浮き沈みの激しい芸能界の中でも、中学生からデビューしていた中山美穂の経歴は、主演したドラマ一覧からわかるように大きな波風のないとても安定したものだったと思う。あまりドラマを観るほうじゃないのですが、それこそ小学生の頃から現在の大人になるまで、彼女のドラマの成長と共に育ってきたと言っても良い。

<中山美穂 出演連続ドラマ>

1985年 毎度おさわがせします(TBS系)
1985年 夏・体験物語(TBS系)
1986年 セーラー服反逆同盟(日本テレビ系)
1986年 な・ま・い・き盛り(フジテレビ系)
1987年 ママはアイドル(TBS系) 
1988年 若奥さまは腕まくり!(TBS系)
1989年 君の瞳に恋してる!(フジテレビ系)
1990年 卒業(TBS系)
1990年 すてきな片想い(フジテレビ系) 
1991年 逢いたい時にあなたはいない…(フジテレビ系)
1992年 誰かが彼女を愛してる(フジテレビ系) 
1994年 もしも願いが叶うなら(TBS系) 
1995年 For You(フジテレビ系)
1996年 おいしい関係(フジテレビ系) 
1998年 眠れる森(フジテレビ系) 
2000年 二千年の恋(フジテレビ系) 
2001年 Love Story(TBS系) 
2002年 ホーム&アウェイ(フジテレビ系) 


中山美穂のドラマは、時代と共に大きく3つに分類できる。

アイドル色を強く押し出したお色気たっぷりの10代の頃の作品
月9を中心とした切ない恋愛を打ち出したトレンディードラマ中心の20代前半の頃の作品
シリアス色を取り入れたストーリー重視の20代後半から30代にかけた作品


普通、成年男子ならここで「毎度おさわがせします」「夏・体験物語」辺りのエロい思い出と共に何か書くものだが、少女コミックを隠れて買った事もある私は、あえてトレンディードラマ全盛期の作品である「すてきな片想い」を取り上げたい。

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すてきな片想い(1990年)主演:中山美穂:柳葉敏郎

「逢いたい時にあなたはいない…」も好きだったが、相手役の大鶴義丹と聞くと「オレ達のオーレ!」の黒歴史がどうしても頭からは離れず集中できない為、今回は断念した。

すてきな片想いは月9の中で、「東京ラブストーリー」、「101回目のプロポーズ」と共に「純愛三部作」と括られていた最初の作品であった。このドラマの成功が無ければ、後の作品も無かったと大多亮は語っており、中山美穂は鈴木保奈美に、柳葉敏郎 は織田裕二に、そして相原ゆうは有森也実とその役柄を見事にバトン渡しているのです。


ごく普通のOLが電車の中で出会ったサラリーマンに恋をするが言い出せない。臆病かつ不器用な、切ない片思いを描いた作品なのです。クライマックスになると中山美穂の歌う「かたかた想い JINとしちゃう」と「愛してるって言わない」のサビのフレーズが流れてくるのです。

男の私が片想いに揺れるOLの気持ちをいろいろ書いても気持ち悪いでしょうから、少し別視点で書かせてもらいます。

このドラマの脚本は ヒットメーカー野島伸司によるものでした。
まだ名の売れてない野島伸司はその前年の1989年に、映画「君は僕をスキになる」という映画の脚本を担当していました。この映画、ストーリーがクリスマスに向かっての男女の4人の恋愛模様を描いた作品で、友情をとるのか自分の想いをとるかといった内容で、これは「すてきな片想い」とほぼ同一のストーリーなのです。

では何故、たった1年で別キャストに変えてドラマ化したのかとの疑問は映画のキャスト陣をみると納得しました。

映画「君は僕をスキになる」
主演、山田邦子、斉藤由貴、大江千里、

キャストを変えて焼き直しをした理由が少しわかった気がします。


といってもこの当時は山田邦子といえば高感度タレントで国民的スターであり、大江千里もこの時代のモテ男でトレンディードラマにひっぱりだこ、斉藤由貴だってモルモン教がどうたらなんて話がでるずっと前の話で、決してミスキャストではなかったと思うのです。

当時、映画、ドラマ共にスマッシュヒットをしたわけですが、近年この時代の映画やドラマが次々とDVD化される現状があり、その2次収益が莫大な金を生む昨今、主演の演者の今の好感度がさきほどの大鶴義丹の例のように、少なからず今の消費者への影響を及ぼし明暗を分けていくのかと思います。

冒頭で書いたように、大きく凋落する事なく正統派としてやってきた中山美穂ブランドは今も健在で、芸能界を離れ現在フランスに在住しながら休業中の彼女に高感度が急落する事は考えにくいのです。中山美穂のドラマでDVD化されてないヒット作品はまだ数多く存在し、これから先、中山美穂の過去ドラマという名の埋蔵金は、徳川埋蔵金並みの価値があるものとなり、莫大な金を今後も生み出していくと予想されます。