先日も新幹線での移動前にゴルゴ13を買った。
収集している訳ではなく読んだらその場で捨てるのだが、ここ10年で100冊は購入している。
生まれる前から発刊され続けてる訳で、もはや新刊が出ない方が違和感を感じるほど日常に溶け込んでいる。
逆に20巻辺りまで毎巻収集し当時熱を帯びながら読んでいた「頭文字D」は、ここ5~6年続きを読んでいない。

「こち亀」、「ゴルゴ13」など一話完結型、「島耕作」、「はじめの一歩」のようなほぼリアルタイムでの日常を描いていく作品に長編マンガは多い。
だが常に盛り上がりが必要な頭文字Dのようなジャンルの長編となると、必ずマンネリという壁が現れるのだ。

長編マンガの鬼門は20巻にあり!

という仮説を立ててみた。
人が飽きを感じ離れていってしまうのは、20巻周辺。言いかえれば惰性で読めるのは20巻が限界という事だ。

まず過去の長編物には圧倒的に少年マンガが多く、少女マンガは20巻の壁を越えられない傾向がある点に注目したい。

その要因として第一に少女マンガには少年誌のような週刊誌の少なさがあげられる。月刊誌となると年に発行できる巻数はせいぜい2巻ほどになる(週刊誌は3~5冊)。20巻発行するのに10年要する計算になる。マンネリ以前に少女が大人の階段をのぼるには十分な年月を要してしまうのだ。そうなると「パタリロ」「ちびまる子ちゃん」のように少女マンガでも世代を問わず読まれるマンガに限られてくる。

そしてなによりストーリを最高潮を維持しながら継続する難しさにつきるだろう。


この時代のメジャーな長編マンガで20巻辺りを調べてみると、それぞれ大きな節目となっておりそこで物語を終了することも出来た事がわかる ・・・はず

「SLAM DUNK 全31巻」 桜木がスラムダンクを決め、インターハイ出場決定(20巻)→インターハイ編へ 
「ドラゴンボール 全42巻」 ベジータを倒しサイヤ人編が終了(21巻) →フリーザ編へ
「キン肉マン 全36巻」 夢の超人タッグ編(23巻) → キン肉星王位争奪編へ
「キャプテン翼 全37巻」 中学生全国大会終了(26巻) →全日本ジュニアユース編へ

意気揚揚と調べられたのは最初だけで、キン肉マンの説目23巻で「20巻が鬼門」が早くもブレつつごまかせる範囲と突き進むも、キャプテン翼の説目26巻の結果に軽い舌打ちが出てしまった事を正直に告白する。学者のデータ改ざんしてしまう気持ちを理解しつつ、見事に出鼻をくじかれたが先に進みたい。



北斗の拳 全27巻
北斗の拳 (1) (ジャンプ・コミックス)

ケンシロウの怒りが読者を焚きつける作風で16巻にてラオウを倒し最高潮を迎えた。ここから盛り返すのはかなりの至難であっただろうが、それでもファルコンから修羅の国への流れはとても興奮した記憶がある。そう、この修羅の国突入期が20巻なのだ。

それ以後はルーツ編となりケンシロウの兄のヒョウや、ラオウの実兄カイオウ、極めつけは息子まで現れ、見事な後づけ設定にその後のストーリーはあまり記憶にない。ついにはケンシロウの記憶喪失との展開に来るとこまで来たかという思いは編集長にもあったのか、目前に迫った最終話への序章であった事を知ることとなった。
しかしながら、リンとバッドの成長という裏テーマがあり、ラオウ編以降の物語に根付けし最終話で見事花を咲かせる事となった。逆にいえばこの要素があったから27巻までもったといえる。


マンネリなど気にせずそのスタイルを突き通す結果どうなるかを教えてもらった作品は「魁!!男塾」で間違いないだろう。

魁!!男塾 (第1巻)
魁!!男塾 (第1巻)

一試合が死ぬか殺すかの大勝負にて、当初4対4でもかなりの年数を必要としたのに「天挑五輪大武會編」で16対16のトーナメント方式と告げられた時は子供ながらに出口が見えないとはこういうことかと理解しました。

でもそこはさすがに宮下 あきら 先生である(*注2)。 Jが一人で16人突破したり、伊達が10人抜きをしたりとスーパーマリオのドカン並の見事なショートカットぶりをみせてくれた。それでもこの「天挑五輪大武會編」は11巻~28巻まで続き、その直後により広大なバトル「七牙冥界闘編」に突入した際に、後のマンガ史に刻まれる事は間違いないであろう劇的な打ち切り劇をみることとなります。ここでやっとバトル路線は厳しいと気づいたのか最終的に初期のギャグ路線に戻り、まさかの松尾と田沢に再びスポットをあてるという荒業をみせてもらいました。




来たるべきマンネリは避けられないというなら逆に・・ という発想で開き直ったマンガもある

BE-BOP-HIGHSCHOO 全48巻」(1983~2003)

BE-BOP-HIGHSCHOOL 48 (48) (ヤンマガKCスペシャル)BE-BOP-HIGHSCHOOL 48 (48) (ヤンマガKCスペシャル)
きうち かずひろ

BE-BOP-HIGHSCHOOL 45 (45) (ヤンマガKCスペシャル) BE-BOP-HIGHSCHOOL 46 (46) (ヤンマガKCスペシャル) BE-BOP-HIGHSCHOOL 43 (43) (ヤンマガKCスペシャル) BE-BOP-HIGHSCHOOL 30 (30) (ヤンマガKCスペシャル) BE-BOP-HIGHSCHOOL 31 (31) (ヤンマガKCスペシャル)

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このマンガ10巻までは北高、立花、城東工業を舞台とした地元制圧期で、10巻~20巻にかけカメマン、ガチャピン、パクなどの白山高、天保高といった郊外遠征期と、ヒロシとトオルが他人とケンカしながら交流を深めていく不良マンガの王道ストーリであった。

しかし、突如大きな転機が訪れる

ヒロシに彼女が出来たのだ。トオルはモテキャラ、ヒロシは毎度彼女が出来ない。そのうっぷんで喧嘩。この黄金設定を突如破棄してしまったのだ。
このDNAをイジった事により遺伝子は大きく書き換えられ、バイオレンス指数は一気にさがりラブコメに転換する時期がしばらく続き、25巻以降は完全なギャグ路線へと変更し、そのまま10年間最終話までいってしまったのだ。しかもギャク路線は

体育館裏でタバコ ←→ 亀ノ頭公園で誰かに遭遇

主にこの2シーンの繰り返しのみという思い切った手法で、より世界を狭くすることでさらなるマンネリ化をあえて狙ったのかもしれません。マンネリも突き通し続ければそれがスタイルになりますからね。その意図はわかりませんが、作者のきうち氏はサザンばりの自由なスタイルで、幾度かの休載を繰り返し、最後の無期限休載からそのまま未完のまま終了します。さきほどの黄金設定の破棄やキンタロウを突如鬼畜キャラに変貌させたりと(*注1)、いろんな意味で最後まで読者を裏切ってきたと思います。
兄の木内一雅氏の作品「代紋TAKE2 全62巻」でもわかる通り、連載15年続いた本格的なヤクザの抗争劇が実は子供のファミコンゲームだったという衝撃のオチだったように、マンネリ打破には裏切りの連続が必要だと教えてくれます。




近年ではカイジ、バキのようにこの節目となる20巻付近で「○○○編」と題して、再度1巻から始める事で間延びを避ける傾向がある。これは地味ながらとても有効な手段だと思います。読者側にとっても歯抜けせず好きなシリーズだけを購入することが可能だし、作者側にも物語のインフレを防ぐ効果があると思います。


(*1) 均太郎はなぜ消えた?  
(*2) 魁!宮下あきら塾