2011年05月

「映画の中の日本文学ー昭和編ーいつもそばには本と映画があった」

北九州市立文学館からのお知らせ

今、北九州市立文学館で、特別企画展
「映画の中の日本文学ー昭和編ーいつもそばには本と映画があった

が開催されています。
映画好きの知人を誘って、行ってみてください。ものすごく楽しいですよ
つい、言ってしまいます。「映画って、本当にいいですね~
そしてもう一言。「文学って、いいですね~



北九州市立文学館HP↓↓

http://www.kitakyushucity-bungakukan.jp/sub-tokubetu/tokubetu-index.html


貼り付けます↓


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特別企画展開催のお知らせです。

9回特別企画展

「映画の中の日本文学ー昭和編ーいつもそばには本と映画があった」

昭和の幕開けから、“日本映画黄金時代”と言われた昭和30年代までの公開映画とともに、原作となった文芸作品を紹介します。原作本、自筆原稿、シナリオ、ポスター、撮影時のスチル写真やスナップ写真などを展示します。
開催にあたっては、日本フィルムセンター、松永文庫をはじめ多くの関係者のご協力をいただきました。

日   程:平成23423()から619()まで
場   所:北九州市立文学館1階企画展示室
開館時間:月曜日~金曜日/午前930分~午後7時(入館は閉館30分前まで)
       土曜・日曜・祝日/午前930分~午後6時(入館は閉館30分前まで)
休館日 :月曜日(52日は開館します。)
観覧料金:一般400円、中高生200円、小学生100
企画協力:東京国立近代美術フィルムセンター
協   力:松永文庫
       県立神奈川近代文学館、財団法人神奈川文学振興会、財団法人日本近代文学館


見どころ


昭和の時代を彩った数多くの名作映画ポスターがご覧いただけます。

だれもが楽しんだ懐かしい時代劇も取り上げています。

火野葦平、林芙美子など北九州ゆかりの作家の映画コーナーがあります。 

 


 


 

『海峡派』121号 ③ 掌編小説・随想・評論・アート雑感・レポート

掌編小説
桜月夜の幻想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 有馬 多賀子
中年になった貢・頼子、翠とが同窓会で再会し、三人で食事したり楽しく過ごす関係になる。翠の突然の死と夜桜の幻想的な場面とが妙にリアリティーがある。
・くどくなく、節度のきいた作品。
・幻想の世界に引きずり込む、翠の念のようなものがよく出ている
・頼子は翠の死が自殺に関係あるのでは? 自殺だったのでは?と思っている
・頼子の死に不信感があるのがわかる・きれいに逃げ切りましたね
・タイトルの幻想はなくてもよかったのでは?
・ロマンチック

田沼氏の場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 伊藤 幸雄
田沼意次の全委託三昧な暮らしから、現代のふぜいのあがらない田沼とを重ね、夢を見させる。何でも叶うのだが、「只で」と付け加えなかったばかりに、最後は借金地獄。
・導入の薀蓄も面白い
・ショートショートのラスト、存分に味わえる
・現代のあわれな男の一生がよく出ている
作者より
「田中角栄が「鯉がほしい」と言ったら、すぐに池に鯉が泳いでいたという話をヒントに書いた」

随想
三島由紀夫を辿る ・・・・・・・・・・・・・ 永吉 豊
・三島由紀夫と作者の二度の遭遇のエピソードは、おもしろい。
・よく調べて書いている
・論文ではなく、これだけの長編の随想にしたところがいい。
・三島の父の話をたくさん引用したことで、普段の三島がかいま見れる
・とても面白く読んだ。すばらしい。

早春賦 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 横山 令子
・半世紀以上も前の百合という少女とわたしの出会いと、親しく遊ぶなかでのやりとりが手に取るように生き生きと描かれている
・わたしにとって、都会育ちでおしゃれな百合はとても大切にしたい友達だったのだろう。優しくいたわる様子が大人びていてかわいい。
・貧しくも豊かな暮らしがうかがえる

ラ・フォンテーヌ ―泉・噴水― ・・・・・・・・ 今田 早苗
・父の思い出の深いフランス料理店の名「ラ・フォンテーヌ」を探す作者が、白昼夢の中に探りあてるラストがさわやか。
・右脳、左脳など、脳に関する導入もおもしろい。
作者より
「父のことを、孫である息子たちに読んでもらいたいと思って書いた」

銀次郎の日記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 青江 由紀夫
・日々の暮らしぶりと、読書の記録、そして一番楽しいのが、銀次郎の想像の部分。この想像部分はいつもいいところで目が覚める。
・銀次郎の残りの人生を後、8年1ヶ月と想定している。そう思えば、すべてのことが貴重な体験という。発想は常に前向きで初々しい。
・ラストの「ブーゲンビリア赤い花」の歌詞にどなたか、曲をつけ、銀ちゃんに歌ってもらいたいものだ。

戦中戦後チョイワル少年の映画誌 
    第三回 『昭和の残像 池部良と高峰秀子』 ・・・・・・・・ 伊藤 幸雄
・伊藤さんの書くものは、全体的にそうなのだが、日本的な湿っぽさのない、おしゃれな感じを受ける
・長谷川一夫のすごさというものが、この作品を読んでなるほどなとよくわかった
・記憶力のすばらしさが、この作品を書かせたのだろう
・時代的にはまだ先になるだろうが、高倉健も書いてほしい

謎の特別会計 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 石谷 富士男
・政治のことを随想にするのは難しいのだが、よく書いている
・特別会計、確かに「謎の」、と言いたい

評論
戦後に出発した三人  
   ―茨城のり子・無着成恭・大村はま―  ・・・ 坂本 梧郎
・「生ましめんかな」は考えさせられる
・無着の文章はとてもいい
・一人ずつでもいいので、詳しく解説してもらいたかった

アート雑感
いまどき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 土田 恵子
・一木平蔵という画家が、恵子先生の師だというので、一木平蔵に興味がわいた。彼は常にいまどきなのだという。
・大震災のことにも触れている。まさに、思考停止になった。

 レポート
明日へ駆ける
 ― 新年会・今村元市『天籟』出版記念会―  ・・・・・ 永吉 豊
・レポート、ありがとうございました。
・すばらしい横断幕作成も、ありがとうございました。

『海峡派』121号 合評会 ②詩 ・ 短歌


星野里の川辺 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ いよ やよい
・ゆっくり読むにふさわしい
・風格がある
・ラスト2連が読む時々、読む人によって、いかようにも感じ取れそう
・2連 「白い炎」いい表現
・こぶしを擬人化して、人を語っている
・「一本きりの自立、宇宙のどこからも自立」が効いている。決意を感じさせる

餡パンの臍 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 笹田 輝子
・ひもじさを知っていた時代の気品ある少年に心打たれる。こんな中学生がいる限り、日本はだいじょうぶ
・この少年が今どうしているかわからないが、幸せを祈った。きっとりっぱな人物になっているだろう
・涙ができてきた。とてもよい詩。何度読んでもいい
・こういう母と子の気高さは、今、失われているかもしれない。でも、きっとこのような少年は、いつの時代にも減りつつでもいると思う。

廃線 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 池田 幸子
・長く続くと信じているイメージの線路が、さびて消えている。現在のテレビの中に見ているのは、過去のわたし。体の不自由な姉への思いがせつない。 そして、姉がいなくなり、家族が減りして、結婚を決めかねていた男が夫としてコタツにいる。今が満足とか不満とかでなく、この線路の列車に乗った(乗ってしまった)のか・・・というシズカな空間を感じている
・こういう詩を書く人はよほど、その人自身がしっかりしていないと書けない。足が地についている
・レクイエム
・北海道の荒涼とした風景、廃線になったレールに、作者の心がある
・2連 「姉はどんな思いで見ていただろう」ここを姉の動作などの印象を書くとよい
・自分で選んだ道。孤独感

冬月に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 土田 晶子
・入院を体験し、言葉が残ったという作者が、退院後、感謝の言葉「ありがとうネ」を前面に押し出す詩を作ったということがすばらしい。
・排泄と食事は基本的人権であるという気が、つくづくとしてくる

詩神省の侍女として ―ある夜の― 
・とことんついてないある夜の物語。ことごとく裏目に出る日というものはあるものだと、共感しきり
・気が付けば文明から取り残されているような、ズレがおもしろくも悲しい。
・「炸裂する閃光に木の舟」を「詩神のタクシー」と表現する感性、すごい

そんなことは金魚に言え ・・・・・・・・ 香野 莉沙
・ことばあそびのような軽妙さ
・「バカも休み休み言え」「あさって来い」「寝言いうな」と同意語か?「そんなことは金魚に言え」
・わからないところがおもしろい。この人の詩は個性的で鋭い 煙までの詩
・詩の宿命を描いているよう。最後はタイトルどおり、煙になるのか
・いったん詩にしてしまえば、後は煮て食おうが焼いて食おうが、読み手の好きにしてくれというようなニュアンス 冬のための音楽
・1行詩 初めての試み?
・7、5の音が心地よい
・冬、等圧線をかき鳴らす なるほどと思う

ひとりごと ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ さとう ゆきの
・「あのな母さん」の連、すごい。小さなオレが学んだことを彼は生かしている。賢い子。 このラスト2行が効いている。作品が立ち上がっている。
・「あいつを呼ぶべきか 救急車を呼ぶべきか」がものすごく面白い。深い。
・※の「な」で終るのも一つの詩といえるが、※※通すと、またそれでよくわかる
・間の取り方に工夫をしてほしい
・リズムがいいというか、テンポがいいというか。
・性格の違う夫婦の子がしっかり育っている イスノキのかあさんに
・生物学的母でなく、育ての母。すなわちイスノキ。
・冬のはじめに巣立ちというのが面白い
・知らないことを知らしめるというのも作品の魅力
・擬似的親子関係の成立 作者より「ひょんの実」の笛の音を聞くと、原始的な、自分が古代にいるような気分になった。

イスノキ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 若窪 美恵
・想像力のすごさ。
・学校のトイレのような怪談的物語にしている
・?をつけるのはどうか?
・ラスト2行、理屈はイメージをふさぐ。人の胸に届かない
・少女のときの罪を覚えている、少女のときの恐怖感、気持ちを忘れていない 作者より「さとうさんと立屋敷の大銀杏のそばの、イスノキに出会い、そのひょんの実の笛の音を聞き、競作を思いついた。楽しい試みをいろいろやりましょう」

おかしなわたしがいる ・・・・・・・・・・・・・・ 山口 淑枝
・孫が来たら孫中心になり、帰った後の気が抜ける気持ちがよく表れている。
・大きな顔で「おじいちゃん!」とこき使える
・幸せそう
・おじいちゃんのほうがテンション上がる夫婦もいる
・普段、作者は夫のことを「おとうさん」と呼んでいるのに、孫が来て「おじいちゃん」を連発しているうちに癖になり、帰った後も「おじいちゃん」と呼び、「おじいちゃん」の呼びかけが浮遊しているのがおもしろい。
・孫を介して会話がふくらむ夫婦もいる。孫という絆の確かさが出ている

短歌
喜寿なり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 北 伸江
・短歌としてはそつのない、優れた歌ばかりだ
・作者が北九州から息子夫婦の住む萩に移り、短歌を始めたのが喜寿。息子の「喜寿だね」ということばがことのほか嬉しく、タイトルになったことをうかがわせる。
・お嫁さんもいい人のようで、幸せそう
・日々の暮らしに感謝を忘れない姿勢、好感が持てる。

『海峡派』121号 合評会 感想 ①小説

今日、5月1日) 『海峡派』121号合評会がありました。
ゴールデンウィークの中、ご都合の悪い方もあったと思いますが、たくさんの方に出席いただき、ありがとうございました
 『海峡派』の多彩さを感じさせられた編集の構成だった、面白かったとの評がありました 小説だけをとっても、エンターテイメントよりから、私小説の重いものまでいろんな書き手がいるのだと嬉しく思ったという意見も。

小説

結核病棟の森 ・・・・・・・・・・・・ 石谷 富士男 
昭和27年。結核になった伸吾が入院中、よく効くと言われていたストマイを手に入れるために、伝手のある患者たちとの交流を描く大作。
・いわゆる結核小説とは趣を異にした結核病棟での別の側面が描かれていてとても興味深く読んだ。伸吾はその素直で人を魅了する人柄のおかげか、周りが助けてくれる。
・ストマイを手に入れるにいたっては、お金とコネの世界なんだなと、あらためて、世の中というのはそうなっているのだと思った。まったくの虚構であっても、そういう仕組みというものが感じられ、納得のいく作品。
・タイトルも、結核病棟の外というか、森という暗い部分のことを書いている示唆になっていると思った。
・病棟内のこと、看護婦(師)や医者や周りの患者のことなどももう少し描写してほしかった
・石谷作品は、人物がおもしろい。仕事柄いろんな人を観察していたからか、それぞれに魅力ある。
・ラストが少し物足りないが、小説の品をギリギリ保つための終り方だったろう。

台所奮闘記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 都 満州美
ほとんど料理に縁がなくすごしてきたトモエが、退職を機に、料理教室に通うトモエの奮闘ぶりを描いている。
・エツコ先生の失敗を悔やまない性格がよく出ている。
・レシピと人物のバランスがいい。
・レシピよりも人物、特に黒一点の一夫の私生活を少し見せてもよかったのでは?
・エツコ先生は盛り付けに厳しい。過程より結果よければすべてよしの考え方が面白い。
・プロは盛り付けや見栄え、器にこだわる。エツコ先生も然り。
・トモエの新しい挑戦にがんばれという気持ちになる。2年後ぐらいのトモエの成長ぶりが楽しみ。

里香の里帰り(二)・・・・・・・・・・ 犬童 架津子
ヒサの娘、里香の里帰りでのエピソード。今回は、里香の娘、つまりヒサの孫の初節句での写真撮影と、里香のお姑さんの誕生日の花束をヒサから渡すというイベント。
・家族のイベントとしてはそれぞれの家庭で違うだろうが、両家そろってのイベントということで円満な過程の様子が浮かぶ。
・孫が両家をつなぐ役割をしている。孫は大きな力を持っている。
・また、孫の話題を出すことで、会話の途切れがちな夫婦になごやかな雰囲気をもたらす効果がある。
・幼子の言葉に、大人が教えられることがある

虫けらの祈り ・・・・・・・・・・・・・・・・ 加村 政子
尋常性乾癬という難病の娘千恵と母雅子との、長い年月をかけて現在に至るまでの長い道のりが淡々とつづられている。それぞれに痛みを伴って悩む二人に、救うと見せかけてあの手この手で心の中に土足で上がってくる宗教。その宗教を信じ、宗教の跡取り息子と結婚し、アル中と暴力に耐えかね離婚する千恵。読み進むほどに、重く苦しくなってくる。雅子は、自分が前世が虫けらと言われ、そうかと納得する。
・よくぞここまで書いてくれたという思い
・原因を母である自分に向け、幼い娘を抱き、病院をあちこちとさまよい歩く姿が切ない・ラストで虫けらと雅子が納得するところはどうか。救いがないのでは?
・宗教とは何かということを改めて考えさせられる。本来は人を救うためであったものが、伽藍を建て、衣を纏うたびに堕落していった。
・構築がすばらしい。・宇宙に身を投じるようなラストが虫けらの祈りというタイトルになっているのだろう。
・重く、考えさせられる。・現代の治療にも疑問を投げかける。治療による副作用で自殺する人も。自然食で改善する、薬物治療しないという選択は正しいのかもしれない。

百均婆 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 高崎 綏子
電話交換手をしていた吟80歳と萌76歳のおもしろくもほのぼのとする友情物語。
・シニカルな吟が作者に似ている?
・構築力がすばらしい
・二人の吟と萌の人物描写がうまく、生き生きとしている。
・電話交換手時代に女性の人気の的であった戸田が実は妻子持ちであったこと。その戸田と吟との間に生まれた浩市を萌も支えての奇妙な友情が短編ながらよく出ている。
・ラストもうまい
・プロのような作品。
プロフィール

kaikyoha

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