家庭用ゲームソフトにおいてスポーツというジャンルは、もはや王道中の王道である。
野球、サッカー、ゴルフ、テニス、それぞれにいくつもの代表する家庭用ゲームソフトが思い浮かぶ事でしょう。

しかし、ふと思った。
相撲を題材としたゲームは家庭用ゲームソフトでは何があるのかと思い返してみると、ひとつしか思い浮かばなかった。

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つっぱり大相撲』 ファミコン (1987年 テクモ)

これだけである。あのナムコのファミリーシリーズ(ファミスタ、ファミリーテニス、ファミリーボクシングなど)でさえも、相撲には手を出さなかった。
相撲はそんなに不人気なスポーツだっただろうか?

いや、千代の富士黄金期、若貴ブームなど人気が絶頂だった黄金期を過ごしてきたはずだ。
それにしては相撲ゲームは圧倒的に少なすぎる。
そんな背景を踏まえて、このつっぱり大相撲には3つの快挙があったといえる。


家庭用ゲーム機として初の相撲ゲームに挑戦、成功という快挙
相撲は土を付いたら負けというルールもあり、押し出したら勝ちというそのスタイルは、ゲームにしたとき非常に地味になってしまいます。当時のファミコンの世界で奥行きや斜めの動きを再現するのは困難で、各メーカーが放棄した相撲というジャンルで唯一成功をおさめたのです。
これが一つ目の快挙であり最大の快挙ともいえる。感服するのがそのゲームバランスで、15試合全勝はほぼ不可能に設定されており、後に記述する逆転一発技で起死回生の金星が狙える。それだけでも、十分すごいのだが、このゲームには他にもあまり知られていない、その後のゲームに影響を及ぼした快挙ともいえるシステムがあった。


漢字の使用の快挙
ファミコンは容量の関係で、漢字はなかなか使えなかったが、このゲームでは45文字と制限はあったものの、海や山など相撲で多様される漢字が多く採用され、しこ名には困らなかった。
「百代富士」「大腹黒」「手雲山」などの名前が記憶のどこかで苦痛の思い出と共に眠ってはいないだろうか?

 
元祖格ゲースタイルを築いた快挙
「ぶれーんばすたー」「じゃーまんすーぷれっくす」のプロレス技とまわしを取ってしまう「モロダシ」の禁じ手。相撲の地味さを吹き飛ばすテクモのアイディア勝ちだったと思う。これらの技をだすにはコマンドが必要だったのを覚えているだろうか?
体力ゲージによる優越の表示、1対1でコマンド方式による技の優越。後の格闘ゲームにかなりの影響を与えていたのだ。
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テクモといえば、「キャプテン翼」(ファミコン版)が思い浮かぶ人も多いと思いますが、その独自のゲーム性はあの当時は他に類をみない独自なゲーム性であったと思います。「つっぱり大相撲」はこの「キャプテン翼」の製作中に急遽発生したプロジェクトで、たった2ヶ月という短期間で仕上げ、キャプテン翼よりもはやくリリースしてしまったというのです。そういえば、エンディングでパレードの沿道の中に翼くんがいた様に記憶しています。
注目すべきは困難といわれた相撲の当たり判定のプログラムが、行き詰まっていたキャプテン翼の勝敗判定システムにそのままうまく当てはまってしまったというのです。悪いことはさらに悪いことを呼ぶように、成功もおもしろいようにスパイラルしていくようです。

それにしてもテクモとはヒット数こそ少ないですが、「マイティボンジャック」のように他に類を見ない作品を排出した記憶に残るメーカーであったといえます。