2017年12月

2017/12/19

「働き方改革」がつくる未来

こんにちは。
介護経営コンサルタントの糠谷和弘です。

今回は「働き方改革」について、物申してみようと思います。
問題提起をしたいので、ちょっと極端な表現をします。

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働き方改革の目的

まずは、「働き方改革」のそもそもの目的を整理してみましょう。きっかけは「1億総活躍社会」をつくるための政策でした。これから、少子化により働き手が激減します。これでは国際競争には勝てません。人材不足倒産も激増していくでしょう。

それをなんとか食い止めようと、シニア、女性、障害者にも働きやすい環境をつくり長時間労働を是正して男性も家事、子育てに参加できるようにしようということになりました。また、同一労働同一賃金、最低賃金アップにより、非正規社員と正規社員の格差をすることを目指しています。

これが実現すれば、とても素晴らしい社会になると思います。

もともと日本は、労働生産性が先進国ではビリ。OECDでも19位と下位の方です。時間あたりで生み出す価値が、他国と比較して圧倒的に低いのです。だから、設備投資を重ね、根性論による組織統治から脱却し、少なくとも他国並の生産性にしよう。「価値」をつくるのに、時間の投資でカバーするのはやめようという流れになっています。この考えには、私も大賛成です。

もう1つの働き方改革
しかし「働き方改革」には、もうひとつの側面があります。

しばらく前から、長時間労働を強いる会社を「ブラック企業」と呼ぶようになりました。電通社員の死をきっかけに、その論調はさらに強まっています。「鬼十則」などは、時代錯誤なのです。「ブラック企業」のレッテルを一度貼られると、新聞などでさらされ、世間の目により強制的に改革をせまられます。(電通の彼女が悪いのではありません。ご冥福をお祈りします)

この影響で、ある大手企業では、決まった時間になると事務所が自動的に消灯し、パソコンの電源が落ちるようになりました。またある企業では、時間外に上司、同僚とメールやラインをすると、例え仕事以外のことでも、お咎めをうけるようになりました。

逆に、短時間労働や在宅ワークを奨励する企業が新聞、テレビで取り上げられ、学生の就職ランキングでも上位にくるようになりました。いわゆる「ホワイト企業」です。きっと数年もしたら、大半の企業が「ホワイト企業」となるでしょう。労働のストレスは、それに比例して軽減されるかもしれません。

でも、ちょっと待って。これで本当に良いのだろうか?

だってね、この働き方で「手に職」はつくのかな?
国際競争で、勝てるのかな?
(シリコンバレーに行った友人は、Tシャツ姿で、昼も夜もなく働いています)

考えてみてください。新入社員でスキルが低いからといって「時間」でそれをカバーすることは許されません。新人、ベテラン、役職者に関係なく、定時で退社。特別な場合を除いて、居残りはNG。だから企業としては、能力に関係なく、高い成果を出せる環境をつくらなくてはなりません。社員育成も最短距離で無駄なくやりたい。「修行」や「失敗」は「非生産的」で「非効率」なのですから。

要は、誰がやっても高い生産性を維持できる組織をつくる方向に進んでいるのです。

これに追い打ちをかけるのが親。残業で疲れて帰ってきた息子、娘に「大丈夫? 上司にもっと早く返してもらえるように相談しなさい」「そんな会社、ブラック企業なんじゃないの?」「今ならもっと普通の会社があるはずよ」と声をかけます。彼らは少しずつ置かれた環境に疑問を持ちはじめ、やがて「就職に失敗したんじゃないか」と、仕事に身が入らなくなるかもしれません。

さて、定時帰りで、ろくな修行もせず、それでもそこそこの成果を出せる環境で育った若手社員の10年後はどうなるでしょう・・・

10年後の期待しない未来

いまある多くの仕事が「ロボティクス」の流れで失われると言われています。さらに、国際化の中で重要なポストに、バイタリティあふれた外国人が1人、また1人と就くことになるでしょう。手に職のない人間は、存在価値を失い、真っ先に蚊帳の外に追いやられるかもしれません。

急に、整った環境から放り出された彼らは、荒波の中できっと露頭に迷うはずです。今までは、会社の看板、限定された環境で力が発揮できていただけですから、外の世界では全く通用しないわけです。

そうなると、希望する転職もできず「こんなはずじゃなかった」と嘆く人も出てくるでしょう。そしてまた、誰にでもできる仕事に就いて、やりがいもなく最低限の給与を得ながら生活するのです。

そんな暗い未来を「働き方改革」の中で、意図せずに選択してしまっている若者が、実はたくさんいるんじゃないか? そんな心配が、日増しに大きくなっていきます。社内での今の評価を、社会全体の評価と錯覚して、修行を放棄し、漫然と生活してきた代償は大きい。人手不足だから仕事はすぐに見つかるでしょうが、期待する評価は受けられません。サラリーも上がりはしないでしょう。それを「会社が悪い」とグチを言いながら、生き続けていくのです。

こんな奴らが生き残るのかもしれない

そんなときに生き残るのは、上司に怒鳴られながらパソコンをたたき、飲み屋でも同僚に嫌がられながら夢中で仕事の話をし、帰って眠い目をこすりながら本を読む奴らなのかもしれません。 

「ワーカホリックか?」「社畜ではないか?」「会社にうまく利用されているのでは?」と揶揄されても動じず、貯金が下手で、少しまとまったお金ができれば、躊躇なく海外に出かけてしまう、困った人たちです。

しかし、そんな今では時代錯誤かもしれない人たちが生き残ってしまうのが、実は「真理」ではないかとかいう確信が強くなっています。環境に惑わされず「ムダ」「失敗」「修行」に、気持ちと時間を投じることができる一部の「異端児」です。彼らが最終的には、生き残るような気がしてならないのです。

「練習量」が「手に職」につながる

スポーツで例えればわかりやすいかもしれません。プロは、素質も大事な要素ではありますが、間違いなく人より懸命に練習したからプロになれたはずです。さらに一流になれば、24時間、そのことだけを考えて生活している。イチローやカズなどが、イメージしやすいかもしれません。

スポーツでは、練習する「量」、考える「量」が「手に職」「技術」につながる
。誰もが否定できない事実です。

仕事だってそう。例えば、ウェブデザイナーであれば、デザインソフトを使いこなしたり、ワードプレスなどのプログラミングができるのは当たり前。それくらいのことができる人は、クラウドワークスで探せば五万といます。簡単にとって代えられる存在です。

そうした最低限の技術だけではなく、掲載される商品を売るための「マーケティングセンス」や、見やすいページにするための「色彩」の知識、検索されやすくするための「SEOノウハウ」、読みやすい文章を書く「ライティング技術」、そして、自分の力を売り込む「セールス力」を貪欲に身に着けた人に、仕事は集まります。彼らは、やがて高い報酬をもらうでしょう。転職も自由自在。やりがいのある仕事に、恵まれ続けるに違いありません。

きっとまわりは言うでしょう。マーケティングの勉強などしていたら「それは僕らデザイナーの範疇ではない。広告代理店がやってくれるよ」と。「余計な知識だ」「非効率だ」と。

しかし、彼らには見えています。時間をつかって一生懸命に考えると、「自分にはこれが足りない」「あれもたりない」と気づきます。まわりから”余計”と見えることが、必要なことだとわかるのです。そんな”余計”と思えるような知識、スキルの習得にも貪欲になり、時間を費やして「練習」し続ける人が、最後には選ばるのです。

いまの「働き方改革」は、そうした機会を若者から奪っているような気がしてなりません。長時間の仕事(修行)は、自分の価値を高めるために、時には必要なのですから。

また、社会人になってから、勉強を放棄する人がいます。そうした人からよく聴くのが「給料ももらっていないのに、会社のために勉強なんかできない」というセリフ。本当にそうでしょうか。それは、手に職をつけるための、自分の未来をつくるための、大事な「練習」の時間ではないでしょうか。

間違ってはいけない。練習は「労働」ではありません。労働だと思うから、お金の対価がなければ、勉強できなくなります。学生時代は、お金などもらわなくても、自分の夢の実現のために、勉強しただろうに。就職した瞬間に、それが見えなくなってしまう。残念なことです。

問題は「選べない」こと

ただ、前述のように、生産性を上げたり、長時間労働から脱却することは、良い流れだと思います。最低賃金も、より高い水準を目指すべきでしょう。家庭を大事にすることも、大賛成。日本人は、もっともっと家族との時間を大切にしてもよいと思います。(自分はできていませんが。。。)

では、問題がどこにあるのか。
それは、「選べないこと」にあるのだと思います。

例えば、前述のように「若手」や、はじめてその職業に就く人には、技術を身につけるための「修行」の時間が必要です。自分の価値を上げるための修行。回り道しながら、失敗し、非効率に生きる時間でもあります。

たっぷり修行して、できることを増やせば、まかされる役割も増え、やりがいのある仕事にも早くたどりつけます。量をこなし、手に職をつけてはじめて、自分の仕事を「天職」と思えるようになるのです。だから、長時間労働はときには不可欠。「修行」の機会、そして彼らの「未来」を、安易に奪ってはいけません。

しかし、子育て中のお母さんは(お父さんも)、そんな修行よりも、子供との時間が大事です。また、「練習」の大事さを知りながらも、それを選ばない生き方だってあります。もとからして要領がよく、短時間でびっくりするほどの成果を上げられる人もいるでしょう。センスがあって、またたく間に技術を身につけてしまう人たちです。

そういう人は「働き方改革」でよいのです。

重要なのは、そのときの、その人の立場によって、選べること。
それを今は「残業は悪」と、バサーっと制限してしまう風潮が問題だと言うのです。

会社の役割は、人を育てること。人に光をあて、成長できる環境をつくること。それは、すぐれた教育プログラムを構築することだけではありません。ムダを許す文化をつくらないと。

しかし、これからの若者は(なんていうと、年寄りじみているけど)大変だな。自分をしっかり持たないといけませんから。

以上、最近思うことでした。炎上か?それに、少々長かったですね。
次回からは、介護の話に戻ります。


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 株式会社スターコンサルティンググループ
 代表取締役/コンサルタント 糠谷和弘(ぬかやかずひろ)
 
 大手旅行会社にて海外視察業務を担当後、船井総合研究所に入社。
 船井総研では、介護保険施行当初から立ち上げ、集客、採用、定着
 など、幅広いテーマでコンサルティングしてきた。その後、介護サ
 ービスに特化した(株)スターコンサルティンググループを立ち上
 専門スタッフとともに、全国の介護事業者の「地域一番化」や「
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2017/12/05

これだけはやっておきたい法改正対策(デイサービス)

こんにちは。
介護事業専門経営コンサルタントの糠谷和弘です。

介護給付費分科会では、11月下旬から、各業態ごとの具体的な改正案を検討しています。業態ごとの資料は、必ず目を通しておいてください。

社会保障審議会 介護給付費分科会資料

さて、今回は最も厳しいと考えられるデイサービスセンター事業から取り上げてみましょう。まず、一部報道では「プラス改定」という話が出ていますが、それで喜んでいる場合ではありません。平成29年度の経営実態調査では、収支差率の平均が3.3%でしたが、財務省からは「中小企業全体の2.6%より高い」という指摘が入りました。つまり、まだまだ多業種と比較すると、高い水準であるという認識なのです。

その中でのプラス改定ですから、仮にそうなったとしても大したものではないはずです。むしろ、2.6%を大きく上回る訪問介護事業やデイサービス事業は、減算は確実と考えて良いでしょう。しかも、受け入れ時間の幅が3〜5、5〜7、7〜9時間の2時間から、1時間ごとになりましたから、3時間超、5時間超、7時間超でサービス提供している事業者は、今のままでいくと、悲観的に考えれば大幅に減算ということもありえるのです。施設によっては「絶体絶命」と言っても過言ではないのです。



最終的な単価の発表は、いつも通りなら2月下旬です。それを見てから対策を立てるのでは遅い。改正の影響をモロに受けることになります。そこで、今から次のような対策をたてて欲しいと思います。

まず、マイナスのポイントを整理すると、以下のようになります。

➝基本報酬のカット
➝751人以上の大規模施設の報酬カット
➝1時間枠の設定による減収

これらの対策をする上で、一番の策は「稼働率アップ」であることは、以前にこのブログで書きました。詳しくはこちらをご覧ください。(稼働率アップこそが最善の法改正対策

1)規模拡大の可能性を探る
 仮に10%近く報酬が落ちたとしても、それ以上に利用者が増えれば(変動費コストの上昇はさけられませんが)、理論上は経営は安定します。定員を10%以上増やせないか。または、営業日数を増やしてはどうか、シミュレーションをしてみましょう。

2)現利用者のサービス提供時間(デイでの滞在時間)を細かく分析する
 まずは、現状の滞在時間を15分刻みで分析してみましょう。7〜9時間枠は、8時間超のサービスにしてしまうと、スタッフの勤務が9時間勤務8時間稼働に合わなくなってしまう可能性がありますが、3〜5時間だったら4時間超、5〜7時間だったら6時間超にできる可能性があるかもしれません。調査した上で、仮に延長ができそうだと踏んでも、ただ伸びるだけでは、利用者、家族、ケアマネは納得してくれません。伸びた時間で、どのような前向きなサービスを提供できるかを検討しましょう。

3)加算の算定
 よく審議会では「リハビリをしない施設はダメだ」という意見があります。平成27年からは「重度に重点化」される方向で制度はうごいています。生き残るためには、「中重度ケア加算」「認知症加算」などを算定できる施設か、機能訓練をしっかりと行い、自立をしっかりとサポートできる施設のいずれかを

4)新加算(見直しも含めて)
 「生活機能向上連携加算」が新設されたり「栄養改善加算」の算定要件が変わるなどの情報が出ています。加算でインセンティブをつけるということは「その方向に進みましょう」という厚労省からのメッセージですから、できれば算定したいです。

5)アウトカム評価

 まだ決まった話ではありませんが、ADLが向上したかどうかの評価スケールに「バーゼルインデックス」を活用するという話題が出ていました。FIMなどと比較すると、かなり簡易的な評価スケールだと思います。現在、皆さんの施設では、どのようなスケールを活用していますか? 今後、バーゼルインデックスによる評価を定番化できるよう、準備した方がよいかもしれません。
 

他にも、できることは多々ありますが、まずはこれらのことに着手しましょう。また同時に、これも以前からお伝えしていることですが「総合化」「規模の拡大」「異業種への参入」は進めるべきです。こちらは、また機会があれば、取り上げていきたいと思います。


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【発行責任者】
 株式会社スターコンサルティンググループ
 代表取締役/コンサルタント 糠谷和弘(ぬかやかずひろ)
 
 大手旅行会社にて海外視察業務を担当後、船井総合研究所に入社。
 船井総研では、介護保険施行当初から立ち上げ、集客、採用、定着
 など、幅広いテーマでコンサルティングしてきた。その後、介護サ
 ービスに特化した(株)スターコンサルティンググループを立ち上
 専門スタッフとともに、全国の介護事業者の「地域一番化」や「
 介護職を人気の仕事に」をテーマに活動をしている。
 年間講演実績50回。トータルコンサルティング実績450法人。
 連載、執筆、テレビ出演なども多い。

 株式会社スターコンサルティンググループ
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