80年代マンガの象徴とも言える北斗の拳

斷末魔である「ひでぶっ!!」「あべし!!」などの阿鼻叫喚は作品を知らぬものでも今や知る言葉となったが、
作品を未だ所有する私のセレクトとしては、もはや芸術の域まで達した感のある「ぱっびっぶっぺっぽおっ!」
ラオウの秘孔突きを受けた大トラが発したまさかの一言「げぴ!!」をもっと広めたいw

d5b31959.jpg



そんな北斗の拳だが当初他誌での2回の読み切りを経て、いずれも読者投票一位になった事から週刊での連載化が決まり、
そこから武論尊氏が原作としてストーリー作りに参加した経緯がある

マッドマックスに触発された世紀末の世界観と7つの傷を持つケンシロウという主人公
この2つだけの設定を渡され、後は白紙状態でスタートし、一話描く事に設定を後付けしていたというのだ。

-- リアルタイムで読んでる時は、毎週の終わり方が衝撃的でしたよ?

武論尊 「そりゃね、だって先が読めないでしょ? 次週の事まで考えられなかったから(笑)
     毎回終わるごとに次回はどうしようか~こんな引きを作ちゃったけど・・・
     そんな感じだから読者にわかるわけがないですよ(笑)

-- 毎週、一話入魂で話を書いていたんですね?

武論尊 「そうそう、結果的にあんな風に話が繋がったって感じですね。」

                                               (引用元)北斗の拳データFile 双葉社より



描き始め数話は旅の目的すら定まっておらず、女を追ってる事にしようと後付し、そこからユリア、シンが生まれたと言う。
7つの傷もキャラ先行でつくられたもので、後にシンがやったことにしようと思いついたそうだ。

どの作品でもディテールが連載中に変わっていくことはよくある事だが、ここまで無装備で竜王の城を歩き回る作品も珍しい。
ではシンを倒した後の壮大な兄弟喧嘩はどうやって派生していったというのか?


-- 後からつじつまが合うというのもすごい話ですね

武論尊 「シン、レイ、ジャギって続くんだけど、その辺から話にだんだん困ってきちゃって・・
     ケンシロウは 「シロウ(四郎)」、だから上に兄ちゃんが3人いることにした。  
     ストーリーは出来てなかったけどシルエットだけの登場をお願いしました」  

           
まさかの次郎は次男坊だろうという、うぬの昭和的発想には圧巻の一言である。

武論氏の発想力はそれに留まらず各キャラ名を命名しており、ラオウは「羅」の「王様」。トキは鳥をイメージして、
ジャギは邪悪とそれぞれのイメージと言葉の響きを大事にして作成したという。
現在も本作が連載中だったら、南斗最後の将は蓮舫だったに違いない。

それにしてもラオウ編はそれと気づかせぬほど非常によく出来たストーリー構成と思わないだろうか?
それもそのはずでラオウ編というのは実は連載期間は1年ちょっとであり、武論氏もこの期間はおもしろいように
設定が浮かんできたというのだ。この当時、誰もが練りに練られた原作を基に描かれていると思い込ませたのは、むしろ賞賛すべきだと思う。


そんな技量を持つ武論氏だが、ラオウ編以降のクオリティ(ストーリー構成)の失速ぶりは
オリコンチャートを斜め45度で急降下していったwinkを彷彿させるものがあった。

ケンシロウ/リンの記憶喪失、ラオウの実兄/子供登場と素人目にもあからさまにわかる苦しい後付け設定が行われる事となった背景に一体何があったのか?


-- 遂にラオウを倒した事について

武論尊「「よっしゃー描き終わった!」って感じで。2人とも北斗の拳は終わると思ってましたからね。あれで。
     だから一週間も空けずに「次の章入ってください」って話になったときは驚いた(笑)
     一週間だよ、新章に入るのに!書ける訳ないそんなの(爆笑)
     普通半年ぐらい休ませてくれるのに、次週からって言われても一回上がりきった
    (開放されるという)テンションはどうにもならない。だから、それ以降の話はあまり憶えてないんですよ


-- ある意味で「ラオウの死」が作品の終りだったと?

武論尊 「その後の話を読んだ読者に悪いから、自分の中で終わったとは言えなかったけど・・
      ただ、ラオウの死で一回切れたというのはある。それ以降もそれなりに苦労してますが
      モチベーション的にちょっとね。それは反省してますけど」
                                       (引用元)北斗の拳データFile 双葉社より



我が子との言える作品をそれ以降覚えてないとは、子供と一緒に暮らしていたけど7歳頃からの成長の記憶が無いと言うに等しい驚きの発言である(笑)天帝編から修羅の国の導入部分までは確かにがんばっていたと思うが、さらなる兄者 ヒョウが出現した辺りで何かが崩れていく音を確かに誌面から聞き取った。

ひとつの作品内で後付け設定による模範例と失敗例が前後で掲載されている、極めて珍しい作品と言えるのではないだろうか。