2019年06月10日

濃くも有意義な古代史座談会、終了しました。

中山市朗です。


「古代史座談会in大阪」、終了しましたよ。

前日から当日の2日間で、バタバタッと予約が6、7人増えました。それまでほんま、不安でした。
さて、「秦氏は、はたしてユダヤ人なのか?」がテーマ。
集まったお客さんに「日ユ同祖論を信じている人」と聞くと7割ほどが手を挙げられ、残りの方も「否定はしないがよくわからない」というスタンス。完全否定者は一人も無し。
う〜ん、だったら私は否定論者としての立場となって、議論するしかない?
でも、その前に「聞き専で来ました。初心者もいるようですので、日ユ同祖論の概略を教えてください」とのリクエストがあり、まずはプチ講座となりました。

日ユ同祖論は、そもそも誰が言い出したのか。それは何を意図したものか。
実は、日ユ同祖論は、明治になって近代化し、欧米に並ぶ一等国になりたいと富国強兵をしていた大日本帝国において、政治利用された面もありました。つまりキリスト教国である欧米に対して、その『聖書』に出てくるヘブライ民族と日本人は同根にあるという主張は、少なからず二等国日本のコンプレックスを、精神面で解消する側面があったわけです。皇紀2600年(昭和15年、神武天皇即位紀元)というのもそうですね。キリスト教は2000年。それより歴史があるという主張です。
神の国日本です。
中田重治、酒井勝軍と言った人たちはキリスト教の伝道者でありながら、反ユダヤ主義。その一方で日ユ同祖論に傾倒していきます。
そんな時に景教の世界的権威、佐伯好郎博士が『太秦を論ず』という小論文を明治41年に発表。太秦に残る地名や遺跡を根拠として、「秦氏はユダヤ人で景教徒であった」とする論説を展開させました。仮にも景教の世界的権威が言ったわけですから、これは日ユ同祖論を信じる人たちにとって渡るに船でした。
一方、それは語呂合わせに過ぎない、学術的ではないとして、歴史学会は黙殺しました。
そして、敗戦。
神の国であったはずの日本。それが負けた。
日本人は、宗教から一歩引いた立場をとって、合理主義、経済主義を信じて、経済大国となっていきます。ところがバブルがはじけた時期から、この日ユ同祖論は再び脚光を浴びました。
ユダヤが経済を支配しているとか、ユダヤ陰謀説がクローズアップされ、同時に「日ユ同祖論」も注目をあびたわけです。面白いことに、反ユダヤに関心が行くと、なぜか日ユ同祖論もセットとなるんですよ。

思えば、『歴史読本 特集ユダヤ=フリーメソン 謎の国際機関』あたりが、陰謀論と日ユ同祖論の再燃のきっかけになったのでは? と思います。私もこれで、フリーメーソン、日ユ同祖論を知りましたもん。
平成3年9月6日発行。つまりバブル崩壊がはじまる1991年!

IMG_4388

















というわけで、太秦で佐伯博士が論じたユダヤ、景教の痕跡を画像を使って解説。日ユ同祖論がいかなる歴史を歩んだのかの説明をいたしました。ここでもう1時間。
休憩となりました。
さて、お菓子の差し入れがありました。
告知していたプリム祭のハマンのミニクッキー。そしてチーズの入ったお菓子ブレカスも。
ちょうどこの日は、シャブオットというユダヤのお祭りだったそうで、そのお祭りに食されるお菓子だそうです。

ブレカス












シャブオットとは、過ぎ越しの祭りから49日(7週間)後に始まる3日間のお祭りです。49というのは、出エジプトから49日後にモーセがシナイ山で十戒を神から授かったことに由来します。
お菓子は市販されているものではなく、手製ですよ。
美味しかった!

ちなみに、お菓子が入ったお皿は、ほとんどの参加者が持ち帰られました。
私も持ち帰りましたよ。

ブレカスの皿












左のお皿はユダヤの過ぎ越しの祭りで使用されるもの。真ん中にワインを置き、六つのおかずを並べて食します。右側のお皿にはヘブライ語で、「ハッピーホリディ」とあります。

お菓子を食べながら、ユダヤのお勉強。滅多にないことですよ。

さてさて、後半は皆さんの活発な意見の交流を、と思ったのですが、ほとんどの人が「日ユ同祖論」の肯定者とあっては議論になりませんな。そこで、質問を受けながら私がそれに答える、という形式に。

これ、結構盛り上がりました。
実を言いますと、私は「日ユ同祖論」に興味はありますが肯定者ではないんです。いろいろ疑問もありますが、だいたい物的証拠がない!
ですから、肯定者の皆さんに、たしかに肯定したくなる証言やそれを示唆するものはありますが、一方疑惑もあることも呈します。
だいたい「日ユ同祖論」という言葉が怪しいわけで。

日ユ同祖論は、いろんな考え方もあるわけですが、よく唱えられるのは、BC722年にイスラエル王国が滅亡し、そこにいたイスラエルの10支族が歴史から姿を消した、というもの。彼らは世界中に離反し、その一部が日本へやって来た。ガド族がそうで、彼らの首領がミカドとなったという説もあります。

でもですね、仮に『旧約聖書』時代のイスラエル人の一派が日本へやって来たとしても、彼らはユダヤ人ではない。ユダヤ人とは、BC586年、彼らの国、ユダ王国が滅亡し、住民たちは捕囚の身となったイスラエル人たちであるわけで、母国を無くした彼らは、律法を中心とした信仰をはじめるわけで、それがユダヤ教なんです。それを信仰する人たちがユダヤ人となったわけです。
つまりイスラエルの10支族の人たちはユダヤ教を知らんわけです。
だから、ユダヤ教と日本の共通点をいくら並べても、または反論に使うとしても、それはナンセンス! なわけです。
『旧約聖書』をまずは読み込んで、ヘブライ人について知る必要がありますな。彼らの信仰は、ユダヤ教ではなく、イスラエル教、またはヤハウェ教というべきなのです。そことの共通点を見出さねば!
しかし、はたして秦氏が、その失われたイスラエル人の末裔なのか。
ここも、いろいろ状況や時代、彼らの信仰したものを詳細に見ていく必要もあります。
ま、そんな話を……。

あっという間の3時間でした。
お客さんも「もう?」みたいな雰囲気で。
次回やるとしたら何がテーマで? とリクエストを聞くと「日ユ同祖論の続き」という声が。あるお客さんも「それまでに本を読んで勉強しておきます」と。
まだまたこのテーマ、掘り下げたいですな。

終演後は、ユダヤの燭台を購入!
と思ったら、なんとお客さん(女性)が代金を払ってくださいました。恐縮して「何かお望みは?」というと「くだんの話を聞きたいです」
ええ、なんぼでもしますよ。そういえば、くだん、も秦氏の信仰に関係してくる……。

我が家のハヌキア。
メノラーは7つの支、これは9つ。ハヌカの祭に灯すユダヤの燭台です。

メノラー











いつか怪談会に使お。



kaidanyawa at 07:00│Comments(1)

この記事へのコメント

1. Posted by ひろみつ   2019年06月11日 11:28
お疲れ様でした。気になってました
実り多い座談会になったようでなによりです

次回は壁の花になってもいいから参加してみたいです

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プロフィール
中山市朗 【なかやまいちろう】


作家、怪異蒐集家

兵庫県生まれ。


主な著書に「新耳袋」など。

作家、漫画家の育成機関「作劇塾」を主宰。


作劇塾

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