２０１０年(平成２２年）３月１０日 松阪市議会における一般質問（会議録より関連部分全文）
○議長（水谷晴夫君） 休憩前に引き続き本会議を再開いたします。
次に、１５番 海住恒幸議員。
〔１５番 海住恒幸君登壇〕
◆１５番（海住恒幸君） よろしくお願いいたします。
白猪山の風力発電計画について、去年の３月に初めてこのテーマを質問して、９月、１２月と行って、今回で４回目、それぞれ別の観点から一応取り上げているつもりでございます。きょうは大きく４つの点からお尋ねしたいと思っております。
まず、初めに述べておきますと、白猪山に計画されている風力発電の問題は、単に地球温暖化対策というきれいな話ではありません。民間開発であると、市はそういうふうなスタンスをとってきていましたけれども、私はここでこう定義させていただきたいと思います。国の補助金が出る以上、立派な公共事業であると。コンクリートから緑へと言われますけれども、国の補助金で日本の国土の至るところで緑の山のてっぺんが造成され、コンクリートが流し込まれ、高さ１００メートルを超すタワーが建つ計画が進められています。これはイメージしていただくために青山高原のパンフレットです。山肌はほとんど造成されている状態ですね。山のてっぺんがこのような状態になる、そのような計画が風力発電でございます。そこに１６基ないし１７基、合わせて３３基の風車、タワーですね、計画されている。
そして、最近表面化してきたことではありますけれども、飯高町宮本に隣接する大台町で２０の風車が計画されている。現在、飯高振興局のほうで縦覧されておりますが。これはある意味、国民の税金を使った環境破壊になるとも言えなくはない。そうした問題をこの風力発電という事業ははらんでおります。
きょう行わせていただく一般質問は、まず１点目に、低周波音が松阪牛に及ぼす影響について、次に２点目として、前市長の同意をほぼ認めた文書ですね、その文書について。そして３点目に、環境保全審議会の答申が意味すること、最後に第４、地元同意の適正化について、この４つについて質問させていただきたいと思います。
まず１点目ですけれども、低周波音が松阪牛に及ぼす影響について。
松阪市は、松阪牛ブランドをどうしても守っていっていただきたい、まずそのことをお伝えしたい観点から質問させていただきます。白猪山のふもとの深野は松阪牛の中での一番いい牛ですね。特産松阪牛を一番伝統的な飼い方で育てている。松阪牛にとっていわば聖地のような場所でございます。その松阪牛を上から見おろすような場所に低周波音の影響が心配される風車が多数建つ計画であることを、行政は本気になって心配しなければならないのではないか。それが質問でございます。かつてＢＳＥ騒動があったとき、松阪牛のことをあれだけ心配し、真剣に対策をとってきた松阪市です。松阪牛の成育環境及び松阪牛への影響を調査しているか、もしくは調査したか、お尋ねしたいと思います。
最近手に入れたニュース、２つ気になるニュースがございました。１つは、去年９月２８日付の読売新聞でございます。長崎県の佐世保市の宇久島という島、そこの西端で肉用牛３頭を肥育している女性の声、「ゴーッ、ゴーッて音が牛のストレスにならせんか」と、そういう声が載っています。「牛舎から約３００メートルのところに風車が建設されてから牛に異変が生じた。それ以来、風力発電に不安を持つようになった」、そのような声がこの読売新聞の大きく扱われているこの記事に載っております。
そして、同じような場所で取材されたレポートだと思われますが、ことし２月に発行された「自然と人間」という雑誌の中に、フリーライターの鶴田由紀さんという方のレポート、「風車を拒絶した島、風車に翻弄される島」ということのレポートを書いています。このレポートを少し紹介させていただきます。高級牛として知られる黒毛和牛の繁殖を専業、専らの業とするＡさんは、風車から３５０メートルの場所に牛舎を所有する。その牛にここ数年、異常が目立つようになった。肩や膝の関節が肥大していたり、背骨が曲がった子牛が生まれる。成長するにつれて極端になり、肉づきも悪いため安い値がつけられる。死産、子牛の突然死、発情の不安定なども見られ、これでは畜産経営が成り立たないと困惑している。Ａさんは、風車のせいかと言えば、それはわからないが、４０年以上子牛を飼っていて初めてだと語っています。このいずれの記事、レポートも風力発電の風車が建つまでは起きなかった、その異変を伝えております。これを風車のせいかと因果関係を証明することは困難、多分被害を受けている人にとっては不可能に近いことです。だけども、人の皮膚感覚、人の経験、今までなかったことがなぜ今風車ができたら途端にこんなことが起きてきたのか、そのことはやはり重大な関心を寄せなければならないことだろうと思います。
深野のほうに戻りますと、深野は但馬で生まれた子牛、つまり生後７カ月、８カ月の子牛が深野へ来て、そこで３０カ月間、白猪山のふもとで育つ。そこに、それは３５０メートルの距離じゃございませんけれども、風車が回るとしたら、どんな影響が出るか、行政として真剣に考えておかなければならないのではないですか。
そして、先ほどの例とは違います。すなわち、深野では子牛を産ませてはいませんが、将来立派な松阪牛になるための子牛を育てる揺りかごのような場所が深野です。そのブランド牛、松阪牛の育ちに影響は出ないか、そして肉質に影響は出ないか、だれがその安全を保証するのか、お尋ねしたいと思います。
特に、深野という場所は、現在特産松阪牛、最高の松阪牛ですね、１００頭います。ここの松阪牛は、現在松阪牛を生産されているとされている２２市町の松阪牛のいわばブランドイメージそのものであります。そこのいいイメージに低周波音のマイナスイメージがつけば、明治５年、１８７２年から１３８年かけて培ってきた松阪牛の名声に手痛いダメージとなる可能性があるのではないか。
そして、牛は極めてデリケートで臆病な動物であるということを聞いております。私も話をお伺いしたことがありますけれども、牛飼い農家の方は日々大変デリケートな心遣いを持って牛と接しております。そんな子牛が出荷までの３０カ月ですね、日常的に風力発電の風車特有の風切り音を日常的に聞いていたり、耳には聞こえない低周波音にさらされるとどうなるか。だれも現在、被害者じゃなくとも、日本の科学者とて証明できていないことです。それにさらしたらどうなるか。科学的にまだまだ解明されていないことばかり。現に、しかし風車の建ったところでは問題が起きている。これに関して危惧を抱くものです。
市長は、風力発電で財政が潤うというメリットを挙げておりますが、取り返しのつかないダメージを受けることもその一方で心配されています。松阪牛ブランドに影響が出たら、金額としてどれだけのダメージを受けるのか。実はこの件に関してこちらで数値を調べようと市役所の中で幾つか聞いたんだけれども、松阪牛の経済的価値、松阪牛があることによって幾ら松阪が潤っているのか、どこもわからないとおっしゃった。すごく大事な産業であるはずなんだけれども、松阪牛の経済効果を市役所で把握されていないというのは非常に残念なことで、これは金額としてはわからないにしても、東京の市場に出荷されている枝肉が年間２０億円ということですので、出荷される分だけで年間２０億円を超えているということですので、それはごく一部にすぎないだろう。地元で販売される肉から、ちゃちゃも効果まで入れれば、松阪牛効果は、そのブランド効果というのははかり知れないぐらい大きいものがあるんではないか。その観点から、先ほど申しましたような、松阪牛ブランドのことを行政は本気になって心配しなければならないのではないか。松阪牛の成育環境及び松阪牛の肉質への影響、健康への影響をどう考えるか、そしてだれがその安全を保証するのか、それについてお尋ねするのか、１点目の質問でございます。
そして、２つ目の質問は、前市長のいわゆる同意予定文書についてでございます。
平成２０年７月２３日付で、このような文書を発行されました。これは判こがついていませんが。これは、審議会の意見を真摯に受けとめ、適切な対策工事、環境に配慮した事業とすることを条件に同意する予定です、風力発電の計画を同意する予定であると。実は、これは平成２０年７月２３日付ですけれども、その前月の６月に環境保全審議会が始まったばっかり。この２３日の翌日、２４日の第２回環境保全審議会が開かれた。そういうタイミングで同意する予定とする文書を出した。極めてもってのほかの文書であると私は思っております。これも大きな要素としてあったので、国の補助金の交付も決定した。決定的な文書ですね。撤回すべきだと私は思っています。そして、この議会の中でもこの問題を出しました。
その後、この文書の存在について国に対して、国はまだこれを持っているわけですよね、正式なやつをね。この扱いについて、現在の松阪市としての見解をどう伝え、どうしてほしいと、そういうアクションをしたかどうか、その内容をお聞かせいただきたい。市としてはきっぱりとこの文書に対してけじめをつける必要があるんじゃないかと考えておりますが、いかがでしょう。
第３点目の質問でございます。環境保全審議会の答申が意味すること。
これが答申のコピーですけれども、この答申の中には、最後に、これは市長に対する答申ですので、松阪市としてどうせいと言っている話ですね。５つの原則を市に要請している。その５つの原則の中に、３つ目で、住民の安全性と安心性を重視すること、５つ目に、合意形成の原則として、地元住民の信頼と納得を十分に得ているかという視点を尊重すること、このように結論づけて、松阪市に対して対応するよう環境保全審議会は要請しています。この５つの項目についてしっかりと松阪市は守っていくし、また例えば住民合意、地元住民の信頼と納得を十分に得られているかどうか、安全性、安心性を確保されているかどうかをしっかり検証していく責任が松阪市にはゆだねられた。今までは環境保全審議会がやっていることですからというふうに松阪市は答えることができたけれども、今ボールは松阪市のほうへ投げられています。松阪市としてこれをしっかり検証していく責任があると思われますが、どのようにやっていくのか、その点をお尋ねしたいと思います。
第４点目の質問ですけれども、地元同意の適正化、つまり地元の同意の取り方が公正さをどのように担保されているのかという点。
賛成地区と言われている地区の同意は、平成２０年４月から６月にかけて行われています。しかし、このころは安全に対する認識というのが余りなくて、例えばこれ４月から６月と言いましたけれども、先ほど言いました前市長の同意予定文書は７月に出ているわけです。着々とレールに沿って手続を進めているわけですね。そのころはリスクというのは余り考えられてなかった。低周波音が広く知られるようになったのは、翌年１月以降だと考えます。そのころ相次いで新聞記事に取り上げられまして、こうやって大きな扱いの記事が、これは朝日新聞の名古屋本社発行版の一面トップだったんです。一面トップでこのような記事が載るというのは、今まで考えられなかったことなんです。主見出しが「風車で体調不良を訴え 音が原因か、頭痛、不眠」、こういう見出しが躍っています。そして、この新聞、これは中日新聞だと思いますが、このような大変大きな、ほとんど見開き同然のような大きな扱いです。あと、毎日新聞も「風力発電に逆風 エコのはずがそうじゃなかった」という問題提起の記事ですね。
そして、話を戻しますと、地元の同意ということですけれども、去年の３月に指摘した問題でありますけれども、事業者から一方的に情報提供はいい話ばっかり聞かされて、行政が関与していませんから、だれも第三者的責任を負わないわけです。本当に判断するに必要な、適切な材料を提供しているかどうか疑問です。それを裏づけるような新聞記事が、これはつい最近の中日新聞ですけれども、２月２３日付の中日新聞でこういう記事の中にこう書いてあります。合意に至った地区でも問題は残る。多くの自治体が結論を出したのは事業が持ち上がったばかりのころで、風車のリスクについて住民が理解を深める前の話。建設地近くのある男性は「住民同士の話し合いはほとんどなかった。風車がつくられて、地域が本当によくなるのかと疑問も残るとこぼす。結論を出すには住民の力だけでは足りないのかもしれない」と締めくくられている。このように、まず大半の自治会レベルで同意があったとされているのは、平成２０年の４月から６月にかけてであったという問題、そして本当に住民同士が正確な情報を伝えられて、話し合いが行われたのか。そして、きちんと意見が、疑問が心配を表明する機会は住民の中にあったのか。なかったのではないか、そのように疑問を持ちます。
ある人から直接聞いた話です。飯南町下仁柿の男性からこんな話を聞きました。ちょっと飯南弁ですけれども、「説明、そんなもんあったんかや。ほんなもん聞いておらへんがや」、ちょっと上手じゃなかったかもしれませんけれども、そういうふうにおっしゃった。聞いてないと言うんですよ、かなりの人が。下仁柿というのは賛成しているはずの地区です。
そして、ある方からちょっとお手紙をいただきました。こちらへちょっと移しましたので、あれですけれども。「業者を招いて説明してもらうという趣旨の会合があったので出席しました。会合の内容は予期したようなよいことずくめのお話、すべての地区の賛成まであと一歩という内容でしたので、私はたまりかねて、それは納得できません、私どもの組では一度たりとも賛成とか反対とかを問われたことはありません。この会に来る前に組長さんにも確かめてあります。近所の人にも聞いたけれども、だれも賛成か反対か聞かれたことはないんです。それは私たちの組だけのことかもしれませんけれど、もしかしたら、いろんなところで同じことが起きているかもしれません。それをもって同意を得たというのか、大体の同意を得たという説明とはほど遠いのが現実ではないか」、そのようにこの手紙には書いてあります。
こうした観点から、９つの自治会のうち８つは同意を得られている、あと１つだけが残っているという話ですけれども、その８つの同意のあり方も本当に適正なのか、さまざまな問題があるのではないか、それについて住民だけに責任を求めて、住民だけが判断しなければならないのか。それとも、行政として、先ほどの松阪牛の問題も指摘させていただきましたけれども、いろんな健康とか、松阪牛への影響とか心配される事業に対して、そして民間事業ではなく、国の補助金も３割出る立派な公共事業である、それに対して自治体として松阪市はどう対応していくのか、適正な責任の分担ということが求められるのではないかと。
以上、長くなりましたけれども、４つの質問をさせていただきました。どうか御答弁、よろしくお願いします。
〔市長 山中光茂君登壇〕
◎市長（山中光茂君） 海住議員の御質問に関してお答えさせていただきます。
まず、この議場においても繰り返しになる部分がございますけれども、私は決して風車事業を行政として推進しようとする立場ではないということを改めて話をさせていただくとともに、海住議員もこの飯南地域、または嬉野地域、そして松阪の自治会がある地域の住民の方々を声をこれまでどのような形で聞かれているでしょうか。これは質問ではございませんけれども。私自身もさまざまな現場に伺わせていただく中で、風車事業の位置づけに関していろんな住民の声を聞かせていただいております。海住議員は平成２０年当時の合意であったのではないかという御質問をいただきましたけれども、実は平成２２年の２月１０日、ちょうど１カ月前ですね。１カ月前に要望書が来ました。各自治会長さんが代表をされて、９つの自治会です。上仁柿区、下仁柿区、横野区、大河内地区、阪内町、辻原町、柚原町、嬉野上小川町、嬉野小原町、この９つの自治会の方々が、白猪山風力発電事業を早期建設してほしいという思いで来られました。
この意味というものに関しては、当然１つだけの深野地区が合意しないというだけで、市長はなぜ推進をしないんだと、これだけの多くの自治会が、１０分の９が合意しているんじゃないかと、これだけの住民の合意があるんだよという話をいただきました。ただ、私はそういう形では推進するつもりは一切ございませんと。ただ、その方々も本当に話をしていらっしゃるのが、自治会の中でもさまざまな議論があると、当然さまざまな主体の方々がいる。そして、当然要望書を出してくる中で、自治会の中で議論をすることなく要望書を出してくることは絶対にありません。当然行政よりも末端にある任意団体である自治会のほうが行政以上の現場の声を反映している上で、勝手に自治会長さんが要望書を出すということがあってしまったら、当然自治会長さん自体の責任にもなってしまいますので。ただ、本当にどこの自治会長さんも苦労をされているのが、必ずしも１００％の合意というのはさまざまな案件に関してはあるものではございません。その中でも住民としての相違の部分というものを責任を持って要望書として上げてきている、そういう現実がございます。
ただ、私は、このような問題に関しては多数決で決めるものではないと。その中で当然今、深野地区の連合自治会長さんもさまざまな葛藤がある中で、実は３月にも地域に私自身も行きますよと、こちらからどうこうではなくて、話を聞きに行きますよという話もさせていただく中で、実際反対されている神路山地区には直接行かせていただいて話も聞いたんですけれども、という話をさせていただきますと、その神路山からも、こちらのほうで話を聞いていただく前に、いろんな形での思いというものを伝えにもうすぐ行きますよという話も今聞かせていただいております。
実際に、飯南地域の、特に今上げた自治会の部分においては、当然風車事業が最もすばらしいであるとか、健康に対して被害がどうこうというのは、ほかの松阪市内のどこの地区よりも懸念があるのは間違いありません。その中でも厳しい経済環境、生活環境にある中で、飯南地域を盛り上げていきたい、または本当に限界集落と言われているような地域に関して活性化をする一助になればという部分を考える中で、住民の中で合意というよりは、しっかりと話し合う中で一定の結論を持って要望書を上げてきた。これは平成２２年２月１０日ですので、直近のことでございます。私自身もその声自体も真摯に受けとめさせていただく中で、やはりその方々には、申しわけないですけれども、私としてこの段階だけでは、これまででしたらよかったかもしれませんけれども、私だけでは合意を出すことは決してできないですし、やはり深野地域という最も関係が多いところに関しても、しっかりと今後も声を聞き続けていきたいですし、そこでの話というものをしっかりと持たせていただきたいという回答をさせていただきました。
先ほど、松阪牛のブランドという部分において話をいただきました。私は牛舎のほうにもよく行かせていただきますし、生産者の方々、肥育農家の方々とも直接話を聞く機会も少なくないんですけれども、先ほど３００メートルのところで牛に対しての騒音や低周波における影響はどうなのかという話もありましたけれども、一応松阪市においては一番近い牛舎の距離というのが１８００メートルのところにございます。一応私もちょっと調べさせていただく中で、１１２５ヘルツから４万２０００ヘルツと言われる周波数が牛の耳には届くという中で、低周波自体は１００ヘルツ以下であるので、感じるか感じないかというのは、科学的には感じないと言ってしまうのかもしれませんけれども、その辺は実際には海住議員がおっしゃられるとおり、１００％証明できるものでは私はないと思っております。どれだけ徹底しても牛に対する健康状態が必ずしも低周波からの影響なのか、騒音からの影響なのか、他の環境影響なのか、１００％という問題はないと思っております。
ただ、そのような問題も含めた上で、あの深野地域の方々も実は牛の事業者の方々でも当然気にはされながらも、やはりそれでもと、地域の中での合意というものをいろんな形で考えていきたいとおっしゃられている方々も多々いらっしゃいますし、水という部分も当然、多くの方々が井戸水を使っているのが現実ではございますけれども、清流の中でのさまざまな水に対する影響、そういう部分に関してもちゃんとやはり理解をいただく中で、今、深野地域における松阪牛、特に特産松阪牛という、私自身もそのブランド価値自体をしっかりと全国に対して、または世界的な部分に関して理解をいただく、または地域住民に経済効率ではなくて、本当に１頭飼いをしている深野地域の特産松阪牛、実際には回転率を上げて早く売ってしまったほうがもうかるような場合でも、本当に特産松阪牛という伝統と文化に培われた中で育てられている松阪牛をしっかりとブランド化していくというのが、次年度からのブランドの振興の部局もつくらせていただくとともに、ある意味、本当にそのブランドを守っていくために地域を守っていく、そういう意識は私自身も強く持たせていただいております。ただ、このような問題に関しては、より肥育農家の方々ともしっかりと議論をし、話を聞かせていただく必要も今後あると考えております。
答申におきましても、合意形成の原則、地元住民の信頼と納得を十分に得ているかという視点を尊重することという答申をいただきましたので、これに関しては十二分にしっかりと尊重させていただく中で今後の対応をしていきたいと考えております。
〔市長 山中光茂君降壇〕
〔環境部長 橋本昭彦君登壇〕
◎環境部長（橋本昭彦君） 私のほうからは３点ほどお答えさせていただきたいと思います。回答が漏れておりましたら、また御指摘もお願いをいたしたいと思います。
まず、低周波音が松阪牛に及ぼす影響ということでございます。これは平成２１年１０月２６日に開催をいたしました審議会におきまして、牛に対する質問が出されております。平成２２年２月の２日に開かれましたジャネックスの審議会におきまして、口頭ではございますが、業者より牛に対し可聴範囲が示され、その審議をもらいましたが、特に意見は出ていませんでした。
松阪市といたしましても、松阪牛の生産地域でございますので、牛に対する影響も十分確認する必要性がございましたので、環境省へ再度、低周波音が牛に及ぼす影響について確認をいたしましたが、今の時点においてはまだ明確にされていないということでございます。
それから、前市長の同意予定文書の扱いでございますが、前市長のときに審議会の意見を真摯に受けとめ、適正な対策を講じ、環境に配慮した事業とすることを条件に同意する予定ですとの文書でございます。これにつきましては、平成２１年１１月２４日に、新エネルギー促進協議会にお邪魔させていただきまして、審議会の意見を真摯に受けとめ、適正な対策を講じ、環境に配慮した事業や地域合意を得た上で同意する予定としたものであるとして、同意には至ってはいないと申し上げております。
それから、地元同意の適正化について御質問をいただきました。これは今、新エネルギー促進協議会で事業を行っておりますので、その観点から申し上げたいと思います。新エネルギー等の事業者支援対策事業で行う場合の公募要領の中には大きく３つございます。１番といたしましては、地元の市町村の首長の同意書、それから２番目には、同意する地元住民への説明を行い、議事録を作成し、参加者または代表者の確認署名を得て、提出すること。なお、説明会での説明内容につきましては、１つとして風力発電の規模、２つ目といたしましては工事内容、３番目といたしましては環境影響調査を含めることとしております。また、大きく３つ目の項目では、風車を建設する土地の地権者全員の同意書を入手して提出するということでございます。特に、地元住民の同意につきましては、単なる同意書だけではなく、議事録を作成し、参加者または代表者までの署名まで求めておりまして、地元同意を重要視しております。同意後に地元から、そんな話は知らなかったとならないように、出席者の少ない議事録につきましては、新エネルギー促進協議会が申請をされました申請書に対し確認をされております。
同意の範囲につきましては、関係する地元住民とあり、建設予定に隣接する自治会でありまして、すべての自治会の住民が調和を持って納得の上の同意があってこそ、地域に貢献する風力発電事業であると求めております。
以上でございます。
〔環境部長 橋本昭彦君降壇〕
◆１５番（海住恒幸君） 市長がことしの２月に出た要望書という存在、議会にも届いていますので、私も見せていただいておりますし、そこに名前を挙げていらっしゃる自治会長の皆さんとも何人かお会いして、最近この一般質問に備えてお話をお伺いしてまいりました。私は、そこに挙がっている方々たちの思いを否定しているわけではございません。ただ、同意の取り方というものは本当にまちまちであろうと思われます。先ほど私が紹介した手紙の方とか、実際に生でお話を聞いてきた方、その方々は賛成しているという地区の皆さんなんですよ。その人たちだって、現にそんなこといつやったか知らんがやということを言われているわけですね。適切さが担保されている担保が全くないわけなんですね。殊に今回は、松阪牛に対する影響に言っても検証不能なリスクを負っているわけです。皆さんが、例えば牛を飼っていらっしゃる方が皆さん納得したからいいんですというものではないだろうと思っています。どんな影響が出るか、わからないんです。だから、現に影響が出ているケース、参考にすべきだろうということを申しておるわけです。それが起きているのが３５０メートル、５００メートル範囲内とおっしゃられた。これが深野の場合は１．８キロ離れているからとおっしゃったけれども、私は距離じゃないと思っています。説によると２キロは必要だという説もあります。２キロ以内はだめだという説がありますね。
それと、ブランドイメージという問題がある。報道の写真で見たことがありますけれども、牛舎の軒先の後ろに風車が見える、そのような光景というのは決して美しいものではない。それが特産松阪牛をつくる光景で仮にあったとしたら、それはちょっと違うだろうと。特産松阪牛、ひいては松阪牛全体のブランドを守っていくために、あらゆる危険を排除していかなければならないのではないかと思います。それが仮に、市長がかねがねメリットとして挙げられている点、財源的に潤う、固定資産税とか雇用とかあるかもしれませんが、それが果たして幾らぐらいで、松阪牛が今松阪にもたらしている経済的効果というのははかり知れないものがある。それと天秤にかけていいのかどうか、そのようにも思うわけです。それに関して答えをもしいただけるようでしたらば。
◎市長（山中光茂君） 私は、いつも言わせていただくのが、メリット・デメリットで判断してはいけない問題であると思っております。税収というのも、あくまでメリットがこういう部分でもありますよと、デメリットについてはこういうことがありますよといつも紹介する中でのメリットを海住議員は今言っていただいたと思うんですけれども、ただこの問題は、命や健康への不安、またはさまざまな心理的な不安に対してかかわってくる問題ですので、または本当に海住議員がおっしゃられるとおり、ブランドイメージにもかかわってくる問題、ただその中で住んでいる生活者の視点というものも、やはりそこに生きる方々としての思いというものもあるのも事実でございます。
当然、海住議員が言われるとおり、やった際のリスクもある一方で、やらなかった際のリスクというものは、だれよりも地域の方々がやらないことのリスクを考えた上で風車事業という案が出てきたのも事実です。そのあたりというのは、本当に地域の方々の声を真摯に聞かせていただくということが、今後もいろんな意味で必要であると思っております。
◆１５番（海住恒幸君） それぞれの心とか健康にかかわることですので、そのスタンスは決して忘れていただきたくないと思っています。
そして、これはもししなかった場合のデメリットとおっしゃいましたけれども、基本的には相当いろんな方法で補うことは可能ではないかと思っています。この風力発電をあそこにつくらないことがデメリットをもたらすことではなく、風力発電を恐らく希望された時期というのは相当前で、そのころは、さっきも言いましたけれども、このようなリスクを考えずに、クリーンエネルギーをもたらす、環境によい産業が育成できないか、そのような思いもあったかもしれません。だけども、状況というのが変わってきた中で、危険というものが指摘されている中であるならば、より環境に、そういうリスクのないものを新たに提案することは可能ではないかと思います。その点に関してはこれ以上は言及しませんが。
そして、つまり１つ答えていただけなかったと思うんですけれども、松阪牛に対する影響というのが出るのか出ないかということを松阪市としてまだ検証していないでしょう。検証しましたか。お答えいただけますか。
◎環境部長（橋本昭彦君） 先ほど言われました松阪牛の検証でございますが、検証はしてございません。
◆１５番（海住恒幸君） おっしゃったのは、牛の耳には可聴域と言われましたよね、可能性の可に聴くという字、つまり牛の耳にはこれだけの周波数だったら聞こえるんだよという範囲を示されたわけです。低周波音というのは聞こえない範囲を含めての健康を言っているわけです。牛に聞こえたからいいというんじゃなくて、逆に聞こえない領域のほうが怖いという話を、この低周波音の場合は心配されているわけなんですよね。ですので、橋本部長がおっしゃった、平成２２年２月２日の第８回環境保全審議会ですね、そこでジャネックスの側から可聴範囲を示された、それで審議会の委員から特に意見は出なかったとおっしゃったけれども、可聴範囲を示すことが、それは低周波音に対する正しい問題の示し方じゃないわけですよ。その件に関して、学識経験者として、低周波音の専門家として飯南町と松阪市産業振興センターにも来られた落合さんという研究者の方が一貫してその説を主張していらっしゃるけれども、その主張というのが、何と言うのかな、適切ではないという問題提起がこの問題に関しては行われているわけなんです。だから、落合説に基づいた見解を述べていただいたり、環境保全審議会でそのことを、落合さんの意見が示されたからといって、これは牛に聞こえない範囲だからいいんだよという、影響はないんですよと、そういう決めつけ方というのは極めて危険じゃないですか。お願いします。
◎市長（山中光茂君） 実は低周波も高周波もやっぱり聞こえる可聴域というのは非常に大事で、ただ、なぜよく人間に低周波でも影響が出る可能性がありますよと言われるかというと、例えばモスキート音とかでも、やはり若年層に関しては聞こえてしまう可能性があったりとか、可聴域に非常に近い部分になってしまう可能性があるからこそやはり影響があるのであって、本当に低周波が聞こえないのであるならば、影響が出ないのはある意味間違いがなく、振動とか、そういうのとやはり違いますので、音は音なんですよね。ただ、おっしゃられるとおり、完全なものではないですし、牛においても可聴域から離れたとしても、やはり何かしら聞こえてしまう部分があるかもしれないという部分での影響自体は否定できないというのは、海住議員がおっしゃられるとおりであると思います。
◆１５番（海住恒幸君） ですので、橋本部長の答弁の中で、牛に対してこれが影響あるのかどうかを検証されてないとおっしゃったんですよ。検証してないことに、松阪市はここまでブランドを守ろうとしてきた松阪牛の安全にかかわることに対して、検証もせずに地元同意が得られたからよしと行くのか。環境保全審議会はある意味、条件をつけて、適切だというふうに判断示されたそうですけれども、低周波音については審議していないんですよ。審議項目に入ってないでしょう。そして、若干それは触れられていますけれども、基本的には審議項目じゃない。だから、諮問を受けた内容じゃないから、それを答申する義務は環境保全審議会にはないわけですよ。
そして、そのことに対して、答申の中に低周波音という言葉は一言もないですよ。それについては、恐らく未解明な部分ということで処理されたんじゃないですか。ですので、環境保全審議会も低周波音に関しては審議していない。牛に関して、松阪市として何も検証してない、そういう状況の中で、ゴーを出すか出さないかはわからないですよ、市長、いろいろ考えていらっしゃるからね。そういう危険というのをすごく感じているわけなんですよ。松阪牛についてどう考えるか、再度御答弁願えますか。
◎市長（山中光茂君） 肥育農家の方々とも実は私もこの問題に関しても話も聞かせていただきましたし、環境部さんのほうからも業者さんに対して説明に行ったところ、心配していないと、一部の方かもしれませんけれども、そういう回答も聞かせていただいております。ただ、おっしゃられるとおり、さまざまな心理的な中で、牛に対する健康被害があり得るかもしれないという不安だけでも本当に地域の方々の部分もあると思いますし、おっしゃられるとおり、光景であったり、さまざまな影響が地域の景観を害してしまう、ブランド価値を下げてしまうというおそれもあるという部分は、決して否める部分ではございませんけれども、ただ一方では本当に地域の方々が松阪牛ブランドを育ててきたという誇りとともに、地域に対しての愛着はどこよりも地域が考えているという中で、やはり今、深野地域が合意を出していないという部分の位置づけも重く受けとめさせていただいておりますので。
以上でございます。
◆１５番（海住恒幸君） ありがとうございます。もうあと１分になってしまったんですけれども、敦賀市の環境保全審議会の答申、この２月２２日に出たばかりですけれども、ここには要するに環境省もこれから、平成２２年からようやく低周波に関しては調査を始めるところなんだと。今まで環境省も調査してなかったですよ。これから調査を始めようという段階なんですよ。そのことに対して敦賀市の環境保全審議会の答申は言及しています。その諸問題の対応を十分に予測ということを言っています。松阪市は今それをしていないというふうに判断していいと思います。
そして、住民の合意形成のあり方なんですけれども、それに関して幾つか私が整理してみました。これは業者だけの問題じゃないということを前提に、やっぱりリスクについての説明というのが、今までのやり方ではなかっただろうと思っています。そして、環境保全審議会の答申に対しては中身に関してきちんと説明できること、そして全国の事例についてもやっぱり検証すること、その上で地元で再度協議してもらう。やはり、平成２０年の合意というものが非常に大きい。今、賛成した名前を挙げている方も、今から考えると、違うという意見を表明されるかもしれません。そのことを再度検証をやっぱりしていく必要を感じております。
以上、時間となりました。終わります。
〔１５番 海住恒幸君降壇〕
○議長（水谷晴夫君） 休憩前に引き続き本会議を再開いたします。
次に、１５番 海住恒幸議員。
〔１５番 海住恒幸君登壇〕
◆１５番（海住恒幸君） よろしくお願いいたします。
白猪山の風力発電計画について、去年の３月に初めてこのテーマを質問して、９月、１２月と行って、今回で４回目、それぞれ別の観点から一応取り上げているつもりでございます。きょうは大きく４つの点からお尋ねしたいと思っております。
まず、初めに述べておきますと、白猪山に計画されている風力発電の問題は、単に地球温暖化対策というきれいな話ではありません。民間開発であると、市はそういうふうなスタンスをとってきていましたけれども、私はここでこう定義させていただきたいと思います。国の補助金が出る以上、立派な公共事業であると。コンクリートから緑へと言われますけれども、国の補助金で日本の国土の至るところで緑の山のてっぺんが造成され、コンクリートが流し込まれ、高さ１００メートルを超すタワーが建つ計画が進められています。これはイメージしていただくために青山高原のパンフレットです。山肌はほとんど造成されている状態ですね。山のてっぺんがこのような状態になる、そのような計画が風力発電でございます。そこに１６基ないし１７基、合わせて３３基の風車、タワーですね、計画されている。
そして、最近表面化してきたことではありますけれども、飯高町宮本に隣接する大台町で２０の風車が計画されている。現在、飯高振興局のほうで縦覧されておりますが。これはある意味、国民の税金を使った環境破壊になるとも言えなくはない。そうした問題をこの風力発電という事業ははらんでおります。
きょう行わせていただく一般質問は、まず１点目に、低周波音が松阪牛に及ぼす影響について、次に２点目として、前市長の同意をほぼ認めた文書ですね、その文書について。そして３点目に、環境保全審議会の答申が意味すること、最後に第４、地元同意の適正化について、この４つについて質問させていただきたいと思います。
まず１点目ですけれども、低周波音が松阪牛に及ぼす影響について。
松阪市は、松阪牛ブランドをどうしても守っていっていただきたい、まずそのことをお伝えしたい観点から質問させていただきます。白猪山のふもとの深野は松阪牛の中での一番いい牛ですね。特産松阪牛を一番伝統的な飼い方で育てている。松阪牛にとっていわば聖地のような場所でございます。その松阪牛を上から見おろすような場所に低周波音の影響が心配される風車が多数建つ計画であることを、行政は本気になって心配しなければならないのではないか。それが質問でございます。かつてＢＳＥ騒動があったとき、松阪牛のことをあれだけ心配し、真剣に対策をとってきた松阪市です。松阪牛の成育環境及び松阪牛への影響を調査しているか、もしくは調査したか、お尋ねしたいと思います。
最近手に入れたニュース、２つ気になるニュースがございました。１つは、去年９月２８日付の読売新聞でございます。長崎県の佐世保市の宇久島という島、そこの西端で肉用牛３頭を肥育している女性の声、「ゴーッ、ゴーッて音が牛のストレスにならせんか」と、そういう声が載っています。「牛舎から約３００メートルのところに風車が建設されてから牛に異変が生じた。それ以来、風力発電に不安を持つようになった」、そのような声がこの読売新聞の大きく扱われているこの記事に載っております。
そして、同じような場所で取材されたレポートだと思われますが、ことし２月に発行された「自然と人間」という雑誌の中に、フリーライターの鶴田由紀さんという方のレポート、「風車を拒絶した島、風車に翻弄される島」ということのレポートを書いています。このレポートを少し紹介させていただきます。高級牛として知られる黒毛和牛の繁殖を専業、専らの業とするＡさんは、風車から３５０メートルの場所に牛舎を所有する。その牛にここ数年、異常が目立つようになった。肩や膝の関節が肥大していたり、背骨が曲がった子牛が生まれる。成長するにつれて極端になり、肉づきも悪いため安い値がつけられる。死産、子牛の突然死、発情の不安定なども見られ、これでは畜産経営が成り立たないと困惑している。Ａさんは、風車のせいかと言えば、それはわからないが、４０年以上子牛を飼っていて初めてだと語っています。このいずれの記事、レポートも風力発電の風車が建つまでは起きなかった、その異変を伝えております。これを風車のせいかと因果関係を証明することは困難、多分被害を受けている人にとっては不可能に近いことです。だけども、人の皮膚感覚、人の経験、今までなかったことがなぜ今風車ができたら途端にこんなことが起きてきたのか、そのことはやはり重大な関心を寄せなければならないことだろうと思います。
深野のほうに戻りますと、深野は但馬で生まれた子牛、つまり生後７カ月、８カ月の子牛が深野へ来て、そこで３０カ月間、白猪山のふもとで育つ。そこに、それは３５０メートルの距離じゃございませんけれども、風車が回るとしたら、どんな影響が出るか、行政として真剣に考えておかなければならないのではないですか。
そして、先ほどの例とは違います。すなわち、深野では子牛を産ませてはいませんが、将来立派な松阪牛になるための子牛を育てる揺りかごのような場所が深野です。そのブランド牛、松阪牛の育ちに影響は出ないか、そして肉質に影響は出ないか、だれがその安全を保証するのか、お尋ねしたいと思います。
特に、深野という場所は、現在特産松阪牛、最高の松阪牛ですね、１００頭います。ここの松阪牛は、現在松阪牛を生産されているとされている２２市町の松阪牛のいわばブランドイメージそのものであります。そこのいいイメージに低周波音のマイナスイメージがつけば、明治５年、１８７２年から１３８年かけて培ってきた松阪牛の名声に手痛いダメージとなる可能性があるのではないか。
そして、牛は極めてデリケートで臆病な動物であるということを聞いております。私も話をお伺いしたことがありますけれども、牛飼い農家の方は日々大変デリケートな心遣いを持って牛と接しております。そんな子牛が出荷までの３０カ月ですね、日常的に風力発電の風車特有の風切り音を日常的に聞いていたり、耳には聞こえない低周波音にさらされるとどうなるか。だれも現在、被害者じゃなくとも、日本の科学者とて証明できていないことです。それにさらしたらどうなるか。科学的にまだまだ解明されていないことばかり。現に、しかし風車の建ったところでは問題が起きている。これに関して危惧を抱くものです。
市長は、風力発電で財政が潤うというメリットを挙げておりますが、取り返しのつかないダメージを受けることもその一方で心配されています。松阪牛ブランドに影響が出たら、金額としてどれだけのダメージを受けるのか。実はこの件に関してこちらで数値を調べようと市役所の中で幾つか聞いたんだけれども、松阪牛の経済的価値、松阪牛があることによって幾ら松阪が潤っているのか、どこもわからないとおっしゃった。すごく大事な産業であるはずなんだけれども、松阪牛の経済効果を市役所で把握されていないというのは非常に残念なことで、これは金額としてはわからないにしても、東京の市場に出荷されている枝肉が年間２０億円ということですので、出荷される分だけで年間２０億円を超えているということですので、それはごく一部にすぎないだろう。地元で販売される肉から、ちゃちゃも効果まで入れれば、松阪牛効果は、そのブランド効果というのははかり知れないぐらい大きいものがあるんではないか。その観点から、先ほど申しましたような、松阪牛ブランドのことを行政は本気になって心配しなければならないのではないか。松阪牛の成育環境及び松阪牛の肉質への影響、健康への影響をどう考えるか、そしてだれがその安全を保証するのか、それについてお尋ねするのか、１点目の質問でございます。
そして、２つ目の質問は、前市長のいわゆる同意予定文書についてでございます。
平成２０年７月２３日付で、このような文書を発行されました。これは判こがついていませんが。これは、審議会の意見を真摯に受けとめ、適切な対策工事、環境に配慮した事業とすることを条件に同意する予定です、風力発電の計画を同意する予定であると。実は、これは平成２０年７月２３日付ですけれども、その前月の６月に環境保全審議会が始まったばっかり。この２３日の翌日、２４日の第２回環境保全審議会が開かれた。そういうタイミングで同意する予定とする文書を出した。極めてもってのほかの文書であると私は思っております。これも大きな要素としてあったので、国の補助金の交付も決定した。決定的な文書ですね。撤回すべきだと私は思っています。そして、この議会の中でもこの問題を出しました。
その後、この文書の存在について国に対して、国はまだこれを持っているわけですよね、正式なやつをね。この扱いについて、現在の松阪市としての見解をどう伝え、どうしてほしいと、そういうアクションをしたかどうか、その内容をお聞かせいただきたい。市としてはきっぱりとこの文書に対してけじめをつける必要があるんじゃないかと考えておりますが、いかがでしょう。
第３点目の質問でございます。環境保全審議会の答申が意味すること。
これが答申のコピーですけれども、この答申の中には、最後に、これは市長に対する答申ですので、松阪市としてどうせいと言っている話ですね。５つの原則を市に要請している。その５つの原則の中に、３つ目で、住民の安全性と安心性を重視すること、５つ目に、合意形成の原則として、地元住民の信頼と納得を十分に得ているかという視点を尊重すること、このように結論づけて、松阪市に対して対応するよう環境保全審議会は要請しています。この５つの項目についてしっかりと松阪市は守っていくし、また例えば住民合意、地元住民の信頼と納得を十分に得られているかどうか、安全性、安心性を確保されているかどうかをしっかり検証していく責任が松阪市にはゆだねられた。今までは環境保全審議会がやっていることですからというふうに松阪市は答えることができたけれども、今ボールは松阪市のほうへ投げられています。松阪市としてこれをしっかり検証していく責任があると思われますが、どのようにやっていくのか、その点をお尋ねしたいと思います。
第４点目の質問ですけれども、地元同意の適正化、つまり地元の同意の取り方が公正さをどのように担保されているのかという点。
賛成地区と言われている地区の同意は、平成２０年４月から６月にかけて行われています。しかし、このころは安全に対する認識というのが余りなくて、例えばこれ４月から６月と言いましたけれども、先ほど言いました前市長の同意予定文書は７月に出ているわけです。着々とレールに沿って手続を進めているわけですね。そのころはリスクというのは余り考えられてなかった。低周波音が広く知られるようになったのは、翌年１月以降だと考えます。そのころ相次いで新聞記事に取り上げられまして、こうやって大きな扱いの記事が、これは朝日新聞の名古屋本社発行版の一面トップだったんです。一面トップでこのような記事が載るというのは、今まで考えられなかったことなんです。主見出しが「風車で体調不良を訴え 音が原因か、頭痛、不眠」、こういう見出しが躍っています。そして、この新聞、これは中日新聞だと思いますが、このような大変大きな、ほとんど見開き同然のような大きな扱いです。あと、毎日新聞も「風力発電に逆風 エコのはずがそうじゃなかった」という問題提起の記事ですね。
そして、話を戻しますと、地元の同意ということですけれども、去年の３月に指摘した問題でありますけれども、事業者から一方的に情報提供はいい話ばっかり聞かされて、行政が関与していませんから、だれも第三者的責任を負わないわけです。本当に判断するに必要な、適切な材料を提供しているかどうか疑問です。それを裏づけるような新聞記事が、これはつい最近の中日新聞ですけれども、２月２３日付の中日新聞でこういう記事の中にこう書いてあります。合意に至った地区でも問題は残る。多くの自治体が結論を出したのは事業が持ち上がったばかりのころで、風車のリスクについて住民が理解を深める前の話。建設地近くのある男性は「住民同士の話し合いはほとんどなかった。風車がつくられて、地域が本当によくなるのかと疑問も残るとこぼす。結論を出すには住民の力だけでは足りないのかもしれない」と締めくくられている。このように、まず大半の自治会レベルで同意があったとされているのは、平成２０年の４月から６月にかけてであったという問題、そして本当に住民同士が正確な情報を伝えられて、話し合いが行われたのか。そして、きちんと意見が、疑問が心配を表明する機会は住民の中にあったのか。なかったのではないか、そのように疑問を持ちます。
ある人から直接聞いた話です。飯南町下仁柿の男性からこんな話を聞きました。ちょっと飯南弁ですけれども、「説明、そんなもんあったんかや。ほんなもん聞いておらへんがや」、ちょっと上手じゃなかったかもしれませんけれども、そういうふうにおっしゃった。聞いてないと言うんですよ、かなりの人が。下仁柿というのは賛成しているはずの地区です。
そして、ある方からちょっとお手紙をいただきました。こちらへちょっと移しましたので、あれですけれども。「業者を招いて説明してもらうという趣旨の会合があったので出席しました。会合の内容は予期したようなよいことずくめのお話、すべての地区の賛成まであと一歩という内容でしたので、私はたまりかねて、それは納得できません、私どもの組では一度たりとも賛成とか反対とかを問われたことはありません。この会に来る前に組長さんにも確かめてあります。近所の人にも聞いたけれども、だれも賛成か反対か聞かれたことはないんです。それは私たちの組だけのことかもしれませんけれど、もしかしたら、いろんなところで同じことが起きているかもしれません。それをもって同意を得たというのか、大体の同意を得たという説明とはほど遠いのが現実ではないか」、そのようにこの手紙には書いてあります。
こうした観点から、９つの自治会のうち８つは同意を得られている、あと１つだけが残っているという話ですけれども、その８つの同意のあり方も本当に適正なのか、さまざまな問題があるのではないか、それについて住民だけに責任を求めて、住民だけが判断しなければならないのか。それとも、行政として、先ほどの松阪牛の問題も指摘させていただきましたけれども、いろんな健康とか、松阪牛への影響とか心配される事業に対して、そして民間事業ではなく、国の補助金も３割出る立派な公共事業である、それに対して自治体として松阪市はどう対応していくのか、適正な責任の分担ということが求められるのではないかと。
以上、長くなりましたけれども、４つの質問をさせていただきました。どうか御答弁、よろしくお願いします。
〔市長 山中光茂君登壇〕
◎市長（山中光茂君） 海住議員の御質問に関してお答えさせていただきます。
まず、この議場においても繰り返しになる部分がございますけれども、私は決して風車事業を行政として推進しようとする立場ではないということを改めて話をさせていただくとともに、海住議員もこの飯南地域、または嬉野地域、そして松阪の自治会がある地域の住民の方々を声をこれまでどのような形で聞かれているでしょうか。これは質問ではございませんけれども。私自身もさまざまな現場に伺わせていただく中で、風車事業の位置づけに関していろんな住民の声を聞かせていただいております。海住議員は平成２０年当時の合意であったのではないかという御質問をいただきましたけれども、実は平成２２年の２月１０日、ちょうど１カ月前ですね。１カ月前に要望書が来ました。各自治会長さんが代表をされて、９つの自治会です。上仁柿区、下仁柿区、横野区、大河内地区、阪内町、辻原町、柚原町、嬉野上小川町、嬉野小原町、この９つの自治会の方々が、白猪山風力発電事業を早期建設してほしいという思いで来られました。
この意味というものに関しては、当然１つだけの深野地区が合意しないというだけで、市長はなぜ推進をしないんだと、これだけの多くの自治会が、１０分の９が合意しているんじゃないかと、これだけの住民の合意があるんだよという話をいただきました。ただ、私はそういう形では推進するつもりは一切ございませんと。ただ、その方々も本当に話をしていらっしゃるのが、自治会の中でもさまざまな議論があると、当然さまざまな主体の方々がいる。そして、当然要望書を出してくる中で、自治会の中で議論をすることなく要望書を出してくることは絶対にありません。当然行政よりも末端にある任意団体である自治会のほうが行政以上の現場の声を反映している上で、勝手に自治会長さんが要望書を出すということがあってしまったら、当然自治会長さん自体の責任にもなってしまいますので。ただ、本当にどこの自治会長さんも苦労をされているのが、必ずしも１００％の合意というのはさまざまな案件に関してはあるものではございません。その中でも住民としての相違の部分というものを責任を持って要望書として上げてきている、そういう現実がございます。
ただ、私は、このような問題に関しては多数決で決めるものではないと。その中で当然今、深野地区の連合自治会長さんもさまざまな葛藤がある中で、実は３月にも地域に私自身も行きますよと、こちらからどうこうではなくて、話を聞きに行きますよという話もさせていただく中で、実際反対されている神路山地区には直接行かせていただいて話も聞いたんですけれども、という話をさせていただきますと、その神路山からも、こちらのほうで話を聞いていただく前に、いろんな形での思いというものを伝えにもうすぐ行きますよという話も今聞かせていただいております。
実際に、飯南地域の、特に今上げた自治会の部分においては、当然風車事業が最もすばらしいであるとか、健康に対して被害がどうこうというのは、ほかの松阪市内のどこの地区よりも懸念があるのは間違いありません。その中でも厳しい経済環境、生活環境にある中で、飯南地域を盛り上げていきたい、または本当に限界集落と言われているような地域に関して活性化をする一助になればという部分を考える中で、住民の中で合意というよりは、しっかりと話し合う中で一定の結論を持って要望書を上げてきた。これは平成２２年２月１０日ですので、直近のことでございます。私自身もその声自体も真摯に受けとめさせていただく中で、やはりその方々には、申しわけないですけれども、私としてこの段階だけでは、これまででしたらよかったかもしれませんけれども、私だけでは合意を出すことは決してできないですし、やはり深野地域という最も関係が多いところに関しても、しっかりと今後も声を聞き続けていきたいですし、そこでの話というものをしっかりと持たせていただきたいという回答をさせていただきました。
先ほど、松阪牛のブランドという部分において話をいただきました。私は牛舎のほうにもよく行かせていただきますし、生産者の方々、肥育農家の方々とも直接話を聞く機会も少なくないんですけれども、先ほど３００メートルのところで牛に対しての騒音や低周波における影響はどうなのかという話もありましたけれども、一応松阪市においては一番近い牛舎の距離というのが１８００メートルのところにございます。一応私もちょっと調べさせていただく中で、１１２５ヘルツから４万２０００ヘルツと言われる周波数が牛の耳には届くという中で、低周波自体は１００ヘルツ以下であるので、感じるか感じないかというのは、科学的には感じないと言ってしまうのかもしれませんけれども、その辺は実際には海住議員がおっしゃられるとおり、１００％証明できるものでは私はないと思っております。どれだけ徹底しても牛に対する健康状態が必ずしも低周波からの影響なのか、騒音からの影響なのか、他の環境影響なのか、１００％という問題はないと思っております。
ただ、そのような問題も含めた上で、あの深野地域の方々も実は牛の事業者の方々でも当然気にはされながらも、やはりそれでもと、地域の中での合意というものをいろんな形で考えていきたいとおっしゃられている方々も多々いらっしゃいますし、水という部分も当然、多くの方々が井戸水を使っているのが現実ではございますけれども、清流の中でのさまざまな水に対する影響、そういう部分に関してもちゃんとやはり理解をいただく中で、今、深野地域における松阪牛、特に特産松阪牛という、私自身もそのブランド価値自体をしっかりと全国に対して、または世界的な部分に関して理解をいただく、または地域住民に経済効率ではなくて、本当に１頭飼いをしている深野地域の特産松阪牛、実際には回転率を上げて早く売ってしまったほうがもうかるような場合でも、本当に特産松阪牛という伝統と文化に培われた中で育てられている松阪牛をしっかりとブランド化していくというのが、次年度からのブランドの振興の部局もつくらせていただくとともに、ある意味、本当にそのブランドを守っていくために地域を守っていく、そういう意識は私自身も強く持たせていただいております。ただ、このような問題に関しては、より肥育農家の方々ともしっかりと議論をし、話を聞かせていただく必要も今後あると考えております。
答申におきましても、合意形成の原則、地元住民の信頼と納得を十分に得ているかという視点を尊重することという答申をいただきましたので、これに関しては十二分にしっかりと尊重させていただく中で今後の対応をしていきたいと考えております。
〔市長 山中光茂君降壇〕
〔環境部長 橋本昭彦君登壇〕
◎環境部長（橋本昭彦君） 私のほうからは３点ほどお答えさせていただきたいと思います。回答が漏れておりましたら、また御指摘もお願いをいたしたいと思います。
まず、低周波音が松阪牛に及ぼす影響ということでございます。これは平成２１年１０月２６日に開催をいたしました審議会におきまして、牛に対する質問が出されております。平成２２年２月の２日に開かれましたジャネックスの審議会におきまして、口頭ではございますが、業者より牛に対し可聴範囲が示され、その審議をもらいましたが、特に意見は出ていませんでした。
松阪市といたしましても、松阪牛の生産地域でございますので、牛に対する影響も十分確認する必要性がございましたので、環境省へ再度、低周波音が牛に及ぼす影響について確認をいたしましたが、今の時点においてはまだ明確にされていないということでございます。
それから、前市長の同意予定文書の扱いでございますが、前市長のときに審議会の意見を真摯に受けとめ、適正な対策を講じ、環境に配慮した事業とすることを条件に同意する予定ですとの文書でございます。これにつきましては、平成２１年１１月２４日に、新エネルギー促進協議会にお邪魔させていただきまして、審議会の意見を真摯に受けとめ、適正な対策を講じ、環境に配慮した事業や地域合意を得た上で同意する予定としたものであるとして、同意には至ってはいないと申し上げております。
それから、地元同意の適正化について御質問をいただきました。これは今、新エネルギー促進協議会で事業を行っておりますので、その観点から申し上げたいと思います。新エネルギー等の事業者支援対策事業で行う場合の公募要領の中には大きく３つございます。１番といたしましては、地元の市町村の首長の同意書、それから２番目には、同意する地元住民への説明を行い、議事録を作成し、参加者または代表者の確認署名を得て、提出すること。なお、説明会での説明内容につきましては、１つとして風力発電の規模、２つ目といたしましては工事内容、３番目といたしましては環境影響調査を含めることとしております。また、大きく３つ目の項目では、風車を建設する土地の地権者全員の同意書を入手して提出するということでございます。特に、地元住民の同意につきましては、単なる同意書だけではなく、議事録を作成し、参加者または代表者までの署名まで求めておりまして、地元同意を重要視しております。同意後に地元から、そんな話は知らなかったとならないように、出席者の少ない議事録につきましては、新エネルギー促進協議会が申請をされました申請書に対し確認をされております。
同意の範囲につきましては、関係する地元住民とあり、建設予定に隣接する自治会でありまして、すべての自治会の住民が調和を持って納得の上の同意があってこそ、地域に貢献する風力発電事業であると求めております。
以上でございます。
〔環境部長 橋本昭彦君降壇〕
◆１５番（海住恒幸君） 市長がことしの２月に出た要望書という存在、議会にも届いていますので、私も見せていただいておりますし、そこに名前を挙げていらっしゃる自治会長の皆さんとも何人かお会いして、最近この一般質問に備えてお話をお伺いしてまいりました。私は、そこに挙がっている方々たちの思いを否定しているわけではございません。ただ、同意の取り方というものは本当にまちまちであろうと思われます。先ほど私が紹介した手紙の方とか、実際に生でお話を聞いてきた方、その方々は賛成しているという地区の皆さんなんですよ。その人たちだって、現にそんなこといつやったか知らんがやということを言われているわけですね。適切さが担保されている担保が全くないわけなんですね。殊に今回は、松阪牛に対する影響に言っても検証不能なリスクを負っているわけです。皆さんが、例えば牛を飼っていらっしゃる方が皆さん納得したからいいんですというものではないだろうと思っています。どんな影響が出るか、わからないんです。だから、現に影響が出ているケース、参考にすべきだろうということを申しておるわけです。それが起きているのが３５０メートル、５００メートル範囲内とおっしゃられた。これが深野の場合は１．８キロ離れているからとおっしゃったけれども、私は距離じゃないと思っています。説によると２キロは必要だという説もあります。２キロ以内はだめだという説がありますね。
それと、ブランドイメージという問題がある。報道の写真で見たことがありますけれども、牛舎の軒先の後ろに風車が見える、そのような光景というのは決して美しいものではない。それが特産松阪牛をつくる光景で仮にあったとしたら、それはちょっと違うだろうと。特産松阪牛、ひいては松阪牛全体のブランドを守っていくために、あらゆる危険を排除していかなければならないのではないかと思います。それが仮に、市長がかねがねメリットとして挙げられている点、財源的に潤う、固定資産税とか雇用とかあるかもしれませんが、それが果たして幾らぐらいで、松阪牛が今松阪にもたらしている経済的効果というのははかり知れないものがある。それと天秤にかけていいのかどうか、そのようにも思うわけです。それに関して答えをもしいただけるようでしたらば。
◎市長（山中光茂君） 私は、いつも言わせていただくのが、メリット・デメリットで判断してはいけない問題であると思っております。税収というのも、あくまでメリットがこういう部分でもありますよと、デメリットについてはこういうことがありますよといつも紹介する中でのメリットを海住議員は今言っていただいたと思うんですけれども、ただこの問題は、命や健康への不安、またはさまざまな心理的な不安に対してかかわってくる問題ですので、または本当に海住議員がおっしゃられるとおり、ブランドイメージにもかかわってくる問題、ただその中で住んでいる生活者の視点というものも、やはりそこに生きる方々としての思いというものもあるのも事実でございます。
当然、海住議員が言われるとおり、やった際のリスクもある一方で、やらなかった際のリスクというものは、だれよりも地域の方々がやらないことのリスクを考えた上で風車事業という案が出てきたのも事実です。そのあたりというのは、本当に地域の方々の声を真摯に聞かせていただくということが、今後もいろんな意味で必要であると思っております。
◆１５番（海住恒幸君） それぞれの心とか健康にかかわることですので、そのスタンスは決して忘れていただきたくないと思っています。
そして、これはもししなかった場合のデメリットとおっしゃいましたけれども、基本的には相当いろんな方法で補うことは可能ではないかと思っています。この風力発電をあそこにつくらないことがデメリットをもたらすことではなく、風力発電を恐らく希望された時期というのは相当前で、そのころは、さっきも言いましたけれども、このようなリスクを考えずに、クリーンエネルギーをもたらす、環境によい産業が育成できないか、そのような思いもあったかもしれません。だけども、状況というのが変わってきた中で、危険というものが指摘されている中であるならば、より環境に、そういうリスクのないものを新たに提案することは可能ではないかと思います。その点に関してはこれ以上は言及しませんが。
そして、つまり１つ答えていただけなかったと思うんですけれども、松阪牛に対する影響というのが出るのか出ないかということを松阪市としてまだ検証していないでしょう。検証しましたか。お答えいただけますか。
◎環境部長（橋本昭彦君） 先ほど言われました松阪牛の検証でございますが、検証はしてございません。
◆１５番（海住恒幸君） おっしゃったのは、牛の耳には可聴域と言われましたよね、可能性の可に聴くという字、つまり牛の耳にはこれだけの周波数だったら聞こえるんだよという範囲を示されたわけです。低周波音というのは聞こえない範囲を含めての健康を言っているわけです。牛に聞こえたからいいというんじゃなくて、逆に聞こえない領域のほうが怖いという話を、この低周波音の場合は心配されているわけなんですよね。ですので、橋本部長がおっしゃった、平成２２年２月２日の第８回環境保全審議会ですね、そこでジャネックスの側から可聴範囲を示された、それで審議会の委員から特に意見は出なかったとおっしゃったけれども、可聴範囲を示すことが、それは低周波音に対する正しい問題の示し方じゃないわけですよ。その件に関して、学識経験者として、低周波音の専門家として飯南町と松阪市産業振興センターにも来られた落合さんという研究者の方が一貫してその説を主張していらっしゃるけれども、その主張というのが、何と言うのかな、適切ではないという問題提起がこの問題に関しては行われているわけなんです。だから、落合説に基づいた見解を述べていただいたり、環境保全審議会でそのことを、落合さんの意見が示されたからといって、これは牛に聞こえない範囲だからいいんだよという、影響はないんですよと、そういう決めつけ方というのは極めて危険じゃないですか。お願いします。
◎市長（山中光茂君） 実は低周波も高周波もやっぱり聞こえる可聴域というのは非常に大事で、ただ、なぜよく人間に低周波でも影響が出る可能性がありますよと言われるかというと、例えばモスキート音とかでも、やはり若年層に関しては聞こえてしまう可能性があったりとか、可聴域に非常に近い部分になってしまう可能性があるからこそやはり影響があるのであって、本当に低周波が聞こえないのであるならば、影響が出ないのはある意味間違いがなく、振動とか、そういうのとやはり違いますので、音は音なんですよね。ただ、おっしゃられるとおり、完全なものではないですし、牛においても可聴域から離れたとしても、やはり何かしら聞こえてしまう部分があるかもしれないという部分での影響自体は否定できないというのは、海住議員がおっしゃられるとおりであると思います。
◆１５番（海住恒幸君） ですので、橋本部長の答弁の中で、牛に対してこれが影響あるのかどうかを検証されてないとおっしゃったんですよ。検証してないことに、松阪市はここまでブランドを守ろうとしてきた松阪牛の安全にかかわることに対して、検証もせずに地元同意が得られたからよしと行くのか。環境保全審議会はある意味、条件をつけて、適切だというふうに判断示されたそうですけれども、低周波音については審議していないんですよ。審議項目に入ってないでしょう。そして、若干それは触れられていますけれども、基本的には審議項目じゃない。だから、諮問を受けた内容じゃないから、それを答申する義務は環境保全審議会にはないわけですよ。
そして、そのことに対して、答申の中に低周波音という言葉は一言もないですよ。それについては、恐らく未解明な部分ということで処理されたんじゃないですか。ですので、環境保全審議会も低周波音に関しては審議していない。牛に関して、松阪市として何も検証してない、そういう状況の中で、ゴーを出すか出さないかはわからないですよ、市長、いろいろ考えていらっしゃるからね。そういう危険というのをすごく感じているわけなんですよ。松阪牛についてどう考えるか、再度御答弁願えますか。
◎市長（山中光茂君） 肥育農家の方々とも実は私もこの問題に関しても話も聞かせていただきましたし、環境部さんのほうからも業者さんに対して説明に行ったところ、心配していないと、一部の方かもしれませんけれども、そういう回答も聞かせていただいております。ただ、おっしゃられるとおり、さまざまな心理的な中で、牛に対する健康被害があり得るかもしれないという不安だけでも本当に地域の方々の部分もあると思いますし、おっしゃられるとおり、光景であったり、さまざまな影響が地域の景観を害してしまう、ブランド価値を下げてしまうというおそれもあるという部分は、決して否める部分ではございませんけれども、ただ一方では本当に地域の方々が松阪牛ブランドを育ててきたという誇りとともに、地域に対しての愛着はどこよりも地域が考えているという中で、やはり今、深野地域が合意を出していないという部分の位置づけも重く受けとめさせていただいておりますので。
以上でございます。
◆１５番（海住恒幸君） ありがとうございます。もうあと１分になってしまったんですけれども、敦賀市の環境保全審議会の答申、この２月２２日に出たばかりですけれども、ここには要するに環境省もこれから、平成２２年からようやく低周波に関しては調査を始めるところなんだと。今まで環境省も調査してなかったですよ。これから調査を始めようという段階なんですよ。そのことに対して敦賀市の環境保全審議会の答申は言及しています。その諸問題の対応を十分に予測ということを言っています。松阪市は今それをしていないというふうに判断していいと思います。
そして、住民の合意形成のあり方なんですけれども、それに関して幾つか私が整理してみました。これは業者だけの問題じゃないということを前提に、やっぱりリスクについての説明というのが、今までのやり方ではなかっただろうと思っています。そして、環境保全審議会の答申に対しては中身に関してきちんと説明できること、そして全国の事例についてもやっぱり検証すること、その上で地元で再度協議してもらう。やはり、平成２０年の合意というものが非常に大きい。今、賛成した名前を挙げている方も、今から考えると、違うという意見を表明されるかもしれません。そのことを再度検証をやっぱりしていく必要を感じております。
以上、時間となりました。終わります。
〔１５番 海住恒幸君降壇〕
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