2021年01月10日

実話系怪談の中の妖怪!

中山市朗です。

ちょっとあるお仕事の準備の為に、妖怪についていろいろとおさらいをしております。
妖怪。

妖怪といいますと、今の人は『ゲゲゲの鬼太郎』や『妖怪ウォッチ』のようなキャラクターを思い浮かべるのでしょうか? 
 
20年ほど前、京極夏彦さんが直木賞を獲った時のパーティに呼ばれて、二次会、三次会とご相伴したことがありました。この時、京極さんの関係者やファンの方も大勢いて、いろいろお話をさせていただいたんですけど、皆さん妖怪を研究したり、書いたり、描いたり、愛好している人たちばかりで、怪談はまた別という人が多かった印象がありました。京極さん自身は、『幽』の誌上で、根岸鎮衛が書いた江戸時代の奇書『耳袋』にあるエピソードを、『新耳袋』調にして書くという『旧耳袋』を書くなど、怪談文芸に挑戦していましたが。

まああの頃は、怪談、特に実話系怪談をやっている人が、そもそもあんまりいなかったわけですが。

実話系怪談の愛好者の人たちも、みんながみんな、心霊現象や幽霊の存在を信じているわけでもないでしょうが、幽霊の実在はひょとしたら、あるかもね、と言う人も、まさか河童や天狗といった妖怪がこの現代にも生息しているとは考えにくいと思います。

しかし、私と木原は『新・耳・袋〜あなたの隣の怖い話』を30年前に出版した時から、現代に息づく妖怪たちの話を掲載する、というポリシーを持っていました。それは今も私は『怪談狩り』のポリシーとして継承しています。

やっぱりあるんですよね。この現代においても妖怪との遭遇譚が。
それは幽霊とは違う、あやしのもの。その意味不明のあやしの正体をつきとめようとすると、どうやら妖怪に辿り着く。

ただし、この妖怪(ようかい)という言葉は比較的新しいもので、井上円了の「妖怪学」なるものから発祥しております。ただし井上円了の指す妖怪は、古今東西の不思議な現象全般を指しておりまして、幽霊もその中に含まれるわけです。その後、江馬務、柳田國男といった民俗学者たちによって提起され、水木しげるの『墓場の鬼太郎』『ゲゲゲの鬼太郎』で、今の妖怪のイメージが形成されたというるでしょう。


こちらは去年、脚光を浴びたアマビエ。
そのお酒です。鳥取県境港市出身の怪談師、神原リカさんよりいただいたもの。

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もっとも、妖怪という漢字は2000年ほど前、後漢の時代に編纂された『漢書』に出ておりまして、これは宮中に怪奇なことが起こった、という意味合いでして、日本では宝亀8年(777年)2月19日にやはり「宮中に頻に妖怪有るが為」に大祓いをしたと『続日本紀』に書かれております。ただしこれを(ようかい)と読んだのかははっきりしない。一般的には、こういったあやし、妖異なる現象は、バケモノ、モノノケ、オニ、などと呼ばれておりました。モノノケというのは大和言葉でありまして、妖怪と書いてモノノケ、と言っていた可能性は大きいかと思います。江戸時代の『草双紙』には、妖怪という字に(ばけもの)というルビがあったりします。

なので、もともと怪談は妖怪を語ることでもあったんですね。
それが、近代になって、妖怪は独立したんでしょうか。妖怪は民俗学、風俗史、歴史的な価値として捉えられて、やがて文芸研究や美術史の中にも妖怪は学術用語として現れ、今やエンタメ、娯楽におけるキャラクターとなって慕われ、アニメやゲームの中に現れるようになりました。
「妖怪は、怪談の墓場だ」と京極さんも言っておりました。

でもね。やっぱり、妖怪はいる。妖怪と遭遇した、あるいは見た、感じた、という話はいまだに体験談として出てきますし、聞くわけです。「それは、天狗の仕業じゃね?」とか「キツネに騙されたんや」みたいな現象。河童と出くわして写真に撮った、なんて話とか。

怪談を語る人は随分と増えましたが、いわゆる妖怪談というのは、あんまり聞かない。
小豆洗いや砂かけ婆を見た、なんていうと、なんか笑ってしまいますし、「そら、嘘やろ」といわれそうですけど……。

でも、妖怪はいます。

怪異に懐疑的な立場をとる私がこんなことを言うのはおかしいでしょうが、幽霊に遭遇した、見た、と言う話を体験談として蒐集し、怪談に仕上げるモチーフとなりえるのなら、妖怪遭遇談もおなじだということ。まあ、UFO目撃談も、やはり私の中では怪談のモチーフとなりますけど。

そんな話、お持ちの方、ぜひぜひお聞かせください。私は真剣に受け止めますので。

1月31日(日)、大阪中央区・中央区民センター会議室にて「プライベート怪談会」。
13:00〜17:00
17:30〜21:30
二部制です。参加費は無料ですが、怪談を必ず語ること。

参加希望の方はオフィスイチロウへメールをください。

info@officeichirou,com

プライベート怪談会2021131




















ただし、コロナによる緊急事態宣言による中止、延期もあるかもしれません。その場合は連絡いたします。




kaidanyawa at 07:10│Comments(6)

この記事へのコメント

1. Posted by ひろみつ   2021年01月10日 10:12
中山先生

妖怪の目撃談は僕も尽きぬ関心があります。
そういえば「新耳袋」「超怖い話」以前のいわゆる実話系怪談本では、このジャンルはほとんど取り上げられなかったように思います。
勿体ないことをしていたんだなと思います。

「新耳袋」で「のびあがり」「餓鬼」「天狗」「河童」「狐狸」の体験談を読んだ時の新鮮な衝撃はいまでも覚えています。

最近友人を介して知己を得た方から、ちょっと変わった人魂の体験談を聞けたのでプライベート怪談会でご披露できればいいなと思います。

無事に開かれることを祈るばかりです
2. Posted by 人喰いオロチneo   2021年01月10日 10:44
おはようございます。先般、Twitterのタイムラインに都内で目撃されたタヌキの動画が上がっておりました。都内でタヌキ、となるとラフカディオ・ハーンの「怪談」の「貉」です(中学2年の英語の授業にも、この英訳版が使われていました。あの当時に怪異譚に興味を持っていれば…)。「狐は化かす、狗は祟る、狸は化ける」などと言うそうですが、「新耳袋」や「怪談狩り」を目にすると妖怪(私は「あやかし」と呼称しますが)はいても不思議ではなく、それこそ眉毛の数を数えられてしまったのではないか、と思います。人に仇なさないのであれば、小豆洗いや豆腐小僧位いてもいいかなぁ、と思います。
3. Posted by 武侠忍者   2021年01月10日 11:13
5  31日の怪談会、午前の部に参加申し込み致しました。
 LGBMもBLMも顧みないハワイの神様(精霊?)や童と老夫婦と親父さんのお話し、怒りのダブルドラゴン直撃地獄拳の続きや以前のお話しの補足に餅つきおばあさんの弟子のお話しを紹介となります。
4. Posted by タキ・タロー   2021年01月11日 07:58
人喰いオロチさんもあげてらっしゃる『豆腐小僧』って江戸時代のトウフ屋さん達の考えたキャンペーンマスコット或いはゆるキャラ的なものだったって説があるらしいです。
『サトちゃん』『ナショナルぼうや』とか、『せんとくん』とか『家康くん』とか?

遠い未来人がもし『ペコちゃん・ポコちゃん』あたりを発掘したら案外ファンタジーな存在か神像と思うかも?と妄想してまいました。
5. Posted by 中山市朗   2021年01月14日 08:46
ひろみつさん。武侠忍者さん。

プライベート怪談会、延期とします。
またよろしくお願いいたします。

人喰いオロチneoさん。

大阪市の森之宮のマンションに、小豆洗いが出た、と言う話があります。怖いというより、笑ってしまう話です。

タキ・タローさん。

ペコちゃん、ポコちゃんがファンタジーな存在となるなら、道頓堀が壊滅した後の、巨大カニやフグ、牛はどううつるだろう。なんてね。
6. Posted by タキ・タロー   2021年01月14日 11:29
そういや『づぼらや』のフグは撤去されたんでしたっけ?残念です。

昔ホークスのユニフォーム着たカメさんはスッポン屋さんでしたっけ?

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プロフィール
中山市朗(なかやまいちろう)

作家、怪異蒐集家、オカルト研究家。
兵庫県生まれ、大阪市在住。


著書に、
<怪 談>




<オカルト・古代史>




などがある。
古代史、聖徳太子の調査から、オカルト研究家としても活動している。






作家の育成機関「中山市朗・作劇塾」を主宰。



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