2017年12月06日

中国、韓国の怪談事情?

中山市朗です。


12月になって、めっきり仕事が少なくなってきました。
怪談ライブは、10日の「怪談の壇」、16日の「Dark Night」の2本のみで、どちらもオフィスイチロウ主催のもの。
つまり、怪談ライブや番組出演の依頼が無い、というわけです。
つまり、需要が無い。

昨夜の『怪チャンネル』で話題にしたように、やっぱり世間では、怪談は夏の風物詩、ということなのでしょうか。
「いやいや、怪談好きは、年中聞きたいし読みたいですよ。冬の怪談、やってください」
という、怪談マニアの声はあるんですが、現実を言うと、毎年冬の怪談ライブは、夏に比べると、2〜3割はお客さんの数は少ないんですよ。これを何とかしようと、冬怪談を仕掛けているんですけど。

ところが、海外の人たちの怪談事情は、逆なんだそうです。
怪談、という形式は日本にしかない、と私は言っておりますが、海外にも、幽霊や悪魔の話はありまして、語られるわけです。
西欧では、それは冬なんだそうです。
それは、日照時間との関係らしくて、冬の夜は長い。
だから、その夜こそが、怖い話を楽しむのにふさわしい、というわけですな。
北欧なんて、冬中、雪に閉ざされて、外にも出られない。
そうなると、ペチカを囲んで、大人が子供を相手に怖い話を聞かせる。それが風物詩。
そういや、『シャイニング』なんて、雪に閉ざされたホテルでの話でした。
冬の間に一家が雪に閉ざされ、春になっても出てこないので、捜索してみたら……、ということを考えると、確かに怖いですな。
また、ハロウィンの季節との関係もありましょう。

私もねえ、秋と冬の長い夜は、怪談にピッタリだと思って啓蒙活動を行っているつもりなんですけど、なかなか理解が得られないわけでして。いまだに私なんか、季節労働者。

ところで、西欧はともかく、お隣の韓国や中国の怪談事情はどうなんでしょうか。

中国は、長い歴史の間に独特の神秘主義が継承されていました。道教がそうですし、老荘思想もそう。仏教もそうです。宗教には必ず神秘主義が入り込むわけです。ですから中国は、古代より相当な怪異談があったと思われます。
有名なところでは『聊斎志異 (リョウサイシイ)』という怪談集が清朝時代に出版されています。仙人や手品師、狐が化かす話や、動植物の精霊譚が記されています。著者は浦松齢という、中国の怪異蒐集家。うらまつれい、ではなく、ホウシュクレイと読みます。あのキョンシーの『霊幻道士』も、清朝時代が舞台の香港映画でした。
小泉八雲や田中貢太郎なども中国の怪談集を集めて日本で出版しています。しかし、これらの話は、本国では文化大革命で相当数、失われてしまったようです。
中国の共産主義は、唯物論のマルクス主義から成り立ちますから、宗教は迷信だとして破壊したわけです。もちろん、怪異談なんて、愚の骨頂ですわ。
でも、文化大革命の本質を知ってしまうと、怪談なんかより、よっぽど恐ろしいですけどね。

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一方台湾にはこういう話、残っているようですし、「学校の怪談」ブームもありました。研究の余地がありそうです。『新耳袋』は、台湾でも出版されたんですよ。

日本現代百物語。カバーの細かい字も全部中国語になってますよ。

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怪談に限らず、話芸が日本で発達したのは、擬音、擬態語が豊富であるということもあります。
小泉八雲は、英語にこれが無かったため、日本独特の怪談の言い回しを表現するのに苦労したといいます。

ところが、日本語以上に擬音、擬態語、つまりオノマトペが多いのはお隣の韓国の言葉だそうでして。
でも、韓国の怪談を調べても、ほとんど出てきません。どうやら、韓国で怪談が読まれ、ホラー映画が作られだしたのは1990年代になってから。つまり日本の影響なのです。

昔の朝鮮は、道を歩けば死体がゴロゴロ。奴婢とされた人たちも両班という貴族、役人に殺されたり強姦されてもあたりまえ、みたいな時代が続いていましたから、幽霊が怖いとか、そんなことを言っている場合ではなかった、ということなのでしょうか。李氏朝鮮時代は、まともな宗教も無いありさまでしたし。
現に、私はある韓国人と話していて「昔、亡くなったおじいちゃん、おばあちゃんがよく家にいたが、それが怖いものだとは、日本のホラーをみて、初めて知った」と言っていました。

しかし、今の韓国ですと、怪談を聞いたり語ったりという楽しみを、輸出できるかなあと。
韓国では『新耳袋』のコミック版が出版されております。


ですから、まずは日本国内にて、怪談啓蒙活動を一年中やって、もっと聞き手を増やす。
日本には、KAIDANというものがある、と認知させるわけです。
そして、韓国、台湾で、怪談ライブをやる。
そうなってこそ、怪談はほんとにショウビジネスとして成り立つのではないかと思うわけですが。

その、まずは前哨戦が、語り手を発掘し育成する『怪談の壇』です。
10日です。ぜひ、聞いて、語って、怪談を盛り上げていただきたく思います。
今回は、2017年のチャンピオンを決定します。
決めるのは、観客の皆さん!
ぜひ、次世代の語り手を、ぜひ、みなさんの手で!

中山市朗Dark Night公式サイト








kaidanyawa at 07:10│Comments(4)

この記事へのコメント

1. Posted by 鈴木   2017年12月06日 10:10
うちの職場は冬が忙しいので、大変です。
例の無断欠勤野郎は、今日も無断欠勤し
ていて憤慨です。プンスカプン。
予定していた仕事が出来なくなるので
困るんですがね。

「シャイニング」は映画も原作も、傑作
です。スティーブンキングは映画化され
たのを観て、激怒したそうですが両者
は別物として見た方が良さそうです。
原作なんてトイレ、行くのも怖かった記憶があります。
2. Posted by ひろみつ   2017年12月06日 11:05
5 中山先生ごきげんようです。

僕も怪談はオールシーズン聴いていたいです。

どうしても夏のイメージがありますが、僕なんかは雪深い田舎で深夜外は吹雪が女の悲鳴みたいな音を立てていて、茅葺の家の中で囲炉裏。時々、薪が爆ぜる音がして村の長みたいな爺ちゃんが囲炉裏の灰を混ぜながら、聞き取りにくい訛りの強い方言でボソボソと君の悪い話をするというイメージがあります。

韓国の怪談・・・恨の文化があるから、なにかというと日本への恨みつらみを綿々と語ったようなものばっかりになりそうでウンザリしそうです。

「シャイニング」は、僕もどっちも傑作だと思いますが、キューブリックはだいたい人間を描くことに興味ないんかなぁと思います。
原作者のスティーブンキングが演出したのは家族愛の物語になってますね。そりゃキングさん怒りますよね。

普通のお父さんが段々狂って行って、最後の最後に家族愛を取り戻して自分が犠牲になって奥さん子供を助ける話がキューブリックのは、いかにものジャックニコルソンですもんね。
3. Posted by ぺるそな   2017年12月06日 14:08
何時も楽しく読ませて貰ってます。
若い頃を思い出すと自分も季節に関係無く文字チャットの時代から怪談好きな人間が集まって居るチャットルームで書き込んだり、読んだりして楽しんでましたね…
そういう気持ちを持ちつつ、自分も色々楽しめる怪談系イベントを企画していきたいと思ってます。ありがたい事に純粋にお手伝いして頂ける方も言って貰ってますので
関西怪談を盛り上げて行きたいです。

4. Posted by 中山市朗   2017年12月06日 19:41
鈴木さん。

その無断欠勤野郎は、よく通用してますね?
うちのような業界では、絶対干されますけど。
『シャイニング』、まあ、これに限らず、大抵の作者は、映画化になるとイチャモンつけますな。媒体が違うし、監督も違う人だし。おっしゃる通り、別物と考えるべきです。

ひろみつさん。

韓国の恨は、なんだか日本人の我々とは違う恨なんでしょうね。我々はこうあるべきなのに、現状はこんなことになっている。原因は、日帝だ、という論理。原因は何もしなかった自分たちだ、にはならない。
厄介なもんです。
キューブリックは、人間を描くことに興味が無い、と見えますね。それはきっと、テーマとかモチーフが雄大すぎて、人間がちっちゃく見えるからだと思います。

ぺるそなさん。

おおっ、関西怪談を盛り上げる!
素晴らしいですね。私も何か力になれることがありましたら、お声おかけください。
怪談界に不足しているのは、まとまりだと思います。

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プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

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