『そんなことはどうでもいいから早く枕を作ってくれ。』

オーダー枕を作りに来られたKさんに
『今まではどのような枕をお使いですか?』とお聞きしたところ
いきなり言われた言葉です。
これまで1500人以上の方にオーダー枕をお作りして来ましたが、
こんなことは全く初めての経験です。


その次に
『肩こりなどのお悩みがありますか?』とお聞きしたところ
にべもなく『無い』とのお答え。
これでは取り付く島もありません。
お言葉の通り手短に枕をお作りすることにしました。

そして十数分後、
オーダー枕が完成するやいなや、
Kさんはすぐにお店を出て車に乗り込まれました。
後には一緒に来られていた奥様だけが残られました。

正直申し上げて
そんなKさんの態度に不快感を感じたことを告白します。

そして『細かい理屈も、接客も必要ないから
とにかく手短に枕を作ってもらいたい。』
というKさんに対して、
その通り手短に枕をお作りしたということに対して、
『本当にこれで良かったのだろうか?』
との思いも禁じ得ませんでした。


さて、
後に残られた奥様はお支払いをされながら、
『主人は3年前に大きな病気をしてから、
どこのお店に行っても
すぐにあんな失礼な態度をとってしまうんです。
本当にごめんなさい』と
非常に申し訳なさそうに謝っておられました。

大きな病気どころか、
Kさんは3年前からいつ命に別条があってもおかしくないほどの状態で、
それ以来とても怒りっぽくなってしまったそうです。

これをお聞きして、
私の中にはそれまでとは全く別の感情が芽生えました。

私は常々、
オーダー枕を作りに来られるお客様に対しては、
『100人のお客様が来られれば、100通りの接客をするべき』
と考えています。

そして今回のKさんに対するオーダー枕作りに関して、
『あれで良かったのだと。』と思えるようになりました。

後から考えてみたら、
Kさんは枕作りを待っておられる間もかなりしんどそうでした。
それ程の体調であるにもかかわらず、
『少しでも楽に寝れるように』と
わざわざウチのお店にオーダー枕を作りに来られたのだと思います。

そんなKさんのためには、
出来るだけ手短にオーダー枕を作って差し上げることが、
何よりのサービスであったのだと思うようになりました。

そして、
Kさんに対して不快感を感じてしまった
自分のことを反省しなければなりません。
また一つ勉強になりました。



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