2019年04月19日

東京で千日前怪談の詳細を語る!パート2

中山市朗です。

千日前怪談をなぜ、東京で語るのか?

千日前怪談というのは、日本のビル火災最悪の惨事を招いた千日デパート事件から、端を発しているようですが、実は歴史的背景があるのです。
それは、大阪夏の陣、冬の陣が終わって、焦土化した大坂の町が、徳川幕府により復興するところから始まりました。ごろごろとあった屍を葬るにあたって、大坂の七か所に墓所が決められ、その一か所が、仕置き場(処刑場)付きの難波村墓所、現代の千日前だったわけです。
江戸時代は、さらし首が並ぶ獄門台や磔になった罪人がいて、墓石、卒塔婆、火葬場、灰になった骨をうず高く積み上げるボタ山などがある、昼間でも通るのをはばかる大きな墓所だったわけです。
千日前、という地名も、この辺りの事情から、そういわれるようになったのです。

明治初期の頃の千日前。黒門があって、その奥が冥土ということになります。
左手が、墓場。
おそらく今の堺筋から西を見たものです。

刑場












明治4年に明治政府により、墓所は阿倍野に移転。
千日前周辺は商業地、興行地として開発されますが、なかなかみんな怖がって手を出しません。で、一坪に50銭を付ける、ということでようやく開発が動き出しますが……。
いろいろあったわけです。
そして、明治の大火!

明治45年1月16日未明に、難波新地の銭湯の煙突から出た火の粉が原因で、猛火がミナミを襲い、谷町九町目まで燃え広がったというもの。街は全焼です。それにしても、難波新地から谷町九丁目という凄さは、大阪人でないとわからないでしょう。
 
大火で焼け野原になったミナミ。
「大阪歴史博物館」蔵。

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そして、昭和20年の大阪大空襲。

焼夷弾ですから、木造の店舗、家屋は全滅。大阪歌舞伎座、現在の高島屋別館など鉄筋の建物はなんとか残った、ということですな。
米軍も、ひどいことしますわ。

空襲














その上で昭和47年の千日デパート大火災。

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まあ、呪われた歴史が積み重なったのです。そしてそのことをひも解くことは、大阪の近代史を知ることになるのです。

これをまとめて、いつか語ってみたい、と思うようになったのですが、なんか反応がね。
「また千日前か」とか「もう聞き飽きた」というものが多かったんです。おいおい、これについて私は系統立てて語ってないし、私以外の誰の話を聞いたんだ、と、語る気をなくしました。

そんなおり、また原稿依頼が来たんです。
今度は、『新耳袋』を復刊させたメディア・ファクトリーから。
上方の怪談特集をするので、千日前の怪談をまとめてくれないか、という注文でした。

私は先の『別冊宝島』に書いたものを叩き台にして、あれから調査、取材したものを大幅に加筆し、「千日前怪談縁起」を書いたわけです。
『実話怪談コロシアム 群雄割拠の上方篇』という文庫本に掲載されました。





そして、2017年の夏ですよ。
大阪ミナミで、36夜連続怪談会を継続の中、西浦和也さんと桜井館長をゲストにお呼びした際、桜井さんからこんな話が出たわけです。

「大阪のこんなにぎやかな目抜き通りに、こんなにすごい霊スポットがあるって、凄いことですよ。しかも歴史が積み重なっているから、そこを検証したら、出てくる幽霊も違うんじゃないかと思います。実は東京には、こんな場所は無い。鈴ヶ森とか小塚原とかがそうだったんですが、千日前のような繁華街じゃない。寂れちゃってます。
東京でこの千日前怪談をすると、実は注目度が上がるんです。ツイキャスの閲覧者も断然伸びる。千日前怪談を最初にまとめたのは中山先生です。いつか、大阪でやりませんか?」

実は宝島編集部からも同じことを言われていました。
「こんな大都会の真ん中に、歴史が積み重なった霊スポットとおびただしい怪談がある。こんな場所は全国的にもありませんよ」

地元大阪の人からは、あんまりこういう建設的な意見を聞かないんですね。聞くとすれば「またかいな」「聞き飽きた」。
大阪人だけが、ことの重要性にきづいていない……?

というわけで、今回はあえて「東京で、千日前怪談を語ります。もちろん古地図や資料も用意して、歴史検証をしながら、怪談を紹介していきます。
土地の因縁というか、今も続いている呪縛の強さというか……。

本には書きましたが、まとめて語るのは、今回が初めてです。


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5月に東京で、Dark nightのダブルヘッダーを行います。
出演 中山市朗/怪談図書館 桜井館長

池袋:2時間公演(19時〜)
館長秘蔵の未公開心霊写真公開!

新宿:オールナイト公演(24時15分〜)
街全体が霊スポット「大阪千日前」に今も起こる、語り継がれる怪異を代特集。
詳細&ご予約は、下記のリンク先をご覧ください。

中山市朗Dark night HP




kaidanyawa at 07:05│Comments(6)

この記事へのコメント

1. Posted by ひろみつ   2019年04月19日 09:54
中山先生

千日前の話は大阪で生まれ育った僕でも、これほどのことがあったのかと知ったのはここ数年のことで、先生が時系列的に紹介されたことが決定的でした。

大阪ミナミの大阪冬の陣夏の陣から連なる歴史があり、それと深く結びついている、こういう禍々しく壮大な怪談はちょっと日本ひろしと言えどもここだけではないかと思います

そして「火災」が重要なキーワードになってますね。

関東の人達がどんな反応をするのか興味津々です
2. Posted by 鈴木   2019年04月19日 22:50
今、この記事を見てたら室内灯が落ちました。
自分は懐疑派なので関係ないことにします。。。

千日前の話、中山先生が寄稿してると知って
キンドルに入れました。怪談関係は削除して
いないので、多分タブレットの中に眠ってる
と思います。東京の仕置き場は何もないのに
関西の仕置き場には火が纏わるって興味深い
ですね。
千日前の火災の時は自分は3歳。記憶すらない
筈です。
3. Posted by 中山市朗   2019年04月20日 04:04
ひろみつさん。

怪談に限らず、な〜んか、大阪の人って自分たちの文化や歴史について建設的なことをしない、これでええやん、と思っている、節がありますな。
だから人材がどんどん東京へ行ってしまう……。

鈴木さん。

ありがとうございます。
私も最近、懐疑派ながら、でもあるよね、くらいの位置にいます。
いろいろありますねえ、世の中。
4. Posted by ?   2019年04月20日 17:40
炎、ですか。
基本的に、炎は神々の使う浄化の手段。
護摩供養なんかに代表されてますよね。
それに乗じてといいますか、逆手に取ってといいますか、ついでに人も死なせ、自分たちのエネルギー源にしているフシが、ここの悪霊グループにはありますねえ。
中山さんが、閉店前くらいの夜時間に、●ックカメラに入られたら、ビルがどうなるのか、実験してみていただきたいですねえ。
5. Posted by タキ・タロー   2019年04月20日 21:38
考えさせられましたねえ。
友人が「東京も関東大震災や戦災やとエライ目にあったけど、スクラップ&ビルドを繰り返し、新しくしつつも古いものも残す、語り継ぐという勢力もある。大阪はそれが無くなりつつある。」
「京都は保守のイメージ強いけど、歴史の厚みやら残されてきたものを、新しいものも利用して(観光など一例)資源活用がうまくいってる。」
「大阪は新しもん好きの割に根底は『変わらんでほしい』人らやから。新陳代謝も資源活用も、うもういかんようになってんのは、それちゃうかな?」というてますわ。

余談ですが、記憶にはありませんが親や叔父さんに、千日デパート屋上遊園地で観覧車乗ったりソーダ水のんだり、と楽しんだ事が小さい頃あったらしいです。
高度経済成長期の庶民の駅前デパート文化がどれだけかがやいていたか。
うまく言えませんが、親子連れの『にぎやかな幽霊』(?)はその頃の土地の記録が
時々『再生』されてるのか、と思う事があります。
だからこそ、世間から只のホラーネタとして『消費』されて終了!!にならんでほしいなあ、同時に不謹慎を承知で(先人たち・無念のうちに亡くなられた人たちに敬意・冥福を祈りつつ)うまく掘り下げたら、文化的にも歴史的にもちょっぴり経済的にも宝の山なのに、そんなブツまだまだ関西にはあるだろうに、とモヤモヤしております。

長文・駄文失礼いたしました<(_ _)>

6. Posted by 中山市朗   2019年04月21日 12:54
?さん。

私が、閉店前くらいの夜時間に、●ックカメラに入られたら、ビルがどうなるのか……。
きっと何も起こらないか、起こっていても気が付かないでしょう。

タキ・タローさん。

いやいやおっしゃる通り。怪談は、ただのホラーネタではありません。そこをわかった怪談語りとわかっていない怪談語りがありますけど。
怪談は掘り下げていくと、文化的、歴史的なものがざくざく出てきます。
マスコミがそこを理解しとらんのが、悔しいです。

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プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


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