ベストアルバムといえば、耳に慣れたシングル曲ばかり集め、ターゲットもコアなファン以外なので、オリジナルアルバムと比べ売り上げを伸ばす傾向がある。諸経費と時間がかからない分、ドル箱商品であるが、そこにはレコード会社の決算期ときれいにシンクロした利権という魔物が渦巻いている。

私が初めてベスト盤に疑問を感じたのが大黒摩季だった。

BACK BEATs #1
BACK BEATs #1


大黒摩季にとっての初のベストアルバム「BACK BEATs #1」は初動売り上げだけでミリオンを達成した。
人の心 裏の裏はただの表だったりしてと痛感する私も当然買った。
ここまでは何の問題も無かった。

しかし、その4年後に発売された2枚目のベスト盤
MAKI OHGURO BEST OF BEST~All Singles Collection~」に目を疑った。


初回のベストが「~#1」なのになんで、なぜ今回は「~#2」じゃないのか? 
KinKi Kidsのアルバムの恒例であるアルファベット並びを突然やめられたような違和感を感じずにいれない。

そして、その収録曲をみて唖然とした。

MAKI OHGURO BEST OF BEST disk1

1,STOP MOTION
2,DA・KA・RA
3,チョット
4,別れましょう私から消えましょうあなたから
5,Harlem Night
6,あなただけ見つめてる
7,白いGradation
8,夏が来る
9,永遠の夢に向かって
10,ら・ら・ら
11,夢の続き


黄土色が、前回のベスト盤とかぶっている曲である。
こ、これは一体・・

その昔、華の命が短い80年代のアイドル達は2枚アルバムを出したら一枚のベストアルバムをリリースして、旬のうちに出せるものは出し尽くす手法で、小金を稼ぐのが通例だったが、今回のケースはそれよりもヒドい。どのような事情があったのかは知る由もないが、この2年後に大黒はビーイングを去っている事が全てを物語っている。


ベスト盤には公式ベストアルバムと、非公式ベストアルバムがあるのだ。
今回記述する非公式とは海外の海賊版の事ではなく、本人たちの知らぬ間にレコード会社がリリースするアルバムを指す。


FLASH BACKFLASH BACK
B’z

曲名リスト
1. イッツ・ノット・ア・ドリーム
2. ラヴ&チェイン
3. セーフティ・ラヴ
4. となりでねむらせて
5. 君の中で踊りたい
6. レディ・ゴー・ラウンド
7. ハリー・アップ!
8. ハーフ・トーン・レディ
9. ギターは泣いている
10. アウト・オブ・ザ・レイン(オフ・ザ・ロック・スタイル)
11. ギター・キッズ・ラプソディ
12. だからその手を離して

1. オー!ガール
2. 夜にふられても
3. ラヴィング・オール・ナイト
4. ナッシング・トゥ・チェンジ
5. ブレイク・スルー
6. ネヴァー・レット・ユー・ゴー
7. 君を今抱きたい
8. スターダスト・トレイン
9. セイヴ・ミー!?
10. バッド・コミュニケイション
11. ロージー
12. ダカラソノテヲハナシテ(オフ・ザ・ロック・スタイル)

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1997年に過去に所属したレコード会社がB'zに無許可でリリースしたベストアルバムである。そんな事情も知らずこれも持っていました。このアルバムは無許可のリリースの為、ジャケット、歌詞カードに一切、B'zの本人達は出てこないのです。
B'zの所属会社も、ZARDのアルバムの発売日を急遽変更し、この非公認ベストアルバムに発売日をぶつけ1位を阻止した。しかし、皮肉にもB'zの初登場1位記録も8作で止めることになった。

そして、この1年後に「初のオフィシャルベスト」と銘打った"Pleasere" "Treasure"が発売され一千万枚の大ヒットすることになるのです。


ここ最近で一番有名なのは、スピッツの「RECYCLE Greatest Hits of SPITZ」 (リサイクル グレイティスト ヒッツ オブ スピッツ)だろう。

RECYCLE Greatest Hits of SPITZRECYCLE Greatest Hits of SPITZ
スピッツ

曲名リスト
1. 君が思い出になる前に
2. 空も飛べるはず
3. 青い車
4. スパイダー
5. ロビンソン
6. 涙がキラリ☆
7. チェリー
8. 渚
9. スカーレット
10. 夢じゃない
11. 運命の人
12. 冷たい頬
13. 楓

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この騒動を知らない人の為に、このアルバム名の「リサイクル」はスピッツメンバーの希望で名付けられたと言えば、この軋轢の深さをわかってもらえるだろうか。スピッツのメンバーが公式HPで「出したくなかった」とまで言わしめたのに、なぜレコード会社は遺恨を残す事がわかっていても強引にリリースしたのか? 

これは当時のレコード会社の親会社が100%外資の会社で、決算時期にどれだけの圧力があったかは、ここ数年のスティールパートナーズの食い漁り方を見てもらえばわかると思う。

こちらも後に「メンバー公認のシングルコレクション」という名でベストアルバムを出しているが、やはり早い者勝ちであり、前者のアルバム売り上げにはメンバー公認であっても遠く及ばない。


そういえば、小室さんがglobeのファーストアルバムで、455万枚と当時の日本新記録をつくるも、後に宇多田ヒカルに抜かれるわけだが、globe初のベストアルバムをリリースにあたり「宇多田ヒカルを超える宣言」をしたが、結果は自分たちの自己ベストも超えられなかった。このベストアルバムが出たのもちょうどエイベックスが一部上場する時期で、業績が前年を越えなければいけないというプレッシャーがあったのは想像できる。


ああ・・
わたしは過去一体どれだけの、「決算期非公認ベストアルバム」を買ってしまっていたのだろうか。
コアなファンじゃないからベストアルバムを買うわけで、それが公認か非公認かの区別は非常に難しい。
レコード会社の決算に協力するか、しないか、の違いであって、よく考えたら公認のベストアルバムなんてものは、そもそも存在しないのでは無いだろうか?


そんなことを考えていたのだが、過去に公認ベストアルバムと呼べるものを見つけた。
猫も杓子もベストアルバムという近年の状況の中、その流れに逆行するある漢(オトコ)がいたのだ。

その漢は8年前、ベスト盤をリリースするにあたってweb上で「アコースティックで聴きたい曲」をファン投票で集計するも、
その結果を一切無視し、「俺の選んだ曲を聴け!」と周りに一切耳を貸さず自ら選曲した。

さらに、タイトルにベストやグレイテストヒッツなどの常用の言葉を一切排除し、
俺の太陽」というベストを見事に自分の言葉に置き換え、抜群のネーミングセンスをみせた長渕剛こそ、
真の本人公認ベストアルバムの称号を与えるべきだと思います。



アコースティック 俺の太陽