「元気が出るテレビ」でまだゲイリーヨシキとバーバラアキタダが視聴者から同じように映っていた頃の話。
「早朝ヘビメタ」でゲイリー氏はヘビメタ軍団を引き連れ、たけし軍団をターゲットに「起っきろォォー!」とフル絶叫&フルドラムで叩き起すという企画があった。

全ては予定通りだったのだが、ひとつ問題が起きた。
あまりに過激な起こし方にグレート義太夫を先頭として軍団員達が本気になってしまったのだ。当時はあの襲撃事件の直前でもあった訳で、軍団というよりか愚連隊に近い集団であった事は事実である。そのあまりの迫力にオジー・アキラ(後のToshi)をはじめヘビメタ軍団の誰もが「やべぇよ・・」と身動きひとつ出来ない状況下で、ゲイリー氏一人が小道具のミニドラムを凶器とし、一人であの軍団員に飛び込み大乱闘を演じたのだ。この出来事をキッカケに軍団員の中で「YOSHIKIってヤツはあれは~ホンモノだな・・」とイロモノイメージを払拭したと後に水道橋博士が語ったという逸話がある。

男として生きていれば「こいつ・・ホンモノだ・・」と感じさせられる時が訪れる。
そんな私にも今思えばあれはマンガだったな・・と思わせる話がある。 たまには昔話でも・・・・


私は国立のお堅い中学に通っていた。
内ポケットにコームを忍ばし、ベルト通しの後ろをクロス( X )にするのが当校の最高のつっぱり方であった。
周辺校がはいすく~る落書き状態化してるのを尻目に、2年にもなり標準ズボンと丈がほぼ変わらぬ程度のワンタックズボンでも履いていると、小さい井戸の中でもそれは相当なワルになった気がしていたのだ。


いつものように我が中学の黒い三連星で帰り道のゲームセンターに立ち寄ると、そこに不穏な空気を放つ公立である他校の3人組がいた。その中の一人がこちら側の一人と幼馴染であったようで、「お~ひさしぶり~♪」と2人で盛り上がる中、微妙なのは残された4人だ。ここでまさか名刺交換がはじまるわけもなく、寄らず離れずでのお互いの技量を測る時間となるのだ。

ツー・・いやスリータックの・・ワタリは40超えか?・・・ 
一人はフミヤみたく前髪長すぎで、目も見えないけど・・
もう一人のあの金髪具合は・・・オキシドール風呂にでも浸かったのか?・・

私のスカウターは相手が遥かに格上と示している

しかしながら、別にこの状況が一触即発な訳じゃない。ただ会話もないびみょう~な空気なだけだ。
同い年なのにここで同等な関係を築いておかないと、後に出会った時に

私  「お~ リョウじゃねえか?」
相手 「リョウ??」
   「おれはなぁ 持田さんリョウって名前だ!(苗字)呼び捨てでいいぜ!」
私  「うっ・・ もっ・・持田さん ( ´Д` ) 」
相手 「なんだい? キクリンくん?   (゚∀゚)ヒャッハッツハー」

とニ中のニラくんのようになりかねない

お互い牽制状態を保って待っていたが、幼馴染達の尽きぬ思い出話は終わる気配もない。
間(ま)に絶え切れなくなったのか相手側の前髪フミヤ君は遠くの階段に座り込んでしまい、オキシドール君だけが取り残される形となった。幼馴染みが中和剤となっていたのかどうやらこの2人にもビミョウな距離感があるようだ。

するとオキシドール君が突然入り口にあったパンチングマシーンに金を入れグローブをはめ出した。
そこには暴漢やせまりくる隕石など各レベルに合わせた対象物を3発殴って破壊しろというものだった。

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オキシドール君は相当自信があったのだろう。カールルイス並のしっかりとした助走をつけて走り込んだそのパンチは93kを叩き出した。私が60k前後だった事を考えると彼の威嚇という目的は達成できたのかもしれない。

しかし、当時はあまりわかってなかったが、パンチは体重が占める割合がほとんどだ。
我が三連星には中2にして180cm 80kはあった過去ハード設定のの惑星破壊を幾度も達成したN君がいた
「オレにやらして!」とさっそうにグローブを奪い、助走もなしに全体重をのっけた一撃は重低音とともに115kgを叩き出したのだ。

転がり込んできた勝利である。別に争っていた訳ではないが威嚇という意味では萎縮する事態にならなかった事が非常に大きいのだ。

ラストとなる3回目をオキシドール君が行えるはずも無く、虚しく「ready?」の音だけが場内に響いていた。


すると背後になにか獣を感じたのだ。
その瞬間「バァギッッ~ドッーツゥ!」と聞いたこともない破壊音と共に驚きの光景が目に飛び込んできた。

階段でずっと座っていた獣の匂いを発する男がどこで仕入れたわからぬ金属バッドで、
マシンに向かってスイカ割りばりの縦フルスイングしたのだ。


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もう、その瞬間全てのトキが止まった(笑)

その獣は「はいっ! ホ~~ムラン!」と2流女性漫画家がネームしそうなベタベタなセリフを放ち、そのままバッドを放り投げ立ち去り、カランカラ~ンと金属音が場内に響く中で、我々はただただ立ち尽くすしかなかった。金属バットで叩こうなる発想もそうだが、仮に思いついたとしても弁償百万辺りが抑止となって実際の行動に移せぬのが通常である。

オキシドールくんの派手な見た目ばかりに踊らされ、そちらに目線を奪われていたが、いつでも本当にヤバいやつは背後に忍ぶものである。ケンカが一番強いのは「頭部を金属バッドで躊躇なくフルスイング出来るやつである」というように躊躇を知らないteenほど恐ろしいものはない

サンドバックに金属バッド・・
この無茶な組み合わせを他で例えるなら、修行と称しチクワの中に鉄アーレーを混ぜ混んで投げてくるどこかのお師匠さんに通ずる
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その金属バッドは学ランの裏ボタンを変える程度でワルぶっていた男たちの虚栄心をも一瞬で破壊したのです。


完全に萎縮し無言で別れた三連星のひとつは、ホンモノには決してなれぬ事を悟り、
帰り道に学ランの詰襟をしっかり締めながらゲーリーヨシキへの憧れを捨て、
軍団相手に身動き出来なかったバーバラアキタダ的な生き方こそ我が歩むべき道と決めたのでした