2018年02月14日

相乗する怪談の魅力

中山市朗です。


先日の『中山市朗・怪チャンネル』で、訪ねてくる「赤い人のようなもの」について語りましたが、いろいろメールやお電話などで反響が届いています。

そういえば、そんな赤い人が、玄関口にいてすりガラスに映っていて怖かったことがあった、近所の家の前にいたのを見たことがあるとか、家のトイレやバスルームのドアのガラスの向こうや鏡越しにいた、とか。
火事との関係を示唆したものもありました。
たいていは、そんなものを見たけど、いつの間にやらいなくなって、二度と現れない、ということで忘れていたり、怪談として語るほどじゃない、ということだったんでしょうか。
でも、聞いているうちに「あ、それで思い出した」「そんな話でいいのなら、一度こんなことが……」となる。
これが、怪談なんですよ。
幽霊話ばかりが怪談では無い。
怪談は相乗するんですよ。そこが面白い。
でもまあ、あの赤い人のようなものって、なんでしょうね?

私が主催しているプライベート怪談会や怪談の壇、などでも、休憩時間や打ち上げになってもお客さんたちの怪談トークが終わらないのも、思い出しているんですよね、あれ。
つまり、霊感があるとか無いという話しではなくて、なんか妙に事があったぞとか、誰かそんなことを言ってたよな、みたいな。そういう話も集めるのが、怪異蒐集家のお仕事なんですよ。

『Dark Night』も、ゲストの人とは、そんなに打ち合わせをしない。
まあ、ザックリとテーマは決める。人形怪談とか、呪いとか。
あと、最後の話は、何をするとか。
あとは、ゲストの方も「おまかせします」と、私に委ねてくれるわけです。
それで、オールナイトの5時間、丁々発止の怪談のキャッチボールができるのは、その「あ、それで思い出した」とか「それと似た話があってね」とか「そのつながりでね」と、話が相乗して行くわけです。
それができる人をゲストに呼んでいるわけですけど。
そういう、思い出した怪異談の積み重ねが、リアルな感覚を喚起したり、やっぱりあるんだ、という共感を演出したり、あるいは深く掘り下げていけたりするわけです。一話一話は、そんなに怖いわけではないけども、ちょっとした不思議が積み重なると、そういうものなら、身近にあるかも、「あ、そういえば……」と、思い出して、途端に怖くなる。
『Dark Night』が、他の怪談ライブと比べて濃いというのは、これなんです。
ま、『新耳袋』がそうでしたからね。

7、8年前ですか、NHK-BS『怪談夜話』を収録した時、もちろんテレビ番組ですから、ゲストに割り振りがあったんですよ。安曇さんは、この話、時間は8分、とか、加門さんは、この話、何分、とか。私もトリを務めさせていただきましたが、前もって語る話は内容と時間が決められているわけです。番組構成ですね。
でも、ほんとに面白くて盛り上がったのは、その話を受けて、スタジオ内のゲストたちが「そういえば、こんな話がね」「あるある、私もこんなことが……」と、話し出したこと。
ディレクターを担当していたYさんは「番組は時間と構成が決められているんですが、その、盛り上がった計算外の話がおもしろくてね。なるべく活かすように編集しましたが、泣く泣くカットせざるを得なくて」と、苦しい胸の内を後で言っていたのを覚えています。

他の怪談番組は、これをやらしてくれないんですね。時間ばっかり気にしてね。
「5分以内に語ってください」とか。
そんなん、語りの世界じゃない。怪異事件のダイジェスト。それでもそこからカットされる。
ゲストの人数多すぎ、とか、そのコーナーいらんやろ。みたいな。
決められた怪談を、決められた時間内で語るというのは、もちろん、番組の基本ですけどね、それは。
でも、怪談の魅力はそれでは伝わらない。
KTVの『恐怖の百物語』は、そこに遊びがあったんですけとね。だから伝説的番組に成りえた。番組構成は……、あっ、私か。あっはっは。

ま、そういう昨今の怪談番組に対する反感でもあります、『中山市朗・怪チャンネル』は。

というわけで、怪談ファンにまだまだ認知度が足りない『中山市朗・怪チャンネル』。
ま、根気よく続けることですかな。

FRESH! で配信中!
次回は、2月25日です。

アーカイブも観れます。

中山市朗・怪チャンネル


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怪談に 乾杯ビール 美味すぎる

発酵麦茶


kaidanyawa at 01:25│Comments(3)

この記事へのコメント

1. Posted by ひろみつ   2018年02月14日 13:11
5 中山先生ごきげんようです。
夜勤明けでこれを書いております

怪談は相乗する、連鎖するというのは本当にそのとうりだと思います。

僕も数年前、まったく怪談の持ち合わせがなかったので「こんなもんホンマに集まるんかいな」と半信半疑で恐々始めたら・・・これが存外集まるんですね。

人前で話すレベルまでいかない小さな話も含めると212いま集まりました。

僕の場合、タクシーの運転手さんは意外と打率が低く、音楽仲間や、バーでたまたま隣り合った人をマスターが紹介してくれたりとかが多いです。

確かに「そういえば」という言葉は何度か聞きました。
「僕はホンマにそんな体験ないです。身近な人にもいないです」と言ってた人が僕が狐狸に化かされた話を他の人にしていたら「え・・・・そんなんでもいいんですか?そんなんやったらあります」と話してくれたことも何度かありました。

怪談なんかまったく無縁に見えた人が「・・あ」と言う瞬間ってすごいスリリングですね。

怪談の認知度‥得に大阪の場合、盛り上がりそうで盛り上がらないのはいろんな要素があると思いますが、ほとんど唯物主義に近い大阪人の合理主義、実証主義も1つはあるのかなと思うことがあります。
2. Posted by ひろみつ   2018年02月14日 13:48
続けて申し訳ありません。書き忘れました。
「赤い人のようなもの」の話は僕も好きな話でゾワッとした話です。あの不可解さ、いくら合理的に納得しようとしても、させてくれない不合理な怖さ、唐突さ・・・・他にも似た体験された人が掘れば出てきそうですね
3. Posted by 中山市朗   2018年02月14日 16:52
ひろみつさん。

怪談の認知度ですが、大阪という限定的なことではなく、『怪チャンネル』は全国に向けての配信ですので、全国的な認知度の向上を考えています。
怪談本のマーケットは存在しているし、夏に怪談番組が作られるのは潜在的マーケットはあると思われますが、何度もブログで私が言及してているように、まだまだ怪談を聞く楽しみが浸透していないところに、どう広報していくか、の問題をずっと考えているんです。
宣伝、広報に使える経費がございませんので、根気よく続けてじょじょに認知させるしかないのかなあと。

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プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

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