1988年 6月22日 この日尾崎は「夜のヒットスタジオ」で最初で最後のテレビ出演をした。

尾崎がテレビに出るというだけで事件だったが、この放送はさらに注目を集める理由があった。


1987年 12月22日、覚せい剤取締法違反で逮捕される
1988年  2月22日、東京拘置所から釈放。
     この四ヵ月後 フジテレビ「夜のヒットスタジオ」にテレビ出演。


この「太陽の破片」はドラッグに依存するまで追い詰められた状況、そして三ヶ月の拘置所生活の中でもがき続けながら生み出した曲である。これだけの条件が揃ってれば、当然私はテレビの前で尾崎の登場を待ち続けた。この曲どうこう以前に、尾崎が普通にしゃべっているのを見た事すらなかったからだ。



尾崎はリハーサルよりも質素な格好で本番に臨んだ。
そして伏し目がちで言葉少なめにこう言った。

尾崎 「どうも、ご心配をおかけしました。
僕の素直な気持ちを曲にして、これからずっと歌っていきたいと思ってます。」
古舘 「多くの言葉よりも今日の曲はホントに今の心情を彼本人が伝えてますので、是非皆さん聴いて欲しいと思います」

尾崎スタンバイ

古舘 「カメラリハーサルの時も僕達聴かせてもらいましたけど、本当にグっと胸にくる歌であるのは間違いないですね。では歌って頂きましょう」


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歌いだしから度肝をぬかれた。
当時の尾崎の印象はもっとスマートなイメージだったが、恥も外見も捨て顔をくしゃくしゃにしながら感情むき出しの叫びから入ったのだ。


夜ヒットは歌詞の字幕表示は無かったが、この曲には字幕がついた。

「昨晩 眠れずに失望と戦った・・」

当時中学生に成りたての私がこの歌詞の重さなどわかるはずもないのに、
どんどん吸い込まれていく感じがした。

この曲はノーカットのフル演奏で6分以上にも渡った。

最後に咆哮にも似た叫びを繰り返し、この曲は終わった。
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歌い終わりと同時に出演者からスタンディングオベーションがおこる。


動画 http://jp.youtube.com/watch?v=nn2Rc9pA05A

尾崎を「I LOVE YOU」や「15の夜」としか把握してない方は、上記の背景を踏まえて是非観て欲しいですね。


まだガキだった自分に歌には力があるんだと教わった瞬間だった。
彼の絶望、苦悩、かすかな希望がこの6分ちょっとながら伝わってきた。

日本中で同様に感じた人はいただろうし、古舘伊知郎も5年間もの夜ヒットの司会にてこの尾崎の「太陽の破片」が一番印象に残っていると語っている。



尾崎はこの三ヵ月後に東京ドームを満員にしてみせた。

しかしこの4年後に帰らぬ人となった。



若くして死ぬとすぐ神秘化され「伝説の~」と後世に語られがちだが、
幸か不幸か戦国時代の偉人とは違って、尾崎を知らない世代もこの映像は見る事が出来る。
それぞれの世代が評価すればよい訳で、時代背景無視で受け入れられた時にはじめて「伝説の~」と呼んで良いのではないだろうか。そういった意味でこの放送は後世貴重な資料となるのは間違いない


今や廃盤の「太陽の破片」のジャケット
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太陽の破片 / 尾崎豊

ただのイメージショットとは思えぬ絵力に、改めて尾崎の偉大さを感じます。