2019年04月20日

赤い鳩(アピル)の原作者・小池一夫氏、堕つ!

中山市朗です。


小池一夫さんが、亡くなられました。


ご存知のように、『子連れ狼』や『首きり朝』『乾いて候』『御用牙』『修羅雪姫』などの漫画原作者。
小説家、脚本家でもありました。
令和になる直前と言っていい、この時期に。
昭和、平成を代表する、漫画の原作者であった、ということでしょうか。
私としては、漫画もそうなんですが、彼の言う、「キャラクターが全て」という言葉通り、それは映画にも応用されて、1970年代の映画の世界にも多大な影響を与えました。
映画化された『修羅雪姫』は、タランティーノを夢中にさせましたし、『子連れ狼』の若山富三郎は、三船三十郎や座頭市を凌ぐ、No1の剣客、剣豪だと思います。ドラマ全体になんか、ドライな感覚が残るのが特徴です。

実は、お会いして、対談をしたいと思っていたおひとりでした。
もちろん、漫画原作者、作家としての小池一夫という人に興味はあったわけなんですけど、この人、『赤い鳩(アピル)』という一風変わったコミックの原作をしているんですよ。






作画は、池上遼一。

幕末の京都、土佐を舞台にし、新選組隊士・馬庭実行と、宣教師オードル・ヘボンが主人公となって、いわゆる日ユ同祖論をコミックで論じた、というものなのです。
読んでみると、多分に、ヨセフ・アイデルバーグの『大和民族はユダヤ人だった』という著書を元にしていて、小池氏はどうも、アイデルバーグの唱える日ユ同祖論に感化されているなあ、と思ったわけです。
ところが何が起こったのか、途中で打ち切り。というより、無理やり完結させたという印象です。


やはりヤバイことを描いていたのか?
それとも当時の読者には、難しくて受け入れられなかったのか?

1988年から『ビックコミックスピリッツ』に連載が始まって、翌年に連載が終了しているわけですから、確かに早かったかもしれません。
日ユ同祖論なるものが、サラリーマンや若い人に注目されたのは、1991年、バブルがハジけてからのことだったように思います。
実は、誰も予想だにしなかったバブルの崩壊の原因は、ユダヤ人が裏から経済を動かしているからだ、というユダヤ陰謀論が受け、それに関連付けて、日ユ同祖論なるものも、注目を浴びだしたのです。私もそのころ、知りましたから。




小池氏は、大阪芸大のキャラクター造形学科学長を務めていることは知っていましたので、たまに小池先生の授業を受けているという学生から話を聞くと「講義の途中で、日ユ同祖論の話になると、そっちに脱線して、話が終わらない」なんて言っておりました。

ですから、一度『日ユ同祖論』をテーマに、対談をしたいなあ、と兼ねて思っていたのです。
どんな展開になるのか、どんな話が飛び出すのか、想像するだけでわくわくしたのですが……。

しかし、ご高齢ということや、誰を介してお話を持って行こうか、なんて考えているうちに、こういうことになってしまいました。

これからは、考える前に実行、ですな。

お会いすることはありませんでしたが、いろいろな意味でいつも意識し、尊敬していた方でした。

ご冥福をお祈りいたします。








kaidanyawa at 07:00│Comments(4)

この記事へのコメント

1. Posted by 人喰い愚地rebirth   2019年04月20日 07:28
おはようございます。

モンキーパンチ先生の訃報に続いての小池先生の訃報…後少しで元号が変わるタイミングで相次ぐ漫画界の両巨頭の逝去は衝撃です。しかも前日まで何事もなくTwitterを更新されていたのに…肺炎は侮れません。
2. Posted by ?   2019年04月20日 17:30
赤い鳩は、知ってはいますが、読んではいませんでした。
当時連載がスピリッツとのことなので、毎号購入していたはずですが、
早い時期に後ろの方に位置がさがっていたのではなかったかと思います。
雑誌の掲載順位は人気順とマンガでみたおぼえがありますので、単純に人気がなかったので打ち切りになったのではないかなあと思います。
セリフの「ん」の字を「ン」と書く、独特の主張をされる方なので、見つけやすい原作者さんでした。
当時としては「非常に論理的」に会話やストーリーををすすめられる方だったので、子連れ狼などを読んでいるだけで鍛えていただけていました。

劇画村塾を開かれて、高橋留美子さんなど、多くの一流マンガ家さんを輩出され、現在の日本マンガ界の基礎をつくられた偉大なお一方だと思います。

対談のモーションをかけられないままに、終わってしまわれたのは残念でしたねえ・・・
ご冥福をお祈りいたします。
3. Posted by 中山市朗   2019年04月21日 12:59
人喰い愚地rebirthさん。

モンキーパンチさんは、一度お会いして、色紙をいただきましたが、はて、あの色紙、どこいった?

?さん。

「赤い鳩(アピル)」は、当時私も妙な漫画やな、と思っていました。やっぱり早かったと思います。また噂によれば、こんなことを書くのはケシカランとオエライ方に叱られた、とも?
4. Posted by FKJ   2019年04月21日 23:29
会って話を聞きたい人には比較的会えたのですが、せっかくの機会なのにこちらが若くて知識も無くて今になってあの話をもっと聞いておけば良かったのにと後悔する事も多いです。

中山さんには著作があるのですから、会いたい方に送ってしまうのも手かもしれませんね。
例えば吉村作治教授にアプローチしてみたらどうでしょうか。
http://www.egypt.co.jp/

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プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

オフィスイチロウ


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