2011年12月31日

おしらせ

ここは現在、更新を休止しています。現在は、今日行く審議会@はてなで書いています。保存したいエントリーなどもあるのでしばらくはこのままにする予定です。ここへのトラックバックやコメントにはレスが遅くなるかもしれません。

kaikai00 at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2007年05月12日

教育改革に必要なのは慎重さと合理的な判断だと思う

 http://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20061110/1163087610で紹介したことがあるが、藤田英典氏は、

 (前略)それから今、先程ご指摘ありましたように、この問題は1980年代からあるいはもっと遡れば、公選制の教育委員会制度が任命制に変わったときからずっと問題になってきてたことだと思います。
 そして、改革の議論は、特に1980年代以降盛んになって、この教育委員会制度をどうするかということを、繰り返し提案がなされており、そしてまた現に様々な改革がなされてきておりますけれども、未だに事態は改善していないと言われてるわけです。
 同様のことは、いじめ、校内暴力、不登校、学級崩壊、少年犯罪も、1980年代から一貫して改革の理由として言われ続けてきました。先程、町村委員の方から、私の考えについて異論を発言されましたけれども、その点について25年間、これが問題だと言って改革をし続けて、未だにそれが最大の問題だ。だから、改革しなければいけないとするならば、これまでの25年間の改革、政策は何をしてきたのか。成功したのかどうか。そのことを今一度考える必要があると思います。
 改革のための改革のほうが批判のための批判、反対のための批判よりはるかに危険です。もちろん、対立的に暴力的に反対するなんていうことは論外でありますし、そういうことは許されるべきではありませんが、反対しても実害はありません。しかし、改革は結果が伴いますから必ず改悪であれば実害が伴います。その点を十分に考えて教育基本法の問題についても検討していただければと思います。

と述べている。教育改革に限ったことではないけれど、常に良いものにしていこう、いい方向に向けていこうとするのはいいが、そこに必要なのは慎重さと合理的な判断なのだと思う。
 全国学力テストを例として考えてみたい。
 http://www.chikumashobo.co.jp/new_chikuma/kariya/05_1.htmlで苅谷剛彦氏は、「悉皆調査」について取り上げている。その中で指摘されているのは、「一般的に、全員が参加する、いわゆる悉皆調査のほうが、調査対象者の数が多い分だけ、正確な情報を得られると思われがちである」が、「全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議(以下、検討会議)」で次のような指摘がなされていることを紹介する。

 客観的なデータを取ることが重要である。悉皆調査で一番懸念されることは、成績の悪い子どもを休ませたり、学力調査の結果において高いパフォーマンスを得るための特別な努力をすることで、データが変質してしまうことである。取ったデータがすでに変質してしまっていれば、それをどれだけ分析しても意味がない。
 例えば、教育課程実施状況調査やアメリカの全国学力調査では、複数種類の問題冊子を使うなど、現場に直接的な影響を与えないで、客観的なデータを取るための工夫をしている。悉皆調査であっても、問題冊子をブロック別にすることや、サンプリングを工夫するなど、技術的な点で工夫できないか。
 変質してしまったデータをとってはならないことと、一方で、きめ細やかなデータを取り、きちんと教育の現場にフィードバックすることが社会の要請に応える意味で重要である。
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/031/gijigaiyou/06020309.htm)より引用。

 そして、苅谷氏は、

 もしも、全国学力調査の目的が、「国の責務として果たすべき義務教育の機会均等や一定以上の教育水準が確保されているかを把握し、教育の成果と課題などの結果を検証する」(「全国的な学力調査の具体的な実施方法等について(報告)」)ことにあるとすれば、データが変質してしまう可能性をもった全員参加というデータ収集の方法は、実態把握をゆがめてしまう。とりわけ、「国は、義務教育における機会均等や全国的な教育水準の維持向上の観点から、すべての児童生徒の学習到達度を把握するための全国的な学力調査を実施することにより、各地域等における教育水準の達成状況をきめ細かく適切に把握する必要がある」(同報告)というのであれば、なおさらのことである。たとえ一般には公表されない――その危険性が全くないわけではないが――としても、学校ごとのテスト結果が教育委員会などに把握されるおそれを抱いた学校が、前述の委員が懸念するような行動を取れば、とくに学習に困難を来している生徒たちの情報は正確さを欠いたものになってしまうだろう。そうなれば、このテストの目的である、「教育の成果と課題などの結果を検証する」上での判断を読み誤ることにもなりかねない。

というように指摘する。
 苅谷氏が指摘しているように、全国学力テストが「実態を把握する」ために行われるとしたら、そのために「悉皆調査」を選択することは「合理的な判断」であったと言えるだろうか。
 もし、検討会議が本当に全国学力テストによって実態を把握したいと考え、全国学力テストを今後も継続させようと考えるなら、「悉皆調査」よりも、収集するデータの信頼性が高く、より広い範囲をカバーできるhttp://d.hatena.ne.jp/kaikai00/20070509/1178642759で紹介したようなPISAやNAEPと同様のものを選択するのではないか。

 生徒にとっても負担軽減になり、予算も少なくてすむ。しかも、全国すべての児童生徒たちを、同じ物差しで序列づける危険性を回避できる。このようなテストの方法があるのに、それを用いない。4月24日に実施される日本の全国学力テストは、こうしたテスト技術・テスト研究とは無縁の、旧態依然とした「全国学テ」の方法を踏襲している、と言わざるを得ないだろう。

と苅谷氏が指摘するように、先日実施された全国学力テストは先行事例やこれまでの成果をきちんと検討し、取り入れたものではない。それは、たとえ検討開始から実施まで時間が限られていたからという理由があるとしても、検討か会議は「合理的な判断」をしたという評価を与えられることはないだろう。
 確かに教育の実態を把握することは必要なことだし、改善すべき問題は山積みにされている。しかし、そうだとしても、全国学力テストを絶対に今この時期に行わなければいけないということにはならない。
 各自治体ごとに学力テストが実施され、その結果を分析し、対策を検討し、対策を講じてきた。また、文部科学省でも教育課程実施状況調査を行い、その結果を分析し、対策を検討し、公表している。
 そうであるなら、全国学力テストについては時間をかけてでも、検討し、試行錯誤を繰り返し、PISAやNAEPの水準に近いものが実施可能になった段階で、実施しても差し支えない。
 また、地方で実施されている学力テスト、教育課程実施状況調査も、全国学力テストの研究・開発とリンクさせながら、改善を施していくということを同時に行う。そうすることで、全国学力テストの実施まで、切れ目なく教育の実態を学力テストを用いて把握するということはできる。
 イギリスもアメリカでも、様々な問題は指摘されているが、学力テストによる実態把握は行われている。イギリスやアメリカと日本との大きな違いは、学力テストの開発や改善にきちんと多くの資源を投入してきたし、し続けているということだ。そうすることで、学力テストは教育政策を検討したり、検証したりする上で信頼感のある根拠として用いられている。日本では、そういうことをやっているだろうか。
 よく「やってみなければ」とか「まずは実態を把握すること」などと言われるが、やってみる前に十分な検討を重ねたり、試行錯誤を繰り返す慎重さが必要だし、試行錯誤の結果合理的な判断を下していくことが必要なのではないか。慎重さや合理的な判断を欠いた教育改革は、「改革のための改革」であり、「改革は結果が伴いますから必ず改悪であれば実害が伴」なうことになる。だからこそ、慎重さと合理的な判断が教育改革では何よりも優先されるべきことではないか。

kaikai00 at 08:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!教育改革 | 評価

2007年04月28日

今回の全国学力テストは過去と比較できるか

 今回の学力テストが過去と比較することで、どのような意味を持つのかをここで考察しておきたいと思います。
本田由紀「90年代におけるカリキュラムと学力」『教育社会学研究』Vol.70(20020515) pp. 105-123のなかで、本田氏は、

 「学力」が実際に「低下」しているかどうかを検証するためには、(1)同じ内容の「学力」調査を、(2)学年や地域などの特性が同じで、(3)母集団を代表しうる大規模な対象に対し、(4)複数時点で実施したデータが必要である。
と指摘する。(引用元の論文では機種依存文字が使用されているので、そこは改変している。)

 では、その条件が今回実施された全国学力テストでも当てはまるのかを考えなければならない。
 まず、(1)の条件について、今回実施された全国学力テストは、現行の学習指導要領を基にして作成されている。そのため、40数年前のものと比較するとなった場合、最低でも必要な条件は、学習指導要領の変遷の影響がないこと。その問題の解答の際に必要となる知識等が同じであることだ。
 40数年前の学力テストがどのような問題であったのか、明らかではないので断定できないが、可能性として先ほど挙げた最低条件を持たした問題が存在する可能性はある。しかし、それは現時点で可能性の域を出ない。

 (2)の条件について。40数年前の全員参加の学力テストは、ここにあるように、当初は抽出調査であった。しかし、中学校では、昭和36〜39年は悉皆調査が行われている。
 では、今回の場合、小学六年生と中学三年生が対象となり、公立学校においては、ほぼ全員が参加した。
 まず、悉皆調査であることを前提とすると、学年が同じ条件なのは中学三年生は該当する。抽出調査も含めて考えると、小学六年生も該当する。
 ただし、先ほども指摘したように、学習指導要領の変遷があり、同学年でも既習事項が異なれば、同じであるとは言い切れない。
 次に、地域の特性について。地域の特性という言葉は、本田氏の論文では特に定義されていないので、具体的に何を想定するかによって意見が分かれるだろう。広義の意味での地域の特性で考えれば、40数年前も今回もどの都道府県でも実施されているので、同じだと考えることができる。しかし、地域の人口、経済状況などが変化しており、その変化が学力に与える影響があるとも考えられるために、同じであると断定することはできない。

 (3)の条件について。40数年前の学力テストも今回の学力テストも、中学生に関しては、悉皆調査であり、ほぼ同じであると考えられる。
 しかし、ここで、本田氏が言う、「母集団を代表しうる大規模な対象に対し」というのは、統計学的な裏付けのあるものとしてということを想定している。そう考えるならば、この条件を満たしているかどうかは、細かいデータを見なければ断定できない。

 (4)の条件について。この条件は、(1)〜(3)までの条件が同じでなければならない。40数年前の学力テストと、今回の学力テストが(1)〜(3)までの条件が同じであると断定できない以上、この条件が当てはまるということはできない。

 以上、検討してきた結果、「40数年前の学力テストと今回の学力テストが比較可能性がないということではない」という曖昧な結論しか導き出せない。それは、詳細なデータがないからだ。今後もし、詳細なデータが出てくれば結論は変わる可能性がある。

 そして、もう一つ。40数年前と今回とを比較する意味について考えたい。
 今回の調査では、質問紙調査法も取り入れられた。その理由は、学力に影響を及ぼしている要因に対する視点が重要であると考えられており、それらを分析することで、単に狭い意味での教育の問題だけではなく、いわゆる格差の問題のような社会的な問題への取り組みも可能となるからだ。
 40数年前と今回の大きな違いはそこにある。そして、その違いは「両者を比較する」という意味においても大きな意味を持つ。
 40数年前と今回の学力テストで比較可能なのは、先ほどまでに述べてきた条件を満たしたということが前提で、得点を比較することだけだ。
 そこから導き出せるものは、授業時数等の変化など、数値として明らかにできるものによる学力の変化について。しかし、厳密に比較しようとすれば、比較可能なものは限られるし、導き出された結果に基づいて教育施策の変更等を行うとしても、限られた範囲でしかない。
 今回の学力テストは、「義務教育における機会均等や全国的な教育水準の維持向上」という観点から実施されている。そこには、単に教育という限られた問題ではなく、社会問題であるという視点がある。
 そうであるならば、40数年前との比較によって導き出されるものが、狭い意味での教育問題に関するデータしか得られないなら、その意味は大きいとは考えられない。

 以上のことを踏まえて考えると、40数年前と今回とを比較するというのは、学力云々を論じるために行うには非常に難しいものであり、かつ、その意味は小さいと考える。

2006年11月29日

心と行動のネットワーク−心のサインを見逃すな、「情報連携」から「行動連携」へ−

少年の問題行動等に関する調査研究協力者会議報告書 平成13年4月

2 問題行動を防ぐために今後一層充実すべき施策

1のような少年の問題行動の特徴を踏まえ,本協力者会議において最近発生した事件についての対応等について事例分析を行ったところ,〔1〕これまでの各種提言が十分実行されておらず,従前の対応策をより確実に実行すべき内容と,〔2〕今後対応を一層充実すべき内容とが明らかとなった。以下,こうしたことについて指摘する。

(1)これまで提言してきた対応策をより確実に実行する必要のある内容

学校における生徒指導体制の整備などは,これまでも繰り返し指摘されているところである。しかしながら,各学校の実態を見ると,必ずしも確実に実行されているとは言い難い。
これまでの各種提言,特に平成10年報告で示された提言が実行されていない原因としては,学校においてこうした報告が管理職や生徒指導担当教員など一部の教職員に読まれただけで全教職員に十分周知されていなかったり,問題行動に対する危機意識が薄いため,日ごろから問題行動が発生した場合に備えた体制整備等がなされておらず,実際に問題が起きたときに適切かつ迅速な対応がとれないといったことが考えられる。
本協力者会議の事例分析でも,提言が実行されていなかったため事態を悪化させたと見られるケースがあったところであり,こうしたことは改められる必要がある。特に必要な点は次のとおりである。

1校長のリーダーシップの下,全教職員が協力して指導に当たる体制を整備すること
・ 学校における生徒指導体制の整備に当たっては,まず何よりも学校の最高責任者である校長と,それを補佐する立場にある教頭が適切なリーダーシップを発揮し,生徒指導部や生徒指導主事などの生徒指導担当教員に任せきりにせず,生徒指導について常に自ら直接かかわることが必要である。例えば,生徒指導部会や教育相談部会といった校内の生徒指導組織に参加し,管理職として校内の状況を掌握し指導性を発揮することが求められる。
・ 年度当初に調和のとれた教育課程を編成し,その中で年間の生徒指導の推進方針や指導計画を策定し,これに基づいて,全校を挙げて生徒指導を推進することが重要である。また,深刻な問題行動につながりかねない児童生徒の行動や態度について情報交換や指導方針の検討を行う場を設け,その結果を全教職員に周知して共通理解を図り,一致協力して指導に当たることが必要である。
・ 形式的に生徒指導に関する校務分掌組織を設けるだけではなく,各教職員の具体的な役割分担や責任の明確化を図り,生徒指導主事を中心として全教職員が連携・協力して指導に当たる実質的な協同体制を整備する必要がある。

2児童生徒の問題行動に対する教職員の認識や対応を十分なものとすること
・ 最近の児童生徒の暴力行為やいじめなどの問題行動の特徴について教職員の理解を深め,日ごろから一人一人の児童生徒についての生徒理解を十分行い,意識や行動の小さな変化をも把握するように努め,問題行動に対して早期の対応が可能となるよう,常に教職員の意識と力量を高めておく必要がある。
・ 児童生徒自身が,自分たちの抱える問題に気付き,互いに協力し合って自分たち自身の力でその解決を図るよう,適切な指導を行う必要がある。
・ 問題行動を起こす児童生徒や不登校の児童生徒に対する学校内での居場所作りや,相談しやすい環境作りを行うなどの適切な対応を行う必要がある。

3学校と家庭や地域社会との連携を十分図ること
・ 平成12年度に創設された学校評議員制度を積極的に活用するなど「開かれた学校」作りに努め,家庭や地域の人々に対し学校の状況を知らせて理解と協力を求めるなど,学校と家庭や地域社会との連携を推進することが必要である。
・ 学校と家庭・地域社会が,日ごろから児童生徒の問題行動への対応について情報交換を十分行う必要がある。そのためには,教職員自らが家庭訪問や保護者面談を行ったり,地域懇談会を実施したりして,積極的に意見交換を行う必要がある。

4学校と関係機関との連携の在り方について十分な検討や改善を図ること
・ 児童生徒の問題行動に対応する際に学校と関係機関との連携が実質的に機能するよう,日ごろから十分な意思疎通を図り,それぞれの機関の職務に応じた具体的な役割分担を明確にしておくことが必要である。その際,個々の事案に応じて,学校と関係機関のどちらが中心となって対応するのかきちんと共通理解を図っておくとともに,学校が主たる対応を関係機関にゆだねた場合であっても,相手に任せきりにするのではなく,連携して一体的な指導を行うようにする必要がある。また,関係機関と連携を行うことの判断を個々の教職員にゆだねたり,教職員間の連絡が十分でないままバラバラに行ったりせず,校長がリーダーシップを発揮し,全教職員の共通理解の下,学校という組織として判断し,連携することが重要である。
・ 警察との連携においても,学校警察連絡協議会等の場を通じて,日常的な情報交換や協議等による相互理解に基づく緊密な協力関係を築いておくことが必要である。

5学校間の連携を十分図ること
・ 児童生徒の進学に合わせ,小・中学校間,中・高等学校間といった学校間で一貫した生徒指導が行われるよう,個々の児童生徒に関する情報交換を行うなどの縦の連携が必要である。こうした情報交換は,先輩が後輩を犯罪の対象とするなど問題行動が学年や学校を超えて広がっている状況にも有効である。
・ 最近の児童生徒の問題行動は,交通手段の発達や携帯電話の普及など情報連絡方法の多様化に伴い,一つの学校内にとどまらず他の校区や市町村の区域を越えて広域化する傾向にある。このため,校区を越えて同一市町村内や,場合によっては複数の市町村にまたがって学校間の横の連携を図る必要がある。

6教育委員会による学校への支援を十分行うこと
・ 教育委員会においては,児童生徒の問題行動への対応を学校に任せきりにせず,各学校における生徒指導の状況を十分把握し,適切な教育課程の編成や実施に関する事項も含め具体的な指導・助言を行ったり,教職員の研修を実施したり,校長の要望を踏まえて人的・物的な支援を行ったりするなど,日ごろから学校を積極的に支援することが必要である。
・ 教育委員会においては,学校の危機管理体制の確立に向けた指導を行うとともに,事件が発生した場合には職員を派遣するなど,問題行動が発生した際の学校への支援体制を充実させる必要がある。

7教育委員会において,学校が連携を深めるための施策を充実させること
・ 教育委員会において,学校が家庭・地域社会・関係機関との連携や学校間での連携を日ごろどのように行っているかを把握し,必要に応じて,そうした連携を一層充実させるための具体的な方策について,指導や助言を行う必要がある。また,緊急時において,学校が家庭や地域社会,特に関係機関と十分な連携が図れるようになっているかを把握し,必要な体制整備を図るため,指導・助言することも重要である。
・ 教育委員会において,首長部局とも協力して,学校と家庭・地域社会・関係機関との連携や,学校間の連携を深める場や機会の設定,例えば定期的な会合や懇談会の実施などを行う必要がある。


(2)今後対応を一層充実させる必要がある内容

1児童生徒の「心」の問題への対応
児童生徒の心の問題については,専門機関も含めて社会全体で対応する必要があるが,特に学校においては,児童生徒が悩みや不安,ストレス等を抱えていることが多いということを十分理解し,学級活動・ホームルーム活動や個別の相談・指導などあらゆる機会を活用して,適切に対応する必要がある。特に,行動面で一見おとなしく,これまで特段の問題行動もなく目立たない児童生徒の中にも,内面にストレス等が蓄積し,ある要因によって問題行動につながる可能性を秘めた者がいることを認識し,適切な対応を行う必要がある。
これまで,こうした心の問題への対応については,学級担任や養護教諭を中心に行われてきているが,今後は,学級担任,生徒指導担当教員,教育相談担当教員,保健主事,養護教諭,スクールカウンセラーなど,教職員の一致協力した体制による多様な視点からの前兆の発見と対応が必要である。また,教職員が専門家等に支援を受けられるような体制作りも望まれる。
さらに,児童生徒が抱える問題を児童生徒自身の力で解決するようにしたり,児童生徒や保護者が悩み等を学校側に気軽に相談できるようにし,家庭や地域社会,関係機関等とも連携して,児童生徒の心の揺れや悩み,不安等を柔らかく受け止めるといった柔軟な対応を行うなど,多面的な生徒指導に留意する必要がある。

2児童生徒の社会性の育成
現代の児童生徒は,都市化や少子化,情報化の進展などの社会環境の変化等により,人間関係を築く力や集団生活・社会生活を営む力,社会的ルールを守ることなど社会性を身に付ける機会が少なくなってきていると指摘されている。このため,様々な場面において児童生徒に対し社会性を育成するための取組を行う必要がある。
学校においては,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間のほか部活動なども活用して,学校の教育活動全体を通じ,児童生徒に社会性を身に付けさせるようにする必要があり,学級活動・ホームルーム活動や児童会・生徒会活動等を通じて,仲間作りや集団活動を推進し,人間関係を築く力を身に付けさせることや,各教科,特別活動などにおいて,社会体験や奉仕活動,集団活動等を積極的に取り入れることが重要である。
家庭においては,子どもに対し,基本的な生活習慣や社会におけるマナー,善悪の判断などの倫理観や思いやりといった人間として基本的な事柄を,幼児期からしっかりと身に付けさせ,心の教育を充実することが重要である。現在,家庭の教育力の低下が指摘されており,国や地方公共団体において,家庭教育の支援のための施策を充実させることが必要である。
さらに,青少年施設や社会教育団体などが行っている様々な体験活動に積極的に児童生徒を参加させ,児童生徒がいろいろな機会を利用して社会性を身に付けられるようにすることも必要であり,地域社会全体として,児童生徒の社会性を育てる活動を支援し,一層の充実が図られるようにする必要がある。
また,社会性の育成に当たっては,社会の一員としての基本的なルールやモラルを身に付けさせ,問題行動を起こした場合の責任についての自覚を持たせるようにすることも重要である。問題行動により他の児童生徒の教育に支障を生じるような場合には,適時に出席停止の措置を講ずるなど毅然(きぜん)とした対応を行う必要があるとともに,出席停止となった児童生徒については,その期間中にあっても適切な指導を行うことに十分配慮する必要がある。

3社会全体として問題行動の兆候を早期にとらえた対応
児童生徒の問題行動については,学校においては問題の兆候が見えなくとも,家庭内暴力や校外における問題行動など,児童生徒の内面に起因する何らかの兆候が家庭や地域社会において生じていることがある。
このため,家庭や地域社会,学校が連携し,問題行動の兆候や児童生徒が抱える内面の問題について,社会全体で対応することが必要である。
家庭において問題行動やその前兆が見られたときは,家族は問題を抱え込まずに,地域の相談機関や学校の教員,スクールカウンセラーなどに相談することが求められる。
そのためには,家族が気軽に相談しやすくするための体制作りや,雰囲気作りが重要である。地域の相談機関においては,後述するネットワークにより日ごろから連携を深め,積極的に相談活動のPRを行うなどの取組が必要である。また,学校においては,家庭訪問の実施,保護者面談,地域懇談会等の開催などに努めることが求められる。
次に,家庭から相談を受けた相談機関や学校は,これに対して親身に対応し,社会全体としてその解決を図る必要がある。例えば,学校においては,得られた情報を生かして,家庭と一体となって生徒指導を行うとともに,学校だけで対応できないケースについては,抱え込まずに他の専門機関に引き継ぎ,その後も継続してフォローしていくことが必要である。

4専門機関による継続的なケアが必要なケースへの対応
児童生徒の抱える問題には,専門的な知識・技術による判断を必要とするものなど,学校だけでは解決できないものも少なくない。
学校だけで解決することが困難で,教育相談や精神科医療,カウンセリングなどを行う専門機関(教育センター,医療機関,保健所,児童相談所,家庭児童相談室等)による継続的なケアが必要と思われる状況があるときは,学校として早期に家庭に対し専門機関への相談を勧めたり,後述する地域のネットワークを活用して専門機関と連携し,適切な役割分担の下,継続して対応することが必要である。

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学校教育法の一部改正について(通知) 13文科初第466号 平成13年7月11日

学校教育法の一部改正について(通知)


先の第151回国会において「学校教育法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が成立し、別添のとおり、平成13年7月11日付けをもって、法律第105号として公布されました。
今回の改正は、児童生徒の社会性や豊かな人間性を育む観点から、小学校等におけるボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動等の体験活動を促進するとともに、一人一人の能力・適性に応じた教育を進め、その能力の伸長を図るため、大学における飛び入学の促進等を図るものであります。また、児童生徒の問題行動への適切な対応を図るため、小学校及び中学校の出席停止制度の改善を行うとともに、男女共同参画社会の形成の促進の観点から、盲学校、聾学校及び養護学校の寄宿舎に置かれる寮母の名称を変更するものであります。
その概要等は、下記のとおりですので、十分に御了知の上、適切に対処下さるようお願いします。
各都道府県教育委員会及び都道府県知事におかれては、域内の市町村教育委員会、所管又は所轄の学校及び学校法人等に対しても、改正の趣旨について周知を図るとともに、必要な指導、助言又は援助をお願いします。

(中略)

2 出席停止(第26条関係)
小学校及び中学校における出席停止について、他の児童生徒に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為、職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為、施設又は設備を損壊する行為、授業その他の教育活動の実施を妨げる行為を繰り返し行う等性行不良であって他の児童生徒の教育に妨げがあるときに命ずることができることとし、要件の明確化を図ったこと。
また、市町村教育委員会が出席停止を命ずる場合には、あらかじめ保護者の意見を聴取するとともに、理由及び期間を記載した文書を交付しなければならないこととするとともに、その他出席停止の命令の手続に関し必要な事項は、教育委員会規則で定めるものとすることとし、手続に関する規定の整備を図ったこと。
さらに、市町村教育委員会は、出席停止の期間中の児童生徒の学習の支援その他の教育上必要な措置を講ずるものとすることとしたこと。
なお、法改正を踏まえ、各市町村教育委員会においては、その施行日(平成14年1月11日)までに、第3項に基づいて所要の教育委員会規則を整備する必要があること。また、法改正を踏まえた出席停止制度の具体的な運用の在り方については、別途通知する予定であり、これに留意して適切に対処すること。

kaikaiより
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