2006年12月21日

上映会

 中山市朗です。

 年末が近づいてまいりました。いろいろと年越し作業に追われ、更新がままならない状況ですみません。

 とは言うものの、先日は私宅書斎で塾生たちと映画鑑賞会を行いました。
 100インチ、ハイビジョンでの上映会。
 作品は黒澤明監督の『蜘蛛巣城』と『乱』。
 『蜘蛛巣城』はシェイクスピアの『マクベス』、『乱』は『リア王』を日本の戦国時代に置き換えて翻訳された名画中の名画です。
 この2本をチョイスしたのは、私ではなく塾生たちです。

 『マクベス』はオーソン・ウェルズやロマン・ポランスキーなども映画化していますが、やっぱり『蜘蛛巣城』がベスト! 墨絵から浮き出たような画、能の様式から表現される怨念の世界。特に千秋実演じる三木義明が殺されて、三船敏郎演じる鷲津武時(マクベス)の前にポッと亡霊となって方膝立てて座っているところなんて、まさしくホラー!
 蜘蛛手の森に現れる、浪速千栄子演じるモノノケの出る森のありさま。そして何と言っても鷲津が配下の武将たちによって矢責めに合い、射抜かれるシーンは何度観ても凄い!
 『乱』は色彩が美しく、それがハイビジョンに映えること! 『リア王』は、三姉妹の裏切りから父リア王が狂っていく悲劇がテーマなのですが、『乱』は、国を滅ぼし、大勢の人々を殺し、政略結婚させていった血の怨念への恐怖がプラスされます。
 でも本当に怖いのは、子供を産む女の業だよねと、塾生たちと共に共感。鷲津武時は奥方の浅芧(山田五十鈴扮す)の権力への執念に翻弄され、『乱』の一文字家は原田三枝子扮する楓の方の一族を滅ぼされた復讐心によって、登場人物のほとんどが死んでいく・・・。
 歴史の裏に女あり、の構図が何か見え隠れします・・・。


 鑑賞会の後は飲み会! 映画や創作の話で盛り上がろう、ということで、ゲストに山田誠二監督の現場で塾生たちもお世話になった西田特撮研究所所長の西田さんと、映像プロダクションの代表・杉下さんも参加。やっぱりプロの人がいる中での映画談義は貴重な時間となります。私も『乱』の撮影現場にメイキング担当のディレクターで入っていたこともあり、貴重な裏話も披露。しかし、う〜ん・・・参加する塾生はいつもほぼ固定メンバーなのが残念。
 映画をみんなで観た後、うまい料理とうまい酒、現場を知るプロとの交流。しかも体力さえあれば、オールナイトもOK! こんなことは、ここでしかできないと想うんだけどもな・・・。


kaidanyawa at 23:26│Comments(0)

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プロフィール
中山市朗(なかやまいちろう)

作家、怪異蒐集家、オカルト研究家。
兵庫県生まれ、大阪市在住。


著書に、
<怪 談>




<オカルト・古代史>




などがある。
古代史、聖徳太子の調査から、オカルト研究家としても活動している。






作家の育成機関「中山市朗・作劇塾」を主宰。



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