塾にいてもプロは無理。
 作家になる近道は、それしかない。

 休塾している塾生たちも、原稿を持って合評に出よう!


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2013年02月07日

1/31の小説技法 その1

 中山市朗です。

 本日は作劇塾の日です。
 今日は講座でインプットの日。講座が終わったら家でアウトプットして書いた作品を提出してもらい、次週の合評に備えるということを繰り返しています。
 合評は、自分の作品を他の塾生たちに読んでもらい、感想を述べ合いながら修正箇所を指摘します。また自分も他の塾生の作品を読み込み、合評に備えます。批評する目も養われ、自分の作品に活かせますし、ただ面白い、面白くないで読んでいた小説を、論理的に解析する目も養えます。
 この合評に欠かさず作品を提出する塾生もいれば、まったくと言っていいほど出さない塾生もいます。あるいは合評でダメ出ししたり、アカが入ったりするわけですけど、それを修正しないで、また新しい作品を最初から書いてくる人もいます。
 で、注意するんですが、直らないんですな、これが。
 あんまり言い過ぎると来なくなるし、言わなかったらアカが直らないし。
 どーしたもんでしょうかね。

 先週の合評で塾生のYくんが、塾に来てはいるんだけどさっぱり作品を出さないある塾生に、「それで平気なん?」と説教した一幕がありました。
 言われた側はどう思ったか知りませんが、これは愛ですよ、愛。
 普通「あっ、コイツ書かへんのやったら少なくともライバル一人減ったな」と思うだけで、説教なんてエネルギーのいることやりません。
 かえって恨みもたれて、闇夜の晩に後ろからブスッと・・・なんてことはないでしょうけど。

 アカが入るのが嫌だと言う人は、過去教え子に何人もいました。アカにショックを受けて、即、塾に来なくなった人もいます。
 でもねえ、アカの入らないプロはいないよと。
 アカが入らないのは素人の世界です。
 先週、私、自分の作品のゲラに目を通してたんですが、もちろん編集さんによるアカが入っているわけです。でも、それ以上にこちらも直したくなる。
 ゲラというのは、編集者が印刷所に入稿した校正紙のことです。文字は活字で本のレイアウトになっていますので、きっと作家志望の方は、最初これを手にしたとき、「おっ、いよいよ出版されるな」と感動すると思います。
 ところがその校正紙に、編集者からの無情な赤ペンが入っているわけです。
 漢字、違ってますとか、表記統一とか、ここいりませんとか、順番変えましょうとか。表現変えましょうとか、もっと掘り下げましょうとか、これ差別用語なのでNGとか。誤植も結構あったり。あっ、俺のせいか?
 でも脱稿してから期間を置いて読み直すと、書いているときには気付かなかった文脈や流れ、説明不足、説明過多、漢字の間違いなど、そらキリがありません。
 そこ、自分でも修正していくわけです。
 これを何度か繰り返すわけです。
 コツコツと。
 まったく修正箇所のない作家さんも、ひょっとしたらいるのかもしれませんが、それは私は奇跡の人と呼びます。
 一昨日、やっと納得して期限ギリギリに編集さんに返したんですけど、調べ者をしているうちに書き足したくなる情報を見つけて、「ちょっと待ったあ」とさっき電話したところです。この数行の情報があるのと無いのでは、説得力が違う。
 そこまでしても、出版されたら読者の方たちから辛辣なコメントをもらったりするんです。

 ホント、作家志望者は勘違いしていますが、原稿は書き上げたら完成ではありません。
 そこからが作業です。
 担当編集のチェックがあり、OKをもらわないと次へ進まないわけです。たとえ100パーセントなものを書いても「120パーセントにできませんか?」と編集は言ってくるわけです。
 作家志望者たちは、ここを経験してないのでわからないんですな。
 中にはアカは、自分を否定されたかのように解釈する人もいます。
 これは専門学校時代の教え子でしたが、アカを入れたら泣き出すわけです。女の子でしたけど。で、「わかってもらえる人だけに読んでもらいます」と抜かし、いや、言いよった。わかってもらえて、しかも500円だかのお金を出して読んでくれる人が5000人もいればいいんですけどね。
 ゲラ修正は、作品を一定の水準にあげる作業なのです、これは。
 私の場合、ゲラ1枚に何も修正が入らない、なんてことは滅多になく、2〜3箇所は必ず入っているんですが、他の作家さんもそうらしいです。まあ、だいたい1冊で1000箇所はある。ええっ、そんなにって?
 プロが?
 そう思うでしょ、あるんです。

 つづく


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kaidanyawa at 20:02|PermalinkComments(2)

2013年02月06日

大いなる検定

 中山市朗です。

 ネットにオカルト検定なるものがあります。
 その中にこんな問題がありました。

 次のうち『新耳袋』シリーズで知られるライターを全て選びなさい。
 木原浩勝 中山市朗 加藤一 平山夢明

 正解は・・・それはどうでもよくて、問題は、
 『新耳袋』はオカルト違うわ!
 怪談や!!
 怪談とオカルトは違う!!!
 なんか、みなさんわかってまへんな。

 ところで怪談検定って、パスしたらなんかなるの?

 
 


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kaidanyawa at 20:59|PermalinkComments(0)
プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

オフィスイチロウ


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