2016年08月01日

2016年08月01日

第一回怪談の魔、終了。

中山市朗です。

「怪談の魔」、初日を終えました。
ゲストは役者の稲森誠さん。
いやあ、充実した怪談会でしたよ。

お客さんは、第一、第二部あわせて10人ほど。完全な赤字。
私も、こんな少人数の前で語るのははじめて。
しかし、最初はそんなものかと覚悟していましたから、まあ、これからです。
とにかく、大阪で、こういう場を作ることが肝心。ただし、みなさんに来ていただかないことには意味がない。
みなさん、ぜひ、来場して、盛り上げてください。
客席には、明日、「なんば花月怪談」に出演する、ありがとう・ぁみくんがいましたよ。聞けば、この怪談会を聞くためにわざわざ一日早く繰り上げ来阪したそうな。そう、明日は「なんば花月怪談」がありまして、ぁみくんも出演メンバーなのでした。ぁみくん、客席にいて、いちばんいいリアクションをとってくれていました。

昔、亡き六代目笑福亭松鶴師匠が、ある地方巡演に行ったとき、客席はわずか数人だったということがあったらしい。それも端っこのほうにバラバラで座っている。
主催者はビビったそうです。天下の松鶴師匠を招きながら、この客数。
さぞや機嫌を損なうに違いない。
ところが松鶴師匠、大ネタの「らくだ」を演じはじめた。これが凄い熱気、気迫。これが松鶴の芸、というのをわずか数人の前で一時間たっぷりと演じ、バラバラに座っていたお客も、だんだん高座の前に集まりだし、演じ終わると大きな拍手が鳴ったそうです。
袖で観ていたお弟子さんも「あんな気迫のあるらくだは聴いたことがない」

そういう逸話がありますが、今日、松鶴師匠の心境がわかったような気がします。
入ってくださった数人のお客さんだからこそ、これが怪談だ、というところを見せたい。そして、次へとつなぎたい。この数人のお客さんを逃してなるものか、という気持ちがわくんです。

稲森さんからもそういう気迫は伝わってきて、特に第二部は、会場に雰囲気も漂ってきて、私としては非常に手ごたえがあったように思いました。

演者と客席が、非常に近い。
「こういう怪談会は東京にはないです。大阪がうらやましい」とは、ぁみくんの言葉。
さっそく、出演したいと、売り込みがありました。
実は、この「怪談の魔」、出演者側が非常にもりあがっていて、ギャラが出るのか出ないのかわからないようなこんな会に、ぜひ出演してみたい、という問いあわせも来ておりまして、ちょっと待っていただいている状態です。やっぱり怪談好きで、披露してみたいというのもあるのでしょうが、こういう場が貴重なんだという、ステージに出ている側の思い、みたいなものもあるようです。近く、二度目のスケジュール出しを調整し、未定の空欄を埋めるつもりです。
本日も、NGKの楽屋にお邪魔し、よしもとの芸人さんと交渉を持つ予定です。
ですが、お客さんが来ないことには、どうしょうもないですからね。

そうか……。
今日、1日の夜は、「なんば花月怪談」と、PLの花火祭りか。
う〜ん、強敵やなあ。

ということで、「怪談の魔」終了後は、私、ぁみくん、Cainさんの三人で、ミナミのネオン街へ。
ぁみくんからは、東京の怪談会の実情などを詳しく聞き、ともかく、怪談界を盛り上げるにはどうしたらよいのか、と熱く語り合いました。「東京にも怪談の魔のような空間がほしい」と言っていましたよ。
それと、中国人、韓国人は怪談を聞かないのだろうか、という疑問も。道頓堀を歩いている人たちのほとんどが、そういった外国人ですからな。そういう人が、取り込めないものなのだろうかと。
今回のお化け屋敷も、中国、韓国人はまったく入ってこないらしい。そもそもそういうものが、無いみたいですし。
お化け屋敷は、体験してみると、きっと怖いとは思うんですけどね。文化としての根がないのかなあ。中国は文化大革命でそういう文化は滅んだみたいだし、韓国では、死人が怖いものだ、という概念が生まれたのはJホラーが認知されたころだとか。


さて、本日2回目の「怪談の魔」のゲストは、小説家の真代屋秀晃くん。
彼は、私の教え子であり、ずいぶんと長いんです。作劇塾の総務をやっていた時期もありました。そして、ライトノベルズ作家ではありますが、怪談蒐集の腕はピカイチ。その語りも秀逸で『新耳袋』『怪談実話系』『怪談狩り』と、彼の話はずいぶんと掲載しているんですよ。10年ほど前は、某ゲーム会社の怪談ノベルも書いていたくらい。
小説家、というのは真代屋に限らずですが、基本的にストーリーの構築が頭の中でできて、それをアウトプットするとき、この場合、怪談を語る、という行為ですが、ちゃんとお話として完成させる、という人は実に多いのです。というか、それが商売。
話を面白くする、というのが作家の仕事ですからそういうセンスを、プロの作家はみなんお持ちなんですね。たとえ寡黙で人付き合いが悪そうな作家さんでも、語ると理路整然としていたり、ちゃんとツボを押さえていたりして説得力がある。それはそういうテクニックなのでありまして。
今回、真代屋のほかにも、何人かの作家さんに出ていただくのは、そういう語りがみなさんうまいからなんです

それと楽しく語る、ということも大切。楽しく語るとお客さんにもそれが伝わる。そういう意識も、作家には重要。
彼の語りは、むしろ今の塾生たちに聞かせたいくらいです。
ただ、彼の場合、あまり人前で怪談を披露する場がなかったわけでして、とみかく楽しく語る、という真代屋怪談の世界は、きっと新しい怪談を提示してくれるはずです。
「なんば花月」の怪談は芸人が語る怪談。
「怪談の魔」は、作家が語る怪談。
さあ、どっち?

時間は第一部、7:30〜8:30
     第二部、8:45〜9:45
入れ替え制で、一部1000円。

何度も言います。こんな場所、今の大阪以外には、ほかにないですから。
東京の人間が聞きに来ていて、大阪の人間がスルーしている場合ではない。
しかもあと35日! 

kaidanyawa at 05:50|PermalinkComments(2)
プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

オフィスイチロウ


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