2017年10月10日

『怪談三百物語』のこと。

中山市朗です。


『怪談三百物語』、第一夜終了。
用意した約50席も埋まって、感謝につきません。

今回も司会を務めてくれた、はるみちゃんと。
最近、なんか、怪談ライブの司会者として、人気上昇中です。

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私の語る怪談を映像収録し、残そうというプロジェクトです。後には、商品化を考えていますが、それはまだ先のことになりそうです。
私がホストとなる怪談ライブの多くは、『Dark Night』のように、ゲストを一人、あるいは二人を迎えて丁々発止するものがメインです。
打ち合わせはあまりせず、お客さんの層ゃ空気、雰囲気などを読み取りながら進行させます。そして、あくまでゲストの世界観を重視します。
もちろん私も、初語り怪談は必ず何話か用意しますし、画像を見せるコーナーなどあれば、事前打ち合わせをしていますが、ほとんどは、ゲストの語った怪談から、関連付けたり思い出したりした怪談を披露していきます。
これが流れとなって、長時間のライブを構成していきます。
ゲストさんも、相当の腕と、怪談の数のストックを求められます。
おかげさまで、大阪のお客さんの耳が大変に肥えてきております(笑)。

こういう怪談ライブは、緩急が必要なわけです。
『Dark Night』なんて、ほとんどがオールナイトですから、長時間となります。そうすると、怪談の合間に笑いを入れたり、怪談も、怖い話をどこで語って、軽い話や怖くはないが不思議な話を、どこで、どう披露するかということも、なんとかく頭に入れて語っていきます。
北野誠さんとの回が毎回好評なのは、この緩急、いわば緊張と緩和が巧く作用しているからです。
笑いは、桂枝雀さんのいうところの、緊張と緩和が必要なわけですね。いわば、枝雀理論によれば、人は緊張から解き放たれて緩和する。緩和とは笑いです。
怪談も同じ。緩和が崩れて緊張となる。緊張が、ゾッとする心持、「怖っ」と思う瞬間です。
誠さんは、これをわかっているから、私の怪談の後、笑いをとったり、緩和させるわけです。逆もしかり。

怖い、怖い、の連続では、長時間のライブはしんどいわけです。
いや、持たないんです。
映画『史上最大の作戦』でしたっけ。こんなセリフがあります。
「鉛筆も、削りすぎるとすぐ折やすくなる」

他の怪談ライブでは、数名の怪談師を揃えて話を競い合う形になることが多いわけで、そうなると、みんなが「怖いの」「怖いの」を語ろうとしてしまうわけです。それも一つの形ですが、オールナイトでこれをやると、きっとお客さんもしんどくなると思うんです。以前、吉田悠軌さんが「実話怪談とはエグいもの」と言った背景には、そういう語りライブの環境下での怪談語りがメインになったからだと、私は思うわけです。
怪談にもいろいろあるし、笑える怪異、なごんじゃう怪談だってありますからな。

ところで今回のライブは、2時間ながら、一人語り。それも、最初から語る話は告知していて、キッチリとそれを語る。これ、難しかったですねえ。
確かに『Dark Night』で、私の怪談独演怪をやったことがありますが。あれは語る話は決めず、司会者とのやり取りの中で展開させるものでした。
でも、今回は、初めて語る怪談を告知したわけです。
これ、お客さんの空気にあわせられない。それは無視して、用意した話しを淡々と語る。
しかも、照明を落として、お客さんに向かって(ほんとうはカメラがその向こうにあるわけですが)語る。
こちらからは、実は客席は真っ暗で、お客さんの表情は見えていないんです。で、笑いを起こす芸ではない。
し〜ん、とさせるのが、怪談の芸です。でも、話がツマラン場合も、し〜んとしますからな。
そういう空気を察知しならの語り。
しかも今回披露した『ノブヒロさん」は「続・ノブヒロさん」と合わせて90分近い語りですから、お客さんと合わなければ、あるいは語りに失敗すると、調整、軌道修正ができないから、お互い地獄を見る。どへっ!

そこが、演じていて、厳しいものがありました。まあ、いい修練となりました。
独演会をする落語家さんの心境が、わかったような気がします。

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でも、今回はアンケートの回収率が大変に高く、おおむね好評だったようで、まずはホッとしました。

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今回の『ノブヒロさん』は、『新耳袋・第七夜』に「縁にまつわる十四の話」として収録。
つまり、14話分を一話として語ったわけで、この分で行くと『三百物語』は実質、『四百、五百物語』のボリュームを持つことになりそうです。
この企画が成った時、怪談界は、もっともっと盛り上がっていると思います。
『怪談三百物語』では、一度語った怪談は、二度と語りません。
ちょっぴりストイックな感覚の怪談ライブとなりそうです。

『Dark Night』とは、また一味違った、中山市朗怪談を、これからもよろしくお願いいたします。


あと、297話!





kaidanyawa at 07:02│Comments(5)

この記事へのコメント

1. Posted by ひろみつ   2017年10月10日 12:19
5 中山先生ごきげんようです。

『怪談三百物語』お疲れ様でした。行けなくて残念でした。次回は是非

語りの怪談ライブは落語と同じで「緊張と緩和」が大事だと思いますが、この基本が忘れられつつあるように思います。
漫才で言えば爆笑だけが笑いだと思っている若手の漫才師みたいなもんでしょうか?

野球でも剛速球ばっかり投げられたら、どんな速い球でも、しまいには打たれますもんね。

吉田悠軌さんが「実話怪談とはエグいもの」と言ったのは、そういうことへの警告、皮肉ではないかと思います。

こういうことを言うと「そんなんどうでもいい。おもろかったらええんや」と反論する人がいますが、そういうこと言う人に限ってちっともおもろないんですが・・・・

1人での長丁場大変でしたでしょうけど頑張ってください。次回は伺えればなぁと皮算用してます


2. Posted by 中山市朗   2017年10月10日 18:32
ひろみつさん。

確かにですねえ、なんでもそうですが「おもろかったらええ」んです。それがエンタメです。
でも、その「おもろくする」のに、実はいろいろ計算があり、演出があり、構成があり、そしてキャラがあるわけです。そしていろんな人たちが関わるわけです。
それがプロというわけですが。
もちろん、何も考えずにYouTubeに載せたらヒットしたなんて例もありますが、持続させるにはやっぱり、いろいろ考えて、無理してでも継続させなきゃダメなわけでして。

ちっとも面白くない人は、そのへんのことをナメてる素人さんです。
3. Posted by 鈴木   2017年10月10日 19:14
お疲れ様でした。本当の独演会方式だった
ようですね。怪談ばかりが続くと、その場
の空気が煮詰まってきますね。
ドーンと沈みこむような。。

あと、297話。どんな怪談が語られるのでし
ょう。そして、トリはどのような話なので
しょうか。
4. Posted by 中山市朗   2017年10月10日 19:59
鈴木さん。

トリですか。
今の段階では何も考えていませんが、これからすごい話が取材できるかも知れませんし、あるいは「なまなりさん」あたりも?
5. Posted by ひろみつ   2017年10月11日 12:27
5 最近MCをされているはるみちゃんですが、怪談ライブにはこういう人の方が向いてると思います。

霊感、生霊などの怪談ファンにはお馴染みのキーワードに無知な人の方がいいと思います。

微妙にピントのずれたコメントがええ味出してます。

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プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

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