2012年08月

「海峡派」125号 ②詩

「海峡派」125号
 

はしる ― 三月、昨年三月の日録を繰る ・・・・・ 山口淑枝
3.11、Nさんから電話があり、「じぶんのできそうなこと/いろいろ考えて」「きふ〈義援金〉ですね」「じつは いまたったまです/いちまんえんさつにぎりしめて/はしってきたの」という。
その後、Nさんから電話があり、いろいろ話すうちに、3.11のころ、Nさんちは8人のお孫さんたちが小学、中学、高校などの入学が重なって出費が大変だったことがわかる。「それにはふれないで/《「もしもし・・・・」》

・電話の相手の会話がひらがなばかりなのが、意外に思ったが、そのうち、音だけの表記としてぴったりだと思えてきた
・きふのあとの〈義援金〉はいらないのではないか。なくてもわかるので、もったいない
・自分に何ができるか、皆が問うたと思う。そして、カンパか献血ぐらいしかないな、とはしったと思う。ボランティアに行った人もいるかもしれないが、なかなかそうもいかない中、多くの人が寄付をした。Nさんと同じ思いを共有したと思う。
作者の言葉
子どもの頃から、「はしる」という言葉に興味があった。元々「目的に向かって伝わるという意。「悪事千里をはしる」などは、「善行万里をはしる」がいいと思ったりした。それでNさんが、すぐにはしっていってきたと言ったとき、心にひっかかっていて、時間が経ってこの詩を作った。

夏の駅 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ さとうゆきの
「チャンポンを始めました の張り紙で/駅地下の居酒屋に入った」あたしはチャンポンをたのんだが、なかなかこない。あとで来た男が横に座り「イモ」「コンニャク スジ 丸天」と注文。それらはすぐにきて、男は「焼酎グラスを持ち上げて」あたしに会釈。「はじまったばかりの夏」なのに、男は「雪 ふるやか」と言い、店主はすかさず「まだやろ」と答える。

・こういう場面を経験したことがあるが、それがこのような詩になるのがおもしろい。
・方言ではどの駅かわからない。
・ワンシーンが絵のよう
・男と店主の会話で、男が常連であり、素早くできるものを注文して、「あたし」にすみませんね、という気持ちがあるのがほっとする
・別にいいですよ、おこってませんよと言いつつ、チャンポンにしなければよかったという「あたし」の気持ちがよく出ている

耳がみていた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ いよやよい
「喜びをかみしめている」「いいだろう と 連れの声/この恍惚感」に目が覚めたら、つけっ放しのテレビの画面に、「桃の花 また桃の花/の広がる桃畑/いや桃園/いや桃源郷」。画面からは匂いも音声もなく、「かすかな音楽」が流れているだけなのに、「耳が先に 目覚めていたのか/耳が 画面の桃の花を捉えていた」

・色っぽい
・女を感じさせる
・夫のことを思う気持ちが、伝わる
作者の言葉
夢を書きとめるのを習慣にしているが、奇妙な感覚に目覚めたときに、テレビで桃園の画面。この感覚を詩にしなければいけない、できなければ(越えなければ)ダメだと思った。

夜の公園で ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 池田幸子
「先に逝った子ども達が/月夜にそうっと降りてきて/キャッチボールをしているのだ」「あまりに月がきれいなので/あちこちの公園に/そうっと降りてきたのだ」。
3.11以降、今までにないことが起こるという。遊び足りなかった子ども達に、思い切り遊ぶがいいという。

・まだ遊びたかっただろうに、死んでしまった子どもたちのことを考えると涙がこみあげてくる
・「真綿の雲にくるまって」の連は感動的
・子どものかわいらしさがよく出ている

まちなかの公園で
「まちなかの公園」の遊具は「筋肉を退化させないための機具」だそうで、「お年寄りが並んで体操をしている」。「先週白髪の男性は/今日は黒髪」になり「赤いジャージの女性は/より赤い口紅になっていた」。「逆上がりをしていたら」「4年生のころのわたしになって」・・・「トレパンを買ってと言えなくて」「修学旅行にいけなくて」拗ねたり・・・

・いつの間にか、公園が子どものためではなく、高齢者のためのものになっているおかしさ
・夜の公園と違うが、きれいに対になっている
・言葉づかいがたくみ
・「子どもは就学前の施設で遊び」はわかりにくい
・前半と後半でテーマが違う。それぞれいいのだが、いっしょにしたことで、もりだくさんすぎて、もったいない

面会室 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 香野莉沙
「面会室のシクラメン」を「病んだひとが」「この花は間違えている」と言う。ホールは、マンホールになり、「口をあけて」「届かない言葉は/落葉する」。シクラメンの「うつむいているその首には/ねじられた痕がある」。
・面会室にふさわしい花とはどんな花なのだろう。
・ラストで、「この花は間違えている」の意味を解き明かす、考え方のおもしろさに敬服
・ホールから、マンホールが口をあけている・・・の発想。それが、病院という出口のないような巨大な暗渠をさしているよう。
・重い詩。いつなんどき、患者になるかわからない私たちの、病気に対する怖さが出ていると思う

偲ぶ会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 笹田輝子
「秋茄子嫁に食わすな」のことわざを、「無口のなつ子が」おじいさんに聞いたとおりの解釈する。大東亜戦争でおじいさんもなつ子もこの世を去り、「“偲ぶ会”に私はお招きを受けた」。なつ子の仏前には、「故事ことわざが」書かれた手帳が置かれてあった。
「一ページ 一ページ捲るほどに/なつ子の声が/あかね空から聞こえてくる」

・昔の人はことわざを出して、戒めようとした。なつ子が自分の手帳にいろいろことわざを書いていたというのが、いじらしい
・家康・信長・秀吉のところはいらないのでは?
・ことわざには真逆の意味が両方そなわっていることがあり、本当のところはどちらかわからないこともあるが、なつ子はおじいさんの解釈を正しいとする。かわいいなつ子

海峡派 125号 ①小説

8月19日、海峡派 125号の合評会がありました。いつものように、一つひとつの作品に満足いく時間をかけることができませんでしたが、たくさんの感想がよせられました。

小説

別れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 有馬多賀子
戦後、食用の草を取るため、和子は大人たちに決して入るなと言われていた「陸軍倉庫」に入る。そこで見たのは、男たちが大木亜袋を抱えて運ぶ姿。和子もカンパン入りの段ボールを苦心して盗み出す。母も和子をかばうようにそれらを枕や米櫃に隠す。また、「陸軍倉庫」が新制中学に変わる前、高い金網の兵舎の庭でジョンと知り合う。金網ごしにジョンから英語を習ったり、ジャムやパンをもらったり、小さな友情が生まれる。だが、時がたち、ジョンとの別れがくる。和子が好きだった水城先生も戦後の教育の変化に戸惑い、踊る宗教に入信し、和子は心の中で別れを告げる。

・「少年H」の世界を思い出した
・終戦直後の混乱期を過ごした子ども時代が、のびのびと書かれている
・気丈な母であるが、「―その手がかすかに震えていた」など、心理描写も行き届いている。
・「今」というのは、わかりにくいので、使わないほうがいい。
・水城先生との別れ、私の「陸軍倉庫」との別れ、ジョンとの別れがよく出ている
・書き出しもよかった
・カンパンを盗むところなど、臨場感があった
・出だしはもう少し情景描写がほしかった。すぐに会話になり、軽い感じがした。

秘歌(1) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 那津瑠璃
孝子は勤めをやめ、貯金をはたき古いビルの部屋を購入し、古着や雑貨を扱う店を始めた。孝子の恋人は、僧侶の岡田だが、会話を楽しむ程度。そこへ、同業者の津羅という男が孝子に結婚を申し込む。

・「黄ばんだ古レースほど時を包めるものはない―」「色のあせた―窓のふちに留めた―くもの巣と同化し心をくるんだ」など詩的表現が随所にあり、うまいなあという印象。
・ストーリー作りが確か。続きが楽しみ
読者からの意見
「短い作品ですが、とても面白く読みました。男の欲望が淡々と書かれ、情景がとても印象深く、作者の創作力に感動しました。これからどのようにストーリーが展開するのか、わくわくしています。あるいは主人公について、とんでもない悪女だったりして・・・
最近はピカレスク小説を書く人が少なくなり、少々、残念に思っておりました。しかし、この作品がそうであるかはわかりません。
題名については少しばかり気になります。もっと別の題でよかったのでは・・・?
では、次回の掲載をお待ちしています」

あの日に還りたい ・・・・・・・・・・・・・・・・ 伊藤幸夫
奈津子は袋張りの内職をしながら、バブル期に花のOLで慎二と純一の二人と付き合っていたが、純一を選んだ。ある日、銀行の支店長になって成功している慎二と出会う。耳元で「もう一度やり直しますか」の声。奈津子は若いころに戻り、今度は慎二と結婚し、人生をやり直す。だが、バブルがはじけ慎二はリストラに合う。純一はといえば、内助の功で今度は大成功の人生を送っていることを知る。

・男によって人生が変わるというけれど、ここでは内助の功という女性が二人の人生を変えるカギになっている。
・人間のことを書いている以上は何が書いてあってもいい
・ショートショートのおもしろさは、どんでん返しにある。
・強固な常識をひっくり返す、ゆかいさ

手抜き
「お化け屋敷」の社長が、お化けのバイトたちに、「手抜きはいかんぞ―おれたちはサービス業―」と説教をする。とくに古井戸のバイトはぼっーと突っ立つのみというが、その日、古井戸のバイトは欠勤で誰もいなかった。ひょっとすると本物?

・お化けも作り物、演出が怖く、本物のほうがまったく怖くない、手抜きだという逆転のおもしろさ。
・お化けが一番怖くないというオチ。わかりやすい

ジャパニーズ、キモノ ・・・・・・・・・・ 都 満州美
彩子は着物が大好きで、着物を着るために、必ず月に2回はコンサートや演劇に行くと決めている。体調の悪い日も、意地でも決めたのだからと、着物で行く。コンサート会場で、気分が悪くなり、救急車を呼ぶはめに。恥ずかしい思いをしてもなお、懲りずにコンサートや演劇に着物で行く彩子。二度目の救急車騒動や、帯がほどけてしまうアクシンデトにあう。

・コンサート・クラシック・外国人などの背景があり、着物のことをまとめているので、生きている。
・晴れがましさがよく出ている
・救急車事件が二度もあるのに、着物への執着はすごい。
・ラストが東京から北九州へ・・・うら寂しさが出ている
・着物へのこだわりはなぜ? 20歳のときに着物を買ってもらえなかったわけがほしい。貧乏だったらどいうほどの・・・など書けば、後に自分で働き出してどんどん着物を買っていく心理が生きる。
読者からの意見
「和装のみでこれだけの作品を書くことのできる力量に感心しました。これは硬派の作品で、文章が詰まりすぎてはいますが、なんのその、作者の着物に対する思いがたくましく書き込まれ、読んでゆくうち作品の中へ引き込まれていきまhした。和装の小説は書きにくいと理解していますが、ここまで書くだけの見識はなみなみのものが作者にあるものと解釈いたします。ただし、主人公は「わたし」でよいのではないかと思います。作者の思いがあまりにも強く、主人公の印象が薄くなっています。
これからも着物の作品を思い切りのよい表現で書いてください。期待しております」

私の筑豊物語―母親編(2) ・・・・・・ さとうゆきの
二軒長屋をまるまる使えるようになった母は、兎を飼うことを提案し、縁の下を木で囲い、放し飼いに。その兎は食べたり、売ったりしていた。その後、私は大学生になり、恋人ができ、同棲し、父から二人のことをようやく許されるが、その父がガンで亡くなる。父の看取りを母は誰にも交代させなかった。その母を私たち夫婦が迎え入れる。それから13年、母は私たち家族のために家の仕事を引き受けて助けてくれた。70歳になり、潮時だといって、兄家族ののもとへ。

・連載が終わったのはもったいない。続けてほしい
・母がおもしろい。
・先を少し急ぎすぎる
・ラストは母からテーマが変わっているが、父親編の冒頭に戻るということで了解
・詩的感覚、ユーモアがあり、感心する。文章もうまい。
・次回は部分部分を切り取り、母の心情にもっと迫ってほしい
読者からの意見
「今回は前回の続編。面白く読ませていただきました。家族内の事件、それぞれの思惑、そして世代のちがい。一言では言いあらわせない時代の波。これらすべてが短い作品の中に含まれ、人間関係の複雑さもあり、それぞれの思いも読者にはよく伝わってきます。
しかし、最初の部分に表現不足と、わかりにくい個所があります。また気になる言葉もありました。肩の力を抜き、大げさな表現はカットし、読者へ伝えたい、あるいはわかってほしいことをしっかり書き込む。それで十分、作品になるのです。この作品はいろいろなことが、これからもあるのでしょう。ぜひ、続けて筑豊と作者の思いを書いてください。また長編になることをお薦めします。各項目にわけ、忘れられつつある地域を活写してほしいと願っております」

擒の記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 坂本梧朗
高校教師の幹生は、詩を書いているのかと話しかけてきた広木と親しくなる。同僚には距離を置くのだが、文学が下地にあると一気に心を許すところが幹生にはある。だが、広木の職場での地位が上昇するにつけ、また、生徒指導の違いから幹生は広木から遠ざかる。また、隣席の潮見とも合わない。潮見は幹生が
担任をしていたのを策しておろした。この潮見の生徒指導の際の怒声も幹生は気に入らない。そのほか、校長の突然の交代劇や、吉武・蜂須賀の改革など、幹生は蚊帳の外におかれている。その改革も、吉武の退任で2年で終わる。そうこうするうちに定年近くになった幹生に、懲罰的人事・・・時間割係を言い渡される。
・退職しないと書けないだろう。微に入り、細に入り、丁寧に人間描写をしている。

・自分を掘り下げ、たくさんの人と自分との関係を浮き彫りにしている。
・長編の書き方のお手本のよう
・自己批判がなければ、単なるツイッターのような独白で終わるのだろうが、そんな甘さがない
・会話を増やすなど、もう少し、読者にわかってもらうサービスがほしい
・文章がうまい
・一徹さ、自分をさらけ出している。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 犬童架津代
兄がO市に来るというので、久子は気合を入れて窓掃除をしていたら、1メートルの高さを落ちて打つ。幸い骨折はしていない。兄はそんな妹を心配し、妹久子は兄を心配する。もう一人の兄は5年前に亡くなった。実は兄も、病に侵されているという。兄と久子は、久子の夫の運転で、生家のある阿蘇へ。生きていればそれぞれの家族にいろいろあるが、前向きに進むしかないと久子は自分に言い聞かせる。

・兄思いの久子の気持ちがよく出ていた。
・夫が自分の肉親にやさしく接してくれること、夫の運転が頼りになることなど、久子のうちに、夫への感謝の気持ちがあらわれているのが読み取れる。

御神火 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 山之内一次
郁夫、菊子、息子の正雄、哲郎の家族の物語。哲郎は頭もよく、日比谷高校編入のため勉強しており、自分で入試のための戸籍などを取り寄せ、自分が母菊子とは別の女の子どもだと知る。荒れ狂う哲郎。その哲郎も医大生になったが、菊子がガンに。放射線治療が効いた菊子は奇跡的に回復した。しかし、今度は郁夫が心臓発作で倒れる。病室で故郷の鹿児島に帰りたいとか、桜島に養鶏場を作りたいなどと思う。そして、見舞う菊子にもう帰っていいと言おうとしたとき、死の淵へ。臨死体験をする。

・息を引き取る直前の様子がよく出ている
・死後の世界に行くというところに興味がある
・耳が最後まで聞こえているというので、そのへんもあればよかった
・臨死体験をもう少しゆっくり書き込んでほしい

周炎 第49号

周炎 第49号 をいただきました。ありがとうございました。

ミステリー
スコーク七七発信(二) ・・・・・・・・・・・・・ 山村 律

自分史
へんな鉄ちゃんの物語(八) ・・・・・ 尾木成光
妻のスモン病、訴訟と賠償金、その妻を私なりに献身的に支えていた私に、突然の離婚の申し出・・・いったい何のために仕事をがんばってきたのかと思う私。その後は女性遊びにも手を出す私だが、その裏の自棄や孤独感が感じられる。

小説
ふるさと残光 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 八田 昻

神はまだ絶望されていない ・・・・・ 川村道行
子どもに恵まれなかった夫婦に、すでにあきらめ、忘れたころに妻が妊娠する。そのことと関係があるのかないのか、僕は不思議な体験をする。夢のようなありえない話のようだが、細かい描写とストーリー展開で、リアリティーを出している。

黄昏 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 若杉 妙
親子ほども歳の差があるサトと淳子とは長い付き合いだが、サトとのやり取りにずれを感じる。淳子はうまくサトを物忘れ外来に連れて行き、区役所との連携を図る。認知症と診断されたサトは弟のところへ。淳子はサトの今後の生活を案じるとともに、付き合いの途絶えたさみしさを抱く。タイトルも小説の内容にぴったりで、出だしもとてもいい。

騰越玉砕回想記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 尾木成光

苦しみの中から ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 末松福生


一番星 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 犬塚 遼

赤い夢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ かよ子
夢の中で私は「人間を絶った叔母」が「神は何処だ」など喚き叫ぶのを聞く。その様子を双眼鏡で地獄図を見ている私、その私をまた私が見ている。地獄図に永遠に叔母を閉じ込めたのは戦争。迫力ある作品。
のうぜんかずら

特集
岩下俊作の随筆集(五) 原子力を迎えて 
                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 編纂 八田 昻

紀行
北イタリア美術巡礼 ・・・・・・・・・・・・ 暮安 翠
今、北九州私立美術館で「クールベ」展を開催しているが、この絵画の図録のように豊かで楽しいエッセイを読んで行ってみてはいかがか。

随筆
着物のゆくえ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 続木道子
着物を自分で処分できない母や妹、友人までが洋裁のできる私のもとへ着物をどっさり送ってくる。それをリフォームする私。誰もが洋服は捨てられても着物は捨てられないでいるので、この作品を読んだ人は、作者に着物をどっさり送りたい気分になるはず。

農業政策に物申す ・・・・・・・・・・・・・・ 奥 信子

日本人の苗字に付いて ・・・・・・・ 尾木成光

楽しき欲望 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
金谷晴美

全作家 86号

全作家 86号 をいただきました。ありがとうございました。

文芸対談 第九回
豊田一郎 類 ちゑ子 陽羅義光
類さんが小説を書くようになった経緯、「小説を書くには、世の中のスケッチが必要」等、彼女の小説作法をとても興味深く読んだ。

全作家文学賞選考経過

小説
蟻地獄 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 積緋露雪

岬に立つ男 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 原石 寛
蒼井という青年は、海で殺人が行われたのを目撃する。殺された男の恋人から証言を求められるが、自分には関係ないことだからと断る。その恋人は蒼井が真相を知っているという手紙を残し、不審な死をとげる。警察から事情を聞かれるが、かかわりを避ける蒼井は、岬から飛び降りる自分の姿をおもい浮かべる。面倒なことや、他人のことを関係ないとする風潮、自分自身に対してさえ自尊感情の希薄な昨今の若者の一面をとらえている。

茜荘外伝 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 沢崎元美

落し物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 平 維茂
古川夫妻は定年後、学生寮の管理人を引き受ける。なぜか寮の管理人はすぐに変わる。その真相は、排水溝に浮かぶ水子たち・・・彼らを落し物と割り切る清掃業者・・・まったく作り話と笑えないのが怖い。

評論
大逆事件と佐藤春夫の詩・新村忠雄 
                     ・・・・・・・・・・・・ 崎村 裕

文芸時評
沈黙の言葉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
横尾和博

孔雀船 vol.80

孔雀船 vol.80 をいただきました。ありがとうございました。

コラム
眠りへの風景~風と愛の神話を見て ・・・・・・ 桜町 耀


簡易アパート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 小柳玲子

みわたす限り ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 村嶋正浩

八月の鱒釣りから遠く ・・・・・・・・・・・・・・・ 船越素子

遡及 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 文屋 順

石垣 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 岩佐なを
幼稚園に行く道に石垣があり、52年前の白いこどもたちが鮮やかによみがえる。でも、それは記憶の中だけの鮮やかさ、白さ。現実には「さがしようのない足跡/帰り道まで五十二年かかる」道のりに、「あんよは衰えている」。52年の歳月を一瞬ととらた絵になっている。

ウインダミアの静かな雨 ・・・・・・・・・・・・ 小林あき

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 中井ひさ子

あれやこれや ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 刈田日出美

神田新保町 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 吉貝甚蔵
古書で有名な町。古書が放つ時間とヒトやそうでないものたちの想いのようなものが、「くす くす と/通りの角に落ちている」町。古書からこぼれ出すストーリーが笑い声になっているよう。ことばあそびも楽しい。

激痛に悶える身体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 脇川郁也

蜜のざわめき、哲学の罠 ・・・・・・・・・ 望月苑巳
カニ星雲が出現した日の呑み屋で
 
口笛 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 浅川泰美

連載 パンドラの詩匣
清水昶と〈七〇年代〉第二回 ・・・・・ 藤田晴央

孔雀船画廊29 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 岩佐なを

リスニング・ルーム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 竹内貴久雄

吃水線・孔雀船書架 

連載
 
絵に住む日々
 《第二十六回》ボッシュの鳥
 ・・・・ 小柳玲子

試写室 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 嶋崎信房桜町耀・選+国弘よう子


ペガサス記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 堀内統義

神様のよそ見 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 高島清子

失敗にしないハンカチ選び ・・・・・・・・・ 臺 洋子

正しい眠り方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 吉本洋子
「今夜も耳石を転がしながら/あいつがくる」。あいつというのは、めまいや幻聴だと思う。季節のせいか、藪医者のせいか・・・「幻聴も幻視も母ゆずりだから」とあきらめているように、何かのせいにしてみるのもささやかな抵抗だろう。安眠のない日々が続くのは何と辛かろう。しかし、「瞑った眼は開けません/出遭ったはしから撃ち殺して/静かな寝床を手に入れる」という覚悟のほどに、やっかいを乗り越えようとする強さを感じる。

たび ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 間瀬義春
ある老い 

らせつ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 尾﨑幹夫

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 坂多瑩子

春・なつかしい想起点まで ・・・・・・・・・ 福間明子

宇宙へと架かる電線 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 尾世川正明

シンプル ライフ(11) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 小紋章子

カフカの冬 ベラスケスの夏 ・・・・・・・・ 朝倉四郎

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 平岡けいこ

連載エッセイ
眠れぬ夜の百歌仙夢語り
     《第六十六夜》
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 望月苑巳
とても楽しく読んだ。日常の家族との出来事を、自嘲ぎみに、しかし明るくユーモアを交えて綴っている。挿入歌は、叙景歌。自然のありがたみを感じる3.11以降。短歌は古びることがないなあとつくづく感じた。

プロフィール

kaikyoha

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