「魁!!男塾」における数々の奇想天外なアイディアとそれに伴う矛盾は、作者である宮下あきら先生を知る事によって、より作品の深みが増します。宮下先生のインタビューから一部抜粋して、先生の魅力を紹介させてもらいます。



<初期の頃について>

--男塾といえば、なんといっても江田島塾長なんですが、こういったオヤジしかいない!って感じだったのでしょうか?
(宮下) あの感じ、なんだか右翼の塾長って感じするよね(笑) オレは特殊な集団が好きなんだよね。相撲部屋とか、自衛隊とか、応援団とか、ちょと封建的な感じの集団が。


--男塾という設定自体にインパクトありましたよね。硬派な野郎どもの集まりで、時代錯誤な根性主義を振りかざすという・・。賛否両論あったのでは?
(宮下) 右翼から脅しの電話があったね(笑) 最初の方で街頭でふんどしを売る回があったんだけど、あれがそっち方面刺激しちゃったみたいで。右翼が好きそうな古めかしい言葉使ってたんだよね。

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コミック第一巻 「特撮!江田島物語」より


--最初のギャク中心から、だんだんバトル中心の内容になって・・?
(宮下)あれは他の漫画の影響もあったけどね。バトルって人気取りやすいじゃない。


--で、驚羅大四凶殺から大威揮八連覇と、戦いの舞台が広がっていって、いろんなキャラクターが登場するわけなんですが・・
(宮下)顔が似ちゃうんだよね。かなりの人数いたからね。
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左 飛燕(ひえん) 右 紫蘭(しらん)


--キャラクターに関してはファンの反響は大きかったんじゃないですか?
(宮下)キン肉マンの超人みたいなのを送ってくるのがいた(笑)



<民明書房刊について>

--技の名前とか異様に難しい漢字が使われたりしてますが、あれはいろいろ調べたんですか?
(宮下)あれはネームの段階では○○ってなってて原稿仕上げる直前になって、漢和辞典から使えそうな漢字を羅列してただけなんだよね。それで、写植屋が困っちゃってさぁ。


--民明書房とかの解説コーナーはもっともらしいつくりになってますが、あれは色々と調べられたのですか?
(宮下)エセ科学的なもっともらしさがないと、面白くないからね。「こんなことあるわけねえだろう」「いや、本当かも」っていう、絶妙な境目がミソなんだよね

--読者の間では(民明書房の真偽が)論争になってましたが?
(宮下)大人でもいるんだよ。マジメにな抗議をするヤツが。ゴルフの発祥が中国の「呉竜府(ごりゅふ)」ってヤツから始まったって描いたの。そしたら大人の読者からマジな電話が掛かってきてさ、「ゴルフの起源はイギリスです」だってさ(笑)

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<原稿の仕上げについて>

--原稿は何日ぐらいで書き上げていたのですか?
(宮下)まぁ、20ページを3日ぐらいじゃない?今も週刊誌だけど早いよ。
2日ぐらい。ネームやらないでいきなり描くから
(注釈)ネームとは、原稿に入る前のストーリーやコマ割り、セリフなどを決める絵コンテの様なもの。通常の漫画家はここに一番時間をかける。


-- 2日? 描き始めるとガァーと描いちゃう方ですか?
(宮下) そうそう。その方がアドリブ的なおもしろさがあるんだよね。その回の「技」が決まると、だいたい話できちゃんだよね(笑) それに「友情」「根性」を混ぜ合わせて、ちょと「泣き」を振りかけて。

--打ち合わせは白熱されたんですか?
(宮下) うーん。そうでもねえな(笑)



男塾の数々の矛盾や後付けが何故起きたかわかった気がします(笑)
宮下先生の決して読者に媚びる事無く、我が道を突き進むその姿は、第1話に出てくるどんな障害物があっても決して曲がる事の許されない「男塾名物 直進行軍」で既に宮下先生の意思表示が成されていたのかと思ってしまいます。



参考文献:
魁男塾である 魁男塾奥義の書
宮下 あきら 集英社