いつの間にかテレビで映画を放送する際の解説コーナーはなくなり、現在は簡単なナレーターのみとなっている。
DVD、スカパーなど無かったあの時代、テレビで映画を観る機会は今より多く、各曜日の味のある解説者達のコメントが思い出される。


「日曜洋画劇場」    淀川長治氏
「月曜ロードショー」   荻昌弘氏
「水曜ロードショー」   水野晴郎氏
「ゴールデン洋画劇場」 高島忠夫氏


中でも淀川長治氏には
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「それでは次週をご期待ください。 さよなら、さよなら、さよなら」



水野晴郎氏には
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「いやぁー、映画って本当(ほんっとう)に良いもんですね!」


と締めくくりに必ず放つ決め台詞があった。



この常に固定と思われた水野氏のセリフだが、
実は3段階評価で映画のおもしろさを採点していたというのだ。


<評価: 絶賛>
「いやぁー、映画って本当(ほんっとう)に 素晴らしいものですね」

<評価: 面白い>
「いやぁー、映画って本当(ほんっとう)に 良いものですね」

<評価: イマイチ>
「いやぁー、映画って本当(ほんっとう)に 面白いものですね」


テレビ局が推し進める映画をよもやランク付けしてしまうとは、流行りの都市伝説なのかと疑ってしまったが、この件について水野氏は「映画は観る人によって評価は変わるのであくまで参考程度に・・」と前置きしつつ、この微妙な言葉の言い回しの違いでオススメ度を暗示していた事実を認めたというのだ。

非常に驚きの事実だが、それを知ると興味が一点集中されるのは、どの映画に対して評価イマイチの「本当に面白いものですね」を言い放ったかということである。
残念ながらさすがにこれは私でも調べようがない。放映当時たぶん番組関係者も知り得なかったであろうこのメッセージを具体的に追及する事は、パンドラの箱を開けてしまう事態になりかねない。
水野氏が健在である限りは、日テレの保管庫で眠らせておくべきだろう。

ではどれぐらいの割合でこの言葉を使い分けていたのかを、日本全国の人々の記憶にどの言い回しが残っているのかを検索数で調べる事で、実際のおおよその使用割合を算出してみた。


 -検索語句ー              -検索件数ー -割合-
”水野晴郎 本当に素晴らしいものですね” 420件  約25%
”水野晴郎 本当によいものですね”     888件  約52%
”水野晴郎 本当に面白いものですね”   364件  約21%

非常にリアルな結果が返ってきた。そして、全て3つ星といった商業的評価ではなく実にシビアな判定を行っていた事がわかる。20年以上続いた水野氏の解説でイマイチが2割もあったかと思うとぞっとする。私の好きだったあぶない刑事シリーズも金曜ロードショウー枠だったが、この2割に含まれていたことはほぼ間違いないだろう(笑)

日テレの金曜ロードショーといえば、ジブリ作品の独占放映権を持っており、またルパンシリーズ、刑事コロンボシリーズなどを繰り返し放映することでもわかるように特定の映画産業と繋がりがある。
こんなシガラミの中、表面では満面の笑みで時間の限り作品を絶賛し、最後の感情を込めて「ほんっとうに面白いですね~!!」とシメていたのは、実は力の限り突き落していたかと思うと、背筋が凍る恐怖を覚えてしまいます。