2006年09月21日

自分の文章と口調。その3

 中山市朗です。

 前回からの続き。語り口調についての考察です。


 これはその人のセンス、体感や経験、生活状態にあると書きました。
 でも修得する方法はあるんです。 それは?

 もちろん何度も言うように話芸には接して欲しい。落語、講談。もちろん漫才もいいですよ。「ダイマル・ラケット」「いとし・こいし」「はんじ・けんじ」「千里・万里」なんて聞いてもらいたいですけど、今の漫才は、う〜ん・・・。

 以前、私の教え子がある広告代理店に就職したんです。その上司が落語好きな人やったらしく、特に桂枝雀さんの落語を、営業で周る車の中でずっと聞いていたそうです。
 で、営業に行く。最初は新人の彼にプレゼンさせるらしい。しどろもどろになりながら、説明する。でも、当然話術がないからなかなか相手がうんと言わない。すると間を置いてその上司がサッと代わるんだそうです。その口調が、さっきまで聞いていた枝雀の落語と同じ。リズム、テンポ、展開、落とし所・・・あっという間に仕事が取れたようです。

 それから、いい音楽を聴くこと。
 ロックやテクノは原始のリズムに近い。だからハイテンションにはなりますが、喜怒哀楽の人生を描く作品作りにはどうなんでしょう。
 今の漫才は、う〜ん・・・と先に書いたのは、それがロックやテクノのリズムだからなんです。その場はおもしろくても、後に残らない。きっと演者たちがそれしか聴いていないのでしょう。だからその時代の同世代には受けるんでしょうけど・・・。
 昔の名人の芸のテンポ、リズムは、演歌あり、浪花節あり、ジャズあり、ポップあり、クラッシックありと変幻自在だったように思います。だから老若男女すべてに受けた。
 作家を目指す人たちに聴いてもらいたいのは、やっぱりクラッシックです。どんな曲でもいいですからどんどん聴いて、身体の中に染み込ませていただきたいですな。その染み込んだリズム、テンポ、転調、ハーモニーは絶対作品の語り口調にいい結果を残すと思います。
 どうもみんな、クラッシックは落語、講談同様、聞かず嫌いなようで・・・。
 手塚治虫は、クラッシック音楽を聴きながら、そのリズムやテンポ、世界観に沿って作品を描いたそうです。描く作品によって、ベートーヴェン、チャイコフスキー、ストラヴィンスキーと聴き分けているドキュメンタリー、観たことあります。作品の格調というか、品が備わるような気がしますね。

 アニメソングやゲーム音楽ばっかり聞いとったら、あきまへんで。


kaidanyawa at 12:56│Comments(1)

この記事へのコメント

1. Posted by tawa   2006年10月24日 15:29
色々な音楽を聴くことは大事だと思います。でも誰しもが手塚治虫になれるものとも思え難いのですが。やはり才能のなせる業ではないでしょうか。

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プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

オフィスイチロウ


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